パタゴニアは反捕鯨団体シーシェパードのスポンサー?
パタゴニアとシーシェパードの関係性について解説!
皆さんはアウトドアに使用するグッズを選ぶ際に、何を基準にしているでしょうか。品質や利便性などの性能か、あるいはハイセンスな外観か。人によって基準はさまざまです。
今回は、アウトドアブランドのなかでも特に人気があり、当サイト「暮らしーの」でもたびたび製品をご紹介しているパタゴニアとシーシェパードとの関係性について解説します。
パタゴニアってどんな企業?
アメリカの老舗アウトドアブランド企業
まずはパタゴニアがどのような企業なのかについて簡単に見ていきましょう。パタゴニアは1965年創業の老舗アウトドアブランドです。キャンプや登山だけでなく、マリンスポーツや軍用品など幅広く開発販売しています。世界各国に直営店が100以上(2017年時点)あるグローバルな企業です。
パタゴニアの掲げるポリシー
この企業は自然本来の姿をそのまま保つことが重要であると考え、環境保護を重視した企業運営をしています。例えば、製品の素材についてはリサイクルを徹底しつつ、環境汚染を最小限に抑えられる天然由来のオーガニックコットンを使用するなどの工夫を凝らしています。
環境保護活動のスポンサーに
他にも、独自に環境保護についての啓蒙活動を積極的に行っている企業です。捕鯨反対運動のスポンサーとなったのも、環境保護についての啓蒙活動の一環だったわけですね。
パタゴニアが支援する反捕鯨団体シーシェパードとは
反捕鯨団体シーシェパードってどんな組織?
この団体は環境保護団体グリーンピースから分離した、“自称”非営利の環境保護組織です。
こちらの海賊のようなエンブレムはこの団体のシンボル。グリーンピース自体が反対運動のなかで過激な行為に出ることもある組織でしたが、そのなかでもさらに過激な武闘派が1977年に独立する形で創設されたのがシーシェパードです。
反捕鯨団体シーシェパードはエコテロリスト?
よくこの団体を指して「エコテロリスト」という蔑称を投げかける方がいます。
掲げている理念自体は海洋生物や環境の保護ですが、その理念を盾にして暴力を含んだ実力行使をしたり、ときには反対の立場の方に危害を加えたりなどの問題行動に出たりすることが、この蔑称の由来となっているのです。
海賊の旗をモチーフにしたエンブレムは、この団体の正体を皮肉にも晒す結果となっています。
パタゴニアが支援する反捕鯨団体シーシェパードの理念と行動
捕鯨に反対するシーシェパードの理念
この団体の掲げる理念は海洋生物の生態系と種の保護・保全です。この目的を達成するために、対話だけでなく「革新的な直接行動」を行うと宣言しています。
世界には個人・企業を問わず、団体に寄付をする者やスポンサーとなる企業が多く存在しています。もちろん、集められた寄付金は「革新的な直接行動」を行うための準備資金となっています。
捕鯨に反対するシーシェパードの行動
それでは、実際にこの団体の物議をかもすアクションについて見ていきましょう。動画中では捕鯨船の後方にぴたりと密着している船舶が確認できますね。
ビンを投擲し、故意に船舶を捕鯨船に衝突させロープを投げて捕鯨船に乗り移ろうとしています。まさに海賊的な行為です。この妨害に使用している船舶や投擲しているビン、ロープなどに寄付金が使われています。
司法もシーシェパードの行為は海賊行為であると認定
他にも団体が行った一連のアクションについて、司法が明確に犯罪行為であると認定したことも有名です。はっきりと団体の行動が海賊行為であると断じた裁判所の判断は多くの方たちに支持されています。
パタゴニアと反捕鯨団体シーシェパードの関係
パタゴニアは本当にシーシェパードを支援していたの?
ここまで団体の概要と実際のアクションなどを簡単に解説してきました。ここからは、企業と団体がどのような関わりを持っていたのかについてご紹介します。
長年、パタゴニアを愛用している方のなかには、単なる噂に過ぎないのではないかと思われる方もいるのでは?
