はじめに
手縫いで名前刺繍をする方法!図案も紹介
小さなお子さんの通園通学の袋物や大人でもハンカチやミニタオル・くるみボタンのアクセントとしてちょっとした文字刺繍を入れたいなと感じることもあるでしょう。
手縫いの文字刺繍はあまり道具も必要なく手軽にオリジナル感が出せるおすすめ手芸です。道具が揃いやすく小さなサイズであることも多いので刺繍初心者向けの図案といえるでしょう。今回は手縫いの文字刺繍のやり方について解説します。
名前刺繍をはじめる前に
初心者はまず道具を揃える
すでに刺繍の縫い方・刺し方をご存知の方であれば道具もある程度揃っているでしょう。刺繍には通常の手縫いの針とはまた違った道具や糸が必要となります。最近は100均ですべて揃うこともあるので道具や布・糸など一通り揃えてから文字刺繍をはじめましょう。
刺繍糸など
基本的に刺繍をするのに使うものに刺繍糸・針・枠があります。この他糸を切る小さめなハサミ・図案を写すためのチャコペーパー・仕上げ用のアイロンも準備してください。
特に針は通常の手縫い針では刺繍糸が通らないので穴の大きめな針を使います。クロスステッチ針・フランス刺繍針と同じような刺繍針でも少しずつ違いますので、明記されている場合はフランス刺繍針を用意してください。クロスステッチ針は先が丸いので通常の布向きではありません。
刺繍する布
刺繍しやすい布と初心者には難しい布があります。簡単な布として平織りで針が刺さりやすく、枠でしっかり固定できる大きさのもの。逆に難しい布としてタオルなどがあげられるでしょう。
小さな布やタオルなどの文字刺繍のやり方のひとつに、別の布に刺繍したものをアップリケするなどの方法があります。初心者の方はまずできるだけやりやすい布選びからはじめてみてはいかがでしょう。
図案
名前文字の縫い方はまず図案がないといけません。イニシャルなど一文字なら図案なしではじめても良いかも知れませんが、複数文字の手縫いは文字のバランスもあるからです。自分で書くのもそれほど難しくはありません。後述で文字図案の書き方についても詳しくご説明しましょう。
手縫い名前刺繍の文字入れ手順1.図案を記す
図案を用意する
まず準備するのは刺繍を入れる布・刺繍図案です。図案は本などをコピーしたり手書きで書いたりと作り方はいろいろ。後述の図案の書き方・手に入れ方で詳しくご説明しますのでそちらも参考にされてくださいね。
写し方
本のコピーやダウンロードした図案のプリントアウトの場合はそのまま使えませんので布に転写して写します。布・チャコペーパー・原稿の順で並べて上から硬いペンなどで輪郭線をなぞるだけと簡単!
写し方のコツは点であったり短いラインは後からバランスを見て刺した方がきれいに仕上がりやすいだけでなく、線がごちゃごちゃする原因にもなるので省いてOKです。
直接書く方法
シンプルな手書き文字だけを刺繍するなら図案なしに直接書くことも可能です。文字を入れたい部分にバランスに気をつけながらペンシルで書き込んでしまいましょう。刺繍図案には刺して行くうち消えてしまうことがある色鉛筆タイプよりも、線が細くはっきり見えるマジックタイプがおすすめ。
手縫い名前刺繍の文字入れ手順2.枠を張る
刺す部分を内枠の中心に
布への刺繍を入れる準備ができたら枠を張っていきましょう。刺繍枠は入れる刺繍の大きさと布に合わせて用意します。外枠と内枠をバラバラにしてまずは内枠を布の下にセット。刺繍を入れる部分が中央の刺しやすいところにくるようにするのがコツです。
外枠をはめてしっかり固定
布が置けたらその上から外枠をかぶせて押し込みます。このとき布がピンと張っているようにするのがポイント。太鼓をイメージするとどのくらいの張りが良いかわかりやすいでしょう。刺しているうちに布がたわんでこないよう金具をしっかりと止めて準備完了。
手縫い名前刺繍の文字入れ手順3.針と刺繍糸
糸は2本取りが基本
刺繍がはじめての方はよく刺繍糸をそのまま針に通そうとして苦労されるようですが刺繍糸はほとんどが6本で1本となっており、そのすべて使う場合でもまず1本ずつばらばらにしてから揃え直してふわっと刺すのが基本。
刺繍の図案によって何本を使って刺すのか指定があり、2本使うのが2本どり・3本なら3本どりと呼ばれます。文字刺繍の多くは輪郭線を刺すだけなのでエッジを出しやすいという意味でも2本どりで刺繍が指定されることが多いです。
刺繍針の選び方
使用する針はできればフランス刺繍針かクロスステッチ針など刺す布やステッチに合わせてください。一般のくけ針など手縫い針でも針穴が大きめなものなら使えないわけではありませんが、やりやすさが変わってきます。
慣れた方なら仕方なく代用ということもありますが初めての方はまずは刺繍専用針の使い心地を体験してください。
糸のセットの仕方
