低木は手間のかからない理由
ガーデニングでは、どうして低木を選ぶのがおすすめなのか。その理由はこんなに色々あるのです。
低木の定義とは
低木は別名を灌木ともいい、樹高が3メートルを超えない樹木の総称です。1メートルに満たない種類の樹木は、小低木と呼ばれています。逆に高木とは高さ5メートルを超えるものを言います。
低いから剪定が楽々
高さ3メートルを超えるような木は、脚立に上ったり高枝切り鋏で剪定したりと、とにかく腰も痛めて疲れる作業です。しかも危険を伴うことも。逆に1メートル程度の低木だったら、安全でお手入れが楽々過ぎて朝飯前です。
大きくなる速度が遅い
低木は、成長の速度も比較的に遅いこともメリットになります。巨大にならないから、何年も何十年もずっと、手間のかからないお手入れが可能になります。
ガーデニングのバランスを崩さない
ガーデニングで大切なのは、素材と植物を活用した、全体の統一的なプランニングです。もし狭い庭で樹木が巨大化してしまうと、ガーデニングの場所が減ったり、景観が悪くなったり、良いことがありません。低木だから、ガーデニング全体のバランスを崩すことがないのです。
目隠しには十分
お隣さんの窓からいっつも自宅が丸見えで、ちょっと隠すことができたら良いなんて考えていませんか。それなら塀を立てるよりは低木です。1年中葉っぱの生い茂った2メートルの常緑樹なら、お金もかけず目隠しに十分です。
高額な業者の手入れは不要
庭に大きな樹木が何本もあると、年に1回業者に依頼するだけで、10万円以上も吸い取られて涙目になるのは当たり前な話です。もし自宅の庭が低木ばっかりならば、業者を頼む必要もないし、仮に頼んでも一回あたりのお手入れは激安で済むのです。
どんな低木を選ぶのか
低木は数えきれないほど種類が存在し、どんな低木を選ぶかによって、庭の印象もがらっと変わります。低木の代表種にはどんなものがあるのか、把握してみましょう。
常緑樹
春夏秋冬、何時見ても緑が生い茂っている常緑樹は、庭のイメージを変えずに固定化するのに役立つ樹木です。落ち葉のお手入れも少なくて、手間のかからない掃除で済むのもメリットです。
コニファー
世界に数万種もの品種が存在する、針葉樹を総称してコニファーといいます。日本国内で栽培可能な代表種は、200種類ほども存在します。丸みを付けたり、複数を組み合わせ生け垣にしたり、日陰に強い種類もあったり。ガーデニングには欠かせない低木です。
落葉樹
春には芽吹き、秋には紅葉を見せる落葉樹は、1年の季節の移り変わりを知らせてくれる庭の大切な存在です。だから落ち葉が気になるとしても、低木の落葉樹は選びたくなります。
鉢植え
庭木を植える場所がどこにもなくても、鉢植えだからどこでも配置ができて人気です。しかも鉢植えだから成長速度が低下して、庭木が大きくなりにくい恩恵もあります。ただし種類と配置場所によっては、水やりを欠かすことが出来ません。
日陰にも適応する
植物は日あたりを好む種類と、日陰を好む種類とに大別できます。住宅地でガーデニングする時には、どうしても住宅の日陰になる場所があります。そんな日陰でも問題ない低木も、ぜひとも探しておきたいですね。
ガーデニングおすすめ低木①(常緑)
ヒイラギナンテン
中国の南部やヒマラヤ原産の、メギ科メギ属の低木で、南米など含めて世界に60種近くも存在しています。葉はトゲを持っていて、樹高は成長しても1メートルほどにしかなりません。常緑樹でありながら、寒い季節になると葉っぱが赤銅色となり、まるで紅葉のような見た目を楽しめます。
ヒイラギナンテンの花
春先のヒイラギナンテンの花は、総状花序の形状で、木のてっぺんに伸びてきます。やがて咲く花は、黄色く小さな花の数々です。その後ブルーベリーに似た小さな実を付け、秋には完熟して赤くなります。実は苦くて酸っぱいので食用不能なのが難点です。
ヒイラギナンテンの手入れ
枝葉は年数を経過してもそれほど多くならず、日陰でよいので、手間のかからない種類です。しかし年数が経つに連れて、地中から分岐した幹が、次々に地上に伸びてきます。小さく保つには、上に伸びた枝葉を適度に落とすほか、じゃまになった新旧の幹を、根本から切断するのが良い手段です。
ガーデニングおすすめ低木②(常緑)
