ヒエンソウとは?
ヒエンソウはキンポウゲ科コンソリダ属(ヒエンソウ属)の植物です。南ヨーロッパが原産で、日本には明治時代初期に渡来しました。
学名はコンソリダ・アジャシス。英名ではラークスパー、日本ではヒエンソウ(飛燕草)と呼ばれています。花の形が、飛んでいる燕に似ていることが由来です。他にもチドリソウの名で呼ばれることもあります。
ヒエンソウは暑さに弱い
ヒエンソウは寒さには強く、暑さには弱いのが特徴です。生命力が強いので、ガーデニング初心者の方でも簡単に育てられます。
原産地では多年生の植物として分類されていますが、日本では一年草として扱われています。ヒエンソウにとって、日本の夏は暑すぎて乗り越えることが難しいためです。
ヒエンソウとデルフィニウムは別の植物
ヒエンソウとデルフィニウムは別の植物です。デルフィニウムとは、キンポウゲ科デルフィニウム属の植物の総称を指します。主な原産地は中国や中央アジアの山岳地帯などです。
この2つは見た目も似ていますが、紛らわしい名前を持つ種類もあります。中国から渡来した「オオヒエンソウ」や「セリバヒエンソウ」などです。この2種類は「ヒエンソウ」がついていても、デルフィニウム属の植物でヒエンソウではありません。
ヒエンソウの開花時期
ヒエンソウが開花時期は5月から6月(春から初夏の季節)です。茎の先端に縦に密集して花を咲かせます。細かい葉とまっすぐ伸びた茎が特徴です。背丈は30㎝から100㎝程の高さに成長します。
実は。大きな花びらに見える部分は、「咢(ガク)」という葉が変形してできたものです。本物の花は咢の中央にある小さく突出している部分です。 花の色は、青紫・白・ピンク色などがあります。
ヒエンソウの栽培方法
ヒエンソウの栽培方法を決めよう
ヒエンソウは種または苗から育てられます。花壇などへの地植えはもちろん、鉢やプランターを利用しての栽培も可能です。
連作障害が起きやすい種類です。他の植物を植えていた場所へ連作することや、同じ土をそのまま利用することはおすすめできません。同じ場所や土を利用する場合は、1年以上期間を空けるか、土を消毒してから植えましょう。
ヒエンソウを植える土作り
ヒエンソウを地植えする場合
ヒエンソウを植える場所の土を一度掘り起こし、苦土石灰を混ぜて酸性土壌を中和させます。水はけを良くするために、腐葉土も混ぜ込みましょう。元肥として緩効性肥料も混ぜこみます。各作業とも1週間ほど間隔を空けてから次の作業を行うようにしましょう。
1㎡の土に対し、苦土石灰は100g、腐葉土は10ℓ、緩効性肥料は50gが必要量です。腐葉土だけでは水はけが不十分な時は、川砂も混ぜましょう。
ヒエンソウをプランターで栽培する場合
ヒエンソウをプランターや鉢で栽培する場合は、6号から8号で1株が目安です。株と株の間は25㎝から30㎝以上空ける必要があります。出来上がりをイメージして選びましょう。
土は赤玉土6:腐葉土4の割合で作ります。そこに緩効性肥料を混ぜ込んで完成です。自分で土を作ることに手間や不安を感じる場合は、市販の草花用培養土をぜひお使いください。
ヒエンソウのお手入れ方法
ヒエンソウは風通しの良い日向で育てましょう。水やりは「土が乾いたら」を目安に行います。地植えの場合は雨にお任せでも大丈夫です。
ボリュームのある姿に育てたいならば、春に摘心しましょう。背丈が高くなってきたら、必要に応じて支柱を立ててあげると、折れにくくなるので安心です。
ヒエンソウへの追肥のタイミング
ヒエンソウを元気に育てるため、春の生育期に追肥を行います。緩効性肥料を株元に置き肥してください。
また、開花期には液体肥料を水やり代わりにあげましょう。7日から10日置きが目安です。ちょっとした手間を加えることで、きれいな花を長く楽しむことができます。
ヒエンソウを霜から守ってあげよう