先程も軽く触れましたが刺繍糸は6本で1セットとなっているので、まずは自分の両手を軽く広げたくらいの長さ(だいたい1メートルと少し)に切ってから半分に折り1本ずつ引き出しそれをさらに使う本数分揃えて針穴に通します。糸は輪にせず基本的に玉止めもしません。
手縫い名前刺繍の文字入れ手順4.刺し方
刺し始め
サテンステッチなど面がすべて刺繍糸で隠れる場合はその中に返し縫いを2回ほどして縫い始めとしましょう。刺繍の多くは裏側はあまり見ることがありませんが、作品によっては裏が見えてしまうこともあったり、玉止めをするとそこがぼこっと膨らんで見栄えが悪くなるためです。
刺し終わり
刺し終わりも玉止めをしない方がスッキリと仕上がるのでお試しください。そのやり方はまず布を裏側にひっくり返し渡っている糸の間に針を通します。
サテンステッチなどでたくさんの糸が渡っていた方がしっかり留まりやすいのですが、アウトラインしかない場合は糸を割って針を出し少し戻して同じ場所でもういちど裏に渡っている糸に絡めるようにすれば、刺繍糸が外れることはほぼありません。心配なら3回ほど繰り返すと完璧。糸を切って完成です。
初心者向け名前刺繍のステッチ1.バックステッチ
縫い方手順がわかったところで、名前の文字を刺繍する縫い方の種類をご紹介します。これらの縫い方でなければいけないわけではありませんが、細い文字の線の刺し方が簡単でわかりやすいという利点があるので、初心者の方には特におすすめのステッチです。
手縫い経験者ならすぐできるバックステッチ
バックステッチは手縫いで言うところの返し縫いです。図案の線に合わせて少し先に針を出し少し戻って裏からまた針を少し先に出すの繰り返しという縫い方。表側から見ると刺繍糸が重ならないので、シャープな刺繍の文字の縫い方となるので筆記体のアルファベットようなカーブが多く線がつながっていることが多い文字の縫い方に向いています。
ステッチのやり方・刺し方
フランス刺繍では輪郭線や草花の茎や葉などの線に使われることが多いのがバックステッチ。縫い方はとても簡単です。きれいな刺し方のコツは針目(縫い目)の長さを揃えるということ。
きれいに仕上げるコツ
ひらがなやアルファベットなどカーブが多い文字の場合は、針目はある程度細かくした方がきれいに刺すことができるでしょう。はじめに決めた縫い目は常に一定に保つよう意識して刺してくださいね。
初心者向け名前刺繍のステッチ2.アウトライン
少し太めの輪郭線にアウトラインステッチ
バックステッチは刺繍糸が重なりませんので刺繍された線は細めです。もう少し太く強調した刺し方が良いという方にはアウトラインステッチという縫い方がおすすめ。
これは少しだけ糸が重なりつつ先に縫いすすめるやり方ですので、重なる分文字が太めにできあがるでしょう。こちらもできあがりが線になるので、筆記体アルファベットなどつながったカーブのある長い部分を刺繍するのに適しています。
ステッチのやり方・刺し方
アウトラインステッチの特徴は先程のバックステッチの針を戻す位置を前の縫い目にかぶせること。重なった部分が太くなりできあがりの線が縄をなったように美しく仕上がります。縫い方は進行方向に対して進む・戻るを繰り返します。重なり幅はお好みで。
きれいに仕上げるコツ
縫い目の1/3から半分くらいが目安です。きれいに仕上げるには重なる方向と縫い目の長さを一定にすることです。
初心者向け名前刺繍のステッチ3.チェーンステッチ
更に太い線に仕上げるにはチェーンステッチで
鎖がつながるような縫い目になるためチェーンステッチと呼ばれる刺し方です。こちらも少し太い線を表現するのによく使われる縫い方ですので覚えておくと便利ですよ。チェーンを作る長さでいろいろな表情を見せてくれるので、文字刺繍のサイズに合わせてどのくらいの針目にするか考えてから縫い始めましょう。
ステッチのやり方・刺し方
チェーンステッチのやり方も簡単で、裏から針を出してきたら同じ場所に針を刺し、チェーンの長さ分前に裏から針を出します。針はそのままで糸を掛けて鎖を作ってから糸を引きすぎないようにしてひと目手縫いの鎖が完成です。
きれいに仕上げるコツ
鎖のような模様を作りつつ繰り返すことで太めの線の模様に仕上がるのがこの縫い方のポイント。コツは糸を引きすぎないことと縫い目の幅をそろえることです。
初心者向け名前刺繍のステッチ4.サテンステッチ
隙間を埋めるのに便利なサテンステッチ
さらに大きく装飾性が高いデザインされた文字を刺繍するには、隙間を埋める縫い方も知っていると便利です。この隙間を糸で埋めていく刺繍のやり方もいろいろありますが、初心者の方におすすめなのが簡単なサテンステッチというやり方です。
ステッチのやり方・刺し方
サテンステッチは刺繍の輪郭線から輪郭線まで平行に刺して面を糸で埋めていく刺繍のやり方のひとつ。糸が揃っていると刺繍糸の光沢が強調されて、よい糸であればあるほど美しい仕上がりになります。装飾されたデザインのアルファベットなどに使うと良いでしょう。
きれいに仕上げるコツ
