バレーボールの歴史は1世紀以上
スポーツは起源や発祥が不明な競技が多い中、バレーボールは起源も発祥もとても鮮明になっています。バレーボールはアメリカで、1895年にウィリアム・G・モーガン(William G Morgan)氏が室内スポーツとして考案したボールゲームで、すでに1世紀以上の歴史を誇っているのです。
日本でも競技人口が多い人気のスポーツで、子供から高齢者まで楽しめ、日本のトッププレヤ-が競うVリーグまであります。
手軽に楽しめるスポーツとして人気
バレーボールはオリンピック種目になっているほど競技性が高いスポーツですが、試合をしなくても、お昼休みなどに公園などでボールをトスしたり、軽くスパイクしたりして楽しむこともできます。
砂浜や公園の広場で輪になってボールを落とさないよう遊ぶこともでき、誰もが気軽に楽しむことができるスポーツなのです。
競技人口は世界に5億人
世界のバレーボールの競技人口は約5億人と世界中で愛されています。日本のバレーボールの競技人口は約42万人で、男性が約15万人、女性が約27万人で特に女子に人気のスポーツといえるのです。ちなみに、バレーボールの日本語は「排球(はいきゅう)」になります。
バレーボールの歴史はアメリカで始まった
バレーボールの考案者である、ウィリアム・ジョージ・モーガン氏は1870年1月23日生まれで、1891年にマサチューセッツ州の国際YMCAトレーニングスクール(現スプリングフィールド大学)に入学し1894年に卒業しています。
卒業後、アラバマ州オーバーン市のYMCAの体育教師として1年間勤務し、その後、マサチューセッツ州ホリーヨーク市のYMCAの体育教師を務めていました。
バレーボールの歴史①:原型は1895年に誕生
モーガン氏は誰にでも気楽に楽しめるスポーツを作ろうと考え、試行錯誤を重ねていたときに、学生たちがバスケットボールの中の軽いチューブをボール代わりにして遊んでいるのを目にしました。
そこからヒントを得て、テニスのネットを参考にし、素手でボールを打ち合う、誰もが簡単に競技が始められるバレーボールの原型を1895年に考案したのです。
バレーボールの歴史②:最初は「ミノネット」と呼んでいた
当初、モーガン氏が考案したボール競技は「ミノネット」と呼ばれていました。ミノネットのルールは、ネットを挟んでボールを落とさないように打ってプレーを楽しむ、そのくらいしかなかったのです。プレーヤーの人数もはっきりと決まっていませんでした。
現代の競技名「バレーボール(Volleyball)」の起源は、テニスで地面に落ちる前にボールを打つ「ボレー」というプレーから名付けられたそうです。
マサチューセッツ州にバレーボールの歴史がわかる殿堂がある
ミノネット(バレーボール)の試合が初めて行われたのは、1895年2月9日。ホリーヨーク市長の J. J. カーラン氏と消防署長のリンチ氏の2チームの間でおこなわれたそうで、バレーボールの歴史に残る第1試合です。
ちなみに、発祥の地であるマサチューセッツ州ホリーヨーク市にはバレーボール殿堂があり、ウィリアム・G・モーガン氏は考案者として1985年を果たしています。
バレーボールの歴史③:1947年国際バレーボール連盟誕生
第二次世界大戦が終わった1947年に、国際バレーボール連盟(FIVB)が設立されました。当初の加盟国は22か国。そのときに採用されたのが6人制で、そのまま6人制が世界基準となり統一され、現在もオリンピックはじめ国際大会は6人制が採用されています。
バレーボールの歴史④:ヨーロッパで発展
バレーボールはヨーロッパへ1920年ころに伝わっています。このときのアメリカでは6人制が採用されていて、そのまま6人制が伝わっています。
当時のヨーロッパは社会主義国が誕生した直後で、バレーボールのように複数の選手が協力して攻撃するスタイルのスポーツが好まれたようです。
アメリカ発祥のバレーボールはお膝元のアメリカよりも、ヨーロッパ、特に東ヨーロッパを中心にさかんになりました。
バレーボールの歴史⑤:現在の強豪国
世界各国でさかんに行われているバレーボールですが、男子はイタリアのプロリーグが知られています。イタリアリーグはコート内にイタリア人が最低2人いればOKというルールもあり、世界トップクラスの選手が集まっているのです。
女子については、トルコのトルコ女子バレーボールリーグが世界最強といわれ、世界のトッププレイヤーが集まっています。
日本のバレーボールの歴史
日本のバレーボールの歴史がスタートしたのは明治41年(1908年)です。その年に欧米の体育視察から帰国し、東京YMCA体育主事となった大森兵蔵氏が、日本にバレーボールを初めて紹介したと伝わっています。
