難易度の高い宝剣岳の登山コースをご紹介
宝剣岳とは長野県中央アルプスの最高峰である木曽駒ケ岳の南に鎮座する山です。東側の山麓には千畳敷カールがすそ野を広げ、ここから見上げる宝剣岳の風景は、中央アルプスを代表する美景のひとつとして知られています。
宝剣岳は鋭く尖った姿が特徴で、その名にも象徴されています。山名は山岳信仰によるといわれ、古くから霊峰として親しまれてきました。そんな神聖な宝剣岳は大変険しい岩場の山でもあるため、経験を積んだ上級レベルの登山者を魅了する山としても有名です。
中央アルプスの宝剣岳には登山コースがいろいろ
宝剣岳の登山コースの中でも、駒ケ岳ロープウェイが走る千畳敷カールを経るコースがもっとも人気の高いコースです。ただし、宝剣岳自体、難易度の高い山であるため、ある程度の経験が必要となります。また、宝剣岳近くの山荘である宝剣山荘を拠点に、近くの山と縦走するコースなども有名です。ロッククライミングのルートも多くあります。
このように宝剣岳の周辺には、難易度が高いコースや初心者でも挑戦できるコースまで、さまざまなコースがあります。登山者の経験に応じて無理なく登山を楽しむようにすることも大切です。
宝剣岳が鎮座する中央アルプスには美しい峰々が屹立する
中央アルプスは、南北におよそ100kmに伸びる木曽山脈の通称です。標高2956mの木曽駒ケ岳を中心に3000mに近い峰々がそびえたち、その姿に圧倒されます。また、氷河によって作られた千畳敷カールを望むこともでき、特徴的な風景を形成していることも有名です。
今回は宝剣岳への人気の登山コースをはじめ、宝剣岳とともに縦走したい人気の登山コースを難易度別にご紹介します。登山の際の装備などについてもご紹介しますので、ぜひ登山の際の参考にしてみてください。
人気の高い宝剣岳の登山コース2選
①千畳敷カールから右周りコース
駒ヶ岳ロープウェイで千畳敷駅まで登り、 乗越浄土を経て宝剣岳へと上るコースです。千畳敷駅から左側の石段を上がると駒ケ岳神社が鎮座します。登山の無事を祈りたい方はぜひ足を延ばしましょう。
千畳敷駅から千畳敷駅登山口に着くと急登がはじまります。八丁坂を超えると、宝剣岳の雄姿が見えてくるのがポイントです。さらに乗越浄土まで登っていくと、眼前に中央アルプスの峰々が見えてきます。宝剣山荘を過ぎ、鎖にロープが張られている登りを越えて10人ほどしか入れない山頂へと到達です。
初心者も目指せる難易度のコース
こちらの右回りコースは、八丁坂から乗越浄土の急な登りがあるものの、難易度の高い岩場などではないため、初心者の方も目指すことができます。登山の経験が少ない方で宝剣岳を目指そうという方は、このルートを往復するコースがおすすめです。歩行時間は1時間ほどとなっています。
②千畳敷カールから左周りコース
駒ケ岳ロープウェイの千畳敷駅から、三ノ沢分岐でもある極楽平を経由して宝剣岳山頂まで登るコースがこちらです。駅から主稜線を楽しみながら極楽平へと向かいます。
こちらのルートは、遭難の碑と呼ばれるポイントのあたりから岩場となっていく上級者用のルートです。ただし、鎖が設置されているほか、ステップなどもしっかりとあるため、難易度が大変高いというわけではありません。山頂まで鎖場が続き、高度感のあるルートとなりますので十分に注意して臨みましょう。
難易度高めの岩場の連続コース
登山経験のある方にはさほど難易度の高い上級コースではありませんが、鎖場が続くコースでもあるため、ある程度の経験が必要とされています。10mほどのほぼ垂直な壁などもありますので、登り下りでは十分に注意して臨みましょう。なお、こちらのルートも歩行時間はだいたい1時間程度となっています。
難易度別・宝剣岳の縦走コース3選
①宝剣岳+木曽駒ケ岳コース【初級者でも挑戦できる】
千畳敷カールから木曽駒ケ岳への登山コースは、中央アルプスを目指す多くの登山者が訪れるコースです。難易度はさほど高くなく、千畳敷駅から1時間ほどで宝剣山荘のある乗越浄土、さらに20分ほどで標高2925mの中岳、40分ほどで木曽駒ケ岳山頂へと至ります。
このコースでは、宝剣岳近くの宝剣山荘や木曽駒ケ岳山頂近くにある頂上山荘を利用するのがおすすめです。下山の際、帰りのロープウェイが混雑するため注意しましょう。
②宝剣岳+馬の背・濃ヶ池一周コース【中級者以上の登山者向け】
千畳敷駅から木曽駒ケ岳まで登り、馬の背を経て濃ヶ池まで下るコースがこちらです。アップダウンがあり、そびえたった岩場などもあるため、難易度は中級レベルとなります。濃ヶ池から駒飼の池へ向かう途中、目印を頼りに沢を横切る箇所もありますので注意が必要です。
木曽駒ケ岳から馬の背・濃ヶ池を一周するコースは、歩行時間およそ2時間ほどかかります。全行程は6時間以上かかり、日帰りではむずかしいので宿泊しながら登山するコースです。
③宝剣岳+三ノ沢岳コース【経験を積んだ上級者レベル】
こちらのコースは、千畳敷駅から極楽平、三ノ沢分岐を経て三ノ沢岳へとピストンするコースです。分岐から三ノ沢岳までは片道120分もかかり、急なアップダウンの岩場や力強いハイマツなどもあり、上級者レベルのハードなコースとなります。歩行時間も6時間以上となりますので、山荘などで宿泊して早朝に出発した方がいいでしょう。
なお、三ノ沢岳は足場は不安定なので、慎重に登山するように心がけることが大切です。
