はじめに
ネメシアの育て方や増やし方解説
かわいらしい花を咲かせるネメシアは他の植物とは少しだけ変わった性質があるため、その特徴を踏まえた育て方をすることで初心者でも簡単に栽培することができるでしょう。この花の栽培環境や植え付けや植え替えなどの用土や方法を、病気害虫対策や増やし方とともに解説していきます。
ネメシアについて
育て方の前にまずはネメシアという植物の原産地など基本的なことを知りましょう。ここでは多くのネメシアに共通する特徴などもご紹介していきます。
基本情報
科・属:ゴマノハグサ科ネメシア属
原産地:南アフリカ
英語名/学名:Nemesia/Nemesia
ネメシアは宿根草だが一年草扱い
この植物は原産地の南アフリカなどでは2-3年はもつ宿根草扱いです。耐寒性も高いので日本でも数年咲く場合もありますが、基本的には植えっぱなしでは丁寧にお世話をしないと花が少なくなったり株の勢いもなくなることから一年草扱いで毎年種まきやさし木といった増やし方で株を更新して楽しみましょう。
夏越しが苦手
というのもネメシアは日本の夏が苦手だからです。冬には強いけれど夏は不得手。この植物の栽培方法には、この環境に対する特徴を抑えてお世話してください。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境1.日当たり
ネメシアも他の多くの植物と同じでおひさまが好きです。しかし置き場所となると日当たりよりも注意しなくてはいけないことも出てきます。植物の成長の周期的には秋から初夏でワンサークルとなるのが特徴なのでそれを踏まえて日当たりも管理していきましょう。
好きな日当たり
ネメシアを上手に咲かせるには先程お話した夏が苦手というポイントを抑えた場所に置くことが大切です。日当たりは日光の当たる場所が好きなのですが、盛夏はどうしても株が弱るので日陰で涼しい場所に移動させるよう鉢植えがおすすめ。地植えにしてしまうのであれば夏は日陰になるところにしてください。
植え付け・植え替え場所の注意点
鉢植えの場合はその時期に適した場所・日当たりの良いところに移動させることができるので問題となるのは地植えの場合です。庭への植え付けや植え替えをするときには風通しがよく水はけのよいところ。夏の日差しは弱るようであればすのこや寒冷紗でガードしてあげてください。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境2.用土
ネメシアの用土
ネメシアの栽培用土は一般的な園芸用度(赤玉土と腐葉土を7:3程度の割合で混ぜた用土)に水はけをよくするピートモスを2割程度加えてください。このときは赤玉土の量を少なくして5:3:2程度にするのがおすすめ。pHが酸性に傾いているようであれば、苦土石灰も栽培用土に混ぜ込んでおくとよいでしょう。
おすすめの用土
土作りの方法が難しいと感じる・土をいじっている時間がないという場合は市販の培養土を使ってください。元肥が配合されているものがほとんどで、水はけも考慮されているので用土はこれひとつで済むので簡単です。マンションやアパートなど集合住宅で土を買う必要がある方は植え付け・植え替えには市販の培養土がおすすめです。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境3.肥料
元肥
元肥は植え付けや植え替え時に穴の中におこなう肥料です。あらかじめ植え付ける土を耕し緩効性肥料をまぜこんでおいてもかまいません。長く効果を発揮するので植え付け・植え替えを定期的に行う場合追肥の必要もなくこれだけで済むので簡単です。
追肥
鉢植えなど年に1度植え替えたり植え替えなかったりという場合は、元肥として与えた肥料も効き目がなくなってしまうのでそんなときは追肥として液体肥料を秋ころに与えてください。追肥は固形肥料を株元に置いてもかまいません。元肥で使ったのと同じものが良いでしょう。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境4.植え付け
ポットで売られている苗を購入したらすぐに植え付けしてください。自分で種まきやさし木で増やしたらそれもある程度の大きさになったら時期を見て植え付ける必要が出てきます。
植え付け時期
ネメシアは鉢植えで買い求める方と種まきやさし木といった増やし方で自分で苗を作り植え付ける場合の2種類となるでしょう。時期は春と秋の2回。3-4月・9-10月が適しています。温かい地域では11月ころまで植え付けることが可能です。
植え付けのやり方
ポットや鉢から地植えにするときまず取り出したら根鉢は軽くほぐしてください。植え付け用穴の中には元肥をほどこし、その中に水をたっぷりと注ぎ入れてから丁寧に植えていきましょう。新しい土を用意し軽く株元を抑えて、最後にもう一度水やりをして植え付け完了です。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境5.植え替え