刺し方は簡単ですがきれいに仕上げるにはコツがあり、輪郭線がガタガタにならないよう針を出す位置を意識することと糸がねじれないように刺すこと。手縫いは刺していくうちにどうしても針が回転して糸がねじれやすいのでねじれていたら直しつつひと針ずつ刺してください。
初心者でも簡単に名前刺繍の図案づくり1.準備
刺繍は図案が大切ですね。図案のデザインによって作品の仕上がりが変わりますし、名前を刺すのであればなおさら文字や装飾などとのバランスが大切になってきます。ここからは図案の入手方法や書き方についてご紹介しましょう。
図案づくりに役立つチャコの種類
まずは図案づくりに役立つ手芸用品から。布に書き写すものとしてチャコがあります。手書きで書くのであればチャコペンが便利。紙の図案を写すのにはチャコペーパーと硬めの筆記用具が必要です。図案の書き方によって使い分けましょう。
図案を写すのに使える道具類
セ-T49N
そのほか図案原稿を写し取るのにトレーシングペーパーなどの透ける紙も図案づくりには必要です。トレーシングペーパーをおすすめする理由のひとつに薄手でまち針などで手軽に布に固定しやすいところ。布と紙の間に先程のチャコペーパーを挟んで上から硬いものでなぞり図案を転写しましょう。
転写しづらい布にはピーシングペーパー
平で色が薄い布であれば転写したものが見えやすいですが、タオル地や濃い色の生地だとなかなか転写したものが見えにくいという難点があります。そんなときに使うのがピーシングペーパー。和紙と似た紙でその上から刺繍をしてその後に紙だけ破り取れるので図案が写しにくい生地への刺し方に有効でしょう。
初心者でも簡単に名前刺繍の図案づくり2.手書き
トレーシングペーパーを使った書き方
いくつかの図案を組み合わせたり原稿を作ってから図案とするにはトレーシングペーパーが便利。輪郭線や面をすべて刺繍で埋める場所・記号などで、デザインがわかりやすいよう書き加えておくと良いでしょう。トレーシングペーパーはいわば下書きしたものの清書として用い、そのあとに布転写はチャコペーパーを使って写してください。
チャコペンシルで自分デザインを書く場合
文字のみ刺す場合は布に直接チャコペンシルで手書き文字を書き込んでしまうやり方もあります。他に多くの道具を使わず、また手書き文字の温かみを感じる作品にもなるでしょう。
輪郭線があまり太いと刺繍しづらいのでペンはできるだけ線が細く、なおかつ布にはっきりと書けるものがおすすめ。色が薄いようであれば何度か同じ線を繰り返し重ね書きして見えやすいように図案を書き込んでください。
初心者でも簡単に名前刺繍の図案づくり3.配布サイト
イラストAC
刺繍図案としてではありませんが装飾文字や手書き風文字・シンプルなカタカナやひらがな・書道風文字などいろいろな文字の画像データが無料でダウンロードできます。このような画像の無料ダウンロードサイトもいろいろありますが収録されたデータ数が多く種類も揃っているのでおすすめ!
ダウンロード図案の使い方
画像サイトからダウンロードしてきた画像はまず大きさを確認。刺繍したいサイズに画像ソフトなど(PCやスマホのアプリが便利)で修正・必要な文字を並べてプリントアウトして使うと良いでしょう。図案の布への写し方は前述の手書きの章を参考にしてください。
初心者でも簡単に名前刺繍の図案づくり4.図案本
「文字の刺しゅう」戸塚 薫・著
文字の刺しゅう
アルファベットに花がデザインされた文字の図案集です。ロマンチックなものが大好きな女の子や女性におすすめ。刺繍した布をくるみボタンに仕立てた写真も掲載されているので、出来上がりイメージがつかみやすいでしょう。
annasのもじの刺繍
annasのもじの刺繍
ひらがなやカタカナ。たくさんの装飾文字の図案が掲載されているので1つ持っているといろいろなシーンで役立ちそうな本です。大人でも使えるシンプルなデザインから北欧風、童話風など子供が喜びそうな装飾文字デザインがいっぱい。
本などの紙図案の使い方
本などに掲載されている図案をそのままトレーシングペーパーなどで写して使うと本が痛んでしまいます。
気になる方は一度コピーをすしてからチャコペーパーなどを用いて布に転写するか、スキャンしてデジタルデータにしてから画像ソフトなどを用い拡大縮小してプリントアウト後に使うと良いでしょう。(本からコピーした図案はご自分で使う以外の目的では使用しないようにしてください)
まとめ
手縫い刺繍の文字入れを簡単に楽しく
いかがでしたでしょうか。手縫いの文字入れは案外簡単だと感じていただけたら嬉しいです。道具や材料も手に入りやすくコンパクトで部屋間の持ち運びなども簡単にでき、フットワークが良いのが刺繍の良さ。お好きな場所でちょっとした時間に、文字刺繍をお楽しみください。
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