勿忘草とはどんな花?
勿忘草は「ワスレナグサ」と書き、「私を忘れないで」という花の意味と花言葉を持つ花です。花の名前と花言葉が一致するとてもめずらしい植物で、英名なども同じく「忘れないで」という意味が付けられています。
この記事では、勿忘草について花言葉の意味や人気の品種、花の名前の由来や基本情報について説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
勿忘草の基本情報
勿忘草はムラサキ科ワスレナグサ属の植物の総称です。学名の「ミオソティス」は「ネズミの耳」という意味で、葉の形から名付けられています。ヨーロッパ原産で、寒い地域が分布域です。
日本ではエゾムラサキがワスレナグサ属として自生していて、明治期にシンワスレナグサなどが渡来し、帰化植物になりました。特徴的な名前や花言葉から現在でも人気の花です。
勿忘草の開花時期
勿忘草は春に開花する花で、開花時期は3月から5月になっています。最盛期は4月で、適温が15℃から20℃のため、暑くなってくる5月には枯れてしまう一年草です。
日本では暑さに弱いために枯れてしまいますが、寒冷地や暑さに強い品種はそのまま夏を越して越冬し、再び春に花を付けます。そのため多年草という分類になっていることがありますが、暑さに強い品種かどうか注意して育てましょう。
勿忘草の育てかた
勿忘草は種から育てる場合は秋に種をまき、越冬させて春に開花させます。地植えの場合はとくに水やりが必要ない手のかからない品種ですが、霜には注意しましょう。
苗から育てる場合は1月くらいから市場に出回る苗を植えます。花が咲いてしまっている苗は根付きにくいため、花が咲く前の若い苗を植えるのがポイントです。肥料は多すぎると葉が増えて花を付けなくなるので、様子を見ながら少しずつ追加します。
勿忘草の花言葉
勿忘草の花言葉は、「私を忘れないで」「真実の愛」「思い出」です。花色は青や紫、ピンク、白のワスレナグサがありますが、花色による花言葉の違いはありません。「私を忘れないで」という花言葉は、英名の「Fogot-me-not」に由来します。
花言葉を意識して勿忘草を贈るときには、花束として贈るほかに鉢植えで贈ることもできますので、花言葉をよく知る人に相談してみましょう。
勿忘草の花言葉の由来
勿忘草の名前や花言葉は、中世のドイツの悲恋物語に由来します。昔、ある騎士がドナウ川のほとりを恋人と歩いている最中に美しい花を見つけ、恋人に贈るために岸を降りました。
しかし、誤って転落して川に流され、最後の力を振り絞って摘んだ花を投げ、「私を忘れないで」という言葉を残して亡くなってしまいます。残された恋人はこのときの言葉を花に付け、生涯身につけたそうです。
伝説から取られた花の名前
伝説の元となったドイツでの勿忘草は「vergissmeinnicht」と呼ばれ、これも「私を忘れないで」という意味です。日本では明治時代から「勿忘草」と呼ばれていて、「忘れてはいけない」という意味の古語が由来になっています。ヤブカンゾウやキスゲなどのキスゲ亜科を「ワスレグサ」と呼ぶため、混同しないように注意しましょう。
勿忘草の人気の品種
勿忘草は多くの園芸品種があります。また、「ワスレナグサ」として流通している品種にも種類があり、その中には日本在来種の植物もあるのが特徴です。学名や品種の名前が書かれていない勿忘草は、どの品種かわからないことがよくあります。
園芸品種ごとに花言葉の違いはなく、どの勿忘草の品種も同じ花言葉です。この項目では、日本で流通している人気の勿忘草の品種を7種類紹介していきますので、参考にしてみてください。
エゾムラサキ
エゾムラサキは和名で、学名をミオソティス・シルヴァチカといいます。日本ではワスレナグサとして売られていますが、学名で表示しているお店もあるのでよく確認してください。
