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アラフィフチャリダーが行く!北海道小旅行【第五夜】

アラフィフチャリダー北海道旅行、大五夜。物語はようやく一日目の夜です(あと3日あるのに大丈夫か?)辿り着いた駅構内の喫茶店。そこで頂いたコーヒーと駐車場で食べる夕食。駅のトイレで頭を洗って、星空を見ながらタバコ。寂しさと充実感に満たされた第五夜。ご覧ください。
更新: 2023年3月22日
おとうさん
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目次

はやきた駅

撮影:ライター

早来に着いた。

読み方は「はやきた」

とりあえず自転車を停めた建物にも「はやきた駅」と書いてある。

早来は田舎と言えば田舎だが、駅前はそれなりに栄えていてお店も普通にある。

駅も綺麗だ。

休憩がてら駅を覗くと、馬の写真が飾ってある。どうやら早来は、サラブレッドの産地らしい。

う~んここいいなぁ ここに泊まっちゃおうかなぁ

駅の中を散策していると(それほど広くない)簡単な喫茶店があった。

はやきた駅~喫茶店

撮影:ライター


僕は無類のコーヒー好き。

毎日コーヒーを淹れるし、先日1万円のコーヒーミルを購入した。他媒体でコーヒーの記事を書いていたこともある。

旅先で喫茶店を見つけるとつい入ってしまう(コーヒーを飲みたいのもあるが、最近は勉強の意味合いが強くなってしまった)

とは言っても疲労困憊の身体。ホッとしたい気持ちが強い。

時間はたしか5時ころ。

「まだいいですか」とカウンターのおばあちゃんの声をかける。

「いま機械洗ったとこだけど…旅の人?コーヒーだけならいいよ」

んじゃホットコーヒーを

「おいしい。おばちゃん、おいしいわ」

「ありがとう。この先にある何とかってコーヒー屋のコーヒーなの」

なんというコーヒースタンドかは分からないらしい。

「おばちゃん。コーヒーはブラックでいいんだけど、砂糖を1つちょうだい」

おばちゃんの怪訝な表情と共に出されたスティックシュガーを直飲みし。

「あれまぁ。疲れてるんだねぇ。せばこれもあげる」餞別の言葉を添えて、もう3本スティックシュガーをくれた。

はやきた駅~夕食

撮影:ライター

コーヒーで一息ついたら夕食だ。

地域の特産を食べる余裕はないし、こういうシチュエーションで食べる貧乏飯ほどうまい物はない。

駅を行き来する住民を他所に、駐車場の端っこでコッヘル(アウトドア用の鍋)とガソリンバーナーをセットする。

今日の晩御飯はスパゲッティ。パスタではなく意地でもスパゲッティ。

ソースはレトルトのハヤシライス。

年の始めにコロナに罹った際、支援物資が大量に自宅に届いた。

その時食べきれなかったものが自宅に余っていて、持って来た(家族5人分なので処理しきれなかった。北海道の偉い人にはこの場を借りてお礼を言いたい)

ちゃんとしたスパゲッティソースではないが、デミグラスソースなのでうまいはずだ。

薄暗くなってきたどことも分からない町の小さな駅。

その片隅の一人の旅人。

そんな光景に酔いながらもふと、寂しさがこみ上げる。

空を見上げた。グラデーションに浮かぶいくつかの星。

僕はこの先どうなるんだろう。

そんな青春真っ盛りみたいなことをアラフィフが考えたりする。

ねぇ、だいじょうぶだよ。おじさんでもこうやって不安になったり迷ったりするんだ。

一緒に迷って、一緒に考えて、歩いて行こ。

ここをキャンプ地とする!!

撮影:ライター


予想以上に美味しかったスパゲッティ(繰り返すがパスタではない!)を平らげ、片付けを終えると、辺りはすっかり暗くなっていた。

「いまから公園さがすのメンドイなぁ」

初日にして寝床探しに失敗した僕の頭に、北海道の伝説的ローカル番組「水曜どうでしょう」の名言が浮かぶ

「ここをキャンプ地とする!!」「ええ!ふざけんなよぉ」

と一人、藤村Dと若き日の大泉洋を演じたが、今回の大泉洋はニヤニヤしている。

改めて駅構内(と言っても15畳ほどの広さ)を見て回る。

汽車(北海道では電車を汽車と呼ぶ人が多い)は1時間に1本。しかも上り下り合わせてだ。

よし、この隙に歯磨きしちゃおう。

ついでに身体拭いちゃおう

ん?掃除用の排水台で頭洗えるんじゃね?

人が来ないのをいいことに最終的に全裸になって身体を拭いた。

意外と快適!ステーションビバーク

出典:o-dann

寝床は駅の少し奥まったところ。

ベンチの横に寝袋を広げた。

試しに寝転んでみる。

ん?なんだか寝やすいぞ?

凸凹のキャンプ場と違い、駅構内は平らで整備されている。

しかも田舎も場所によっては資金があるので、綺麗な設備の場合が多い。

はやきた駅がまさにそれで、下手なキャンプ場や公園で寝るより快適に寝られそうだ。

これはハマる…

ステーションビバークの夜は長い

出典:o-dan


食事も終わって、洗面も終わった。

けれど、さあ寝るぞ。とはいかないのが旅の不便さで楽しいところ。

ステーションビバークは、駅利用者がいなくなるまで寝ることができない。

明日走るルートを考えたり、SNSに今日の出来事をUPしたりする。もちろん家族に電話もする。

「たのしいかい」「たのしいよ。少し寂しいけど」

星空を見ながらタバコを吸う。

横を通る住民はこちらを見ない。

時々訝し気な目を向けられるが、人畜無害な笑顔を返すと何も言われない。

はあ、いい旅、いい夜だ

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