焼岳の日帰り登山ルートをご紹介
焼岳(やけだけ)は長野県松本市と岐阜県高山市に広がる標高2455mの活火山です。山頂近くにはいくつかの火山火口が残り、火口湖の正賀池の南側にある南峰、登山可能な北峰で構成されています。
そんな焼岳は、北アルプス唯一の活火山であるため、火山ガスが噴出するなど、焼岳ならではの景色が楽しめます。今回はそんな焼岳の登山ルートのご紹介です。なお、本稿は2022年5月7日現在の情報を元に作成しております。
焼岳は上高地の展望がすばらしい
焼岳の山頂は、眼前に絶景のパノラマビューを楽しむことができます。焼岳は、周囲をさえぎる山がなく、ダイナミックな山容の槍ヶ岳から穂高連峰の絶景がすばらしく、笠ヶ岳や乗鞍岳も一望でき、眼下には蛇行する梓川の様子や上高地の景色を眺めることも可能です。
また、北峰と南峰の間にはエメラルドグリーンの火口湖である正賀湖があります。見所が多く、荒々しい火山の世界を楽しむことができるのも、焼岳登山の魅力のひとつです。
焼岳登山のおすすめシーズンは紅葉時期
焼岳は日本百名山に数えられる山です。5月下旬ごろから10月下旬ごろまでが登山シーズンとなります。9月上旬ごろから紅葉がはじまるため、「五色の着物を着ているような」北アルプスの美しい風景を楽しみたい方はぜひこの時期の登山がおすすめです。ただし、紅葉シーズンの休日は登山者や紅葉狩り客で混雑しますので、早めに行動するなど注意が必要となります。
火山情報をチェックすることも忘れずに
焼岳の登山ルートはおもに中の湯ルート、上高地ルート、中尾高原ルートの3ルートです。いずれも前泊すれば日帰りが可能で、初心者でも無理なく登山することができます。
ただし、焼岳は、沈静化しつつも火山活動が行われているため、登山前には必ず気象庁の火山情報を確認することをおすすめします。噴気孔近くには近寄らないようにし、ヘルメットなどの安全対策もしっかりとしておくようにしましょう。
初心者におすすめは新中の湯ルート
初心者でも挑戦しやすい焼岳の登山ルートがこちらです。道中、岩の間から噴煙が立ち上る様子などが見られ、ガスが噴き出す音を聞きながら、活火山としての息吹を感じることができます。また、こちらのルートは焼岳への最短ルートでもあるため、短時間で頂上までたどりつきたい方におすすめです。
歩行時間は5時間ほど
登山口からしばらく針葉樹林帯の中を登ります。 歩行がきつくなってしばらくすると休憩するのにちょうどいい広場に到着、頂上を見上げることが可能です。
そこから稜線を進んでいくと、美しいカルデラ湖である正賀池や火口が眼下に広がります。焼岳北峰頂上まで一気に登り切ると360度の絶景を楽しむことが可能です。穂高連邦や乗鞍岳が美しく見えます。頂上からのピストンは下りやすくとくに問題ありません。
登山口までのアクセス方法と地図
公共交通機関でアクセスする場合、中の湯のバス停から車道を3kmほど歩きます。車では安房トンネル手前で旧国道158号線に入り、中の湯温泉旅館を過ぎると登山口です。
登山口には駐車スペースがありますが、20台ほどの小さなスペースとなります。すぐにスペースがなくなってしまうため、休日などは早めに行動するようにしましょう。
上高地から梓川を下る上高地ルート
上高地から日帰りで登れるこちらのコースは歩きやすいと人気です。前泊して早朝から出発し、余裕をもって日帰り登山することができます。コースタイムは7時間半ほどで、途中、焼岳小屋もあるため、トイレ休憩やペットボトルの購入なども可能です。 最短ルートよりももう少し歩きたいという方はぜひこちらのルートを挑戦しましょう。
スリル満点のはしご場が最大難所
スタートはゆるやかな登りですが、沢を過ぎると勾配がきつくなってきます。そして、はしご登りが連続し、最後は難関の10mほどのはしご登りです。
