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【人馬の信頼関係が鍵】総合馬術競技のルールを解説!種目別に必要な能力も!

総合馬術は人馬一体となり競技し、また男女が同一種目を行うというスポーツの中でも数少ない競技です。総合馬術の種目は馬場馬術や障害馬術、自然の中を走行するクロスカントリーの3種目があり、今回は「総合馬術」のルールや服装のルールなどをご紹介していきます。
2021年11月19日
fumiyama
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目次

総合馬術とは?

総合馬術は人と馬がペアとなって行われるスポーツで、また男女の区別なく同一競技を行って点数を競い合うというスポーツの中でも数少ない競技です。馬術には他に「馬場馬術」と「障害馬術」という単独の競技があります。

総合馬術はこの2つの馬術に、人馬一体となって自然の中を走行するクロスカントリーを加えた3つの種目を三日間通して行う馬術競技です。今回は「総合馬術」のルールや服装のルール、オリンピックでの馬術の話などを交えてご紹介していきます。

総合馬術の競技種目

総合馬術は「馬場馬術」や「クロスカントリー」、「障害飛越」の3種目を同一人馬で3日間かけて行われる競技で「馬術のトライアスロン」とも呼ばれており、まさに日頃の調教の成果や人馬一体となった能力が必要とされる競技です。

総合馬術が行われる大会の競技レベルは「スター」で表示されており、上級から4スター、3スター、2スター、1スターと定義されており、オリンピックや世界選手権大会などは4スターレベルによるルールで総合馬術が開催されます。

総合馬術「馬場馬術競技」のルール

「馬場馬術」は総合馬術競技の一日目に行われ、幅が20メートル、長さが60メートルの広さのアリーナと呼ばれる馬場の中で、選手が馬を操りながら「常歩(なみあし)」や「速歩(はやあし)」、「駈歩(かけあし)」という3つの歩き方を元にして、決められた演技を正確に行う「規定演技」と、決められた動きを反映しながら音楽に合わせて行う「自由演技」の二つの競技を行うルールとなっています。

「馬場馬術」に必要な能力

「馬場馬術」では、自然に生息している馬が通常やらない動きをさせることになり、また調教段階においても馬の体調も毎日異なり、感情を持った動物を相手にしますので、選手は忍耐力や判断力、冷静さなど強い精神面の能力が必要です。

また競技会では、人馬一体となった優雅な動きが高得点となりますので選手はなるべく小さな動きで馬に合図を送ったり、鞭は極力使用せず、指示を出しているように見せない細かい動きで馬が主体的に動いているように見せる能力が必要となります。

総合馬術「クロスカントリー競技」のルール

総合馬術のメイン競技となるのが2日目に実施されるクロスカントリーです。この競技は距離が4kmから6kmほどの自然の中に設定されたコースを走り、途中には30から40の障害物が設置されていて、それを人馬一体とのなって飛越し走り抜けていく迫力満点の競技となっています。

高低差のあるコースの途中には、池や水濠などに加え、丸太や竹などの自然の素材で造られた障害物が設置されており、それを飛越しながらゴールまでの時間を競う競技です。

総合馬術の華!

設置されている障害物は固定されているので、馬の肢が当っても外れることがなく、飛越の際に馬の脚が当たると、馬と選手共々転倒する危険もあり、日頃の調教に加え人馬の互いの信頼感やスキル、そして勇気が必要となる競技です。

オリンピックや世界選手権クラスの大会ではコースの距離も6kmを超す設定となり、障害物も40を超えて設置され、選手と馬の忍耐力や持久力が求められ、見ていてもスリリングで見応えがあり「総合馬術の華」とも言われる人気となっています。

「クロスカントリー」に必要な能力

クロスカントリー競技では、選手は事前にコースを下見することができますが、馬は当日の本番で初めてコースを走ることになり、またコースに設置されている障害物は固定された丸太をなどで造られているので、当たると人馬共々怪我をする可能性もあります。

そのため選手は、コースを知らない馬をどの位置で踏み切らせ、どれくらい高く飛び、どれほど遠くまでジャンプさせるのか、コースの状況や馬の能力、疲労度などを計算しながら随時的確な指示を出す能力が必要となります。

総合馬術「障害飛越競技」のルール


総合馬術の3日目に行われる競技が「障害飛越」で、この競技はハードな総合馬術のクロスカントリーの翌日に行われるため、ルールにより獣医師によるホースインスペクションが実施され、馬が競技へ参加できるだけの体力があるか健康かどうかのチェックが行われます。

競技に参加する為にはこのホースインスペクションに合格する必要があり、選手やスタッフは検査にパスするために、馬の体調管理や維持のためにさまざまな手当をする点も、総合馬術独特の特徴となっています。

総合馬術の中でも迫力ある競技!

