ラグビーの歴史を知れば楽しく観戦できる!
日本で開催された「第9回ラグビーワールドカップ2019」は、日本の活躍もあって大盛況でした。それを契機にラグビーファンとなっ方も増えラグビーブームが続いています。
ラグビーは明治32年(1899年)に慶応大学に最初に紹介された経緯もあり、大学ラグビーが盛んで、昭和の時代から早明戦は数万の観客が押し寄せる人気のラグビーカードです。
2022年ラグビーの新しい歴史・新リーグが始動
日本各地にホームスタジアムを持つラグビーチームが誕生し、トップ12チームによる新しい日本のラグビーリーグが構築されました。
「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」と呼ばれる3部構成のリーグとなり、地域に由来するチーム名も決まり2022年1月7日からスタートします。このように、今まさに盛り上がっているラグビーの歴史について見ていきましょう。
ラグビーの始まりはルール違反から
1823年、イギリス中部、ウォリックシャー州のラグビースクールにあるパブリックスクール、ラグビー校でのフットボールの試合中に、ウェブ・エリスという少年がボールを手に持って走りだす歴史に残る大事件がありました。
ラグビーの発祥地となる出来事!
フットボールのルールではこの行為は禁止されていましたが、ウェブ少年の行為は多くの共感を得られ、一部でボールを持って走るフットボールを採用するチームが現れたのです。
一般的にこの事件がラグビーの起源とされています。また、発祥地であるラグビー校の名前がラグビーの名前の由来となりました。
ワールドカップの優勝記念杯名はウェブ少年に由来
ラグビー誕生のきっかけとなった、ラグビー校のウェブ・エリス少年の行動を称えて、ラグビーワールドカップの優勝記念杯は、ウェブ少年の名前が歴史に残るよう「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれているのです。
ラグビーの歴史はイギリスから始まった
ラグビーの歴史①:ラグビーは「フットボール」から生まれた
もう少し、ラグビーの歴史を詳しく紹介します。かって、イギリスでは「フットボール」というスポーツが広く行われていました。このフットボールには共通したルールがなく、各地で異なったルールで競技が行われていたのです。
1863年に歴史に残るラグビーの基本となるルール統一化
そのフットボールから今日のようなラグビーが生まれるきっかけとなったのが、1863年のルールの統一化。
同年、ロンドンで複数のフットボールクラブとパブリックスクールの代表者が一堂に会して、それまで各チームごとにバラバラだったルールの統一化を進めました。
ラグビーの歴史②:ラグビー・フットボール・ユニオン結成
このルール統一化の動きがフットボール協会の創設につながります。また、その時のルールの統一で、それまでは一部でボールを持って走ることが認められていたルールが禁止され、ボールを持って走れなくなりました。
そのため、ラグビー校のように手でボール持って走るルールを支持するグループは、1871年に独自にラグビーの歴史に残る「ラグビー・フットボール・ユニオン(RFU)」を結成したのです。
サッカーとラグビーが2分した歴史
「ラグビー・フットボール・ユニオン」の独立は、それまでのフットボールが、現在のサッカーにつながる「アソシエーション・フットボール」と、ラグビーへつながる「ラグビー・フットボール」の2種類のスポーツに分かれたのです。
ラグビーフットボールリーグが独立
さらに、当時のラグビーは厳格なアマチュアリズムを重んじ、ラグビーに関係することで金銭を授受しない歴史が残っていました。
しかし、イングランド北部地域の労働者の休業補償を巡って、金銭の支払いに寛容なグループは反発し、1895年にイングランドの北部協会がRFUを脱退して、「ラグビーフットボールリーグ」を結成し、異なる道を進むようになりました。2度目の分裂の歴史です。
ラグビーの歴史③:19世紀後半に世界に広まる
ラグビーは徐々に世界に浸透していき、1883年にイギリスで各地域代表が戦う、ホーム・ネイションズ・チャンピオンシップが、発祥地のイングランドとアイルランド、スコットランド、ウェールズの4地域が戦う形式で行われました。
1910年になるとフランスも大会に参加し、ファイブ・ネイションズ=五か国対抗ラグビーとして人気の大会になりました。2000年にはイタリアも参加し、6つの地域や国が参加するシックス・ネイションズになっています。
ラグビーの歴史④:ラグビーワールドカップ開催
ラグビーワールドカップの歴史的第1回は、1987年にニュージーランドで開催され、その後も4年ごとに開催されています。
女子のラグビーワールドカップの歴史は、第1回大会が1991年にウェールズで行われ、その後も4年に1回開催されるイベントです。
