競泳のルールを知れば観戦の楽しさ倍増!
水泳はプールなどで泳ぎの練習を行う学校も多く、比較的なじみがあるスポーツではないでしょうか。小学生の時にスイミングスクール通っていた方や、お子さんをスイミングスクールに通わせていらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。
なかでも、泳ぎの得意な人々がするスポーツ、競泳はコンマ1秒で勝負が決まる見どころあるスポーツです。オリンピックでも、競泳は日本の選手がよく活躍してくれていますよね。この記事ではそんな競泳の基本的なルールについて解説します。
競泳のルールは連盟が定めている
国内で行われる競泳の大会のルールは、日本水泳連盟の『競泳競技規則 競技役員(競泳)の手引き』によって定められており、世界大会はFINA(国際水泳連盟)が競泳のルールを管理しています。
オリンピックで行われる競泳は競泳競技規則 競技役員(競泳)の手引きではなく国際ルールでもあるFINAが定めるルールで行われるため、日本のルールとは若干異なるのです。
競泳はタイムを競う競技
競泳はプールで一定の距離を決められた泳ぎ方で泳いで時間を争うタイムレースです。オープンウォータースイミング(マラソンスイミング)と呼ばれる、海や湖、川で行われる長距離のレースもありますが、競泳の多くの種目はプールで行われています。
競泳競技が行われるプール
競泳のプールには25メートルプールと50メートルプールがあります。25メートルプールの方がターンの回数が多い分、好記録が出やすいです。
レーンは8レーンまたは10レーンで淡水でなくてはいけない、という決まりがあります。また水温は25〜28度となっており、冷たすぎても暖かすぎてもいけません。
レーンを分けるロープの色
競泳のプールにはレーンを分けるロープが張られています。この色も決まりがあり、8レーンの場合中央から3本は黄色、その横2本が青、1番端は緑と決まっているのです。また、どのロープもスタートもしくは折り返し地点から5メートルまでは赤色になっています。
泳ぎながら、後どのくらいで壁にぶつかるのかロープの色で判断できるようになっているのです。
オリンピックのルール
オリンピックにおける競泳のプールは、50メートルプールで10レーンあり、深さは3メートルです。水温は25〜26度で電子計測式タッチパネルが採用されています。これは、タッチした瞬間を1/100秒まで正確に計測できる優れた計測機器です。
競泳競技の種類と種目
競泳競技の種類と種目について解説します。競泳の種類は個人と団体に分かれており、種目が、バタフライ、平泳ぎ、背泳ぎ、自由形と多くの泳ぎ方があるのです。
ここではそんな競泳競技の種類と種目について解説するのでぜひ参考にしてください。
競泳の泳ぎ方別の種目について
競泳ではバタフライ、平泳ぎ、背泳ぎ、自由形のレースの他に、それぞれの種目を1人で泳ぐ個人メドレー、1チーム4人の団体メドレー、自由形のフリーリレー、(男女)混合メドレーがあります。
自由形は基本的に自分の好きな泳ぎ方で問題ありませんが、現在ではクロールを選ぶ選手が多いです。クロールは疲労が少なく推進力が高いため、競泳には適している泳ぎ方となります。
泳ぎ方が制限されるメドレーの自由形
メドレー競技においては、自由形はバタフライ、平泳ぎ、背泳ぎ以外の泳法でなければなりません。また競泳では、スタートから15メートル以上は水の上に体の一部が出ていなければならないというルールがあるため、自由形で潜水は選べません。
その他の競技では、クロールでも横泳ぎでも自由です。しかし、メドレーの自由形でも個人の自由形と同様に大半の選手がクロールを選択しています。
オリンピック競泳の泳ぐ距離
男女それぞれ、自由型では50メートル、100メートル、200メートル、400メートル、800メートル、1500メートルがあります。バタフライ、平泳ぎ、背泳ぎでは100メートル、200メートルのみです。
また個人メドレーでは200メートル、400メートルがあり、リレーでは4×100メートル、4×200メートル、4×100メートルメドレーリレーとなっています。
競泳の基本ルールと種目ごとのルール
競泳には泳ぎ方別の種目や個人や団体などで行う種類が非常に豊富です。それぞれにルールがしっかりと定められている上、共通しているルールもあります。ここからはそんな競泳の種目や種類のルール、それぞれに共通している基本的なルールについて解説します。
競泳の共通の基本ルール
ここでは競泳のそれぞれの種目と種類に共通した基本的なルールについて解説します。競泳の基本ともいえることなので、競泳を観戦する際には必ず把握しておきましょう。
男女それぞれ実施
競泳競技は基本的に男女それぞれに行われます。東京オリンピックで採用されたような男女混合リレー以外で、男女が一緒のレースに出ることは競泳ではありません。
泳いでいる途中でレーンを変えることや泳ぎながらロープをひっぱることも禁止されています。自由形だけはプールの底に足をついたり、立ったりすることは許されていますが歩くと失格です。