植え替えの目安は株が大きくなってきて鉢が窮屈に感じたころ。宿根ネメシアで株が育ってきた場合に植え替えが必要となり、一年草であればこの植え替えは不要です。種まきやさし木での株の更新・植え付けをすることになるでしょう。
植え替えの時期
植え替え時期は植え付け時期と同じく春と秋の2回になりますが、その両方で植え替えする必要はなく多くとも年に1度程度で十分。鉢植えの場合は春にしても良いですし秋でも。庭植えの場合でも数年放置せずにできれば年に1度、秋に掘り上げて元肥を与えて植え替えてください。
植え替えのやり方
植え替えは1年以上楽しんだ株に対して翌年も花を咲かせたい場合に行いましょう。一年草扱いで翌年には新しい苗や株を栽培する・種まきやさし木などの増やし方で株の更新をするという方には必要ありません。やり方は植え付け方と同じですのでそちらを参考にしてください。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境6.水やり
水やりも一般的なあげかたで良いのですが、注意点もあります。鉢植えと地植えではやり方も違うので初めて植物を育てるという方は水やりの方法を確認してください。
水やりの仕方
水やりが必要なのは鉢植えやプランター栽培の場合です。地植えの場合はよほど乾燥が続かないかぎり水やりの手間は不要。土の表面がカラカラになっている場合、少し土の中の湿気を確認してみて湿り気が少ないなと感じたら水やりをしてください。
水やり注意点・コツ
過湿を嫌う植物です。水やりはやりすぎるよりは足りないくらいの方がちょうどよいです。地植えの場合もあまりジメジメしているような場所であれば、別の場所への植え替えも検討した方がよいでしょう。他よりも少し土を高く持って植え付けるのも水はけ対策のひとつとなります。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境7.病気・害虫
健康的な丈夫な株であればあまり病気の心配はないですが、風通しが悪かったり水やりの仕方を失敗してしまうとその範囲ではありません。葉がたくさん枯れていたり色が変色しているようであれば病気や害虫被害を疑ってみてください。
病気
ネメシアに心配される病気として灰色がび病があります。これは3-7月10-11月と真夏をのぞき発生しやすい病気でジメジメが原因です。
病気になったら
枯れた葉や花びらを放置しているとそれが原因となります。花がらつみをこまめにする。枯れたり病気が発生した葉はすぐに取り除き密封して破棄。さらに風通しを気をつけることで次第に病気は収束に向かいます。
害虫
心配される害虫にはハダニやアブラムシがあります。ハダニは乾燥した夏場に発生し葉の裏面に小さな虫がたくさん付き葉の汁を吸い枯らしてしまうやっかいな虫。この他アブラムシなども付きやすいので注意してください。
害虫を見つけたら
ハダニには霧吹きで水を散布して吹き飛ばしたり水やりのときも細かく勢いのあるシャワー状の給水口を使い、アブラムシは手で捕殺します。どちらも汁を吸う害虫なので浸透性の農薬で駆除・対策することもできるでしょう。どちらも温かい時期に発生する害虫なので春に予防のために散布することをおすすめします。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境8.剪定
ネメシアの剪定の目的は見た目を良くする・病気の予防・新芽を出させて返り咲きさせるの3つあります。やり方は花がら摘みと切り戻しの2種類です。
剪定1.花がら摘み
花がら摘みは終わった花を取り除く剪定です。枯れかけた花がついていると見た目も悪くなりますし、灰色かび病の発生源となるのでその両方の改善策としてこまめに行なってください。指先で摘んだり、清潔な小さめのハサミを使って花のみを剪定するやり方になります。
剪定2.切り戻し
切り戻しは初夏の花の時期が一通り終わったころに行います。株をスッキリさせて風通しを良くし、病気や害虫を防ぐためと新しい花芽の促進効果も期待できます。株の形が整い見た目も良くなるのがおすすめのポイント。切り戻し剪定を上手におこなうことで、真夏をすぎると秋にもう一度花芽があがってきて次々と咲き始めるでしょう。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境9.種まき
ネメシアの増やし方は2種類
ネメシアは長くても3年ほど、短ければ1年で花が咲かなくなってしまいます。耐寒性は強いのですが夏の間に株が弱ってしまうのが一番の理由でしょう。そのため、新しい株の更新方法としてふたつの増やし方があります。
増やし方1.種まき
まずは種まきから。ネメシアは秋蒔きの植物です。涼しい方が発芽率もよく生育も良いため温暖地域で10月ころが種まき適期となります。