ツツジ
アジアを中心とした世界に分布しているツツジ科の総称で、シャクナゲやサツキなども含めて全世界に80種以上が存在します。低木な種類と高木になる種類がありますが、日本の園芸店では主に低木を販売しています。種類によっては樹齢1,000年を超えるほど長生きです。
ツツジの花
ガーデニングの庭木に利用できる、人気のツツジの代表種といえば、クルメツツジ、ヒラドツツジ、サタツツジ、ヤマツツジなどです。ツツジの色は紫、赤、朱、ピンク、オレンジ、白など色とりどりで、複数のツツジを組み合わせた庭づくりができます。
ツツジの手入れ
低木のツツジは、自然の形状を活かすか、丸く形を整えるかを選択します。春先に枝を伸ばしますが、刈込ばさみなどで整えるだけなので、手間のかからない庭木になります。
ガーデニングおすすめ低木③(常緑)
マサキ
日本を含む東アジア原産で、海岸の近くの林を好んで自生しています。マサキは樹高が大きくなっても1.5メートル程度で、緑の葉が密生するので、生け垣としても人気を集めています。春には小さい花を付け、秋にかけて赤い実を付けます。
班入りのマサキ
マサキの種類でも好まれているのが、葉っぱの色が違っているマサキです。通常の緑の縁の中に、黄色くなった班や縁取りがあり、おしゃれな庭を作るのに向いている代表種になります。
マサキの手入れ
比較的に古い葉も奥のほうに残っているので、伸びてきた葉の部分を剪定ばさみで切除するのみです。生け垣の場合は、伸びた所を刈込みばさみで大雑把に刈り込んでも構いません。
ガーデニングおすすめ低木④(常緑)
アオキ
日本の本州原産のガリア科の常緑樹で、葉は長く大きくトゲトゲとした縁取りがあります。大きくなっても2メートルくらいの種類で、葉っぱに黄色い斑点が出る種類もあります。日陰を好んでいるので、日光の当たらない場所に植えるのもおすすめです。
アオキの花
3月から5月にかけて、十字型の紫色の花を密集して咲かせます。その後にできる実は楕円形をして、秋の頃に赤く色づいています。
アオキの手入れ
庭木としては枝葉が少ないアオキなので、植えたばかりの頃は、ほとんど手を付けなくても問題なしです。大きくなったら邪魔な枝葉を鋏で切除するのみです。
ガーデニングおすすめ低木⑤(常緑)
マホニアコンフェーサ
マホニアコンフェーサは、別名をナリヒラヒイラギナンテンとも言うように、ヒイラギナンテンの一種です。成長しても1メートル程度で、トゲのない綺麗な緑色の細い葉は、寒冷期には紫色の姿になります。庭の日陰やちょっとしたスペースでも育てることができる、人気の低木です。
マホニアコンフェーサの花
花についてもヒイラギナンテンと同じように、総状花序の花房を付け、小さく黄色い花が無数に並んでいます。花の後にできる実もそっくりで、こちらも食用にはできません。
マホニアコンフェーサの手入れ
枝葉は、古い枝葉の上に重なっていくように増えていきます。大きくなり過ぎることはないので、手入れの手間のかからない種類です。地面からも幹と枝葉を出すため、伸びたら天辺を切除するか、幹ごと切断します。ずっと低木の良さを維持することができるでしょう。
ガーデニングおすすめ低木⑥(常緑)
アベリア
春から秋にかけて長い期間、花を咲かせることで人気の低木です。スイカズラ科ツクバネウツギ属の常緑樹で、中国のAbelia chinensisと、 Abelia unifloraの交雑種とされています。緑の葉が旺盛に茂るので、生け垣にもよく使われます。
アベリアの花
ラッパのように長く伸びて吊り下がり、白や赤など多様な色をしている花は特徴的です。花は春だけでなく夏の終わりまで見られます。1年のうち半分の期間も咲き続けるのは、植物の中でも珍しい種類といえます。
アベリアの手入れ
低木ではありますが、年を追うごとに多くの枝が長く伸びてくるので、大きくなれば手間のかからない木とは言えないかもしれません。特に生け垣にした場合には、刈り込みを行うのがベストです。
ガーデニングおすすめ低木⑦(常緑)
ヤツデ
名前が示すとおりに、葉っぱが8本指の手のように見えることからヤツデの名があり、天狗の団扇とも呼ばれます。葉1枚の大きさは20センチに達しています。しかし葉っぱをよく見れば、7つか8つに裂けており、8つに避けているのは稀なことだとか。日陰でも関係なく生育できます。
