ファーストエイドキットとは
手当をするための道具セット
ファーストエイドキットとは主に軽症の怪我を手当できるように、小さなバッグにさまざまな衛生材料を入れて持ち運べるようにしたセットのことをいいます。基本的には応急手当をするための道具となっており、一時的な治療しかできません。
怪我の度合いによっては速やかに病院で治療を受けましょう。また、アイテムだけ揃っていても意味がありません。三角巾や包帯などの使い方も事前に覚える必要があります。
中身をカスタムした方がいい
ファーストエイドキットはさまざまな種類のものが市販されています。怪我だけなら問題ないですが、持病がある方は持病の薬も必要になるため登山ルートや活動内容に応じファーストエイドキットをカスタムしましょう。
例えばアルコールに弱い方は、アルコールを使用した除菌、殺菌用の綿で拭くと肌が赤くなる可能性があります。このような場合はアルコールを使用していない衛生材料に変える必要があります。
衛生材料とは
衛生材料とは医療で使用される主に使い捨ての資器材のことを意味する言葉です。例えばガーゼ や脱脂綿、消毒用のアルコール綿から包帯や絆創膏などファーストエイドキットに必要な幅広いアイテムが衛生材料に分類されます。
基本アイテム
絆創膏
絆創膏
絆創膏は傷を保護するためのアイテム。そのため、大きさや形状の異なる絆創膏を用意しておくといいでしょう。分かりやすいように箱のまま入れる方法もありますが、ケースの大きさによっては箱のままだとかさばりやすいため小分けして入れる方法もおすすめです。
登山ではトレッキングシューズで靴ずれを起こす可能性も高いため、靴ずれやマメ用の絆創膏を入れておくといいでしょう。絆創膏はあくまでも傷を保護するための衛生材料です。
滅菌ガーゼとフィルム
絆創膏では覆えない広い部分を保護するときに使う衛生材料です。ガーゼを当ててその上からフィルムを貼って保護しましょう。擦り傷や、深くない切り傷の場合はガーゼの上から押さえと止血できます。このときにも滅菌ガーゼは役立つアイテムです。
水
ファーストエイドキットキットの中身として水は非常重要です。創傷面を洗い流すことで砂や土などの遺物の除去、消毒ができます。ファーストエイドキットのケースに収まりませんが飲料水とは別に350ml~500ml程度の水は確保しておくといいでしょう。
水は怪我の治療だけではなく迷ったときや予備の飲水として熱中症対策としても役立ちます。
登山向きのアイテム
包帯・三角巾
三角巾 白十字
包帯と三角巾は骨折をしたときに正しい位置で固定したり、止血につかったりとさまざまな用途で使える衛生材料。打撲や捻挫、骨折する可能性が高い登山では特に必要になるファーストエイドキットの中身です。三角巾は複数枚あるといいでしょう。
包帯も三角巾も使い方が豊富な分、相応の知識が必要なるため事前に使い方を覚えておかないと手当ができません。
テーピングテープ
ニチバン テーピングテープ
テーピングテープも捻挫や骨折をしたときに関節を固定するときに使います。例えば、骨折箇所に添え木を使うときに三角巾や包帯で腕を固定し、テーピングテープで木を固定するときに役立ちます。包帯や三角巾と同じように使いこなすには知識が必要になるファーストエイドキットの中身です。
包帯とテーピングテープは太さが異なるものを2種類ほど持っておくといいでしょう。
サムスプリント
サムスプリント
サムスプリントはアルミ合金の面にウレタンフォームを貼り合わせた素材で、身体に合わせて形が変えられるため捻挫や骨折時の患部の固定に有効的です。形が変えられるためどの部位にも使えるところがポイントになります。サムスプリントは添え木の代わりとなるため包帯または三角巾は必須です。
少し珍しいアイテムのため使い方を事前に覚えておくといいでしょう。
カスタムしておきたいアイテム
消毒薬
オキシドール
オキシドールやヨードチンキなど傷を消毒するための薬液もあると便利です。薬液にこだわる必要はなく携帯しやすいものなら塗り薬でも問題ありません。消毒して絆創膏やガーゼで創傷部分を保護することで切り傷、擦り傷などに対応できます。
ただし、あくまでも応急手当となるため傷の度合いによっては病院できちんと治療を受けましょう。また、登山ではファーストエイドキットの軽量化も大切になるため持っていかない場合もあります。
