沢登りの魅力
沢登りとは
沢登りとは、その名の通り沢をたどって山を登りながら山頂や上流にある滝を目指すアウトドアです。そして沢とは山の尾根と尾根の間にある谷を流れている小川のことを指します。
一般的な登山とは少し違うので、歩く場所など最初のうちは経験したことがない人には疑問だらけで、具体的にイメージするのは難しいかもしれません。そこで今回は魅力や始め方、知っておきたいマナーや楽しみ方のコツをご紹介します。
自然を満喫できる
見渡す限りの大自然が沢登りの魅力のひとつです。入道雲の下で心地よく響く滝の音と見上げた木々の美しさはのコントラストは思わず時間を忘れてしまうほどで、そこには力強さだけでなく優しさがあります。
自然を満喫できるのは沢登りに限らず一般的なアウトドアに当てはまる魅力ですが、生い茂る木々と沢のコントラストを楽しめるのは沢登りならではの魅力です。童心に帰ったかのような気分になり、果てしない幸福感に満たされるでしょう。
沢登りの最大の魅力は「自由」
一般的な登山やクライミング、ボルダリングなどと比べて、自由であることが沢登りの一番の魅力です。沢の中には決められたルートはないので歩く場所は自由で、山小屋やキャンプ指定地もないので宿泊する場所も自由です。
基本的なマナーさえ守れれば、これといって大きな制約はありません。沢登りは行動や思考、メンタルなど何もかも開放的になれる貴重なアウトドアスタイルです。安全には配慮しつつ、自分なりに自由に楽しむことができます。
初心者が始めるにあたって
沢登りのツアーに参加する
沢登りの始め方には3ステップありますが、まずは沢登りとはどんなものかを詳しく知るためにツアーに参加するのがおすすめです。経験してみて自分には向かないと感じた場合でも、最初の投資が少ないツアーなら痛手が少なく済みます。
ツアーにはウェア以外の装備品は基本自分で準備しなくても参加できる魅力があり、安全対策もツアー側にお任せで大丈夫です。必要な知識は丁寧に教えてもらえるので、安心して参加することができるでしょう。
沢登り講習会に参加する
一度経験してみて続けたいと思ったら、沢登りの講習会に参加するのが次のステップです。講習会では基本的なことを学べるので、最初は何をすればいいか分からないというモヤモヤは解消されるでしょう。
講習会は、各都道府県の山岳会の上位団体などが開催しています。ただし、講習会のほとんどは年に1回程度と稀にしか開催されておらず、アンテナを張って常に情報収集しておかないと最初のうちは簡単には参加できないかもしれません。
一緒に登る仲間を探す
沢登りの始め方の最後のステップは、誰と一緒に行くかを選択することです。沢登りは一般的な登山と違って難易度が高く危険な要素が多いため、経験が浅い最初のうちは特に1人で行う選択肢はおすすめしません。
選択肢としては山岳会に所属したりSNSなどを使って自分で仲間づくりをするのがいいでしょう。できた仲間に自分が学んだことを教える時間や一緒に行程を考える時間は、共通の趣味を持った者同士楽しいものとなります。
知っておきたいマナー
危険があったら後ろの人に声をかける
落石があったり、滑りやすい場所に差し掛かったときは後続の人に一言声をかけるのが沢登りのマナーです。一緒に登る仲間でなくても、この先危険だというのが分かれば後続の人たちもより安全に留意して登ることができます。
自分が通って危ない要素があると分かったとき、自分には何もなくても後続の人に知らせなければ彼らがけがをするかもしれません。お互いに安全に沢登りを楽しむためにも、危険な要素があったら声を掛け合いましょう。
自分勝手な行動はしない
ツアーに参加中や仲間との沢登りなど、複数人で行動を共にするときは自分勝手な行動をしてはいけません。水深の深い場所に勝手に入ったり、騒ぐ・ふざけるといった行動はどんなに簡単そうな沢でも思わぬ事故のもとになります。
また、グループの隊列を乱したり、先行する人を無理に追い越そうとするのも危険です。抜かそうとしたときにぶつかって相手を転ばせてしまったり、自分が足を滑らせて転倒すればケガをする要素になります。
ゴミは持ち帰る
沢登りに限らずアウトドア全般に言えるマナーですが、簡単なことなのにできていない人が多いのが現実です。確かにゴミというのはすでに不要なものですし、汚い・触りたくないと思う気持ちもわかります。
しかし、そのゴミを出したのは自分ですし、沢の景色や自然を次に来るときや自分以外の人にも楽しんでもらうためにも必要なことです。豊かな自然を守るためにも、自分が出したゴミは持ち帰ってゴミ箱に捨てましょう。
必要な装備品
沢登りの必需品・沢靴