結論から述べると、確かにパタゴニアは団体のスポンサー企業のうちの一社であり、過去に金銭的な援助を行っていました。
過去に2度の寄付をしていた
団体への寄付はこれまでに2回行われています。1993年と2007年に総額14,000ドルの寄付が行われました。これは日本円にして130万円程度の金額です。
決して安い寄付金ではありませんよね。ただし、この寄付は団体が上記動画にあるような過激な行動に出る以前に行われたものです。少なくとも最近は表立っての寄付金の提供は確認できません。
パタゴニアと不買運動の過去
パタゴニアと不買運動の過去
この関係が問題視され始めたのは2008年1月からです。以前より、団体側は公式HPでスポンサーの一社としてパタゴニアの名前を挙げていました。動画にあるような過激な行動が表に出たことで、パタゴニアをはじめ当該団体のスポンサー企業に批判が集まり、不買運動が勃発したのです。
最悪の事後対応
2018年に話題となった某大学のアメフトに関する事件でも初動対応の誤りが問題となりました。企業の危機管理マニュアルによると、事実の隠ぺいや誤魔化しは最悪の事後対応であり、避けるべきだと指摘されます。
パタゴニア日本支社が事実を認めた
当時のパタゴニア日本支社も、団体との関係性について当初は曖昧な回答に終始していました。報道が過熱化していくと、最終的にスポンサーであった事実を認めてオフィシャルに回答文を発表しましたが、この対応の悪さが不買運動に拍車をかけてしまったのです。
パタゴニアの見解
日本支社のオフィシャル回答文は全1115文字の長文です。今回は、これを要約してご紹介します。
シーシェパードの理念には賛同している
「パタゴニアはさまざまな小規模の自然保護団体に寄付しており、シーシェパード(以下団体)もそのなかの1つである。
団体が過激な組織であることは認知していたが、人命に危害を及ぼすほどの過激さだとは思っていなかった。ただし、団体の理念自体には賛同している。捕鯨は残酷で暴力的なもので不要である。
これから先のサポートについては団体の行動を審査して行うかどうかを決める」といった内容の回答を発表しています。
パタゴニアと不買運動の現在
不買運動の鎮静化にはあまり役立たなかった
人命に害を及ぼすような行為には賛同できないとしていますが、直接行動という戦術そのものは人命に害を及ぼさない限りで容認しているとも読み取れます。この回答文は、残念ながら不買運動の鎮静化にあまり役立たなかったようです。
シーシェパード支援についての現在の口コミ
なぜパタゴニアはシーシェパードを応援しているのだろうか?
— prayforxxx (@prayforxxx6) November 21, 2018
それを知ってから一切パタゴニア製品を買わなくなった。嫌いなブランドになった。#patagonia
それまで、この企業の製品を愛用していたという方も、やはり問題のある団体のスポンサーであった実態を知るとマイナスの評価を付ける方が多いですね。製品の品質とは違ったところでマイナスに評価されるのは何とも悲しい結果です。
パタゴニア製品を徹底的に避ける方も少なくない
現在でもパタゴニアの製品を徹底的に避けている方が少なくありません。
捕鯨はあくまでも法律を遵守して行われる合法的な行為です。確かに、個人の意見によって捕鯨に対する賛成・反対意見があるのは当然ですが、対立する意見の者に実力行使をする団体を好意的に受け止める方は少ないでしょう。
シーシェパードと決別できなかった代償は大きい
「製品の品質自体に問題はないが、企業に支払ったお金が暴力行為に使われるのは絶対に嫌だ!」と、強烈な拒絶反応を示す方もいます。2008年時点で明確に団体と決別できなかった代償は大きいものでした。
パタゴニアは今も反捕鯨団体シーシェパードを支援している?
寄付は過去にした2回のみ
金銭的な援助である寄付は、過去に行った2回のみです。その後も、この企業から当該団体への援助は確認されていません。
現在でもパタゴニアはシーシェパードに賛同している
しかし、企業理念という面でパタゴニアが団体に賛同・共感しているというのも揺るぎない事実です。
2008年から現在まで、シーシェパードはさまざまな問題行動を起こしていますが、それでもあくまで捕鯨は許されない残酷行為であり、それを阻止するという目的自体は正しいものだという考えはパタゴニアと団体に共通しています。
パタゴニアの立場は2008年から変わっていない
公式に団体と決別する旨の声明が出されるなどの何らかのアクションがない限りは、2008年時点のオフィシャル回答文を読む限りでは現在でもパタゴニアの立場は変わっていないものと判断せざるを得ないでしょう。
パタゴニア以外の反捕鯨団体シーシェパードを支援する企業
パタゴニア以外にもシーシェパードのスポンサーが?