笹道をジグザグに登っていくと焼岳小屋があります。トイレ休憩で一息ついてから山頂を目指しましょう。いったん下り、斜面を登っていきます。途中、新中の湯ルートとの合流がありますが、一気に登り切った先が山頂です。
登山口までのアクセス方法と地図
登山口へのアクセスポイントとなるのが上高地バスターミナルです。駐車場もあるため、車でアクセスする場合もここを経由します。
上高地バスターミナルから梓川を下り、田代橋を渡って右岸を左方向へと進んでいくと、15分ほどで焼岳登山口です。 登山口には噴火と土石流に対する注意喚起の看板が掲げられています。
焼岳小屋
- 住所〒506-1422
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾 - 公式サイトURLhttps://www.m-kamikouchi.jp/yakedake/
- 電話番号090-2753-2560
- アクセス上高地登山口から約2時間
登山者が少ない中尾高原ルート
中尾高原ルートは、登山者が少ないため、ゆったりと登山道を歩けるルートです。このルートはかつて 信州と飛騨地方をつないでいた古道で、豊かな高山植物を楽しみながら白糸の滝を遠望して山頂へと向かいます。中尾峠超えなど自然豊かなルートを楽しみたい方におすすめです。
なお、歩行時間は8時間ほどかかります。初心者の方などは途中の焼岳小屋で宿泊して山頂を目指しましょう。
人気がない分ストレスなく歩ける
中尾高原口バス停から舗装道を登っていくと、合唱の森中尾キャンプ場が見えてきます。このキャンプ場を過ぎると登山口です。小川を渡り、白水谷を経て、白水の滝を眺められる展望台へと続きます。休憩ポイントとなる秀綱神社を経て、しばらくすると 中尾峠です。
ここから上高地ルートと合流し、焼岳北面を山頂へと昇っていきます。休日などはここから登山者の数が増えてきますので注意しましょう。中尾峠から山頂までは1時間程度です。
登山口までのアクセス方法と地図
こちらのコースの登山口へのアクセス方法は、岐阜県にある高山濃飛バスセンターから濃飛バスで新穂高ロープウェイ行きに乗車し、中尾高原口バス停で下車します。バス停から中尾温泉の温泉街を通り、中尾高原登山口へと1時間ほど進むと登山口です。こちらのバス停の近くには駐車場がありますので、車で来られる方もここからのアクセスとなります。
下山後に楽しみたい上高地周辺散策2コース
美しい自然がそのまま保護されている上高地エリアには自然のスポットが点在し、ちょっとした散策路もあります。焼岳登山の後、もう少し自然と戯れたいという方はぜひ帰路につく前のひとときを周辺散策に充ててみてはいかがでしょうか。
①河童橋~大正池散策コース
上高地の周辺散策では、ビュースポットとして知られる河童橋をめざしましょう。上高地バスターミナルから歩いて数分です。河童橋から穂高連峰の雄姿を臨めるほか、梓川の景色が美しく、ホテルやレストラン、売店などでにぎわいます。
大正池までの散策ルートは片道4kmほどです。途中、日本近代登山の父として親しまれているウェストン碑もあります。大正池は立ち枯れた木々の風景で有名です。ここからシャトルバスで戻ることもできます。
②河童橋~明神池コース
明神池は、鏡のように澄んだ美しい池です。この池までの散策コースも定番コースとなっています。こちらは水辺ではなく、林道を進んでいくコースで、山小屋明神館を経て、穂高神社奥宮の境内にある明神池を目指すコースです。
ちなみに、穂高神社は日本アルプス総鎮守として崇められています。ただし、この明神池までは1時間ほどかかりますので、下山後の体力と相談しながら散策するようにしましょう。
登山疲れが癒せる周辺の温泉
①中の湯温泉【焼岳登山の拠点として古くから知られる】