障害飛越は、アリーナ内に設置された10個を超える障害物を順番に飛越してゴールまで向かう競技です。障害物は高さが130㎝までとなっており、細めの丸太でできた横バーなど形もいろいろあり、馬の足などに当たると外れるようになっています。

障害飛越で大きな馬が高い障害物を次々に飛び越えていく姿には迫力があり、また総合馬術のクロスカントリーの翌日に行われるので、最後に残った力を振り絞り人馬一体となって障害物を飛び越えていく姿には感動さえ覚えます。

障害馬術に必要な能力

障害馬術はコース内に設置された障害物を落とさずに飛越し、さらに規定タイム以内にゴールを目指す競技ですので、選手はより早くゴールするためにコースを見定めて、障害物を飛越する的確な場所などを判断することが求められます。

さらに選手は、コース上の最短距離のルートを見極め、走る速度や障害物を飛ぶ前の踏み切りのタイミング、ジャンプする角度などを鞭や拍車を駆使して馬に細かく指示する能力が必要となります。

総合馬術の採点のルール

総合馬術「馬場馬術採点」のルール

馬場馬術の採点は複数の審判員によって行われるルールとなっており、選手と馬が行った歩法や歩度、運動課目という演技ごとに0から10点の採点される評価点と演技全体につけられる点数の合計で競い合います。

「自由演技」では、音楽の解釈やマッチ、演技で描く図形の優雅さやユニークな点などの芸術的な評価などが採点され規定の採点に加点されるルールです。

総合馬術の中でも自由演技が見どころ!

最高点の10点は「優秀」、9点は「極めて良好」、8点は「良好」から段々下がっていき、2点は「不良」、1点は「きわめて不良」、0点は「不実施」となり、ルール上それぞれの得点を満点で割って%に換算し、最終得点において60%以上であれば、求められる演技は達成できているとされています。

一般的に規定演技より自由演技の方が高い数字が出るとされ、ワールドカップクラスの大会では自由演技で90%以上という数字を獲得する選手が多数並ぶと言われるほどです。

総合馬術「クロスカントリー採点」のルール

総合馬術のクロスカントリー競技では、4kmから6kmほどの丘陵地帯や林間コースの途中に30から40の池や水濠、自然の木などによる障害物が造られており、そこを人馬一体となって飛越し走り抜けていく見応えのあるレースが展開されます。

クロスカントリー競技の採点のルールとしては、障害物の拒否や逃避、巻き乗りなどはー20点となり、同じ障害に対して2回目の拒否や逃避、巻き乗りはさらにー40点、そして3回目の同じ動作は失権となるルールとなっています。

総合馬術の中でも厳しいルール!

また規定タイムの超過ルールとして、スタートラインからゴールラインまでコースの距離に対して規定時間が設定されており、その規定時間を1秒超過するたびにー0.4の減点となるルールとなっています。

さらにコース上での落馬や人馬転倒もルール上失権なりますので、騎手は馬の体力や感覚を常に意識しながら文字通り人馬一体となってコースに挑む点が総合馬術・クロスカントリー競技の勝敗のポイントととなり見どころにもなっています。

総合馬術「障害飛越採点」のルール


総合馬術における障害馬術競技の採点のルールはペナルティによる減点法となっています。その一つとして障害物の落下による減点のルールでは、一つの障害物にかけられたバーを1本以上落とした場合はー点4となり、積み上げられた障害物にあたり倒した場合もー4点のルールです。

また不従順や反抗の採点ルールとして、馬が障害物の前で止まる拒否や、横に逃げる逃避、コース上の他の場所で騎手の指示に従わない不従順はルール上-4の減点となり2回目は失権となります。

総合馬術の中で特に騎手と馬の意気投合が必要!

さらにコース走行中に巻き乗りとして円を描くように走った場合も反抗とみなされ1回目は減点4、2回行うと失権となるルールです。

また規定タイムの超過のルールもあり、規定のタイムを1秒超えるごとにー0.4の減点となり、その他に合図前のスタートやコースの走行中に騎手が落馬をしたり、乗った状態のまま馬が転倒したりする場合、さらに決められた飛越の順番や方向を間違える場合も失権となり総合馬術の中でも厳しいルールとなっています。

総合馬術の服装のルール

総合馬術「馬場馬術服装」のルール

総合馬術の馬場馬術における服装のルールとして、上着は正式の呼び名が「上らん」と呼ばれ、競技用の正装は燕尾服となっています。ただ試合のグレードによっては丈の短いライディングジャケットの着用も認められ、色はルール上黒色か紺色、または赤色です。

乗馬ズボンは白または淡いベージュ色のキュロットで、ジャケットの下にはシャツを着ますが、襟と袖口は白と決まっています。また白のタイかアスコットタイを結び、白い手袋をはめるのがルールです。

選手の服装も総合馬術の見どころ!