1995年になると、ラグビーユニオンもラグビー選手のオープン化=プロ化を認め、ラグビー選手がラグビーで金品を受理することが可能となる歴史的変革が行われました。
200年近い日本ラグビーの歴史
日本ラグビーの歴史①:導入初期のラグビー
日本で歴史に残る最初のラグビーの試合が行われたのは、明治7年(1874年)にイギリスの船員たちによって横浜で開催された記録があります。ただし、日本人は参加してプレーしていません。
日本人の最初のラグビープレーヤーは、数学者の菊池大麓氏で英国留学中の明治5年(1872年)に留学先のイギリスの大学でラグビーの試合に出場した歴史が残っています。
日本のラグビーは慶応大学が発祥地
日本のラグビーは明治32年(1899年)に英語教師のエドワード・B・クラーク教授と田中銀之助氏によって、慶應大学の学生に紹介されたのが、日本へラグビーが正式導入された歴史として残っています。
クラーク教授はケンブリッジ大学を卒業し、慶應大学で明治32年(1899年)から明治43年(1910年)まで英語を教え、同時にラグビーをコーチも務めました。
日本ラグビーの歴史②:20世紀初頭
1900年代に入ると慶應大学、明治大学、早稲田大学が中心となってラグビーに取り組み、学校スポーツとして急速に広まり、約6万人がプレーしていました。
大正7年(1918年)には全国高校(当時は中学)ラグビー大会が開催されています。当時の日本の実力は高くカナダ代表に勝利した歴史が残っているのです。
昭和3年(1928年)には関東大学ラグビー対抗戦が始まりました。大正15年(1926年)には日本ラグビーフットボール協会も設立されています。
日本ラグビーの歴史③:戦中の中断という辛い歴史
戦争中は敵国のスポーツということで「闘球」と呼ばれるようになり、戦争末期にラグビーが中断された歴史が残っています。
戦後になると、多くのラグビーファンの願いもあり、企業がラグビーに力を入れ、昭和23年(1948年)に全国社会人ラグビーフットボール大会が開催されました。
日本ラグビーの歴史④:第1回ワールドカップ出場
昭和35年(1960年)には日本選手権が始まり、昭和39年(1964年)にラグビーでもっとも人気が集まる大学選手権が始まりました。
また、日本は昭和62年(1987年)の第1回ラグビーワールドカップに出場しています。日本はそれ以後の大会に連続出場という輝かしい歴史もあります。
日本ラグビーの歴史⑤:ワールドカップで歴史に残る勝利
ワールドカップにおいて日本は、平成3年(1991年)に開催された第2回大会でアフリカ代表のジンバブエに52-8で勝利しました。日本ラグビーの歴史に残る1勝です。
その後、24年間1勝もできませんでした。しかし、第8回大会で強豪南アフリカを34-32で撃破し、歴史に残る奇跡の勝利といわれました。
日本ラグビーの歴史⑥:2019年ラグビーワールドカップの成功
2019年のラグビーワールドカップは日本で開催され、日本全国で試合が行われました。日本は予選リーグを全勝で突破し、決勝トーナメントに進出して初のベスト8になったのです。それ以後、ラグビー人気が続いています。
日本は予選リーグでラグビー強豪国のアイルランド、スコットランド両国を倒す歴史的快挙を遂げています。そして、サモア、ロシアを撃破したものの、決勝トーナメントで同大会で優勝した南アフリカに敗れました。
日本ラグビーの歴史⑦:秩父宮雍仁親王
日本ラグビーにとって、忘れられない偉大な功労者が「スポーツの宮様」と称えられ、スポーツに深い愛情をそそがれた「秩父宮雍仁親王(ちちぶのみややすひとしんのう)」です。
戦前より日本のラグビーの振興に御尽力され、日本ラグビー協会名誉総裁の職も務めておられました。殿下のご功績が歴史に残るよう「秩父宮ラグビー場」の名称は、秩父宮雍仁親王の遺徳を偲びが名付けられているのです。
歴史とともに生まれたラグビーのルール
大学生以上のラグビーの試合では、15人対15人の計30人のプレーヤーが前半40分、後半40分、計80分プレーします。前後半のハーフタイムは15分以内です。
得点はボールを相手陣地のインゴールに持ち込むことで、「トライ」となり5点の得点。さらに、トライ後にキックでコンバージョンゴールを決めるとさらに2点が入ります。ラグビーはボールを前に運ぶ競技ですが、ボールを前にパスできないことが最大の特徴です。
ラグビーの得点の種類
得点となる内容
種 類 | 内 容 | 点数 |
トライ | 敵地のインゴールと呼ばれるスペースにボールを着地させること | 5点 |
ペナルティトライ | 相手チームの反則がなければ、ほぼ間違いなくトライが得られていた、と認められた時に与えられるトライ | 7点 |
コンバージョンゴール | トライを決めた後、トライした側のチームがゴールキックを成功させた場合 | 2点 |
ペナルティキックのゴール | 相手チームの反則に対して得られるキックで、キックでゴールキックを成功させた場合 | 3点 |
