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東京オリンピックで観戦すべき、「近代五種」のルールを紹介!その歴史や競技人口も!

近代五種とは、ヨーロッパで歴史があり人気が高いコンバインド・スポーツ競技です。選手はルールに従い馬術・水泳・フェンシング・射撃・ランニングの5種目をこなします。競技人口が少なく、なじみの少ない近代五種の競技内容やルール、見どころなどの紹介です。
更新: 2021年8月10日
DaiwaConsilio
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「キング・オブ・スポーツ」近代五種とは

近代五種は男子と女子別に個人競技のみが行われます。昔は1日1種目、5日間のルールで行われ「王様や貴族のスポーツ」と呼ばれる優雅なスポーツでした。

今では5種目を1日で行なう様になり、選手には万能性と耐久性が求められる過酷なルールのスポーツとなりました。この歴史ある近代五種の人気が高いヨーロッパでは「キング・オブ・スポーツ」とされ、そのチャンピオンを称えるのです。

近代五種の競技進行ルールとは

参加選手は男子、女子共に36人です。フェンシング・水泳・馬術はポイント制で、合計がタイムに換算されます。最後のレーザーラン(射撃とランニング)は、タイム上位者から時差スタートとなり、最初にゴールした選手が金メダルを獲得します。

なお、東京オリンピックの近代五種は2日間で行われ、1日目はフェンシング(ランキングラウンド)、2日目に残りのフェンシング(ボーナスラウンド)・水泳・馬術・レーザーランの各種目が行われます。

種目ごとにルールを紹介

フェンシングのルールとは

フェンシングにはルールが異なる「エペ」「フルーレ」「サープル」の3種目があり、近代五種では「エペ」が採用されています。「エペ」のルールは頭からつま先までどこを突いても良く、スリリングで見どころの多い種目です。

日本では近代五種を始めてからルールや技を学ぶ選手がほとんどで、外国選手との差が出やすい競技とされています。

フェンシング・ランキングラウンドのルール

ランキングラウンドのルールは、試合時間1分間での1本勝負で総当たり戦です。1分間で勝負がつかない場合は、両者とも「負け」として扱われることになります。

選手の持ちポイントは勝率7割(25勝)を基準として250ポイントです。そこから1勝ごとにプラス6ポイント、1敗ごとにマイナス6ポイントが加減されます。25勝できずに250ポイント以下から始まる選手が多いです。
 

フェンシング・ボーナスラウンドのルール

ランキングラウンドと違い、30秒一本勝負です。ランキングラウンドで下位の選手から始まる勝ち抜き戦で、1勝すると1ポイントが加点されます。また、ランキングラウンド1位の選手が最終戦で勝利すると2ポイント獲得です。

なお、このラウンドのルールでは勝ち抜けばどんどん加点され、負けても減点はありません。フェンシングが得意な選手には大きなボーナスとなります。

水泳のルールとは

近代五種での水泳は、200m自由形のみの一本勝負です。男女ともに基準タイムが2分30秒に設定され、それを基準として250ポイントが与えられます。選手のタイムと基準タイムとの差は、1/3秒ごとに1ポイントずつ(1秒で3ポイント)増減されるルールです。
 

水泳は日本の選手には有利なルール

日本の選手は水泳や陸上競技を経験して近代五種に挑む選手が多いので、馴染みの薄い射撃やフェンシングをカバーするのに有利な種目です。種目が自由形だけのルールなので、集中して練習できることででタイムを延ばすことに専念できます。

馬術のルールとは

近代五種の馬術は障害飛越競技と同様のルールの減点方式です。乗馬は主催者側が用意し、競技当日に抽選で決まります。障害数は12個(ダブル、トリプルを含む)、飛越が15個の設定で、高さは最高で120cmです。

持ち点300ポイントでスタートします。障害落下は7ポイント減点、馬が障害の前で止まる「拒止」と障害を避ける「逃避」は10ポイント減点です。ゴールタイムは関係ありません。

レーザーランのルールとは

レーザーランは最後に行われる射撃とランニングのコンバインド(複合)種目です。スタートのルールは、各競技合計ポイント1位の選手からスタートした後、2位以下の選手が1ポイントにつき1秒の時間差で次々にスタートして行きます。

射撃とランニングで1セット、これを4セット繰り返しすのがレーザーランのルールです。ランニングの疲労で射撃が狂う選手が多く、大きく順位が変動するドラマティックな競技です。

射撃のルール

射撃はレーザーピストルを使用するルールです。10m先の約6cmの的に5発命中させるか、制限時間50秒経過でランニングに移らなくてはならないとのルールもあります。なお、レーザーランで使うレーザーピストルは選手自前のカスタム銃です。
 


ランニングのルール

ランニングは1回につき800m走ります。特別なルールはありませんが、大会によって陸上競技のトラックが使われたり、屋外の特設会場であったりとまちまちです。順位を上げようと頑張りすぎて息を切らすと、射撃に影響します。