常備薬(自分に合った薬)
常備薬、体調や体質に合った薬もファーストエイドキットの中身として大切です。薬は他人に譲るのも、もらうのもやめましょう。どのようなアレルギーや副作用が起きるかわかりません。
特に病院で処方された薬を他人に譲るのは法律で規制されているほど副作用の危険性があります。市販薬も第三類医薬品以外は副作用のリスクが高いため鎮痛剤、胃腸薬や虫刺されの薬などはきちんと自分で体質にあったものを用意しましょう。
手当に必要な道具類
ポイズンリムーバー
ポイズンリムーバー
ポイズンリムーバーは毒を吸引するための道具。登山では蜂、蛇などの被害にあったときに活躍する道具です。毒を吸い出すことで症状の進行を防いでくれるため非常に有効的です。市販のファーストエイドキットには付属しないアイテムのため別途購入しましょう。
ポイズンリムーバーだけでは全ての毒を吸い出すのは難しいため、手当後異変があれば必ず病院で治療を受けましょう。
ハサミ
怪我の対応に必要な道具の代表格。包帯やテーピングテープ、衣類などを切るときに使います。右手でも左手でも使いやすいハサミを選ぶといいでしょう。また、裁ちばさみのように大きいと持ち運びに不便になりますが、反対に小さいと厚めのテープが切れない場合があるため小さすぎないようにしましょう。
安全に持ち運べるようにケースが付いていたり、尖端が丸くなっているものがおすすめです。
毛抜
毛抜
棘や異物の除去にちょうどいい道具です。家庭ではピンセットを使いますが、毛抜はコンパクトなためファーストエイドキットに入れて持ち運びやすく登山にも向いています。ピンセットと同じようにかみ合わせがいい精度いいものを選びましょう。棘を抜くときは刺さった角度と同じ角度になるように抜きます。
三角巾や包帯の使い方
三角巾の基本的な使い方
三角巾や包帯はボーイスカウト活動でも取り上げられるほど知識と技術が必要になるため事前に動画などで固定方法を学んでおきましょう。特に骨折、頸椎捻挫などの救護活動に部位の固定は必須です。三角巾は折りたたんで帯のようにして使うことも多いため、基本の折り方が重要になります。
包帯の使い方
包帯も救護活動では必須の道具ですが巻き方が非常に多いため動画で予習しておく事が重要です。筋肉量や部位によって巻き方を変えるといいでしょう。基本の巻き方は環行帯、螺旋帯です。環行帯は巻き始めに、螺旋帯は二分の一ほど重ねながらぐるぐると螺旋に巻いていく基本の巻き方です。
サムスプリントの使い方
サムスプリントは形が変えられるため腕や脚に押し当ててちょうどいいサイズになるように形成します。添え木よりもしっかりフィットするためきちんと患部を固定できます。包帯や三角巾と比べると知識がなくても本格的な手当が可能です。
登山中でも実践できる簡単な手当のしかた
主な止血方法
簡単な止血方法を紹介します。傷口にタオルやカーゼを当てつつ、創傷部分を直接圧迫しながら心臓よりも高い位置に持っていきましょう。紐など縛ってしまうと血流までも止めてしまう恐れがあるため圧迫止血がおすすめです。
捻挫の応急手当について
捻挫や肉離れの応急手当はRICEです。RICEとはRest、Icing、Compression、Elevationの頭文字を意味し非常に有効な手当になります。
1:Rest | 患部を固定し、動かさないようにしましょう |
2:Icing | 患部に氷をビニール袋に入れて20分程度患部に当てる 肌の感覚がなくなったら一旦冷やすのを中断 |
3:Compression | テープを巻いて圧迫し、腫れや内出血を最小限に抑えます 皮膚の色が変化した場合テープを緩めましょう |
4:Elevation | 可能なら患部を心臓より高い位置に |
自分に合うファーストエイドキットを準備しよう
登山用品のファーストエイドキットは軽さも必要で、なおかつ緊急時にきちんと対応できる衛生材料が必要です。自分の行動にあった物を選んでカスタマイズするといいでしょう。特に常備薬は自分の体質や健康状態に合ったものをきちんと選び人からもらわないようにすることが重要です。包帯と三角巾は事前に使い方を予習しておきましょう。
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