常念岳ってどんな山?
常念岳(じょうねんだけ)の標高は2857m。北アルプスにある山で、日本百名山にも登録されています。長野県の松本市と安曇野市(あづみのし)に重なるように存在し、そのピラミッド型の山容が特徴です。
常念岳の魅力
常念岳は夏場なら歩く距離こそ長いですが、体力さえあれば危険な場所は少なく地図を見て様々なコースを選べるため初心者から上級者まで幅広い層の方が楽しめる山になっています。また常念岳の山頂付近は森林限界を超える高山帯で高山蝶や高山植物など様々な動植物を見ることができるのも魅力の一つです。
日帰り可能!常念岳初心者おすすめルート!
日帰り用コース
常念岳を登る際におすすめしたい登山ルートは一ノ沢登山(いちのさわ)ルートです。難易度はそれほど高くないですし、登山口と山頂付近にトイレもあるため常念岳初心者の方にもオススメです。
ルート詳細
ルート時間
登山:6時間35分
下山:3時間10分
一ノ沢登山口【75分】⇒王滝ベンチ【120分】⇒胸突八丁【30分】⇒水場【50分】⇒常念乗越【70分】⇒常念岳【50分】⇒常念乗越【40分】⇒水場【20分】⇒胸突八丁【80分】⇒王滝ベンチ【50分】⇒一ノ沢登山口
縦走用コース
常念岳は日帰り登山だけでなく、宿泊コースの縦走ルートも人気です。今回はその中でも比較的初心者の方におすすめな常念岳~蝶ヶ岳(ちょうがたけ)縦走ルートをご紹介します。
スタート地点が一ノ沢登山口ではなく、三股と呼ばれる場所になります。こちらは急峻な道が続くため体力に自信がない場合はスタート地点を一ノ沢にしてみてください。
ルート詳細
ルート時間
常念岳:8時間10分
蝶ヶ岳:5時間00分
下山:1時間40分
三股駐車場【20分】⇒三股【210分】⇒2166m地点【150分】⇒前常念岳【60分】⇒常念岳【5分】⇒常念岳頂上【45分】⇒2498m地点【60分】⇒2591m地点【90分】⇒蝶槍【20分】⇒2624m地点【30分】⇒蝶ヶ岳【100分】⇒まめうち平【80分】⇒三股【20分】⇒三股駐車場
山地図の購入をおすすめします
上記で説明した常念岳の日帰り・縦走ルートは比較的安全なルートではありますが、それでも登山には危険が付きまといます。山の分かれ道で困った時や、最悪の場合遭難してしまった時のために、地図は常に持ち歩くようにしましょう。非常時の助けになるのはもちろんのこと、今回紹介できなかった常念岳のルートを地図で確認することもできますので、無駄になることはありません。
常念岳へのアクセス
初心者向けコース:一ノ沢登山口
常念岳の日帰りルート説明でスタート地点とした一ノ沢登山口の駐車場までは安曇野インターから車で一時間。穂高駅からは40分ほどで到着します。駐車場は二箇所あり、各30台ほどの駐車スペースがあります。ですが、こちらの駐車場から一ノ沢登山口までは、約1.2km離れており20分ほど歩くことになります。周辺の地図を見るだけではわかりませんので、常念岳への登山計画を立てるときは見落とさないように注意しましょう。
高難易度コース:三股駐車場
常念岳の縦走ルート説明でスタート地点とした三股駐車場までは安曇野インターから車で一時間ほどで到着します。70台ほどの車を止められる広めの駐車場ですが、一ノ沢駐車場と同じようにこの駐車場から登山口までは、少し離れており15分ほど歩くことになります。周辺の地図を見るだけではわかりませんので、常念岳への登山計画を立てるときは見落とさないように注意しましょう。
おすすめアクセス
一ノ沢駐車場も三股駐車場も車を止めてから登山口まで、徒歩で移動する時間がありますし、登山シーズンは駐車場が込み合うこともあります。そこでおすすめするのがタクシーを使った移動になります。タクシーなら一ノ沢も三股も登山口傍まで車での移動ができますし、登山シーズンの込み合いを意識する必要もありません。常念岳への登山計画を立てられる際は、一度タクシーを使ったコースを検討してみてください。