沢靴がないと沢登りは始まりません。沢登りは一般的な登山と違って濡れることを前提にして行うものなので、登山靴が防水になっているのに対して沢靴は防水にはなっていません。そのため、中まで濡れるので速乾性のある靴下を履きましょう。
ソール部分には、大きく分けてフェルトとラバーの2種類があります。濡れた岩や滑りのある岩、苔に対してフリクションが効きやすいなどの要素から、最初のうちはフェルトを選択するのがおすすめです。
衝撃から頭を守るヘルメット
沢登りは一般的な登山と違い、道なき道を歩くアウトドアです。足元が不安定なので慣れていない最初のうちは転ぶ可能性が高く、沢筋という場所は基本的に頭上から石が落ちてくることが多い地形になっています。
そのため、衝撃から頭を守ってくれるヘルメットは必須アイテムです。登山用のヘルメットであれば何でも大丈夫ですが、沢登りをメインにして使うのであれば外側のシェル部分が硬めのハイブリッドタイプを選択するのをおすすめします。
命を守るためのハーネス
落ちたら危険な場所で安全を確保するためのハーネスも、必須アイテムのひとつです。フリークライミング用と登山用の簡易ハーネスの2種類があり、フリークライミング用にはクッション性があります。
そのため、長時間ぶら下がっても身体に負荷がかかりにくいです。一方、簡易ハーネスにはクッション性がなく、軽量性を重視したつくりになっています。沢登りで難しい壁にトライすることはないので、簡易ハーネスを選択するのがおすすめです。
楽しみ方のコツ
沢を歩く
沢登りの楽しみ方でいちばん簡単なコツは、沢の中を歩くことです。とても単純なことですが、蒸し暑い夏に沢の冷たい清流に足を浸してみてください。眼前に広がる自然を眺めながら沢の中を歩くだけでも、とても気持ちよくなれます。
水が流れているところを歩くのは滑りやすい要素になり、転倒しやすいので足元に気を付けて歩いてください。万が一転んだときに頭をきちんと守れるよう、きちんとヘルメットをかぶって歩くのがマストです。
釜や淵を泳ぐ
沢を歩くことに慣れてきたら、釜と呼ばれる大きな滝壺や流れがよどんでいる淵などを泳ぐ選択をするのもひとつのコツです。見事に泳ぎ切れれば、その達成感はひとしおです。真夏でも寒む感じることがあるかもしれませんが、他では味わえない爽快感を経験できます。
場所によっては流れが速かったり滝つぼが深くて危険だったり、泳ぐのには適さない沢もあります。泳ぎたいときは事前に確認して、安全に留意して挑戦するようにしましょう。
滝の中をクライミング
クライミングに自信のある人は、滝の登攀をするのもおもしろいです。コツはあえて流れの中心を進むこと。流れの中心に突っ込み、上から流れてくる大量の水を被りながらのシャワークライミングはとても興奮します。
シャワークライミングに慣れてくるとやがて呼吸ができないほどの水流が癖になり、なかには長大な滝の登攀に心血を注ぐ人もいます。挑戦した後はビショビショになりますが、ほかではできない経験をすることができるでしょう。
山菜やキノコを収穫
沢登りの楽しみ方は、泳いだり登るといったアクティブな面だけではありません。山のアウトドアならではの山菜採りやキノコ狩り、渓流釣りも醍醐味のひとつです。収穫したあとは調理して味わういましょう。
山菜は天ぷらやお浸し、キノコは鍋にするのがおすすめです。魚は刺身や塩焼き、ムニエルにすればその日の食卓をおしゃれで華やかにしてくれるでしょう。採れたて、釣りたてをその場で調理したものほどおいしい料理はありません。
山菜取り・キノコ狩りの注意点
- 山菜やキノコには毒をもったものがあります
- 選択を間違うと死に至るほど毒性が強いものもあるので自己判断で採取するのは危険です
- 採取する際は知識や経験が豊富な人の判断を仰ぐようにしましょう
沢登りは自然と触れ合えるアウトドア
今回は沢登りについて始め方やおすすめの装備品、楽しみ方のコツなどをご紹介しました。できるだけ多くの要素に興味を持って、さまざまなことにトライしてみるのがこのアウトドアを楽しむコツです。
また、沢登りは一般的な登山と比べて危険な要素が多いので特に最初のうちは1人で挑戦せず、ツアーに参加するなど必ず知識が豊富な経験者と一緒に体験するようにしましょう。マナーを守って、安全に楽しく沢登りをしてください。
沢登りにおすすめの装備品はこちらもチェック!
今回は、沢登りの始め方についてお話してきました。必要な装備品についても触れましたが、暮らし―のにはおすすめの装備品をより具体的に紹介している記事がたくさんあります。おすすめの装備品を具体的に知りたい方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。
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出典:unsplash.com