種まきのやり方
種まき用土は赤玉土がおすすめ。育苗箱かポットに土を入れ種をバラ蒔き。土はあまりかけすぎずに軽くしますが、流れてしまわないよう水やりに注意してください。間引きをしながら翌年春の植え付け時期まで大きく育てましょう。
増やし方の特徴とポイント
ジョウロでの水やりが難しいと感じたらバットなどの上に育苗箱やポットを並べて底面から給水させるようにすると種が流れるのを防ぎます。本葉が3枚程度になったら箱に蒔いたものをポットにあげて植え付けできる大きさまで育てましょう。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境10.さし木
さし木での増やし方・時期とやり方
2つめの増やし方はさし木となります。これは宿根草のネメシアに向くやり方で春と秋の年2回適期が訪れるので、他の植物と同様できるだけ若く健康そうな枝を選び10-15センチほどにカットして行いましょう。
さし木のやり方
さし木用には肥料分などない用土を使います。古い土は使わず、必ず清潔なものを用いるようにしてください。葉はついたままでしっかりと湿られた土に挿し乾燥させないよう注意しながら日陰で1ヶ月ほど管理して、少しずつ明るい場所に移動させしっかり発根したのが認められたら鉢や花壇に植え付けしましょう。
増やし方の特徴とポイント
さし木は春にもできるのがポイント。しっかりと枝に水分を含んでいる健康な枝でおこなうのが発根率をあげるポイント。切った枝から十分給水するのが難しいためあらかじめ水分を保持していることが重要です。1ヶ月ほどして発根したら根から水分を吸うことができるようになるので、日なたに出してきて日光を当ててあげるようにしていきましょう。
ネメシアの育て方の特徴や栽培環境11.冬越し
耐寒性
ネメシアはそこそこ耐寒性もあり-3度くらいまでは耐えられる植物です。冬の間も屋外で管理するのがおすすめ。しかしあまり霜が降りるようなところでは、だんだんと枯れてきてしまうのでそこだけは注意してあげてください。
冬の水やりなど
冬場の水やりは春~秋よりも少し控えめにするのがコツ。花が咲いているうちは冬でも水溶性の肥料をときどきあげると良いでしょう。花が咲いていない場合は冬場の肥料は一切必要ありません。
美しいネメシアの種類
ネメシアアレンジ
一般的なネメシアの品種でカラーも豊富です。何よりも種つきが良くて自分で種まきからの増やし方を考えている方にはおすすめできる種類。種取りのために1本ではなく複数株を同時に育てるのが良いでしょう。
ピンクレモネード
ネメシアもはっきりとした色合いも多い中、淡い色合いが春を感じさせると人気が高い品種です。白のベースに薄いイエローやピンクといった色が中央付近に入るでしょう。まるでお菓子のような甘い香りがするのも特徴。
ブルーベリーパイ
まるでスミレのようなツートンカラーがおしゃれなネメシアです。切り戻しをしてあげることでこんもりと丸い整った形に咲いてくれるでしょう。花は大きめなものも多く開花時期も長いのが人気の理由。1本あるだけでとてもゴージャスな見た目を楽しめます。
イノセンス
ネメシアも背の高いものと低い種類があります。純白の品種であるイノセンスは矮性(背が低い種類)の植物。小さいものであれば高さは10センチくらい。カラフルな花を付けるものと合わせて寄せ植えなどにも利用価値が高い人気種です。
まとめ
ネメシアの育て方を知ろう
ネメシアの育て方から増やし方・病気や害虫の対策などご紹介してきましたがいかがでしたか?日本の夏が苦手というこの植物の特徴を踏まえた育て方をするのが上手にお世話をするコツです。種がよく付くので増やし方も難しくなく数を増やすのも簡単です。病気や害虫・夏の日差しに注意して、こまめな切り戻しをおこなえば長くきれいな花を咲かせることができるでしょう。
植物の育て方が気になる方はこちらもチェック
植物を育てるのに気をつけたい病気や害虫・植え付けや植え替えなどの育て方についても、暮らし~のではたくさんの記事をご用意しています。もっと植物について知りたい方はこちらも是非ご覧くださいね。

マリーゴールドを家庭菜園して虫除けしよう!害虫対策効果や育て方をご紹介!
マリーゴールドは小さいながらも濃い色の花を咲かせるため夏の花壇で人気がありますがマリーゴールドは野菜に悪影響をもたらす害虫の虫除け使えるとい...

ベンジャミンの育て方!枯れる・病気などの注意点含めて失敗しないコツも解説!
ベンジャミンは室内に置く観葉植物の中でも人気が高くポピュラーな種類です。育て方も簡単でいくつかのポイントを抑えることで初心者の方でも簡単に管...

フクシアの育て方!用土選びから剪定、夏冬時期の越し方まで解説!
フクシアの育て方をご存知でしょうか?フクシアはとても可愛らしい色、形をした花を咲かせることで知られていますが、実は栽培難易度は高めで、何も知...