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【連載】釣って食べるシリーズ第12弾。ぶっこみで釣れた高級魚をムニエルに!

関東以北の釣り人にはあまり馴染のないフエダイ科のお魚ですが、これが食べ方次第でとても美味しい魚になります。今回はフエダイの仲間でも見分けの付けにくいフエダイを用意しました。食べ方はムニエル。最後まで本名は伏せておきますので、途中で判った方は挙手をして下さい。
2020年9月3日
kuma10
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フエダイの仲間は旨い!

前回の「釣って食べるシリーズ」までに2度「ヒメフエダイ」が登場しましたが、フエダイの仲間は本当に美味しいものが多く、南の釣魚ランキングでは人気投票上位に必ず顔を出します。ただし種類が多く、顔だけで「お、フエダイ系の魚だ」などと判断を下しても、実は「何フエダイ」なのか分からずに食べていることも多々あります。基本的にどのフエダイもお刺身が美味しいので、今回は腹身と背身の尻尾をお刺身にし、背身の厚い部分をムニエルにしてみました。

フエダイの仲間たち

クロホシフエダイ

「幻」と呼ばれる「シブダイ」の1種。背中の黒点からクロホシフエダイと呼ばれますが、夏場の磯釣りの人気者です。釣り方は、月の無い夜のぶっこみが主流です。本当の「幻」は斑点の白い「シロホシフエダイ」なのですが、どうしてどうして、こいつも旨味では負けていません。鹿児島以南の夏の磯釣り(夜釣り)の好ターゲットです。めちゃめちゃ旨い魚ですよ。

イッテンフエダイ

実はこいつはなかなかのやっかいもので、今回私の釣ったフエダイと姿形が非常によく似ていますが、さすがにこいつは悪食のkuma10も食べません。いえ、食べられません。味は良いらしいのですが、こいつは「シガテラ毒」保有率がすこぶる高い魚で、ウミンチュ(海人)も食べません。もし似たような魚が釣れたら、確信の無いまま食さないようにして下さいね。

ヨコスジフエダイ

これは関東でも時々お魚屋さんに並びますね。上品と言えば聞こえはいいですが、あまり味の無い白身魚です。最大級(50㎝近く)のものはお刺身で美味しいですが、小さなものはあまり誉められません。皮目をサッと炙った「焼霜造り」が定番でしょうか。

今回の釣り方「ぶっこみ」

釣り方の前に「異常潮位」


今回は熱帯低気圧がフィリピンの近くで発生し(のちの台風8号)ていることと、海水温が高いことの関係もあるのでしょうが、大潮とはいえ潮位が激あがりでした。潮汐表では満潮232㎝となっていましたが、じっさいには250㎝近く上がったのではないでしょうか。80代の貸切船船長も「こんなに潮が上がったのを見たことが無い」と言っていました。桟橋が水没し浜が無くなるほどの潮位でしたので危険と判断し、ジギングやアジングには出掛けず「ぶっこみ釣り」をしました。

お庭からぶっこんでやりました

ぶっこみ釣りの釣り方の基本は、ようはお魚の好きそうなエサを針に付けて投げておくだけの釣りです。今回は家の庭から投げ竿に改良してある3号磯竿にジェット天秤、ナイロン5号のリーダーに2本針で挑みました。エサはぶっこみの定番「タチウオの切り身」です。安い時に購入して塩漬けにして冷凍庫で保管しておいたものです。これは万能エサですので、ぜひみなさんもお試しください。

夜の10時に鈴が鳴る

夕方6時ころにぶっこんでおいた竿から「何か喰ってるよ!」と連絡がきました。そう、鈴が鳴ったのです。あわてて庭に飛び出しロッドキーパーから竿を外します。一気にアワセをくれて引き寄せますが、潮位が高く家の土台まで海水があがっています。当然浜に飛び降りるのはためらわれました。仕方がないのでティップの弾性を利用して抜き上げました。これやると竿先が痛むんだよなあ。揚がってきたのは35㎝オーバーのフエダイの仲間。すぐに締めてパーシャルへ。

フエダイの美味しい食べ方①「ムニエル」

ムニエルの基本は「小麦粉」

お刺身でいただく分は皮を曳いて、ムニエルの分は皮を残します。そのためにウロコ剥ぎは丁寧にしましょう。フエダイ系の魚でクセが出るのは皮からです。皮の掃除はきちんとします。切り身を作り、塩胡椒をしたら15分程度置き、表面をキッチンペーパーで押さえたら薄く小麦粉を振ります。

