紀元前から楽しまれていた硬式テニス
硬式テニスの歴史は古く、ボールを打ち合う人々を描いた紀元前15世紀の壁画が発見されています。その後貴族の遊戯として定着し、1877年の第1回目ウィンブルドン選手権につながるのです。
ウィンブルドン以外の国際的な世界大会は、1月の全豪オープンから始まり、全仏オープン・全米オープンとなります。この4大大会の総称がグランドスラムです。五輪をきっかけに硬式テニスのルールを覚え、各大会の観戦も楽しみましょう!(この記事は2021年7月9日時点の情報です)
硬式テニスと軟式テニスの違い
日本では硬式テニスの他に、ゴムボールを使った軟式テニスもあります。軟式テニスは、硬式テニスの道具の国産化が難しかったことや輸入品が高価だったことから、日本で考案された競技です。
ルールは硬式テニスのルールを踏襲していますが部分的に異なり、技術面でも違いが少しあります。例えば、硬式テニスでは左側のボールは手の甲を向けて返球しますが、軟式テニスでは掌を向けるのです。機会があればチェックしてみてください。
硬式テニスのルール:基礎知識
テニスは「ラリー」が見もの
硬式テニスは、1対1で相手のコート(陣地)にボール打ち返すのがルールの競技となります。単純にいえば得点は、相手に打ち返したボールが自分のコートに戻ってこない場合に加点されるのです。
打ち返しが続くことを「ラリー」といいますが、テニスの面白さはこのラリーが続くことにあります。硬式テニスの技術の種類には「スマッシュ」や「ボレー」などのショットがあり、これらによって試合の流れが変わることが醍醐味なのです。
硬式テニスのショットの種類
硬式テニスの基本ショットは6種類あります。プレーを始めるときの「サーブ」、サーブを返すときの「サービスリターン」、相手と打ち合う「ラリー」、ワンバウンドでボールを打つ「ストローク」、ノーバウンドでボールを打つ「ボレー」、ラリー中に頭上でボールを打つ「スマッシュ」です。
他に、利き腕で打つことを「フォアハンド」、反対側の手の甲で打つことを「バックハンド」といいます。ショットの種類もぜひ覚えてください。
「サーブ」と「レシーブ」の交替はゲームごと
硬式テニスの試合のルールは、相手のコートにボールを打つ「サーブ」が試合の開始となります。サーブとレシーブの交替のタイミングは1ポイントごとではなく、1ゲームごとのルールになります。
サーブは試合運びを有利に運ぶための技術なため、強烈なサーブを打つことで相手の「レシーブ」にミスが出てポイントを獲得しやすくなるのです。
「チェンジコート」の交替は奇数ゲームごと
硬式テニスのルールでは自分側と相手側のコートをゲームごとに替えます。ただし1ゲームごとではなく、1ゲーム終了したときと、以降は2ゲームの終了ごとに行われるルールです。チェンジコートのルールの覚え方として「奇数ゲームの終了後」と認識しておくとよいでしょう。
さらに詳しくいうとチェンジコートは90秒間あり、休憩タイムも兼ねています。チェンジコートは水分補給や気持ちを切り替えるのに役立つのです。
シングルスとダブルスの違い
硬式テニスには1対1で試合をする「シングルス」の他に、2対2で試合をする「ダブルス」もあります。ルールはほぼ同じですが、コートの面積が少し異なるのです。
シングルスのコートの広さは、タテのベースラインは変わりません。しかしヨコは、サイドラインが内側にひかれているラインが採用され、ダブルスよりも3メートル狭くなります。ダブルスは2人のため、シングルスよりもコート幅を広く使えるのです。
硬式テニスのルール:得点の構成
硬式テニスの得点の用語は、ポイント・ゲーム・セット・マッチとあるため少し複雑ですが、覚え方のコツとしてそれぞれの関係性を把握すれば難しくありません。ポイント<ゲーム<セット<マッチと、右に行くほど大きくなると捉えてみてください。
ポイントはゲームに含まれ、ゲームはセットを含まれます。そしてセットはマッチに含まれ、最終的にはマッチに全要素が含まれるのです。次に、これらの用語について詳しくご紹介します。
「ポイント」は1つのプレイで獲得する点のこと
硬式テニスにおける「ポイント」は、1つのプレーで得られる点数のことを指し、得点の最小単位となります。原則的に4ポイント先取することで1ゲームを獲得できるルールのため、1ポイントの積み重ねが非常に大切なのです。
テレビなどで観戦していると分かるように、この1ポイントを獲得することは非常に過酷で、高度な技術がプレーに求められるといえます。
ポイントの「コール」
硬式テニスでのポイントをコールするときは、1点・2点・3点・4点ではありません。ルールでは英語で0点を意味する「ラブ」から始まり、英語で15・30・40と数えます。最後は「ゲーム」となり、そのゲームは終了です。