しかし、大森氏はストックホルムオリンピックから帰国する途中に、アメリカのカリフォルニア州で急死しました。そのため、大森兵蔵氏は歴史に残るような本格的な普及活動は行っていません。
日本バレーボールの歴史①:ブラウン氏が紹介
実際に日本にバレーボールを紹介した歴史として残っているのは、大正2年(1913年)に、北米YMCA同盟から協力主事として来日したF・H・ブラウン氏です。
ブラウン氏は日本へバレーボールを紹介し、競技の指導にも力を尽くし、日本バレーボールの基礎を築いたのです。
日本バレーボールの歴史②:当初はルールがあいまい
日本に導入されたバレーボールは、1895年にアメリカで発祥した当時のように、詳細なルールが決まっていなかったのです。そのため、日本に入ってきた当初は1チームに16人のプレイヤーがいました。
さすがに日本でも、1チーム16人ではボールに触らない選手もいたようで、やがて12人になり、そして9人へと減っていったのです。
日本バレーボールの歴史③:当初は9人制を採用
昭和2年(1927年)になると、それまでの大日本排球協会を「日本バレーボール(JVA)協会」として正式に発展させて設立し、1チーム9人の9人制が定着した歴史が残っています。
その後、日本では9人制が長く採用されているのです。また、その当時は体育館も少なく、屋外で行われることがほとんどでした。
日本バレーボールの歴史日本④:日本でも6人制が主流に
その後、日本は昭和26年(1951年)に国際バレーボール連盟加入を契機に、国際大会の正式ルールである6人制を取り入れたのです。
しかし、すでに日本全国に普及していた9人制をきっぱりとやめることはできませんでした。そんな歴史背景があり、現在でも6人制と並行して9人制バレーボールが行われています。
日本では6人制と9人制のバレーボールが共存
現在の日本のバレーボールは6人制と9人制の2つの種目が共存していて、6人制はVリーグや国際大会で採用されている公式レギュレーションになっています。
一方、9人制は子供だけでなく、全日本9人制トップリーグや全日本9人制バレーボール総合選手権に、全日本9人制バレーボール実業団選手権があり、9人制も競技として行われているのです。
日本バレーボールの歴史⑤:オリンピックで大活躍
日本がオリンピックのバレーボール競技に初めて参加したのは、昭和39年(1964年)の東京オリンピック。バレーボールは前回の東京オリンピックで正式種目となっているのです。
そのオリンピックのバレーボールで優勝したのが「東洋の魔女」といわれた日本の女子代表でした。回転レシーブや時間差攻撃など、さまざまなテクニックを駆使して、パワーに頼らず知恵と俊敏性を活かし、決勝戦では当時最強といわれたソ連に勝利した輝かしい金メダルの歴史です。
日本バレーボールの歴史⑥:男女とも大活躍の歴史が残る
女子バレーボールが金メダルに輝いた前回の東京オリンピックで、日本男子は銅メダルを獲得しています。
その後、昭和43年(1968年)のメキシコオリンピックで、日本は男女とも銀メダルを獲得、昭和47年(1972年)のミュンヘンオリンピックでは男子が金メダル、女子は銀メダルに輝いています。輝かしいメダル獲得の歴史が続きました。
日本はバレーボール種目で金3・銀3・銅3のメダルを獲得
昭和51年(1976年)のモントリオールオリンピックでは、日本女子チームが2度目の金メダルの栄光を手にしています。昭和59年(1984年)のロスアンゼルスオリンピックで女子が銅メダルを獲得。
さらに、女子は平成24年(2012年)のロンドンオリンピックで銅メダルを獲得し、日本はバレーボールで金3、銀3、銅3と合計9個のオリンピックメダルを獲得し、今でも得意とする球技の1つとなっています。
日本バレーボールの歴史⑦:新しい歴史・Vリーグ
現在日本のバレーボール界はVリーグ機構により、V.LEAGUE(ブイリーグ)が展開されています。企業丸抱えのチームから、地域とともに活動する組織に代わっているのです。
Vリーグは実質的には、日本国内のセミプロバレーボール大会で、近い将来に本格的なバレーボールの完全プロ化の歴史を開くべく活動しています。組織はV1リーグからV3リーグまでの3部リーグ制です。
バレーボールのルール改正の歴史を紹介
バレーボールは時代とともにルールーが頻繁に変わります。特に、6人制はルール変更の歴史が顕著な球技といえるのです。
この章では、1964年の前回の東京オリンピックで日本女子が金メダルを獲得した影響があったのか、それ以降6人制バレーボールでルール改正があり、特に大きく変わった項目を紹介します。