皮が縮まないように押さえて

フライパンに大さじ1のオリーブオイルを敷き火を点けます。オイルが温まったらバター10gとにんにくのみじん切り1片を加え、香りが出るまで温めます。充分に香りが出たところでフエダイの切り身を皮目から入れていきます。網杓子などで上からギュッと押さえながら焼くと皮が縮むのを軽減できますよ。あ、深めのフライパンなので「ポワレ」ではと思う方もおられるかもしれませんが、素材に小麦粉を振った時点で「ムニエル」になります。


豪快にフランベ!

両面をカリッと焼いたら10cc程度のウイスキー(今回はバーボン)を回し掛け、炎を飛びこませ「フランベ」します。ま、多少香り付けにはなるのですが、ええ、パフォーマンスです。嫁が喜びますので。しかし10ccとか言っておいてじゃぶじゃぶかけてしまったのは内緒にしておきます。

フエダイの美味しい食べ方②「刺身」

ギンガメアジとの2種盛り

さすがにフエダイのお刺身だけでは寂しいので前日に釣ったギンガメアジとの2種盛りにしていきます。他のアジと同じようにゼイゴ取りから丁寧にしていきます。頭を落として小さめの内臓を外していき、背側と腹側にガイドの切れ込みを入れていきます。これはどの魚でも同じです。

おろし方の基本は三枚おろし

ガイドに添って三枚におろしたら腹骨を漉(す)き、皮を曳いて血合い骨を血合いごと外してお刺身にしていきます。これもフエダイでもギンガメアジでも同じです。

食べ方の基本はやっぱりお刺身

画像上と真ん中がフエダイ、下がギンガメアジです。どちらもキレイな白身ですね。白身のお刺身は青か緑のお皿が映えますね。あ、最近では「ばえる」とか言うんでしたっけ。ただお魚屋さんではアジは赤身に分類されていますのでお間違いなく。

フエダイの美味しい食べ方③「付け合せ」

付け合せを作る


今回はベーコンポテトフライとしめじと小松菜のバターソテーを添えました。ベーコンポテトフライはスティック状にカットしたポテトを一旦素揚げして、細かく切ったベーコンと炒めたものです。しめじと小松菜のソテーは、5㎝ほどの長さにカットした具材をバターで炒めて塩胡椒しただけのものですが、最後に醤油を一たらししてあります。バターと醤油は最強のタッグパートナーですからね。

にんにくソースをかけてできあがり

フエダイのムニエルをお皿に置いたらフライパンに残っているにんにくバターソースをかけます。これは魚の旨味とにんにくの香り、バターのコクがオリーブオイルに溶け込んでいるソースです。絶対に捨てないで下さい。またにんにくの焦げた感じがイヤな方は最初の香り付けが終わったらにんにくを取り出してしまってもいいでしょう。あ、つまみ食いの跡は気にしないでね。

さて、私はだれでしょう?

お刺身とムニエルの完成です。お刺身は甘く歯ごたえの良い上質なお刺身になりました。脂が適度に乗っているのにサクッと噛み切れ、噛んでいるともちっとさらに甘くなります。ムニエルは皮がパリッとしているのに噛んでいるとゼラチン質が口に広がり、しっかりした繊維の身と共に口中にしばらくとどまります。飲み込むのがもったいない美味さです。ニセと名前に冠されているニセクロホシフエダイとはいえ、さすがフエダイの仲間です。旨味、甘み、歯ごたえ、すべて及第点でした。あ、答えは「ニセクロホシフエダイ」でした。

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毎週火曜日連載を担当させていただいております。時々〆切を守れなくてご迷惑をおかけしておりますが、皆さまに少しでも南のお魚の「釣り方」と「食べ方」がお届けできればと日々頑張っておりまする。今回で「釣って食べるシリーズ」も第十二弾目となりました。これから台風シーズンに突入するために(この記事を書いている今も8号が通過中)なかなか思うような記事が書けませんが、ならば料理に関するノウハウや仕掛けに関するノウハウなども随時アップしていきますのでよろしくお願い申し上げます。