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【登山知識】氷河の裂け目「クレバス」に落ちたらどうなる?危険から身を守る術は?

クレバスとは氷河や雪渓に潜む大きな割れ目のことで、登山者が落ちる事故が後を絶たない危険な場所です。底が見えないクレバスに落ちたら?と想像しただけでも恐怖を感じる方が多いのではないでしょうか。登山に潜む危険「クレバス」について徹底的に詳しく解説していきます。
2022年9月10日
eiji0601

氷河や雪渓に潜む危険

登山者が恐れるクレバス

出典:unsplash.com

登山者が氷河や雪渓で最も恐れるのがクレバスの存在です。クレバスの内部は垂直に切り立った氷の壁で、深さが10〜数十メートルにおよび幅は数十センチ〜数メートルと狭く、もし落ちることがあればその衝撃で骨折や脱臼などの怪我は免れず救助も非常に難航します。

仮に運よく底まで滑落せず途中に止まったとしても、底が見えない恐怖と孤独感は想像を絶します。登山者がクレバスを恐れる心理的理由の一つです。


クレバス落下事故は救助できない例が多い

過去にもクレバスに落下し救助できずに死亡した例が多々あります。もちろん救助され生還した例もありますが、救助を断念せざるを得ない場合が多いのも事実です。

それはクレバス内部の深さなどの状況が救助隊にとっても未知で、無理に救助に向かえば二次災害の危険が高いからに他なりません。そのくらいクレバスは未知の領域なのです。今回は登山に潜むクレバスの危険に焦点を合わせ詳しく解説していきます。

クレバス発生のプロセスと形状

①雪上の小さなクラックが成長

出典:unsplash.com


クレバスが発生するプロセスとメカニズムは意外にシンプルです。氷河や雪渓の上にできたクラックと呼ばれるほんのわずかなヒビ割れが、雪解けとともに次第に大きく成長し登山者が恐れる巨大なクレバスになると考えられています。

意外かもしれませんがクレバスが多く発生するのは春から夏のシーズンです。つまり雪解けが進む時期の雪渓を渡る登山には大きな危険が潜んでいるので細心の注意をはらって渡りましょう。

②クレバス内部の形状

出典:pixabay.com

クレバスの内部は雪が圧縮されて固まった氷のような壁が垂直に垂直に切り立っています。深さは10メートル前後が多く、建物に例えると3階建てのビルに相当します。その高さをほぼ垂直に落ちるのですから怪我は避けられません。

打ち所が悪ければ死に至ることも多々あります。またクレバスの幅は数センチから数メートルと狭く、もし落ちてしまうと身動きが取れない場合が多く救助もままならない恐ろしい存在です。

③最も恐ろしいヒドゥン・クレバス


クレバスの中でも最も恐ろしい存在がヒドゥン・クレバスです。ヒドゥン・クレバスは割れ目が雪で覆い隠されていてクレバスの存在が発見できません。そのため滑落の危険が高く、隠れた魔物といっても過言ではありません。

割れ目が見えていれば細心の注意をはらって渡ることができますが、雪に隠れているので落とし穴のように思いもよらず突然落下してしまう非常に怖いクレバスです。

過去クレバスに落ち生還した事故例

①ヒマラヤ山脈:ジョン・オール

ヒマラヤのヒルムン山のクレバスに落下し奇跡的に生還したジョン・オール氏の事故例です。クレバスに落ち右腕は脱臼骨折し顔は血だらけの重傷を負いながら、左手でアイスピックを使い垂直の雪壁を登り切ったのです。

しかも落下から生還するまでを動画に自撮りしていて、後にYouTubeに投稿され多くの人に感動を与えました。まさに登山家の勇気と精神力の強さを物語る事故例と言えます。

②運命を分けたロープ:登山家イモトアヤコ

テレビ番組で世界の山を登山する姿が紹介されるイモトアヤコさんが、登山トレーニング中にクレバスに落下し、からくも命拾いをした事故例です。テレビ番組で南極最高峰の登頂に挑むためスイスでの強化合宿中、先を歩くガイドがヒドゥン・クレバスを発見しイモトさんはそれを飛び越えようとして誤って転落してしまったのです。

その様子は番組で大反響

イモトさんはカメラマンやガイドとロープで繋がっていたためクレバスの底まで落ちることがなく命拾いをしました。もし落ちていれな大惨事になったことは間違いありません。その様子が番組で放映されクレバスの脅威を感じた方が多いのではないでしょうか。また氷河や雪渓を登山する場合互いにロープを繋げる大切さがわかる事例です。

救助を断念した悲惨なクレバス事故

天山山脈ボゴタ峰:白水ミツ子隊員

天山山脈ボゴタ峰を登頂し、その下山中にヒドゥン・クレバスに転落した京都山岳会登山隊所属の白水ミツ子隊員の悲惨な事故です。救助隊が到着した時には彼女の声が聞こえ生存していました。

しかしクレバスの入り口は人ひとりがやっと通れるくらいで、中はもっと狭く壁が屈折しています。救助隊員が何度も降下を試みますが降りることができず、ザイルを下ろしてみますが掴むことができません。