新湯の中ルートの登山口から下山したら立ち寄りやすいのがこちらの温泉です。余裕をもって登山に出かけたい方、前泊して焼岳を目指したい方にもおすすめとなっています。1915年創業の老舗で、焼岳登山の拠点としても便利です。なお、日帰り温泉として親しまれていた卜伝の湯は現在使用できない状況となっていますので注意しましょう。
中の湯温泉
- 住所〒390-1520
長野県松本市安曇4467 - 電話番号0263-95-2407
- 公式サイトURLhttps://www.nakanoyu-onsen.jp/
- アクセスJR新島々駅よりバスで1時間沢渡を過ぎ、釜トンネル(上高地)入口の信号は左折したら直ぐ右折して旧道(安房峠)へ
②上高地ルミエスタホテル【天然温泉で疲れすっきり】
地下150mから湧き出た自家源泉の温泉として知られるこちらの温泉は、上高地エリアで立ち寄りたい日帰り温泉です。天然の温泉は源泉かけ流しで、登山の疲れをすっきりと癒してくれます。日帰り温泉としては利用時間が制限されますので、時間には注意が必要です。
上高地ルミエスタホテル
- 住所〒390-1516
長野県松本市安曇4469番地1 - 電話番号0263-95-2121
- 公式サイトURLhttp://www.lemeiesta.com/
- アクセス上高地バスターミナル帝国ホテルバス停より徒歩10分上高地マイカー規制のため、沢渡駐車場またはあかんだな駐車場よりシャトルバスにて
③上高地アルペンホテル【山小屋風の日帰り温泉】
こちらのホテルは、8月と冬季がお休みとなる日帰り温泉です。穂高連邦を望む広い温泉で、木のぬくもりを感じさせられる落ち着いた雰囲気となっています。日帰り入浴は午前と午後の利用時間があるため、登山帰りにも立ち寄りやすいです。暖炉のあるロビーラウンジで心地よいひと時を過ごすことができます。
上高地アルペンホテル
- 住所〒390-1516
長野県松本市安曇上高地 - 公式サイトURLhttps://www.m-kamikouchi.jp/alpenhotel/
④中尾温泉・焼乃湯【豊富な湯量の源泉かけ流し】
中尾高原ルートの立ち寄り温泉といえば中尾温泉街があります。日帰り温泉が可能な旅館もいくつかありますが、中でもこちらの温泉は、湯量が豊富で源泉かけ流しが自慢です。日帰り温泉でも露天風呂を楽しむことができ、また、入浴利用時間も比較的長いので、登山の帰りに立ち寄りやすい温泉となっています。
旅館焼乃湯(やけのゆ)
- 住所〒506-1422
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾365 - 電話番号0578-89-2704
- 公式サイトURLhttp://www.yakenoyu.com/
- アクセス高速バス「シュトライナー」平湯乗換新穂高温泉行き中尾高原口下車すぐ中央道岡谷JCより長野道へ、松本ICから国道158号(安房トンネル経由)で新穂高方面へ。/名神高速一宮JCより東海北陸自動車道へ、中部...
焼岳登山で無理なく日本百名山を目指そう
焼岳は、登山初心者も目指せる日本百名山の一座です。主要なルートは3つあり、初心者もベテランも、それぞれ楽しむことができます。下山後には上高地エリアなどで周辺の散策を楽しむのもおすすめです。
無理せず日常から解放されたい方はぜひ次の休日に焼岳をめざしましょう。下山後に温泉でゆったりと体を癒し、明日からの活力を充電することができるはずです。
もっと焼岳の登山ルートが気になる方はこちらもチェック!
今回は長野県と岐阜県に鎮座する日本百名山の一座である焼岳の登山ルートをご紹介しました。さらに焼岳の登山ルートについての情報を知りたいという方は、こちらの記事も参考になるはずです。ぜひアクセスしてみてください。
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