日本全国どこにでもいる平たくておいしい魚
釣りが好きな方には、カレイはとても身近な魚です。キスやカワハギ狙いで投げ釣りやタイの船釣りをしていると、カレイが混じって上がってきます。この場合は外道扱いするものの、おいしいカレイは外道と言えども大歓迎。他の外道のように粗末にせず、大切に持ち帰ります。
カレイは特徴的な平たい形をしていますが、幼魚のころは普通の魚のように体の両側に目があります。その目が成長するにつれて次第に片側に偏っていき、上下に平たい成魚になるという変わった魚です。
生態や種類などカレイについての基本情報
分布は北海道から九州までの沿岸域で、水深1000mから河口付近の汽水域、淡水域まで広範囲に生息します。浮袋がなく泥や砂の海底に張り付いていて、ゴカイやイソメなどの虫が主食です。小魚を捕食するヒラメほど俊敏ではありません。
日本近海では約40種類が確認されています。サイズは20㎝級のババカレイから50㎝超級のマコガレイまでさまざまで、地域により水揚げされる種類が変わります。上質な旨味と甘みを持ち、その美味しさで人気が高い魚の一つです。
カレイとヒラメはよく似た形でもどこが違う?
カレイによく似たヒラメは、分類的にはカレイ目ヒラメ科でカレイの一種という扱いです。それでもヒラメが高級という認識が一般的で、これは味よりも流通量の違いとか食べ方といった面からの評価と考えられます。
肉質を比べると、ヒラメはコリコリして高額な刺身や寿司ネタ向きなのに対し、カレイは柔らかく煮付けや揚げ物など比較的安価な総菜向きです。漁獲量もカレイが6倍と圧倒的に多いので、どうしても値段が安い大衆魚という評価になってしまいます。
カレイのさばき方・平たい魚をさばくには?
カレイは極端に平たい魚なので、さばき方も普通の魚とは少し違ってきます。カレイやヒラメでは5枚おろしという特有のさばき方があり、大きな魚のさばき方と同じ要領です。これを知っておくと、ブリやワラサ、カツオのような大型魚をさばくときにも役立ちます。
カレイをさばく時には下処理を丁寧にしよう
カレイのさばき方で大切な下処理は、ウロコとぬめり取りです。ウロコは包丁でこそげ取るのが一般的ですが、スプーンや金属たわしを使う方が綺麗に取れます。特にぬめりは取れにくいので、ていねいにこすってください。
表裏ともウロコが取れたら、胸びれの後ろ側に包丁を入れて頭を落とします。切り口から内臓を取り出しましょう。内臓は小さくて簡単に取れます。皮や腹の中をきれいに水洗いして、ペーパータオルで水気を取ったら下処理完了です。
カレイをおいしくするための下処理のコツ
カレイのぬめりは生臭さや泥臭さのもとになります。特にひれの部分に残りやすいので、念入りにこすり取って徹底的に水洗いするのがさばき方のコツです。また、内臓を取った後は塩を振ったあとに古歯ブラシでこすり洗うのがコツで、こうすると生臭みが残りません。
さばく手順を解説!刺身向け5枚おろしを詳しく
カレイを5枚おろしにするさばき方は、まず尾びれの根元に上下に刃を入れたあと、頭側から背びれに沿って尾びれまで包丁を入れ、次は腹びれに沿っても包丁を入れます。表側の側線に沿って頭側から尾びれまで中骨に届く深さで切り込みます。
そして、中骨の切れ目から背びれに向かい、身をはがすように切り離してください。腹側も同じように切り離した後、裏返して表と同様に上身と下身を中骨から切り離すと、5枚おろしの完成です。
さばきの仕上げ!カレイの刺身と煮付けが完成
さばき方も最終段階の仕上げ工程です。まず5枚おろしにした刺身・寿司ネタの仕上げは、腹骨をすき取りおいしい縁側を身から切り離します。どちらも皮をひき、刺身・寿司ネタはそぎ切り、縁側は適当に切ってまとめてください。
煮付けのさばき方は、骨ごと2~3切れにぶつ切りするか、小さければ尾頭付きにしましょう。味が染みやすいように皮に包丁で切れ目を入れます。見た目をよくする目的もあり、飾り包丁と呼ばれる手順です。
カレイがおいしく食べられる特選レシピを紹介
みんな大好き!カレイの煮付けの上手な作り方
カレイの煮付けといえばば定番中の定番、万人受けするおいしい料理です。臭み消しのショウガは必須で、あとはゴボウの斜め切りを一緒にじっくり煮付けましょう。甘辛い醤油味とカレイのうまみがゴボウにしみて、簡単で絶品のお惣菜になります。
まず、カレイの皮には✖印に飾り包丁を入れてください。煮汁の材料を鍋に入れ、沸騰したらカレイのぶつ切りと薄切り生姜、ゴボウを入れます。落とし蓋をして15分ほど中火で煮たら完成です。
かれいの切り身 2切れ
ごぼう 1/3本
しょうが 1かけ
※煮汁
水 1カップ
酒 大さじ3