ドロップキックのゴール | 通常のプレー中に、ドロップキック(ボールを地面に落とし、跳ね返ったボールを蹴ること)でゴールキックを成功させた場合 | 3点 |
ラグビーの基本ルールまとめ
項目 | 内容 |
プレーヤ-数 | 15人×15人 |
試合時間 | 前半40分・後半40分(大学生以上)、ハーフタイム15分以内 |
使用球 | 楕円形4枚張り。長さ28~30cm、縦74~77cm、横58~62cm、重量410~460g |
グラウンド | 長さ94~100m、幅68~70m、ゴールポスト高さ3.4m以上、幅5.6m、クロスバーの位置3m、 |
勝敗 | 得点の多い方が勝利チームになる |
ポジションの紹介:フォワード
ラグビーの1チームのプレーヤーは15名からなります。15名の選手のポジションを大きく分けるとフォワードとバックスです。
フォワードは自陣の前面に位置取りする8人。基本ポジションの位置は、ハーフウェイラインから22メートルラインまでに、それぞれのポジションがあります。
フォワードが大型化した歴史背景
フォワード8人はスクラムを組みます。相手フォワード8人とスクラムを組んで、時間内にボールの争奪を繰り返すのです。また、ボールを持ったバックスがタックルされたときにもボール確保に身を挺します。
タッチラインを超えて外に出たボールを投げ入れる時のラインアウトは一列に並び、ボールをキャッチするのです。一般的にフォワードは体力勝負の面が強く、長身で筋肉モリモリ、強靭なパワーの大型選手が多くなります。
フォワード
ポジション | 背番号 | 特徴 |
プロップ | 1・3 | スクラムの最前列、相手スクラムと真っ向勝負する |
フッカー | 2 | スクラム最前列中央、スクラムをコントロールしボールを蹴る |
ロック | 4・5 | スクラムの2列目の、長身選手が務め、ラインアウトの中心 |
フランカー | 6・7 | スクラムの3列目、両サイド、縦横に動く |
ナンバーエイト | 8 | スクラムでは最後尾、攻防の中心 |
バックスはスピードと俊敏性が必要
バックスは7人です。バックスは自陣の後方に構えます。22メートルラインからゴールラインまでにそれぞれのポジションが広範囲にあるのです。
バックスは俊敏さが求められ、ボールを確保すると、走る、パスする、蹴る、つなぐを繰り返すことが多くなります。また、得点をゲットするポジションです。機動力が武器になるため快速選手が多いのですが、最近は相手選手を跳ね飛ばすパワーも求められています。
バックス
ポジション | 背番号 | 特徴 |
スクラムハーフ | 9 | フォワードとバックスのパイプ役。パスワークと俊敏性と判断力 |
スタンドオフ | 10 | 攻撃を組み立る司令塔 |
センター | 12・13 | 攻守の要、突破力と防御力 |
ウィング | 11・14 | トライゲッター |
フルバック | 15 | 最後尾を守る最終砦 |
ラグビーの主な反則
ラグビーの試合では、しばしば、レフリーの笛で試合が中断することがあります。そのような時、多くの場合は反則があったのです。
楕円形のボールということもあり、また、直接ぶつかり合う競技だけに、意に反して反則となる場合が多くあります。そんな、ラグビーの反則の中から、試合中発生する回数が多い代表的な反則の紹介です。
主な反則の説明
反則名 | 内容 |
ノックオン | ボールを前に落とすこと。相手側ボールのスクラムに |
スローフォワード | ボールの前方へのパス。相手ボールになりスクラムに |
ノットストレート | ラインアウトでスローインのボールが真っ直ぐに入れなかった場合。相手チームがスクラムまたはラインアウトを選択 |
オフサイド | 主にボールがプレーされている場所より前方の選手がプレーに参加した場合。相手側のペナルティーキック(PK) |
ノットロールアウェイ | タックルをした選手がボールや相手選手から離れずプレーを妨げる行為。相手側のPK |
ノットリリースザボール | タックルされた選手がボールを抱えたまま放さない状態。相手側のPK |
オーバーザトップ | 密集で相手側に倒れ込みボールが出るのを妨害する行為。相手側のPK |
ラグビーの歴史を知り本物のラグビーファンに
ラグビーは大英帝国・イギリスの歴史に由来して、ユニークなルールがあります。国の代表の考え方と並行して地域を代表して戦う競技です。選手の選考もその地域で一定期間居住すれば、その国や地域の代表選手になれます。
肌の色や髪の色が異なる選手がワンチームになって戦うラグビーこそ、グローバル化や多様化が進む現代社会にふさわしいスポーツ。リアルラグビーファンになりましょう!
ラグビーの歴史が気になる方はこちらをチェック!
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