宝剣岳登山へのアクセス方法
①千畳敷カールまでのアクセス方法
宝剣岳の登山コースで最も利用されているアクセス方法が駒ケ岳ロープウェイを使った方法です。宝剣岳の真下に広がる千畳敷カールまで、日本最高の高低差である950mを7分30秒で空中散歩できます。ロープウェイの起点は駒ケ岳ロープウェイのしらび平駅です。
しらび平駅までのアクセスは、マイカーの場合、菅の台バスセンターの駐車場を利用して路線バスで向かいます。公共交通機関では、JR駒ヶ根駅から路線バスでしらび平駅を目指しましょう。
箱根 駒ケ岳ロープウェイ
- 住所〒250-0522
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根139 - 公式サイトURLhttps://www.princehotels.co.jp/amuse/hakone-en/ropeway/
- 電話番号0460-83-1151(箱根園内)
- 営業時間9:00~16:40
②宝剣岳への拠点となる宝剣山荘へのアクセス
中央アルプス登山では、山荘を拠点に登山を楽しむ方法もおすすめです。宝剣岳のそばには宝剣山荘があります。この山荘は、駒ケ岳ロープウェイの千畳敷駅から南アルプス連峰の絶景を楽しめる乗越浄土と呼ばれる場所する山荘です。なお、「乗越浄土」は「のっこしじょうど」と読みます。
こちらの山荘は道中の休憩スポットとしてもおすすめです。立ち寄りの際は宝剣山荘オリジナルの人気商品の天空ソフトクリームをぜひいただきましょう。
宝剣山荘
- 住所〒399-4301
長野県上伊那郡宮田村 中央アルプス宝剣岳北方下100m - 電話番号090-5507-6345
090-7804-2185(1月から6月) - 公式サイトURLhttps://miyadakankou.co.jp/houkensansou
③木曽駒ケ岳との縦走で利用しやすい頂上山荘
高山植物の宝庫とも呼ばれる木曽駒ケ岳のすぐ下に位置する山荘がこちらです。宝剣岳の近くに位置する宝剣山荘の系列で、山荘の目の前には幕営地となっているため、キャンプしながらの登山も可能となっています。なお、幕営地を利用する際、予約する必要はありません。
縦走しながら宝剣岳登山を目指そうという方、無理なく登山を楽しみたい方はぜひ山荘を利用しながらのんびりと山時間を満喫しましょう。
頂上山荘
- 住所〒399-4301
長野県上伊那郡宮田村 中央アルプス中岳と駒ケ岳の鞍部 - 電話番号090-5507-6345
090-7804-2185(1月から6月)
宝剣岳へ臨む装備について
季節に合った防寒具を持参しよう
宝剣岳は、遭難や事故で亡くなった方もいる大変に難易度の高い山です。登山経験者であれ、過信して臨むと危険な山でもあることを確認し、しっかりとした装備を準備する必要があります。
まずは防寒対策です。宝剣岳は6月までは雪が積もり、山頂の気温は、8月の最高気温でも17度ほどと低くなっています。また、駒ヶ根高原との温度差は12度ほどあると言われているため、防寒着の準備はしっかりとしておくことが大切です。
安全対策としてのヘルメットも重要
宝剣岳への登山で忘れてはならないのがヘルメットです。宝剣岳は、事故などが起こる山でもあるため、ヘルメットの着用は安全登山へとつながります。
宝剣岳は、長野県山岳遭難防止対策協会がヘルメット着用を奨励している山域に指定されています。宝剣岳登山の拠点となる宝剣山荘ではヘルメットのレンタルも可能ですが、宝剣岳を目指すことにした方はぜひヘルメットを購入して装備万端で臨むようにしましょう。
登山用のグローブも忘れずに
通常の登山で利用する方はあまり多くはないグローブですが、宝剣岳の登山では、コースによっては鎖場などもあるため、持参していくのがおすすめです。夏のシーズンでは日焼け予防にも働きますので、ご自身の手になじみ、使いやすいタイプのグローブを用意しましょう。
なお、軍手を持っていかれる方もいらっしゃいますが、軍手は乾きにくいため、実は使い勝手があまりよくありません。できれば速乾性の高いグローブを持って行かれる方がよいでしょう。
宝剣岳で難易度の高い上級コースへ挑戦を!
宝剣岳は難易度が高い山です。ただ、しっかりと登山経験を積み、季節に合った装備を準備して臨めば、決して手が届かない山というわけではありません。いきなり宝剣岳山頂を目指すのはちょっとという登山者は、難易度がさほど高くはない周辺の登山コースなどで経験を積むことからはじめてみてはいかがでしょうか。
宝剣岳が鎮座する中央アルプスには、実にさまざまな峰が屹立します。こうした山での登山を経験し、宝剣岳登頂を目標に掲げてみるのもおすすめです。次の休日にはさっそく宝剣岳を臨みましょう。
中央アルプスの登山コースが気になる方はこちらもチェック!
今回は中央アルプスの中でも宝剣岳の登山コースについて難易度別にご紹介しました。宝剣岳に限らず、ほかの中央アルプスの峰々の登山コースが知りたいという方はこちらの記事が参考になりますのでぜひ目を通してみてください。中央アルプスでの登山経験がさらに豊かになるはずです。天候も体調もすぐれた休日にはぜひ中央アルプスへ出かけましょう。
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