実は、団体のスポンサーとなっている企業はパタゴニアだけではありません。他にも有名な企業が、オフィシャルにこの団体を支援することを発表しています。
化粧品ブランド「Lush」
Lushはイギリスに本社を置く化粧品ブランドです。日本でもLush製の甘い香りがする石鹸やアルコールフリーの高品質なクレンジングを愛用している方は多いですね。
Lushは動物愛護に積極的に取り組んでいる企業で、さまざまな関連団体のスポンサーになっています。
そんな活動の一環として、Lushのなかでもイギリスの本社は公式にシーシェパードへのサポートをすることを発表しています。
Lushの活動に対する反対運動
しかし、Lushのなかでも日本を拠点としているLushJapanは、人命に害をなす行為に及ぶ組織に対して明確に反対の立場をとっており、団体にも一切のサポートをしていません。ただ、やはりイギリス本社が援助している以上、いくらLushJapanがスポンサーとならない旨を発表しても意味がないのかもしれませんね。
Lushの活動に対する口コミと評価
ラッシュ、イギリスのはシーシェパードにお金渡してるって聞いて、日本のは違うって聞いたけどなんかもう気分的にダメで買わなくなった。はちみつの石けん好きやったんやけどなー( ˘ω˘ )
— せぶん。 (@sevendematuzaki) March 30, 2018
パタゴニアもシーシェパード的なアレで不買。愛用のリュックはパタゴニアやけど知らんかった時に買った・・・
>RT
Lushのこれらの言動について、やはり否定的な意見をもつ方が多く見られます。何かを購入する際にはそれだけ販売元の理念を重視している方が少なくないようです。
はちみつ石鹸などの高いクオリティの製品であっても、気持ちよく使用できないというのは大きなデメリットとなってしまいますね。
あの著名人がシーシェパードのスポンサーに?
企業の他にもハリウッドで活躍している俳優の多くがこの団体に対して多額の寄付をしています。例えば、「パイレーツオブカリビアン」に出演していたオーランドブルーム氏も、団体に寄付をしている方の一人です。
環境保護のためには過激な行動もやむを得ないと考える方は、意外と少なくないのかもしれません。
パタゴニアと日本の調査捕鯨
日本の調査捕鯨の実態
日本の調査捕鯨はあくまでもリサーチのためのもので、食用目的の捕鯨ではありません。それに加えて、主に食用とされている鯨は絶滅の心配がないミンククジラです。
捕獲数も法令に従って、決まった頭数のみに制限されています。捕鯨という行為そのものについての賛否があるのは当然ですが、暴力的でない冷静な方法で意見を交わしていかなければ解決はありえません。
調査捕鯨は、鯨類の調査のために行われているものであり、鯨肉を販売することを目的にして行われているものではありません。
パタゴニアを使いながら鯨を食べる
俺はパタゴニア製品愛用してるけど、鯨の竜田揚げや鰻食べるし、ダムも好きだぜ!
— pon (@kampari_5) July 25, 2017
パタゴニアの製品を使うかどうかは、個人の価値観によって決まります。「鯨の竜田揚げが大好き!パタゴニアの製品も愛用する!」というのも、もちろん間違いではありません。
製品の価値をどのような基準で決めるのかは、皆さん一人一人の自由なのですから、自信をもってお好きな企業の製品を愛用してください。
まとめ
環境問題解決への道筋は果てしなく遠い
捕鯨を含んだ環境問題にはさまざまな思想が複雑に絡み合っています。生まれた国の文化によっても、捕鯨に対する賛成と反対の立場は変わります。
しかし、どちらの立場で意見を述べるにせよ、暴力的でない正しい方法で解決への道筋を歩いていきたいものです。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
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