学名は「山のワスレナグサ」という意味で、北海道から長野の山岳地帯にに自生する日本在来種です。花色は薄い青色と紫色で、勿忘草の中では草丈が高く、50cmになるものもあります。暑さに弱いため、育てるときには気温や室温に注意しましょう。
ノハラワスレナグサ
「高山の勿忘草」を意味するミオソティス・アルペストリスという学名を持つ勿忘草です。日本で流通する際には「勿忘草」としか書いていない場合があるので、ノハラワスレナグサを育てたい場合は確認しておきましょう。
花色は薄い青色と濃い青色で、草丈は20cmほどまで成長します。亜高山帯の植物のため、育てる場合は気温と水やりに注意が必要です。
シンワスレナグサ
ヨーロッパ原産の勿忘草で、「true」という英名が付けられるように狭義での勿忘草です。学名はミオソティス・スコルピオイデスで、「サソリの尾のような」という意味になります。
花色は薄い青色で、園芸品種や上記の2種類に比べると花の付き方がまばらのため、ガーデニング用にはあまり普及していません。
ミオマルク
ミオマルクは園芸用に開発された品種で、花の大きさが他品種の勿忘草よりも一回り大きい品種です。花の付き方も密集しているため、見栄えがよくガーデニングでも好まれます。
花色は薄い青色から薄い紫色で、暑さに強い改良がされているため、工夫をして夏を越せば次の春にもまた楽しめる勿忘草です。地植えもできるため、庭でも鉢植えでも花を楽しめる品種になっています。
ブルームッツ
ブルームッツは葉や花が大きい勿忘草で、見応えのある園芸品種です。葉も大きいため地面を覆いつくすように成長し、草丈も40cmほどになるため地植えのガーデニングで好まれます。
花色は青や紫のものが多く、緑の葉にもよく映えて春の花壇を彩ってくれるでしょう。暑さに弱いため、直射日光の庭では気温に気をつける必要があります。
ドワーフブルー
ドワーフブルーは、勿忘草の中でも小さい花が密集して咲くのが特徴の園芸品種です。一年草のため、翌年には枯れてしまうことに注意しましょう。草丈も20cm程度と小ぶりで、鉢植えで楽しむのに向いている勿忘草です。
花は小さいですが、一つ一つの株にドームのようにたっぷりと花が付くため見栄えがよく、ガーデニング用の勿忘草として人気の品種になります。適温は15℃ほどのため、日陰を作るなど注意して育てましょう。
ビクトリア
ビクトリアはエゾムラサキを品種改良した勿忘草で、花色の多さが特徴です。青や紫だけでなく、ピンクや白い花色のものがあります。ピンクや白い花をした勿忘草はめずらしいため、見かけた場合はビクトリア種であることが多いです。
花の色は異なっていますが、花言葉は変わらず「私を忘れないで」となっています。そのため、ピンクのビクトリア種を花束などの差し色として使う場合は、花言葉の意味に注意しましょう。
勿忘草の花言葉まとめ
「真実の愛」「私を忘れないで」などの勿忘草の花言葉の意味や由来、日本で流通している人気の品種について解説してきました。勿忘草は花の名前が悲恋物語から取られ、花言葉や和名もその伝説を踏襲するというめずらしい花です。
花言葉が少し重い意味の花のため、誰かに贈るときは複数の花を添えて花言葉の意味を組み合わせて贈るといいでしょう。プレゼントする際の参考にしてみてください。
勿忘草の花言葉が気になる方はこちらもチェック!
勿忘草は「真実の愛」「私を忘れないで」など、深い意味の花言葉を持ちます。花色で花言葉が変わることはありませんが、プレゼントするときは注意が必要な花言葉を持つ植物です。
勿忘草の花言葉が気になる方は、いろいろな意味を持つ花言葉や品種を調べられる以下の記事もチェックしてみてください。青い花や育てやすい野草など、多くの花の花言葉や育てかたが調べられます。
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