近代五種の見どころとは

ポイント制ルールで激しく入れ替わる順位

5種目をこなす近代五種は、それぞれの種目に特徴があります。また、選手もそれぞれ得手不得手があり、ポイント差が大きいルールのため、種目を重ねる度に順位が入れ替わるのです。

選手は常にポイントを計算しながら駆け引きをします。観戦する際に競技のポイント換算ルールを把握できると、近代五種の観戦がより楽しくなるでしょう。

 

ルールを知らなくても楽しめるレーザーラン

近代五種のフェンシング・スイミング・馬術はポイントルールを知らないと選手の順位がすぐにわかりません。しかし、レーザーランは見た目で順位がわかりやすいので、ルールを知らなくとも楽しめる競技です。

静の射撃と動のランニングを4回繰り返すレーザーランではドラマが起こります。ランニングで大きく引き離したのに射撃で追いつかれる、あるいはその逆など白熱した闘いが展開されるのです。

東京オリンピックの注目選手とは

近代五種に参加する日本人選手を紹介!

日本には近代五種の開催国枠がありましたが、男子の岩元選手と女子の高宮(旧姓朝長)選手はアジア・オセアニア選手権で出場権を獲得しました。また、女子の島津選手も世界ランキング枠で選出され、この3名が出場します(以下敬称略)。

 

岩元 勝平(いわもと しょうへい)

1989年8月23日生まれ(32歳)鹿児島県出身・自衛隊所属。リオデジャネイロオリンピック(29位)に続き2回目のオリンピック近代五種への出場です。

高校時代は競泳で活躍していましたが、自衛隊からのスカウトで近代五種を始めました。自身最後のオリンピックになるとして、「7歳と5歳の息子に父の格好いい背中を見せたい」と意気込んでいます。

高宮(旧姓:朝長) なつ美(たかみや なつみ)

1991年8月22日生まれ(30歳)埼玉県出身・警視庁所属
リオデジャネイロオリンピック(12位)に続き2回目のオリンピック近代五種への出場です。

高校時代は競泳や陸上競技に取り組んでいました。高校時代の成績を見た警視庁の近代五種部からのスカウトを受け、2012年から近代五種を始めています。このオリンピックで引退するとしていて、メダル獲得が目標です。

島津 玲奈(しまづ れな)

1991年5月28日生まれ(30歳)熊本県出身・自衛隊所属。

近代五種世界ランキング上位として出場権を獲得、初のオリンピック近代五種競技出場です。得意な種目は水泳で、「リオ五輪に出場できなかった悔しい思いを東京で晴らしたい」としています。

世界の注目選手はこちら、優勝候補は?

男子

近代五種王国ロシアのアレクサンダー・レスンは前回のリオデジャネイロで金メダルを獲得しました。フェンシングが強く、今回も優勝候補の筆頭として挙げられています。

銀メダルに輝いたウクライナのパブロ・ティモシェンコも優勝候補で、彼の父親もまた近代五種の選手でした。ほかにはロンドンで銅メダルのチェコのアダム・マロシの存在も侮れません。

女子

注目選手はロンドンの近代五種金メダリスト、リトアニアのラウラ・アサダウスカイテです。ほかにはリオデジャネイロ銀メダルのフランスのエロディ・クルベルが有力視されています。

また、イギリスのケイト・フレンチなども、本国イギリスでは近代五種のメダル獲得を期待されている優勝候補です。

注目選手を観戦できる国際大会とは


オリンピックの他に近代五種を観戦できる国際大会とは、ワールドカップ・世界選手権・アジア・オセアニア選手権アジア大会などです。近代五種協会WEBサイトを見ると掲載されており、それぞれの大会でルールが微妙に異なります。

ワールドカップは人気の注目選手たちが各地を転戦し、近代五種が盛んなヨーロッパでは人気競技の一つです。

近代五種の競技人口は?日本は?

世界の近代五種競技人口

歴史ある「キング・オブ・スポーツ」の競技人口は、世界100カ国以上で約14,000人とされています。フェンシングを始め馬術や射撃も一般的なスポーツとして親しみが深く盛んで、それらの競技ルールが一般に浸透しているのが強みです。

日本の競技人口とはどのくらい?

近代五種の歴史が浅い日本の競技人口はわずかに30人ほどと言われています。それは近代五種が5種目を1日でこなすハードな競技であること、フェンシング・馬術・射撃の練習施設や用具の確保が難しいためです。

しかし近年、近代五種の射撃が手軽なレーザーピストルとなったことで、ルールなどに馴染みが薄い日本でも徐々に競技人口が増えつつあります。

キング・オブ・スポーツへの登竜門「近代三種」

日本国内ではキング・オブ・スポーツの担い手を育成する目的で、近代三種という競技が行われています。近代五種への入門的競技としての位置づけで、水泳とレーザーラン(射撃とランニング)だけの独自ルールの競技です。

近代三種レーザーランの射撃は、手軽で費用が安いBB弾のスポーツピストルを使用します。近年は参加する少年少女が増え、選手発掘の貴重な場です。注目選手にはフェンシングと馬術を習得させて育成します。
 

近代五種に強い国とは

メダル獲得が多いのはどこの国?

