卓球とは?
卓球の魅力
卓球は中国が絶対王者として君臨しているスポーツですが、最近の国際大会やオリンピックでは日本人選手の活躍が目覚ましく、日本が王者中国を脅かす存在として注目されています。
卓球トップ選手のスマッシュのスピードは時速280kmを超え、新幹線よりも速いのです。しかも狭い卓球台の上で展開されるラリーの凄さは、まさに迫力満点で卓球の魅力といえます。
他のスポーツとの球速比較
テニスのトップ選手のサーブの球速は時速200km、野球の打球の最速スピードも196kmで卓球のスピードには届きません。ギネス世界記録にはバトミントンの時速493kmが記録として掲載されていますが、これは初速のスピードです。
バトミントンは羽根の空気抵抗が大きいため、相手の手元に届くスピードは卓球の比ではありません。レシーブ側の手元のスピードでは、卓球が全競技を通じて最速と言えます。
動体視力と瞬時の判断力
卓球はスピードだけでなく、球の回転やコースを瞬時に見分けて打ち返さなけれなりません。そのために動体視力と瞬時に動く瞬発力が最も要求されるスポーツです。
球は回転の掛け方により曲がり方やコースが変化します。それを瞬時に見極め返球するだけでなく、相手が打ちにくい球質やコースを選ぶのが卓球です。これを可能にするのが動体視力と瞬発力と判断能力で卓球の魅力はそのせめぎ合いの攻防にあります。
卓球の競技種目
卓球競技には個人で競うシングルスと、ペアを組むダブルスがあります。そのほか男女でペアを組むミックス(混合)ダブルスがあり、大会により団体戦があるのが卓球です。
それぞれでルールが違うので、作戦や戦術の立て方が卓球の見どころになります。卓球は球速の早さだけでなく競技種類別の戦術があり、シングルスで負けてもダブルスで勝つことがあるのが卓球の魅力です。
卓球の発祥
卓球は中国が圧倒的な強国なので、発祥地も中国と思われる方が多いのですが、実はインドが発祥の地とするのが有力な説です。インドはかつてイギリス領の植民地で当時ヨーロッパ貴族で流行していたテニスがインドにも伝わりました。
しかしインドは雨が多く屋外で行うテニスができないときに、屋内でテニスボールを葉巻の箱のふたで打ち合うミニテニス「ゴッシマテニス」が卓球の起源と言われています。
卓球の基本ルール
卓球は相手の台に球を入れる単純で簡単な競技と思っている方も多いのですが、卓球のルールは意外に複雑で簡単ではないのです。これから卓球の基本ルール(シングルス・ダブルス共通)を初心者にもわかりやすく詳しく解説します。ルールを知ることにより卓球の見方や楽しみ方がガラリと変わるので、参考にしてください。
卓球の試合はジャンケンで始まる
卓球の試合はサーブ権レシーブ権のどちらを取るかで戦略が大きく変わります。通常テニスなどはコイントスで決めますが、卓球ではなんとジャンケンで決めるのが国際ルールです。
ジャンケンは江戸時代にできた「グー・チョキ・パー」の3つ巴の子供の遊戯で「えーっ」と驚きますが、コイントスは一発ぎめ、ジャンケンは「あいこ」があるのでラリーになることがあります。試合中のラリーを試合前に彷彿させるルールです。
得点と失点
卓球台はネットで2つに仕切られています。自分側でバウンドしたボールを打ち、相手側のコートにバウンドさせるのが基本ルールです。打ち返したボールが相手側コートを外したり、空振りをすれば失点で、相手が同様のミスをすれば自分の得点になります。
これを交互に繰り返し、どちらかの得点が11点になれば1ゲーム終了です。得点が10対10になるとジュースになり、2点差がつくまでプレーが続きます。
4ゲームまたは3ゲーム先取で勝利
卓球の試合には「7ゲームマッチ」と「5ゲームマッチ」があり、4ゲームまたは3ゲーム先取すれば勝利になるのがルールです。言い換えれば7ゲームマッチで相手が先に3ゲームを取っても、後の4ゲームを取れば逆転勝利できるのが卓球の面白さになります。
技術の高さだけでなく精神面の強さが試されるのです。特に3対3で最終ゲームに勝敗が持ち越された場合の1球1球の攻防は、観客も息を飲む緊張感でいっぱいになります。
サーブのルール
卓球のゲームはサーブで始まります。選手によりさまざまな種類を持っていて、ゲーム展開に大きく影響するのがサーブです。そのためにサーブのルールはボールの見せ方やトスの高さなど非常に細かく定められています。サーブのルールを詳しく解説しましょう。
サーブの構えのルール
サーブを出すときは、ラケットを持っていないフリーハンドの手のひらにボールを乗せ、動作をいったん静止するのがルールです。またこのときに、手を丸めてボールが見えない状態にするとルール違反になります。