スタートのルール
審判長の合図で選手はスタート位置につきます。出発合図員の号令でスタートの姿勢をとり、じっとスタートの時を待つのです。その後、出発合図員はすべての選手がスタートの姿勢から動かなくなったら合図をし、競技が開始されます。
その際、フライングしてスタートの合図より先にスタートしてしまったら、その選手は失格です。
自由形のルール
自由形はクロールを選ぶ選手が多いですが、基本的に泳法が自由に選べる種目です。とはいえ、どんな泳ぎ方でもできるわけではありません。競泳の自由形にはしっかりと下ルールがあるのです。
スタートのルール
自由形で背泳ぎを選ばない場合、スタートはプールの縁の飛び込み台から行われます。これはどの種目でも基本的に同じことでしょう。
ターンやゴールのルール
ターンやゴールの時には、体のどこか一部が必ず壁に触れていなければなりません。それが守られていれば、体の向きなどは自由です。
潜水は不可能
競泳ではスタートから15メートル、折り返しの壁から15メートル以外では、体の一部が水面より上になければならないというルールがあります。そのため、終始潜水で泳ぐということはできません。
メドレー自由形のルール
メドレーの場合はバタフライ、背泳ぎ平泳ぎは選べません。というのも、メドレーでは同じ泳ぎ方を二回してはいけないというルールがあります。そのため、自由形でも一度種目として泳いだ泳法で泳ぐことはできないのです。
背泳ぎのルール
背泳ぎは仰向けになって泳ぐ競技です。そして、スタート、ターン、ゴールとそれぞれにルールがありますので具体的に説明します。
スタートのルール
背泳ぎの時は選手はスタート台の方を向き、両手でプールの壁にあるスターティンググリップを持ちます。この時、排水溝やプールの縁に足をかけてはいけません。また、壁から15メートル以上では体の一部が水面に出ている必要があります。
ターンのルール
ターンでは必ず、壁に触れる必要があります。その間は体がうつぶせになっていても大丈夫ですが、壁から離れたら仰向けの姿勢にならなければなりません。仰向けでないと背泳ぎとは認められないため、反則となります。
ゴールのルール
ゴールの時、選手は仰向けのまま両手で壁にタッチします。上を向いて泳ぐので壁の位置がわかりづらいですが、選手は、サイドのロープの色などから壁までの距離やゴールまでの距離を判断するのです。
平泳ぎのルール
一番古い泳法で、近代オリンピックの最初からあった泳法です。この平泳ぎにも決められたルールがあります。そんな平泳ぎのルールについて具体的に解説します。
基本の泳ぎ方
平泳ぎでは、両腕の動きは左右対称となります。この時、選手の手は最初の一かきと最後の一かきを除き、お尻より後ろに持ってきてはいけない上、一かき目と最後の一かき以外は常に水中に入れておかなければなりません。
また、手で水をかいている間は、水面から頭の一部が出ている必要があります。両足は常に水中にあることが必須で、腕と同様に左右対称に動かすのです。
スタートのルール
最初の一かき目は両手の先をおしりより後ろに持っていっても反則にはなりません。また、最初の平泳ぎの蹴りの前に一度だけバタフライキックができ、高い推進力を得ることができます。
ターンのルール
ターンで壁に手がついたら折り返しの動作に入りますが、このあと足が壁から離れるまで、うつ伏せ状態になっている必要はありません。しかし、壁から足が離れたらうつ伏せ状態になる必要があります。
ゴールのルール
手が重ならないように両手で同時に壁にタッチする必要があります。また、ゴール直前の一かきだけは頭が水の中にあっても反則にはなりません。
バタフライのルール
見た目が豪快なため迫力があるバタフライですが、当然ルールがあります。ここではそんなバタフライの具体的なルールについて紹介するので参考にしてください。
基本的な泳ぎ方
基本的に、両腕は同時に水を後にかき、水面上で前に運びます。このとき両足は同時に上下運動しており、交互に動かしてはいけません。
スタートのルール
バタフライのスタートは最初から体はうつ伏せの状態です。スタートしてから15メートルより先は他の泳法と同様に体の一部を水面上に出さなければなりません。
ターンのルール
ターンの際、壁に手がついた直後はうつ伏せでなくても問題ありませんが、壁から足が離れたらうつ伏せにならなければなりません。また、スタート、ターンの後は水面に浮かび上がるために水中で数回のキックと後方への一かきを行えます。
ゴールのルール
ゴールの時は他の泳ぎ方と同じように、両手が同時に壁にタッチしなければなりません。そして、その際には両手が重なってしまうとルール違反となります。
メドレー競技のルール
競泳にはメドレー競技がありますが、メドレーには個人メドレーとメドレーリレーがあり、泳ぐ種目によってメンバーの順番が決められています。
個人メドレーの順番
競泳の個人メドレーで泳ぐ順番は、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形です。メドレーでは、決まった距離を四分割し、決められた泳ぎ方の順序で泳ぐ必要があります。メドレー自由形でも個人の自由形と同様にクロールを選ぶ方が多いようです。