ヨーロッパ勢によるメダル独占の時代

近代五種はヨーロッパ発祥のコンバインド競技です。歴史的にフェンシング・馬術・レーザーラン(射撃)のルールを知るヨーロッパ各国の選手が表彰台を独占していました。

リオデジャネイロまでのメダル獲得数では、スウェーデンが金9個、銀6個、銅4個で圧倒的です。その他にはロシア、ハンガリー、イギリス、フランス、ポーランドなどヨーロッパ勢が多くのメダルを獲得しています。

ロシア黄金時代から新興勢力台頭の時代へ

ロシアはシドニー(2000年)、アテネ(2004年)、北京(2008年)の3大会連続金メダルの歴史的偉業を成し遂げています。前回のリオデジャネイロでも金メダルでした。今回の東京オリンピックでもメダル獲得を狙っています。

しかし最近はリトアニア、エジプト、メキシコや中国、韓国のアジア勢の台頭がめざましく、メダルを狙えるレベルまで上がってきました。

近代五種の歴史を振り返る

近代五種は過去の歴史の融合から生まれた

出典:pixabay.com

近代オリンピックの父・クーベルタン男爵が考案し、ストックホルム大会(1912年)から採用されました。100年の歴史があるこの競技を、男爵は古代ギリシャの五種競技(レスリング・円盤投げ・やり投げ・走幅跳び・短距離走)になぞらえたということです。

また男爵は、ナポレオン時代のフランス騎兵将校が、戦場を伝令として駆け回って活躍した故事から種目を考案しルールを定めました。

日本人選手出場の歴史

日本の近代五種競技での歴史は、ローマオリンピック(1960年)から始まりました。バルセロナ(1992年)まで連続出場していましたが、アトランタ(1996年)から北京(2008年)までは出場権を得られませんでした。
 

男子の復活

北京(2008年)で村上選手が16年ぶりに近代五種の出場権を獲得、次のロンドンで富井選手が出場して29位となります。さらに次のリオデジャネイロでは三口選手と岩元選手が参加し、22位、29位と健闘しました。

女子はロンドンから


女子の近代五種はシドニー(2000年)から正式種目となり、ロンドンで初めて出場権を得て山中詩乃選手が30位、黒須成美選手が34位でした。前回のリオデジャネイロでは朝永(現姓高宮)なつ美選手が13位(後に上位選手失格による繰り上げで12位)と上位に入っています。

東京でのキング・オブ・スポーツの見どころ

東京オリンピックでは、男女とも初日のフェンシングは武蔵野森総合スポーツプラザで行われます。また、残りの種目は全て東京スタジアム(味の素スタジアム)で行われるため、選手には移動の負担がなくなりました。

水泳は特別ルールとしてスタジアムに仮設プールが作られますが、これはオリンピックの歴史上で初めての事です。

フェンシングの見どころ

東京オリンピックの近代五種ではこれまでとルールが変わり、フェンシングは2日に分けて行われます。通常同じ日に2度行われるフェンシングですが、間の時間をどのように活かすかが勝負の分かれ目となるかもしれません。

馬術の見どころ

近代五種のルールでは、障害馬術用の馬は試合を行う現地で用意されます。選手たちは初対面がほとんどです。競技1時間前に抽選で載る馬が決まり、馬主さんなどから馬の性格など必要な情報を収集します。

馬の性格や特性を把握するのはルールを覚える以上に大切で、短い時間でコミュニケーションをとらなければなりません。日本選手が以前の大会などで知っている馬と出会えたらラッキーです。
 

レーザーラン観戦の見どころ

射撃ルールのポイントは早く5発命中させることです。最初の射撃は5発命中させる選手が多いですが、ランニングを重ねるうちに命中率が落ちます。息を切らせたまま射撃に入り、狙いが定まらず時間がかかり抜かれる選手が続出です。

細かいルールがないこの種目は、選手たちの体力勝負となります。東京の暑さにどう対応できるかがこの種目の成否を分け、メダルの獲得につながることでしょう。

近代五種のルールや見どころ【まとめ】

海外では人気のある近代五種ですが、日本では種目もルールもあまり知られていません。しかし競技に複雑なルールはなく、知らずに観戦するだけでも単純に面白さがわかるはずです。地元のオリンピックに意気込む日本の3人の代表選手たちを応援しましょう!

オリンピックが気になる方はこちらをチェック!

東京オリンピックのために都内に新たにできた観光スポットがあります。また、近代五種の種目でもある馬術競技を詳しく知りたい方はこちらをチェックしてください。テレビ観戦ばかりのオリンピックですが、情報をゲットして楽しみましょう。