ルール改正の歴史①:ブロックでオーバーネットOK
前回の東京五輪の翌年、1965年にブロックでのオーバーネットが許されるルール変更がありました。
バレーボールにはオーバーネット禁止があります。相手コートの空間まで飛び出してボールに触ると反則です。しかし、相手のスパイクを止めるブロックだけは例外で、相手コートに手や腕を出してスパイクをブロックするプレーがOKになったのです。
ブロックのオーバーネットOKは長身選手が有利となり、小柄な日本人にとっては不利になる歴史的不公平ルールともいえます。
ルール改正の歴史②:ブロックワンタッチOK
1977年に相手スパイクに対し、ブロックした際にボールに触れるワンタッチをカウントしなくなり、その後に3回ボールに触れて、相手に返すことができるようになりました。
また、ワンタッチしたブロッカーは連続してレシーブしてもよくなり、ラリーが続くようになったのです。
ルール改正の歴史③:サーブブロック禁止
1984年には相手サーブをブロックして、直接相手コートに返すことができなくなりました。また、相手のサーブしたボールがネットより高い位置にあるうちに、そのボールを直接スパイクで打つことも禁止になったのです。
このルール改正で相手サーブから簡単に得点できなくなりました。サーブは必ずレシーブすることが求められています。
ルール改正の歴史④:ボールは全身で扱うことが可能
1995年になると、それまでは禁止だった膝から下の打球も認められるようになり、足でレシーブ(蹴る)こともルール上はOKになりました。
足でしか対応できないケースだけでなく、意識的に足を出して蹴っても問題ないのです。ただし、サーブを足で蹴るのは反則です。
ルール改正の歴史⑤:ラリーポイント制の採用
6人制バレーボールで大きなルール変更の一つが、1999年に採用されたラリーポイント制の導入です。バレーボールの歴史的なルール改正といえます。
それまではサーブ権があるチームのみ、攻撃が決まった場合や、相手チームのミスで得点になっていました。そのため試合時間が長くなる傾向があったのです。
ラリーポイント制の主目的は試合時間の短縮。実際に、それまで4時間以上も続く試合もあったのですが、2時間ほどで終わる試合が増えました。
ルール改正の歴史⑥:リベロの導入
現在の6人制バレーボールを見ると、1人だけユニホームの色が異なるリベロがいます。守備専門のリベロ制度が導入されたのが1998年です。リベロはあくまでも守り専門のプレーヤーで、ボールを拾うだけでスパイクは打てません。
リベロ導入により、背が低い選手も活躍できる場が確保されました。また強力なアッタカーながら守備が苦手な選手と交代することができ、作戦の幅が広がったのです。
ルール改正の歴史⑦:ネットインでプレー継続
1999年にはサーブのネットインがセーフと認められるようになりました。ネットに当たったボールが相手コートに入ると、ネットインサーブとなりプレー続行になります。
このルール改正により、ネットスレスレの低いサーブが使えるようになり、サーブでの攻略の幅も広がりました。
変更の歴史から面白いバレーボールが増えた
以下はバレーボールの基本ルールです。得点については、25点先取でセットの勝敗が決まりますが、得点が24×24の場合はデュースとなり、一方が2点差を付けるまで試合が続けられます。
選手の交代は1セット6回まで可能で、リベロは後衛選手と何度でも交代できるのです。バレーボールは試合が面白くなるようなルールが工夫されています。
基本項目 | 内容 |
プレーヤー数 | 1チーム6名(リベロ1名) |
勝敗方法 | 3セット先取の5セットマッチ、25点先取でセットの勝ち、5セット目は15点先取で勝利 |
攻撃方法 | レシーブ、トス、アタックの3回以内で返す |
コートサイズ | 18m×9m、自陣は縦横9m、 |
ネットの高さ | 男子2.43m、女子2.24m |
バレーボールの歴史を知り試合観戦を楽しもう
1895年にアメリカのW・G・モーガン氏が考案したバレーボールの起源や歴史について紹介しました。バレーボールは日本で人気が高く、中学高校の部活で部員が多い人気競技になっています。バレーボールの歴史やルールを知って、競技の面白さをよりいっそう楽しみましょう!
バレーボールの歴史が気になる方はこちらをチェック
F・H・ブラウン氏により、日本に導入されたバレーボールについて、競技の起源から発祥した経緯や歴史に、6人制のルールまで採り上げました。
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