メドレーリレーのルール
競泳のメドレーリレーでは背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、自由形の順番に引き継ぎます。それぞれの泳ぎ方を得意としている選手が選ばれて泳ぐため、接戦となることが多く、見どころが多い種目です。
リレーのルール
競泳のリレーは引き継ぎながら泳いでいく種目になります。メンバーは各チーム4人で、1人の選手が2回以上泳ぐことはできません。前の選手が壁にタッチしゴールする前にスタートしてしまった時、つまりフライングをしたチームは失格です。
競泳の大会に出場するためのルール
出場するには定められたルールを守らねば出場できません。出場するためのルールは『競泳競技規則 競技役員(競泳)の手引き』に記載されています。この手引きにある基本的な出場ルールについて解説するのでぜひ参考にしてください。
規則を順守し、フェアプレイを展開すること、全力を尽くして自己記録の向上に挑戦することを競技会参加の基本理念におかなければならない
ドーピングは厳禁
どの競技でもそうですが、競泳でも無許可の薬物を使うことはドーピングとされ、失格となります。思わぬ薬にドーピングとなる成分が入っていたりもしますので、薬を飲む時には成分にも注意が必要です。
わざと負けること
わざと力を出さずに負けることは失格となります。全力を出さないことはスポーツマンシップを蔑ろにすることですし、ライバル達にも失礼です。最悪の場合、八百長も疑われかねません。
理由のない棄権
競泳では病気や怪我などの理由なく棄権することは禁止されています。競泳の大会によっては棄権すると罰金が発生することもあるため重大なルールだといえるでしょう。
競泳選手の水着などの着装のルール
競泳では、選手の水着などの着装にも決まりがあります。特に水着は時代によって変わるため、一時期流行ったものが今では違反となる可能性があるのです。ここでは選手が身につける水着などの着装についてのルールを紹介するのでぜひ参考にしてください。
競泳の水着のルール
国際水泳連盟の決まりで、男性はヘソを超えず膝まで、女性は肩から膝まで(首や肩を覆うことはできない)で、ツーピースでもワンピースでも大丈夫です。素材は繊維のみで、ニ次加工をしてはいけません。
また重ね着も禁止ですし、透けている水着も禁止です。水着や体にテーピングするのも禁止されています。その他にも、大会に相応しく無いと判断された水着は禁止とされているのです。
ゴーグル・水泳帽子のルール
競泳ではゴーグルや水泳帽子は使ってもよく、水泳キャップは2枚かぶっても大丈夫です。ほとんどの競泳選手はゴーグルをつけていますが、義務ではありません。
基本的にゴーグルがない方が水の抵抗は少ないのですが、最近のゴーグルは抵抗をできるだけ少なくするように設計されていますので気にする選手も少ないのでしょう。
競泳の広告ルール
競泳はスポンサーの付いているスポーツです。スポンサーの広告として、水着、水泳帽、ゴーグル、タオル、またその他の身につけるものや役員ユニフォームの規定に定められた範囲でロゴマークなどの広告が入っても大丈夫です。
ただし、体に直接広告が入ってはいけません。
ルールを知るとより面白味が増す競泳競技
この記事では、競泳の基本的なルールである種類や種目、泳ぐ距離について紹介しました。それぞれの泳ぎ方のルール、水着などの着装や広告などについて細かいルールがあることが理解できたのではないでしょうか。
競泳はルールを知らなくても勝敗がわかる競技ですが、知っているとより面白く観戦することができます。競泳を観戦する際にはぜひ細かいルールにも注目してみると楽しみが増しますよ。
オリンピック競技について興味がある方はこちらもチェック
今回の記事ではオリンピック競技の中でもメジャーな競技である競泳についてそのルールを具体的に解説しました。もちろんオリンピック競技の中には競泳以外にも魅力的な競技が数多くあります。
そんなオリンピック競技について具体的に知りたい、という方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

日本の「馬術」の歴史をご紹介!競技会場や唯一のオリンピック金メダリストも!
現在の馬術は東京2020オリンピックでも正式種目になっている競技ですが、その歴史は古く紀元前の古代ローマ時代からあります。日本の馬術の歴史は...

古代オリンピックから続くスポーツ!レスリングの歴史を紹介!ルールや禁止事項も!
オリンピック種目で高い確率で日本がメダルを期待できるのがレスリングです。男女ともにメダルを獲得した歴史があり、日本にはオリンピックで4連覇を...

自転車競技、BMXフリースタイルのルールを解説!ストリートからオリンピックへ!
BMXフリースタイルは2021年東京オリンピックから正式種目になりました。「BMXはどんな競技なのか」「ルールや魅力を詳しく知りたい」という...