これはトスをあげるときに、ボールに不自然な回転を与えることで異常な変化が生まれ、ゲーム展開しないことを防ぐルールです。また相手にボールを見せ、フェアな戦いをするという意思表示にもなります。
トスの高さと打ち方のルール
トスは回転を与えずほぼ真っ直ぐに16cm以上あげ、落下中に打つのが基本ルールです。そのあと必ず自分のコートで1バウンドしてから相手コートに入れなければなりません。
バウンドしなかったり2バウンド、またはネットを越えない場合はサーブミスとなり相手の得点になります。ただしネットに触れて相手コートに入った場合はネットインとなり、サーブのやり直しができるのがルールです。
サーブ権交替や他のルール
サーブを2本打ったらサーブ権が相手に移り、互いに2本交替で試合を進めるのが基本ルールです。10対10でジュースになった場合は1本交替になります。またこの他サーブを空振りすればミスとなり失点です。
サーブのときに大きな足音や大声を出したり、時間をかけすぎるのはマナー違反で、審判から注意を受けます。サーブはゲーム展開に大きく影響する大切な場面なので、このように細かなルールが設定されているのです。
チェンジエンドと休憩のルール
試合開始前にジャンケンでサーブ権をとるかコート(レシーブ権)を取るかを決めますが、試合の公平さを保つために1ゲームごとにコートをチェンジします。
これをチェンジエンドと呼び、フルゲームまで勝敗がもつれた最終ゲームでは、どちらかの選手が5点取った時点でチェンジエンドするのがルールです。また各ゲームの間では1分間の休憩に入ることが許され、この間にコーチやベンチからアドバイスや水分補給ができます。
タオル休憩と1試合1分間のタイムアウト
両選手のポイントの合計が、6の倍数のときにタオル休憩が取れ、また1試合に1回、1分間以内のタイムアウトを要求することができます。この休憩で相手のペースを崩したり、調子に乗り始めた相手の勢いを止める攻防があり、心理戦が見られるのが休憩です。
しかしタイムアウトは1試合に1回しか取れないので、慎重にタイミングをはかります。このタイムアウトにより試合展開がガラリと変わることがあるのが卓球の魅力です。
ラリー中のルール
サービスのネットインはノーカウントでやり直しになりますが、返球(リターン)やラリー中のネットインは有効で、そのままプレーが続行します。
また打ったボールが台のふちに当たった場合をエッジボールと言って有効で、これで相手がミスをして自分が得点した場合、手をあげて「ごめん」を表明するのがマナーです。ただし台の横(側面)にボールが当たった場合は失点になります。
台に手をついて打つのはルール違反
ラリー中にラケットを持たないフリーハンドの手首から先が台に触れるとミストなり失点になります。ただしフリーハンド以外の体が台に触れても、台を揺らしたり動かさない限りはOKですが、体やラケットがネットや支柱に触れるとミスと判定され失点です。このように卓球のルールは細かく奥が深のがお分りいただけたのではないでしょうか。
卓球ダブルスのルール
ダブルスは2人でチームを組み対戦する試合方式で、シングルスとは違うダブルスのルールが設けられています。得失点やサーブ権交替、チェンジエンドなどの基本ルールはシングルスと同じですが、ここでは主にダブルス特有のルールを拾って解説しましょう。
ダブルスのサービス
卓球台の相手コートとの間にネットがあり、そのほか台上のセンターに白線が引かれています。シングルスのサーブは相手コートのどの部分にバウンドさせてもOKです。
しかしダブルスでは手前コートの右半面から相手コートのセンターライン左半面に対角にサーブを打たなければ失点になります。チーム内の先にサーブを打った選手をAともう一人をBとすると、次にサービスが回ったときはBがサーブを交替して打つのがルールです。
センターラインの意味
右半面と左半面を分けるセンターラインは、シングルスでは単なる目安ですが、ダブルスではサーブの得失点にからむ大きな意味を持ちます。このセンターラインは、サーブ側のコートの対角線にあたる半面にバウンドさせなければ失点になるダブルスの判定を決めるラインです。
ただしライン上(オンライン)はサーブが入ったと認められます。そのためラインぎりぎりを狙うサービスは相手の判断を迷わせる有効なコースなのです。
交互に打つのがダブルスルール