ブーツは革製の黒又は濃紺で、拍車はルール上着用しないといけません。さらに黒又は濃紺のハットかヘルメットをかぶり、長い髪型の女性選手の場合はネットに入れてまとめ、短い髪型の場合でもネットに入れて髪がバラつかないようにするのが好ましいとされています。また使用する鞭はルール上長さが75cm以下のルールです。

総合馬術の馬場馬術の服装は、乗馬の中でも一番エレガントな服装とされており、馬場馬術の演技に加え選手の服装も見どころのひとつになっています。

総合馬術「クロスカントリー服装」のルール

総合馬術のクロスカントリーにおける服装のルールとしては、落馬時の障害を防ぐ為に、保護具が付いたベストを着ることが協会などから奨められています。また3点固定式のチンストラップ付きのヘルメットを着用し、ツバが付いている場合はヘルメットカバーを着けるのがルールです。

総合馬術の中でも安全性が優先!

乗馬のキュロットは好みの色の着用が認められており、ブーツは革製のもので他の総合馬術で用いるものと同じでよいとされています。拍車の着用はルール上義務付けられていませんが、着用する場合は車輪が付かず長さが3.5cm以内とルール上規定されており、また鞭は総合馬術共通の長さが75cm以下のモノを使用するルールです。

総合馬術「障害馬術服装」のルール

障害飛越の競技で着用する服装のルールとしては、まずライディングジャケットの色は黒か紺で赤のジャケットも認められています。乗馬ズボンは白または淡黄褐色のキュロットで、シャツは白または色の薄いシャツを着用し、白のタイかチョーカーを結ぶのがルールです。

ヘルメットは顎ひも付きの3点固定式のタイプの着用が義務付けられ、色は黒か紺がメインとなっており、黒革製の長靴を履いて拍車を付け、鞭は長さが75cm以下のものを使用するルールとなっています。


総合馬術とオリンピック

総合馬術はオリンピックの馬術競技の一種目として採用され、その他にも世界選手権大会などさまざまな競技会が行われており、オリンピックでは個人戦と国別の3選手による団体戦が行われ、国の名誉をかけた金・銀・銅メダル獲得を目指した熱い戦が繰り広げられます。

またオリンピックでは総合馬術の他に「馬場馬術」や「障害飛越」も単独の競技として行われ、その他に近代五種の種目にも馬術が含まれており、競技は障害馬術が行われ乗馬する馬は抽選で決められるルールです。

馬術で日本人唯一の金メダリスト!

オリンピックでは1900年のパリ大会で初めて馬術が実施され、1932年ロサンゼルス大会では男爵で軍人の西竹一選手が愛馬ウラヌスにまたがり、障害飛越個人で金メダルを獲得しており、日本勢によるメダル獲得としては現在まで唯一の記録となっています。

愛馬・ウラヌスは西選手がイタリアで出会い入手した馬で、気性が荒く西選手以外にはなつかなかったと言われています。また西選手は海外でも金メダリスト「バロン(男爵)西」としてよく知られていました。

「バロン西」と呼ばれ海外でも有名!

その後、西選手は太平洋戦争中に硫黄島に出征し、日本軍が玉砕間近の頃、米軍により「バロン西」への投降が呼び掛けられましたが応じず戦死されました。この物語は映画「硫黄島からの手紙」などでも描かれています。

西選手が戦死して1週間後、ウラヌスも後を追うように死亡し、西選手が死ぬまで離さなかったウラヌスの鬣(たてがみ)が1990年にアメリカにおいて発見され、現在では軍馬鎮魂碑のある北海道の「歴史民俗資料館」に収められています。

総合馬術を楽しもう!

総合馬術は、馬場馬術やクロスカントリー、障害飛越競技という、それぞれ違う能力が必要とされる3種目を同じ馬と選手が行う「馬術のトライアスロン」とも呼ばれ、タフな体力と強い精神力が求められるスポーツです。オリンピックなどでも人馬一体となって競技する総合馬術は見応えのある人気種目となっていますので、今後、総合馬術のルールを知ってさらに興味深く競技を鑑賞してください。

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