白水ミツ子隊員の最後の言葉

何度も声をかけながら救助を試みる宮川隊員の耳に「宮川さぁーん、私ここで死ぬからぁ―、奥さんも子供もいるからー、あぶないからぁー、もういいよぉー」と弱々しい声が響いてきたのです。

死に直面しながらも相手を心配する彼女の優しさと勇気、助けてあげられない悔しさが入り混じる思いの中ついに救助は打ち切られ、14年後に白骨化した遺体が発見されました。

登山でクレバスから身を守る心得

①事前に情報を集める

自分が登る山の情報を事前に調べておきましょう。クレバスはほぼ同じ場所で発生し、それは山の地形と密接に関係しています。登る山のクレバスが発生しやすい場所を事前に把握することが身を守ることに繋がります。

初心者の方が氷河や雪渓にトライする場合はガイドの同行がおすすめです。ガイドは安全な登山ルートやクレバスが発生する場所を熟知しているので安心して登山できます。

②ロープや梯子を利用する

クレバスには梯子がかけられていることがあり、割れ目の幅が小さく見えても飛び越えるのは絶対にやめましょう。飛び越えようとして転落した事故が起きているからこそ梯子が設置されているのです。

また仲間とロープでつなぐことも必須です。梯子を慎重に渡っても足を滑らすリスクがあり、その時ロープで繋がっていれば底まで転落することが防げます。クレバスを渡る時にはロープと梯子を必ず利用しましょう。

③ピッケルで確認する

ピッケルはツルハシのように登山斜面を刺して体を支えるアイテムですが、雪に隠れて見えないヒドゥン・クレバスを探すためにも活躍します。怪しいなと思われる場所をピッケルで叩いて刺激するとするとクレバスが突如現れることがあります。

積雪時のヒドゥン・クレバス発見にはピッケルは最適と言え、登山で身を守る重要なアイテムのひとつと心得ておきましょう。

④緊急SOSが出せるスマホを携帯する

万が一クレバスに落下してしまった時に、緊急SOSが発信できるスマホを携帯していれば救助される可能性が高まります。モデルにより緊急SOSの操作の仕方が違うので事前に確認しておきましょう。もちろんクレバス滑落などの事故に巻き込まれないことが最も大切です。

日本の登山でクレバスが発生しやすい山

①立山連峰の剣岳

出典:jalan.net

富山県の飛騨山脈北部の立山連峰にある標高2999mの剣岳は、日本では珍しい氷河が存在する人気の山です。景色と眺望が美しいことで有名な山ですが、特に長次郎谷雪渓や平蔵谷雪渓付近は積雪量が多く春になっても雪が残り傾斜もきつく危険なクレバスが発生しやすいので要注意です。

過去に何度も滑落事故が起きていて、美しさと危険が同居する場所と言えます。登山の魅力は危険と紙一重のところにあるのかもしれませんね。

劔岳

  • 住所
    〒930-1406
    富山県中新川郡立山町芦峅寺
  • アクセス
    富山地方鉄道 立山駅から立山ケーブルカーに乗車し美女平へ、美女平から立山高原バスに乗車し室堂へ(登山口)
【剱岳】アクセス・営業時間・料金情報 - じゃらんnet
剱岳の観光情報 剱岳周辺情報も充実しています。富山の観光情報ならじゃらんnet 立山連峰中最も峻険をうたわれる岩峰でロッククライミングの白眉。馬場島から9時間。平成21年に、新田次郎の『劔岳 点の記』が映画放映された。

②日本最大級の「白馬大雪渓」

出典:jalan.net

後立山連峰にある標高2932mの白馬岳(しろうまだけ)は1998年の長野オリンピックのスキージャンプが開催されたエリアで、日本最大級の雪渓「白馬大雪渓」があることでも有名な人気の山です。

「白馬大雪渓」を一目見ようと長蛇の列ができる人気と裏腹に、クレバスが発生する危険地帯になります。そのため雪の上に赤い粉をまきクレバスを避ける安全ルートを示しています。過去には通行止になったこともあるので事前に確認しましょう。

白馬大雪渓遊歩道

  • 住所
    〒399-9301
    長野県北安曇郡白馬村北城白馬大雪渓
  • 定休日
    休業:11月~翌6月※要問合せ
  • アクセス
    JR大糸線白馬駅より松本電鉄バス猿倉行27分、猿倉より白馬岳方面へ徒歩1時間20分
【白馬大雪渓遊歩道】アクセス・営業時間・料金情報 - じゃらんnet
白馬大雪渓遊歩道の観光情報 営業期間:休業:11月~翌6月※要問合せ、交通アクセス:(1)JR大糸線白馬駅より松本電鉄バス猿倉行27分、猿倉より白馬岳方面へ徒歩1時間20分。白馬大雪渓遊歩道周辺情報も充実しています。長野の観光情報ならじゃら

魅力と危険が同居する雪渓を安全に渡ろう!

クレバスは氷河や雪渓に出現する底の深さが計り知れない恐怖の割れ目です。そこに落ちたなら怪我だけでなく命の保証ができない魔物です。クレバス発生のプロセスや過去の事故例、身を守る対処法などを解説してきました。これらを参考にして魅力と危険が同居する雪渓をクレバスを避け安全に渡りきって登山の醍醐味を満喫してください!

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