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夏の雨にはどんな種類がある?呼び方や言葉の意味、降り方の特徴をご紹介!

日本に降る雨は400種類もの名前があり、各々その降り方や特徴も異なるので驚きです。同じ夏の雨でも、天候や表現方法によっては呼び方が別名に変わるなど、日本の言葉の意味を追求していくのは実に興味深いことです。この記事では、梅雨や夏に降る雨の種類について紹介します。
更新: 2021年7月21日
sakakibara-tetuji
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表現力が美しい夏の雨の呼び名

地面に叩きつけるように強く降る雨や、滑らかで勢いも弱く音も静かに降る雨。日本には、降り方によって名前がついている雨もあえば、春夏秋冬の天候に関係した言い方の雨もあります。その種類はなんと400以上にのぼると言われています。その中でも特に美しい種類の名前が多くあるのが夏の雨です。名前や別名、なぜそのような呼び方になったのか、意味や特徴などについて詳しく解説したいと思います。

夏の雨の種類と名前①翠雨(すいう)

翠雨の意味は夏の初めに降る雨のことで、翠(みどり)に染まった夏の葉に滴り落ちる癒しの降り方をする雨として、翠雨という美しい呼び方をされるようになりました。夏の緑に降るということから、別名は緑雨という名前の表現をされることもあります。初夏の雨らしい涼しげな印象もあり、昔の小説ではよく使われる表現でした、日本人の美的感覚を誇りに思います。

降り方の特徴

翠雨は、夏の初めの季節に生い茂る草木に降り注ぐ恵みの雨として5月上旬ころに降ります。梅雨の雨のようにジメッとした印象ではなく、厳しい冬が終わり春の温かい太陽の光で生物・植物たちが夏の成長期に向けた準備段階で降る、恵みや癒しの雨といった意味で受け捉えられます。雨によって緑がより鮮やかに輝く姿は、とても美しいでしょう。

夏の雨の種類と名前②喜雨(きう)

喜雨という言葉の意味は、喜びの雨と書いて“きう”という呼び方をします。真夏の厳しい暑さが連続して続くような天候の日々に、大地を冷やすかのように降り注ぐ夏の雨のことです。外で働く人々や水不足に苦しむ人々にとっては、まさに喜びの雨ですね。別名は慈雨(じう)、雨喜び(あまよろこび)、といったユニークな呼び方でも呼ばれています。

降り方の特徴

カンカン照りの日光に長期間照らされ続けた大地や植物に潤いを与えて、生命の息を吹き返させます。現代では食物を育てる畑も、観賞用のお花畑も人間のテクノロジーにより年中水を与えることが出来ますが、ひと昔前までは喜雨がこなければ夏でも草木が枯れることがありました。そんな意味合いも込めて、人々は長く続く暑い夏に降る雨を喜雨と呼んでいたのですね。

夏の雨の種類と名前③夕立(ゆうだち)


夕立という言葉の意味は、ご存知のように夏の夕刻ごろに突然強く降りつけて数分後には止むといった、天候が瞬時にコロコロ変わるといった降り方をします。立というのは、夏の夕方に急成長した雨雲が上空に立ち込めるといった状況から、夕立という表現が使われるようになりました。この他にも説はいくつかあるようです。別名、白雨(はくう)ともいいます、スコールやゲリラ豪雨など類義する言葉もありますが、夕立とは区別されています。

降り方の特徴

夏の時期、夕暮れ時に短時間で多く振り、前ぶれや前兆が分かりにくいのが特徴。視界が悪くなるほど雨が地表に強烈に当たって目の前が白っぽくなります。別名の白雨というのも、夕立の降り方からとらえた表現になっています。突風を伴う場合はスコールと呼び、夏によく聞くヒートアイランド現象などの温度上昇による急な雨の場合は、ゲリラ豪雨(鬼雨)という名称で呼ばれます。いずれにしても、強く激しく短時間で降ることには変わりありません。

花しぐれ

もう一つ、夕立と似たような名前の雨があります。それは夏ではなく、3月終わりころから4月ころの春に降る通り雨のことで、春時雨や花しぐれと言います。桜の花びらが雨の力によって散りゆく光景から、花しぐれと呼ぶ一面もあります。同じような雨でも、季節に応じて素敵なネーミングをする日本の文化は、調べれば調べるほど素晴らしい奥ゆかしさがあることに気づかされますね。

夏の雨の種類と名前④洗車雨(せんしゃう)

洗車雨という言葉の意味は、夏のイベント「七夕祭り」の前日に降る雨のことで、織姫と彦星が深く関係しています。一見すると、洗車という言葉にピンと来ないかもしれませんが、これは彦星が乗る牛車のことをあらわしています。七夕の前日、彦星は織姫に会うまえの準備として自分の牛車を綺麗に洗います、そのときにこぼれた雫が洗車雨と呼ばれる由来になっています。古来では、季節だけではなく行事などのシーンに合わせても雨に名前をつけていたのですね。

七夕当日に降る雨は催涙雨(さいるいう)

洗車雨と並んで親しまれていた雨の名称は、催涙雨という七夕祭り当日にふる雨です。彦星と織姫が別れを惜しむ涙だったり、はじめから再会することが出来なかった無念の涙だったり、催涙雨にはさまざまな意味が込められています。七夕の時期は梅雨があけていない夏の時期でもあるので、よく雨が降ります。七夕の日に雨が降るたび、人々は彦星と織姫を天空に想像していたのでしょう。