サーブだけでなくラリー中でも、ペアを組んだ選手が1球ごとに必ず交互に打たなければならないのがダブルスルールです。ボールがどこに飛んできても必ず交互に打ち、同じ選手が2度打った時点でミス(失点)になります。そのためにボールのコースを左右や奥や手前に散らし、相手選手が交錯して打ちづらくするのがダブルスのポイントです。
左利きと右利きの組み合わせが有利
必ず交互に打つというダブルスのルールがあるので、利き腕が同じペアの場合は立ち位置が基本的に同じなので、ラリー中の動きが大きくなり衝突や交錯の危険が大きいので不利になります。
いっぽう利き腕が違えば立ち位置が変わるのでプレーしやすくなり有利です。ダブルスのサーブは、必ず右半面にくるので左利きの方がレシーブしやすいと言われています。しかし同じ左利きペアで大活躍した日本ペアがあるので例外もあるのです。
ラリーとゲームのローテーションルール
ダブルスではサーブを2回レシーブを2回行ってから、立ち位置を交替するローテーションで試合を進めます。つまりサーブを打つ側とレシーブする選手がローテーションごとに変わるのです。
ジュースになった場合は、シングルス同様1球ごとにサーブ権が移るので、ローテーションも1球ごとになります。またゲームごとにサーバーを変えるのがルールなので、ローテーションはさらにややこしく複雑になるのが卓球です。
ローテーションを間違えたら?
前述のようにダブルスのローテーションは非常に複雑なので、実際の試合でもローテーションミスはよくあるのです。このミスに気づいた場合は、正しいローテーションに戻しゲームを再開します。
ローテーションミス中の得点は有効で、得点は変更されずに続行するのは卓球ダブルス独特のルールです。複雑で間違えやすいルールの救済処置と言えます。このように卓球のルールは独自性があり、魅力たっぷりなのです。
ダブルスと混合ダブルスのルールと作戦
混合ダブルスは男女の能力の違いが魅力
ダブルスは男子同士と女子同士のペアでプレーする競技ですが、混合ダブルス(ミックスダブルス)は男女がペアを組んで競う種目です。混合ダブルスは世界卓球で日本チームが金メダルを獲得するなどいま注目されている種目で、基本ルールはダブルスと同じですが、戦い方が違います。
一般的には女子がレシーブを返し男子が強いスマッシュで決めるパターンが多いのですが、今や世界の流れは大きく変わってきているのです。
期待が膨らむ混合ダブルス
かつての混合ダブルスは、パワードライブで男子が力の弱い女子を攻めるパターンが多かったのですが、いまはそれが通用しなくなり逆の攻め方もあるのが混合ダブルスの魅力です。パワーの強い選手同士のペアが必ず勝つとは限りません。
能力の違う男女の特性を引き出すコミュニケーションや相性・信頼関係などが複雑にからみ、スマッシュやミート打法(パンチ)など、球質やプレースタイルの違いを楽しめるのが混合ダブルスです。
卓球団体戦のルール
卓球は基本的には個人競技ですが、大きな大会では団体戦も採用され大きな盛り上がりを見せているのです。団体戦のルールは大会によりさまざまに異なっていますが、ここでは特に興味があるオリンピックを取り上げ、そのルールを紹介します。
オリンピックの団体戦
オリンピックの団体戦は、1チーム3名でシングルス4試合とダブルス1試合の計5試合で競い3試合のゲームを先取したチームが勝ちになるルールです。また選手3名のうち1人がシングルス2試合に、他の2人がダブルスとシングルス1試合ずつに出場できます。
対戦相手の組み合わせはABC-XYZ方式により、チーム内でABCまたはXYZに相当する選手を決めるのがルールです。この組み合わせが団体戦の鍵を握ります。
組み合わせが勝利のカギを握る
自分のチームをABC、相手チームをXYZとした場合の試合の進行は、第1試合がダブルスでB&Cペア対Y&Zペアの場合は、第2試合はA対X、第3試合はC対Z、第4試合はA対Y、第5試合はB対Xの組み合わせになるのがルールです。
分かりにくいかもしれませんがシングルスはACABの順、相手はXZYXになり、チームのエースがAとXならば第2試合が鍵を握ります。このオーダーが団体戦を勝利に導くカギなのです。
卓球のルールを知って大いに楽しもう!
卓球のルールが意外に細やかで複雑でユニークなのに驚いた方が多いのではないでしょうか。卓球はいまや注目を浴びているスポーツです。これまでの卓球のルールの記事を参考にして、新たな見方で卓球を再発見し楽しんでください。
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出典:unsplash.com