山の天気は変わりやすい
常念岳に限った話ではありませんが、悪天候の中で行う登山は危険が伴います。足元はぬかるみますし、視界も悪くなります。当然雨にぬれれば体温が下がり低体温症に陥ることも考えられます。せっかくの登山ですから楽しく山に登るために必要なことを確認していきましょう。
山の天気を確認する
常念岳へ向かう前に必ず行ってほしいのが、天気予報のチェックです。危険な悪天候での登山に備える、もしくは避ける為にも、天気予報の確認は必ず行うようにしてください。また、天気予報は直近のものになるほど精度が上がりますので、数日前から登山当日までしっかりと確認するようにしましょう。そして、もし残念なことに登山当日の天気が優れない場合は、登山日を変更することも検討してください。
天気が崩れた時の対策
『山の天気は変わりやすい』という話を聞いたことがあると思いますが、これは山の斜面に風がぶつかり水蒸気を含んだ空気が押し上げられ雨雲となるからです。日帰り登山はもちろん縦走などで数日間山にいるような場合は、特に天候が悪化したときの準備が必要になってきます。常念岳へ行く際はレインウェアは必ず持ち歩くようにしましょう。
登山時の服装について
登山の時に何を着ていけばいいのか。これは登山初心者の人が必ず疑問に思うことだと思います。そんな疑問を解決するために、一般的な山の服装を紹介します。そして今回取り上げている常念岳に登る際の服装を季節ごとに見ていきましょう。
登山時はレイヤリング(重ね着)が基本
山は麓と山頂で気温が大きく異なります。標高2857mの常念岳の場合、山頂ですと約19℃ほど気温が低くなります。それに登山中は汗もかきますので、体温をこまめに調整できるようにすることが大切です。そのため、服装はレイヤリングを基本として登山中に暑くなったり寒くなったりしたときに、すぐ体温調整を行えるようにしましょう。
ベースレイヤー
ベースレイヤーは肌着になります。汗を吸収し、すばやく乾き体温を保つのが役割になります。できるだけ早く乾く素材のものを選ぶようにしましょう。ポリエスチルのような化学繊維の物や、メリノウール、シルクといった天然繊維のものがおすすめです。
ミドルレイヤー
ミドルレイヤーには内部の温度を保つことができるウェアが適しており、フリースや山シャツのような服が挙げられます。ベースレイヤーとアウターレイヤーの間に暖かい空気の層を作り、熱を外に逃がさないようにするのが役割です。夏場の登山でも山頂は冷えるためミドルレイヤーは必ず持って行くようにしましょう。
アウターレイヤー
アウターレイヤーは防風・防寒・防水のために羽織るジャケットのことです。ダウンジャケットやレインウェアがこれにあたります。特に山岳ショップで販売されているレインウェアは非常に性能が高く、雨を弾いて内側の水蒸気(汗)を排出する働きもあるのでアウターレイヤーにおすすめです。
常念岳に登るための靴選び
登山に必ず必要なものの中に登山靴があります。観光客が多い、難易度の低い山であれば運動靴でも登ることが可能かもしれませんが、一般的に山道は険しく、運動靴だと足を痛める可能性があります。本記事で紹介している常念岳を登る際は登山靴を用意するようにしましょう。
試し履きが必須
登山靴は少しでも足の形に合わないと靴擦れを起こす可能性があります。常念岳に登る際は初心者用の日帰りコースで登ったとしても、10時間近くはき続けることになります。もちろん縦走やテント泊を行う場合はそれ以上です。必ず試し履きしてから購入するようにしましょう。山岳ショップなら、足の形とサイズを調べてもらえますので、店員さんにお願いして自分の足にあったものを選ぶようにすれば間違いありません。
ザック(リュック)の選び方