「ゲーム」は「ポイント」で構成される
「ゲーム」は「ポイント」の一つ上の単位となり、ポイントをまとめたものがゲームといえます。硬式テニスのルールは1ゲーム=4ポイント(0・15・30・40)と覚えるとよいでしょう。
硬式テニスにおけるポイントの「コール」は、15-15と30-30の場合は「オール」といいます。しかし40-40の場合は「デュース」といい、相手に2ポイント差を付けないと、そのゲームには勝利できないルールなのです。
「セット」は「ゲーム」で構成される
硬式テニスの「セット」は「ゲーム」より一つ上の単位となり、1セットは6ゲームで構成されます。つまりセットは、ゲームの集合体といえるでしょう。
硬式テニスで1セットを獲得するための条件は、6ゲームを先取しなければいけません。硬式テニスのルールでは、3セットマッチの試合は2セット先取で勝利となり、5セットマッチの試合は3セット先取で勝利となります。
スコアが6-5の場合
硬式テニスのルールでは6ゲーム先取できれば1セット獲得できますが、セットのスコアが「6-5」と競っている場合は、さらに1ゲーム行われるルールになっています。
ルールでは、リードしている選手がポイントを獲得できると「7-5」でセットは終了となります。リードされている選手がポイントを獲得できれば、白熱した「6-6」のタイブレークに突入となるのです。
タイブレークは2ポイント連続先取
ルールでは、6-6のタイブレークは2ポイント先取が条件となりますが、ようやく勝利できるのです。ちなみにタイブレークでのサービスの方法は変則的になり、そのセットで最初にサービスを打った選手がサーブを打つ権利を持て、右コートから行います。
あとは2ポイントずつ交互にバックサイドとフォアサイドの順番に行い、6ポイントごとにコートチェンジをし、2ポイント差が付くまで硬式テニスの試合が続くというルールです。
「マッチ」は試合そのもの
硬式テニスでの「マッチ」とは、試合そのもののことです。ルールでは、最大3セットの試合を行う「3セットマッチ」は、2セット先取すると勝利となります。「5セットマッチ」の勝利は3セット先取が条件です。
硬式テニスの3セットマッチは主に女子シングルスやダブルスなどで採用され、5セットマッチは主に男子シングルスで採用されています。2021年の東京五輪で男女ともに採用されているのは、3セットマッチです。
硬式テニスのルール:得点の数え方
ルール①4ポイント先取で1ゲーム勝利
硬式テニスのルールによると1ゲームにおいて4点を先取で、そのゲームを獲得したことになります。1ゲームを獲得するには、まず4ポイントを先取するのがルールなのです。
このように硬式テニスは4ポイントを先取(40-0)できれば、そのゲームはストレート勝ちとなります。硬式テニスの試合は1ポイントを大切にすることが1ゲームの獲得に結び付くため、当たり前のことながら油断は一切できません。
ポイントが同点の場合
硬式テニスでは、ストレートでの4ポイント獲得は理想的な展開です。しかし同レベルの選手との試合では、事はそう簡単には運びません。得点が同点になる場合もおきます。そのときに決着を付けるルールがあります。
40-40になった状態を「デュース(Deuce)」といい、事場合の勝利の条件は1ポイント先取ではなく、2ポイント先取となります。そのときに適用されるルールが「アドバンテージ(advantage)」です。
「アドバンテージ(advantage)」は優先権
硬式テニスの「アドバンテージ(advantage)」は試合がデュース(40-40)になり、自分か相手かのどちらかが1ポイント先取することが条件になります。アドバンテージが付いたほうが有利になり、続けて1ポイント取れると、その1ゲームの勝利者となるルールです。
しかしルールでは相手が1ポイント獲得すると再び「デュース」になり、2ポイント取れるまでアドバンテージが行ったり来たりを繰り返します。
「セミアド」や「ノーアド」方式もある
さらに詳しくいうと硬式テニスのルールは、長時間試合を長引かせないために、「セミアド(セミアドバンテージ)」と「ノーアド(ノーアドバンテージ)」という方式が採用されることもあります。
「セミアド」はデュースを1回しか行わず、デュース後に1点先取した人が勝利となるルールです。「ノーアド」はデュースを一度も行わず、「40-40」のあとに1点先取した人が勝利するルールとなっています。
ルール②相手のミスは自分に加点
硬式テニスは、いろいろな技術を駆使して相手のミスを誘発させる競技ともいえます。互角な相手であればラリーの応酬が続きますが、永遠とラリーを続けるわけにはいきません。