しょうゆ 大さじ2
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ1
いつも変わらず大人気のカレイの唐揚げレシピ
唐揚げもカレイ料理では人気の高い料理です。淡白なカレイも油で揚げることで旨味が増えます。さらに漬け汁に短時間漬けることで、誰にも喜ばれる美味しい唐揚げになります。
カレイの背には×印の切込みを入れ、軽く塩を振って20分後に水気をふき取ります。混ぜ合わせた漬け汁に10分程漬けた後、塩コショーして片栗粉をまぶしてください。身が半分浸かる量の油を170度に熱し、片面4分ずつ揚げ焼きにすれば唐揚げの完成です。
材料(2~4人分)
カレイ切り身 80gぐらい×4枚
ふり塩 適量
塩コショウ 少々
片栗粉 適量
サラダ油(揚げ焼き用) 適量
ポン酢・薬味 お好みで
※漬け汁
酒 大匙2
うすくち醤油 小匙2
おろし生姜 2g
おろしにんにく 2g
超簡単!おしゃれなカレイのムニエルの作り方
ムニエルは洋風カレイ料理の定番と言っていいでしょう。材料も少なくて済むし手早くできるので、ランチにぴったりです。彩りにししとうなどを添えるだけで、ちょっとおしゃれになります。
カレイの切り身に塩コショウして、片栗粉(これで外がサクサクに)をまぶします。フライパンにバターを溶かし、カレイを入れて弱火~中火でキツネ色になるまで揚げ焼きにしてください。フライパンを傾けて、横面もよく焼けばでき上がり。醤油で食べてもオツな味です。
材料(1人分)
カレイ 1切
バター 10g
片栗粉 大さじ3
塩・コショウ 各小さじ半分
変わりカレイ料理・おすすめ醤油漬けの作り方
下味をつけたカレイを揚げて、さらに醤油漬けにする料理を紹介します。濃い目の味付けで、おかずはもちろんビールやワイン、焼酎に日本酒などどんなお酒のおつまみにも抜群の相性です。
カレイは一切れをさらに2~3個に切り、下味汁に20分漬けます。引き上げて水気を切って片栗粉をまぶしたものを、中温の油で2~3分揚げてください。揚がったものから漬け醤油に入れ、10分漬けたら出来上がりです。付け合わせの野菜とともに盛り付けて、いただきましょう。
材料(4人分)
カレイ切り身 4切れ
※下味用材料
しょうがの薄切り 2~3枚
ねぎのぶつ切り 1/2本分
しょうゆ 大さじ2
酒 大さじ1
片栗粉 適宜
揚げ油 適宜
※漬け醤油
しょうゆ 大さじ1と1/2
砂糖 大さじ1と1/2
ごま油 大さじ1
千切りねぎ 1本分
ラディッシュ 4個
サラダ菜 4枚
カレイが最もおいしく食べられる旬の季節は?
カレイの旬は種類で違って春から秋まで継続
カレイには多くの種類があり、それぞれに旬の時期があります。例えばマコガレイは6~10月、イシガレイは7~11月といったところです。大雑把にいうと、産卵で身がやせる冬から早春以外はどれかが旬を迎えています。
カレイの煮付けには、大きな卵巣を抱えた「子持ちカレイ」が珍重されます。卵にも煮汁が染みて、とてもおいしいお惣菜として人気です。子持ちカレイについては、卵を持つ秋から初冬にかけてが旬ということになります。
カレイ釣りのハイシーズンは味の旬とほぼ同じ
カレイは冬が産卵期で、秋から初冬にかけて沖の海底から砂地や泥の浅い海岸に近寄ってきます。産卵前で食欲旺盛な晩秋がカレイ釣りのハイシーズンで、陸からの投げ釣りで初心者にもよく釣れます。
冬の産卵期は全くエサを摂らなくなるので、釣りにならずしばらくは休業です。カレイが沖へ戻り始める春先には再び食欲が旺盛になり、投げ釣りで数多く釣れるようになります。そのあとは船釣りになり、釣れたら刺身で美味しく食べられる時期です。
初心者にも簡単に釣れておいしいと大人気
カレイは全国各地にいて、初心者でも比較的簡単に釣れる魚です。自分で釣って自分でさばいたカレイは、特においしくいただけます。さばき方は形が特殊な分だけ気を使いますが、内臓が小さく比較的扱いやすい魚です。
この記事で紹介した5枚おろしは、ハマチやカツオなどの大きな魚をおろすときにも応用できます。覚えておくと、大きな魚が手に入った時にかっこよくさばけて、周りから尊敬されることでしょう。
さばき方など魚料理の情報が気になる方はこちらから!
魚釣りが好きな人なら、釣った魚は自分でさばいて好きなように料理したいものです。魚のさばき方、調理方法などをもっと詳しく知りたい方は、役に立つ情報が満載の記事がいろいろあります。いくつか挙げておきますので、参考にしておいしい魚料理にチャレンジしてみてください。
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