ザックには飲み物や地図、テントや食材まで様々なものを入れることになります。そのため、目的に合わせて大きさを決めるようにしましょう。常念岳に日帰りで行く場合は30L前後の物を選べば問題ありません。ただし、縦走や料理道具の持ち込み、テント泊をする場合など、持ち物が増える場合は30L以上の物を選ぶようにしてください。
レインウェアの選び方
アウターレイヤーにもなるレインウェアは、雨を弾くだけではなく、内側の水分を逃がす素材の物が必要です。どれを買っていいかわからない場合は、ゴアテックスという素材が使われているものを購入するようにしましょう。
春の常念岳の天気とおすすめの服装
3月~5月。『最高気温-2~10℃』『最低気温-9~4℃』
春の常念岳にはまだまだ冬の間に降った雪が残っています。
天気:晴れ
春でも常念岳の気温は低く、晴れた日でもまだまだ冷え込みます。ミドルレイヤーにはフリースなど暖かい物を着るようにしましょう。他にもネックウォーマーや手袋といった防寒具を用いて、できるだけ暖かくするようにしましょう。また、標高が上がれば多くの雪が残っています。登山初心者の方には少々難易度が高いですがアイゼンを初めとした雪山の装備を準備するようにしましょう。
天気:雨
晴れた日の服装の際に触れましたが、常念岳は冬の間に積もった雪が春になっても残っています。そこに雨が降った場合、雪がぬかるみ滑りやすくなったり地面が凍結したりと、登山の難易度が上がります。また晴れた日と比べれば格段に冷え込みます。ダウンジャケットやアンダータイツなど暖かい服装を意識しましょう。
夏の常念岳の天気とおすすめの服装
6月~8月。『最高気温12~18℃』『最低気温13~7℃』
夏は常念岳を楽しむのに最適なシーズンです。
天気:晴れ
夏の常念岳はもっとも登山に適したシーズンだといわれており、残雪などへの対処が必要ないため難易度も低くなりますし、様々な動植物を見ることもできます。ただ山頂付近の気温は少し肌寒いので、体を冷やさないように必ずアウターレイヤーは持っていくようにしましょう。また、夏場の登山は脱水症状などの危険が付きまといます。こまめな水分補給も必要ですが、キャップなどで直射日光を防ぐといった対策を行うのも大切です。
天気:雨
服装は晴れの日と同じで問題ありません。雨具を忘れないようにし、ぬかるんだ足場に注意しましょう。
秋の常念岳の天気とおすすめの服装
9月~11月。『最高気温13~1℃』『最低気温8~-5℃』
秋の常念岳は紅葉がキレイなシーズンです。
天気:晴れ
10月頃は常念岳で紅葉が見られる時期になります。晴れていれば、澄んだ青い空と合わせてきれいな景色を見ることができます。ただ、気温はかなり低く油断は禁物です。ミドルレイヤーにフリースなどの暖かい素材を選ぶようにして、それに防寒具を組み合わせて(手袋やネックウォーマー、ニット帽など)寒さ対策を行ってください。
天気:雨
寒さや雨への対策はもちろんですが、天気が悪い場合地面が凍結する恐れがあります。アイゼンやピッケルといった悪路への対策を行うようにしましょう。
冬の常念岳の天気とおすすめの服装
12月~2月。『最高気温-5~-8℃』『最低気温-11~-14℃』
冬の常念岳は雪に覆われています。
天気:晴れ
できるだけ暖かい服装で、手袋や目だし帽などを活用し体温を奪われないようにしましょう。また、アイゼン、ピッケルなどの冬山用の装備も必須となります。難易度は夏場に比べると高くなるため、登山初心者の方がいきなりこの時期の常念岳に登る際は、注意するようにしてください。
天気:雪
できるだけ暖かい服装で、雪山用の装備を忘れないようにしましょう。ただ悪天候により難易度が上がるため、雪山に不慣れな場合は素直に登山日程を変更することをおすすめします。
まとめ
今回の『常念岳の天気はどう?登山で知りたい天候状況と天気に合わせた服装を解説!』はいかがだったでしょうか。常念岳は日帰りから縦走まで幅広い登山ができるため、地図を見て自分にあった難易度を選択できます。自分にあったルートで服装や持ち物に気をつけて山行を楽しみましょう。