ヤツデの花
花は晩秋の頃に咲き、ヤツデの中央部に花房を付けます。その形状は円錐花序と呼ばれて、打上げ花火のように幾つもの放射状の白い花が見られます。春に残った黒い果実は有毒なので、お子様がいる場合、花が散ったあとは除去しておいたほうが良いです。
ヤツデの手入れ
1枚の葉はボリューム感がある割に、葉の枚数が少ないので、手入れも楽です。邪魔な葉は手で折って除去ができます。
ヤツデの葉の効能
ヤツデの葉を乾燥させると、八角金盤と呼ばれる生薬になります。咳止め、痰止めの効能があるとして、古来より重宝されていました。しかしヤツデサポニンという毒を含むため、多量に服用すると溶血し、下痢や嘔吐を引き起こします。一昔前までは殺虫剤にも利用されていました。
ガーデニングおすすめ低木⑧(常緑)
コロラドビャクシン(ブルーアロー)
北アメリカの西部、コロラド川の流れるロッキー山脈の森林や岩場によく見られる、ヒノキ科ビャクシン属の針葉樹。ブルーアローとも呼ばれ、近年人気になコニファーの代表種です。葉は青みがかった独特な色合いをしているので、ガーデニングでクールな庭を目指すには選びたい庭木です。
コロラドビャクシンの活用法
コロラドビャクシン おそらく。 pic.twitter.com/Msu0smxquh
— Takashi Nagao (@tata35379946) October 11, 2016
自然なままの姿なら、自宅のどこに配置しても、シンボルツリー的な役割を果たします。コニファーは総じて、好みの形状に整えやすいメリットがあります。
コロラドビャクシンの手入れ
年に数度の手入れをしていれば、1~2メートルの大きさに抑えることができます。しかし樹齢20年を超えてくると、かなり肥大化する傾向にあり、年数が経ったら邪魔な枝を落としてしまうか、植え替えを検討する必要があります。
ガーデニングおすすめ低木⑨(常緑)
ハイビャクシン
地面を這いながら成長することから、ハイ(這い)が付いている、日本原産の超低木型コニファーの代表種。ヒノキ科ビャクシン属イブキの変種であり、別名に岩垂杜松(イワダレネズ)や磯馴(ソナレ)があります。高さは40センチ程度にしかならないため、手間のかからない種類です。
ハイビャクシンの活用術
ハイビャクシンは、地面を這う性質を持っているために、庭の隙間を埋める形で植える場合が多くなります。例えば防草用や、猫の侵入防止用の庭木にも使えます。花壇の隙間や、玄関先のガーデニングの隙間に植えるのがおすすめです。
ハイビャクシンの手入れ
伸びてはみ出してきたハイビャクシンの枝葉や、若干上空に伸びすぎたところを、時々カットするのみです。
ガーデニングおすすめ低木⑩(落葉)
ドウダンツツジ
別名を満天星とも呼ばれる人気の低木です。小さな葉の密生する落葉樹で、大きくなっても3メートル程度です。ドウダンツツジは灯台の脚部と枝分かれが似通っていることから、灯台ツツジの名が付いていたのが、いつしか転じた呼称です。秋に真っ赤な紅葉を見せることも、人気の理由です。
ドウダンツツジの花
春のドウダンツツジの花は、葉が出て1週間後、裸電球のように釣り鐘型の真っ白い花が見られます。大きさは2センチほどですが、大きいものは5センチほどになります。
ドウダンツツジの手入れ
ドウダンツツジの小さい頃は手入れの必要はなく、手間のかからない代表種です。しかし年数が経てば当然ながら大きくなるので、枝の根本から剪定したりで、小さく保ちます。自然な形状でも綺麗ですが、丸く形を整えることも可能です。
ガーデニングおすすめ低木⑪(落葉)
ブルーベリー
北アメリカ原産の、ツツジ科スノキ属の低木です。合計で6種あり、ハイブッシュ、ローブッシュ、ラビットアイなどが代表種です。どれも高くなっても樹高1.5メートルから3メートル程度で、比較的に手間のかからないガーデニングが可能な上、美味しい果実も得られる代表種といえばこれです。
ブルーベリーの花と果実
春に垂れ下がった白い小さな花を咲かせます。樹高1メートルに満たない頃から、直径1センチほどの青紫色の実を何十個と付けます。ビタミンE、ビタミンCやアントシアニンなどの栄養素があり、抗酸化作用や免疫力向上にも良い効果があります。生でもジャムにしても、凍らせても美味しい実です。