降り方の特徴

洗車雨も催涙雨も夏の梅雨時期に重なっている場合が多いので、日夜問わずじっくりと時間をかけて長く降り続く傾向にあります。七夕前日も当日も、連続して降り続くことは珍しくはないでしょう。見た目は普通の梅雨独特の雨であっても、イベントと重なることで意味深な名前がつけられるのは面白い文化ですね。

夏の雨の種類と名前⑤御山洗(おやまあらい)


夏の登山シーズンになると、多くの登山家が日本の三大霊山である富士の山頂目指して富士山に足を踏み入れます。御山洗という言葉の意味は、夏の終わりころに富士山に降り注ぐ雨のことで、夏の間たくさんの登山客を迎え入れて汚れてしまった富士山を洗い流すといった表現から御山洗と呼ばれるようになりました。旧暦の7月26日以降に降る雨を指し、夏の終わりから初秋にかけて富士山で降る雨は御山洗と言われます。

降り方の特徴

山の天候はころころ変化しやすいので、突然雨雲もが発生して夕立のように激しく降ってすぐにやむこともあれば、梅雨の雨のように小雨が一日中降り続くこともあるでしょう。また夏の終盤にさしかかった山の天候は朝夕の気温も下がり、そこに雨と風の力が加わることで体感温度は8月とは思えないほどひんやりしてきます。夏の間長期にわたって雨が降らず乾燥していた大地へ、しみ込むようにふる御山洗は人にとっては冷たい雨ですが、その光景は美しい水と光の世界を作りだしてくれます。

夏の雨の種類と名前⑥半夏雨(はんげあめ)

半夏雨という言葉の意味は、半夏生(はんげしょう)の時期に降る大雨のことを言います。半夏生とは旧暦で7月2日ころ、現代の西暦では6月の21日・22日ころを指すので、梅雨シーズン真っ只中ということになります。昔から半夏生の日に雨が降ると、この先もしばらく大雨が続くと言われてきました。6月半ばというのは梅雨のちょうど中間あたりの時期になるので、半夏雨は梅雨の折り返し地点がきたことを示す目安として使われることもありました。

降り方の特徴

梅雨の雨には陰性型と呼ばれる雨量の少ないじわじわと降るタイプの雨と、陽性型と呼ばれるザーザーと音を立てて降るタイプの2種類があります。梅雨は後半になると、日本の南からゆっくりと高気圧が高まる傾向にあるため、大気が乱れて陽性(大雨)になりやすいのです。半夏雨が降る時期というのは、梅雨の半ばから終わりにかけてなので、陽性のような雨量が多く勢いの強い降り方をする特徴が挙げられるでしょう。

夏の雨の種類と名前⑦入梅(にゅうばい)

入梅という言葉の意味は、その漢字の意味のままで梅雨のシーズンに入ると案じています。梅の果実が鮮やかに色づくころに降る雨を、入梅という呼び方をしていました。そもそも梅雨という言葉にウメの漢字が使われているのは、夏入り前の雨が良く降るシーズンと、梅の実が美しく色づく季節と重なっていたため梅雨と呼ぶようになりました。また。入梅=梅雨入りではありません。入梅とは、現代のように気象学が発展していない時期に、梅雨入りする時期の目安として使われていました。

降り方の特徴

入梅は6月上旬ころに降る雨とされており、本格的な梅雨に入る前の合図のような雨です。まだ春の季節風が残っているため、ときより強い突風と共に激しく降ることもあります。朝晩問わず1日中降ることもありますが、この頃の雨量はそこまで多くないでしょう。予測しやすい雨なので、昔の日本人は入梅に合わせて田植えのタイミングを決めるなど、入梅は生活するうえで必要な言葉でもありました。

夏の雨の種類と名前⑧瑞雨(ずいう)


瑞雨という言葉の意味は、翠雨や喜雨と同じように夏に生きる生命へもたらす恵みの雨の一種です。瑞という感じには、めでたい、美しい、みずみずしい、といった喜びを表現する意味が込められており、夏の暑さと水不足の過酷な状況に恵をもたらしてくれる雨を瑞雨と呼ぶようになりました。別名は、穀物にエネルギーを与える天の恵みとして穀雨と言われたり、草木の成長を促すことに繋がるので甘雨などとも呼ばれています。

降り方の特徴

瑞雨は夏季の雨が少ない時期に降り注ぐ雨なので、しっかり降ったとしても1日程度です、にわか雨のような一時的な雨も場合によっては瑞雨として喜ばれていました。毎年気象条件はことなるので降らない年もありました。昔の日本では井戸がない土地や井戸はあっても、悪天候の影響で水が枯れている状況も珍しくありませんでした。そんな環境下に降り注ぐ恵みの雨「瑞雨」は、人々にとって本当に喜ばしい雨だったことが理解できます。

まとめ

当記事で解説した夏の雨は、全体のほんの一握りの数です。1条件で降る雨にも別名がたくさんあったり、同じ天候で降る雨でも、表現方法と見方を少しずらしただけで名前の呼び方が全然違う雨に変わったりします。夏の雨にここまで数多くの名前と種類が存在するのは、昔の人々はちょっとした天候の変化に気づき心を動かされていたはずです。雨の種類がふんだんにあるというのは、それだけで日本の歴史が美しいことを物語っていますね。

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