そこで硬式テニスには、″加点させるための細かなルール″が設けられているのです。そのルールについてまとめました。
サーブが2本とも入らないとき
硬式テニスの試合の開始はサーブからとなり、ルールとしてサーブは2本打てる権利があります。1本目をファーストサーブ、2本目をセカンドサーブといい、1本目は破壊力のある打ち方です。失敗できない2本目は慎重な打ち方になります。
しかし2本ともサーブを失敗した場合は、相手に加点されてしまうルールです。ちなみに、1本めのサーブが失敗したら「フォルト」といい、2本めも失敗したときは「ダブルフォルト」といいます。
ボールが2バウンドしたとき
コートに落ちた相手からのボールは、地面に2回以上着いてから打ち返すのはルール違反となります。ミスをして2回地面にボールが着くと、自動的に相手側の得点になるのです。つまり一回だけ着く「ワンバウンド」で返すのが、硬式テニスのルールです。
または、1回も地面につかずに打ち返す方法は「ノーバウンド」といいます。これは硬式テニスのルールにのっとった方法となり、有効な硬式テニスのショットの種類の一つです。
ボールがコートの外に落ちたとき
硬式テニスは「コート」という決められた場所の中で行わなければいけません。ルールとして自分が打ったボールがコートから外れたときは、相手に得点を与えてしまいます。
球速の速い硬式テニスでは、コートの各ラインの延長線上に確認する審判がおり、ボールがラインから出た場合は「アウト」という声が掛かるのです。ラインの上は「オンザライン(on the ine)」といい、ラインにかかっているためセーフになります。
ネットに当たったボールが自分側に落ちたとき
返球はワンバウンドでも、ボールがネットにかかって自分のコートに落ちてきた場合は、ラケットで返球しなければなりません。ルールとして、返球できなければやはり相手に得点を与えてしまうのです。
硬式テニスではときどきあることですが、ネットの真上で回転したボールが戻ってくることもあります。その場合も自分側のコートに来たボールは、相手側に返さなければ得点につながらないルールなのです。
相手の打球が自分の身体に触れたとき
硬式テニスのルールでは、相手のボールが自分の身体に触れてしまうと、その時点で相手に得点を与えてしまいます。自分のウェアやシューズに当たっても、その時点で自分のポイントにはならないというルールです。
硬式テニスは、あくまでもラケットで相手のコートに返球することがルールとなります。ラケットであればグリップや柄の部分で返球しても問題ありません。
硬式テニスのルール:試合の進め方
サービスとコートの選択権を決める
硬式テニスの開始前に行うことは、サービスとコートの選択権を決めるためのトスです。ルールでトスは、ラケットを回して倒れたときのグリップエンドのメーカーロゴの上下で決めます。勝った人がサーブ・レシーブまたはコートを選べるのです。ラフな試合ではコインを回し、コインの裏表を当てて決める方法もあります。
硬式テニスでは、日照条件などの気象が影響する場合はサーブを選択せず、コートを選択するのも一つの方法です。
硬式テニスの具体的な試合の進め方
サーブ権とコート権を決めたあとの進め方は、これまでにまとめてきたとおりです。硬式テニスのルールでは、4ポイント先取またはデュースでの2ポイントを連続して獲得することで、その1ゲームをようやく獲得できます。
あとは1セット6ゲーム先取するまでの地道な繰り返しです。3セットマッチの試合では2セット先取することで、長い苦闘の末の最終的な勝利を手にすることが可能になります。
硬式テニスのルールを覚えて五輪を楽しもう!
硬式テニスのルールは、まとめると次のようになります。1ゲームは4ポイント先取制となり、さらに6ゲーム先取することでようやく1セットが獲得できるのです。東京五輪では3セットマッチのため、2セット獲得することが勝利の条件となります。
東京五輪は原則的にテレビ観戦となりますがルールを覚え、並大抵ではないトレーニングを積み重ねて大会に臨むすべての選手を応援しましょう!
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東京五輪では、硬式テニス以外の競技も気になるのではないでしょうか。東京五輪で初の正式競技に採用されたスポーツクライミングや、2000年から男女ともに実施されたトライアスロンのルールもチェックしてみませんか。詳しく紹介されてあるのでご参考にしてください。

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