寒さに強い特徴を持つヒエンソウですが、できることなら霜からは守ってあげましょう。
プランターや鉢で栽培している場合は、日当たりと風通しが良く、霜の当たらない場所に移動します。地植えなら不織布でトンネルを作り、守ってあげましょう。
ヒエンソウは立枯病に気を付けよう
ヒエンソウの栽培で注意すべきは立枯病(たちがれ病)です。土の中に発生するカビが原因で感染します。初期症状は発育不良です。次第に葉や茎の変色や腐敗が起き、やがて枯れてしまいます。
発病の原因は過湿や、感染している土での連作です。連作は避け、清潔で排水性の良い土を用意してから栽培を始めてください。また、枝や葉が密集していると過湿の原因になります。風通しが良くなりますので、剪定も行いましょう。
ヒエンソウの種まき・苗植え方法
ヒエンソウの種まきは秋におこなう
ヒエンソウの種まきに適した季節は秋です。10月から11月に種まきをしましょう。ヒエンソウの種は高温が苦手です。ある調査では、「土温度が25℃以上あると発芽率が著しくダウンしてしまう」という結果が出ています。発芽に最適な土温度は15℃です。
また、ヒエンソウの種は光が嫌いです。5㎜ほどの深さの穴をあけ、種を入れたら優しく土をかぶせてあげましょう。
ヒエンソウの種を収穫しよう
ヒエンソウの開花が終わってしまったら、次はぜひ、種の収穫をお楽しみください。サヤが茶色になったら種の完成の合図です。種を収穫する場合は、花が萎れても刈り取らないでくださいね。
収穫後は種をよく乾燥させ、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れます。冷蔵庫で保存し、次の種まきシーズンを楽しみに待ちましょう。ちなみに、こぼれ種から再びヒエンソウ楽しめる場合もあります。
ヒエンソウの苗の定植は晩秋に
ヒエンソウの苗の定植に適した季節は晩秋です。11月から12月に行いましょう。ヒエンソウは移植が苦手ですので、くれぐれも根を傷めないように注意してください。
ヒエンソウを定植したい場所に、苗の根鉢より3倍の大きさの穴を掘ります。苗をそっと置いたら、優しく土をかぶせて完了です。2つ以上の苗を植える場合には、苗株の間は25㎝から30㎝ほど空けましょう。
ヒエンソウの強い毒性にご注意!!
ヒエンソウの種や草には、「デルフィニン」という強い毒性があります。ヒエンソウが属するキンポウゲ科の植物には毒性を持つものが多く、猛毒で有名なトリカブトもキンポウゲ科の仲間です。
万が一食べてしまった場合、嘔吐や下痢、痙攣や呼吸困難などの症状が現れます。最悪の場合、死に至ることも。くれぐれも食さないよう、ご注意ください!特にペットや小さなお子さんのいるご家庭では気を付けてくださいね。
ヒエンソウの栽培方法のまとめ
南ヨーロッパ原産で、寒さに強く暑さに弱いヒエンソウ。青紫や白、ピンク色などの花を、春から初夏の季節に咲かせます。ヒエンソウの栽培スケジュールは、下の表をご参照ください。
種や苗を通気性・排水性・保水性の良い、清潔な土に植えることが、立枯病を予防しながら開花まで栽培するために大切なポイントです。 開花後に枯れてしまっても、それが一年草の宿命なのでご安心ください。その分、大切に育ててあげてくださいね。
ヒエンソウの他にも毒性のある植物はある
今回、ヒエンソウの栽培方法に加え、強い毒性についてもお伝えしました。ヒエンソウの他にも毒を持つ植物の種類がたくさんあります。毒を持っている身近な植物に関する記事を3つご紹介します。
植物はたくさんの癒しを与えてくれますが、一歩間違えると危険な場合があるのも事実です。ヒエンソウのように毒性のある植物も、正しい知識を持っていれば、安心して栽培を楽しめます。ぜひご参考になさってください。
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出典:ライター撮影