ブルーベリーの手入れ
北国ならば寒冷地に適したハイブッシュ系、温暖な土地ならラビットアイ系が最適だとされています。水はけの良い土地を好み、日陰よりは日向を好みます。乾燥には弱いために特に夏場は適度な水やりが必要です。枝は1年でそれほど伸びないので、植えた当初は剪定の必要もありません。
ガーデニングおすすめ低木⑫(落葉)
シモツケゴールドフレーム
別名をスピラエア、黄金下野とも呼ばれる落葉樹の低木です。高さは1メートルほどになり、横に楕円形に広がります。春はオレンジ色の若芽を出し、夏にはライム色の葉となります。秋は赤く紅葉を見せるなど、お庭を綺麗に飾ってくれる人気の庭木です。
シモツケゴールドフレームの花
春から夏にかけ、アジサイのように、手まり状に濃いピンク色の花を咲かせます。ライム色の葉と組み合わさった様子は、とても可愛らしい姿です。
シモツケゴールドフレームの手入れ
シモツケゴールドフレームは枝が伸びてもそれほど高さが出ないため、大きくなったら剪定ばさみで、適度に伸びた枝を切るのみで整えます。
ガーデニングおすすめ低木⑬(落葉)
ナツハゼ
日本を含む東アジアに自生している、山岳地帯を好む落葉樹。ツツジ科スノキ属で、秋にハゼノキと似た紅葉を見せることから、ナツハゼと呼ばれます。樹高は1.5~3メートルと低めで、葉は丸みを帯びて線毛という毛が生えている特徴があります。
ナツハゼの花と果実
5月から6月にかけて、新芽の先端に、赤やピンク色をした花が吊り下がって咲きます。花は総状花序の形で咲く特徴があります。果実は8ミリほどの小さな赤黒い色で、食べると甘酸っぱくジャムにも適しています。
ナツハゼの手入れ
トラフシジミの幼虫が好んでいるため、ガーデニングで気になるようなら、農薬の散布が必要です。枝葉が密生するので、伸びたところの枝ごと落とすのが良いです。
ガーデニングおすすめ低木⑭(落葉)
アジサイ
日本に自生したアジサイの種類はガクアジサイ、欧州で品種改良種をセイヨウアジサイといいます。アジサイの樹高は大きくなっても1~2メートルで、1枚づつの葉は大きめなのが特徴です。手入れがもっとも簡単な樹木の代表種となります。
アジサイの花
5月から7月の頃、手まり咲きと呼ばれる、青、ピンク、白、紫と、虹色のような色とりどりの花を咲かせるのが魅力です。色は土壌の酸性度の違いによります。全国にアジサイ寺などが存在しているほど、日本で好まれてきた花です。
アジサイと文化
7世紀の奈良時代の和歌集「万葉集」にもアジサイが「安治佐為」として登場するなど、古くから花は人気を得ていました。俳句では夏の季語として紫陽花が使われます。
アジサイの手入れ
冬にボウズになった状態のアジサイの枝は少なく、芽の付いた部位を残せば、かなり短く詰めることが可能です。枝はかなり硬化する部分がありますが、大きさを調整しやすく手間のかからない庭木です。日陰でもそれなりに育てられます。
ガーデニングおすすめ低木⑮(落葉)
トサミズキ
四国の土佐国(高知県)を原産地とすることから、トサミズキの名があります。マンサク科トサミズキ属の低木で、大きくなっても高さは2~4メートルほどです。枝がやや少なく、葉は丸みを帯びてスジがはっきりとしているのが特徴です。
トサミズキの花
春に葉を広げる直前、3月から4月にかけてが開花の時期です。小さい釣り鐘型の黄白の花が、5~7個も連なって咲く様子が見られます。
トサミズキの手入れ
日陰は好まず、日光を好むけれど、乾燥には弱いので水やりが必要です。高知県では石灰岩の土地に自生しているから、石灰のアルカリの土がいいというわけでもなく、酸性の土でも育ちます。枝葉は少なめなので、気になったところを高枝切り鋏などで切除する程度です。
低木でガーデニングしよう
庭木として取り入れたい低木の代表種は、庭を綺麗に飾るだけじゃない、色んなメリットがありました。低木なら手間のかからないガーデニングは確実で、複数を組み合わせれば本格的な庭造りができます。お気に入りの低木1本を、まずは入手してみませんか。
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