真夏の花「サルスベリ」の花言葉
和名(学名) | サルスベリ/百日紅(Lagerstroemia indica) |
植物分類 | ミソハギ科サルスベリ属 |
園芸分類 | 庭木・落葉樹 |
開花時期 | 7~10月 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 強い |
サルスベリはミソハギ科サルスベリ属の落葉樹です。花が少なくなりがちな真夏に艶やかに開花し、庭を華やかに彩ります。芽吹きの時期が遅く、「ナツメやサルスベリが芽吹いているのにほかの木が芽吹いていないとなるとその枝は枯れている」という指標にもされている樹木です。
開花時期や花色、生態はどれも特徴的で、サルスベリの花言葉の多くはそれらに由来します。まずはサルスベリの名前の由来についてチェックしましょう。
一番遅く芽吹き一番遅く落葉する
サルスベリの芽吹きは樹木の中でも遅く、暖地の関東であっても5月を過ぎてからといわれています。寒冷地であれば6月ごろまでは葉を落とした枝だけの状態が続き、枯れているのではと心配されるほどです。
その一方で、落葉を始めるのも遅いのがサルスベリになります。ほかの樹木が紅葉し落葉してしまった後もサルスベリがあれば紅葉が楽しめるでしょう。
サルスベリの名前の意味と由来
サルスベリの別名は「百日紅」です。サルスベリの名前は木肌の様子から、百日紅は開花時期の長さに由来するといわれています。百日紅でサルスベリと読む場合もありますが、「ひゃくじつこう」とそのまま読むことも。後でご紹介する花言葉の由来が名前の由来につながっているものも多くあります。
名前の意味と由来①サルスベリ
サルスベリという名前は木肌の様子が由来です。サスルベリの幹の表皮はコルク質で生育とともにぱらぱらと剥がれ落ちます。古い表皮がはがれて現れたサルスベルの木肌はサルも思わずすべってしまうほど滑らかなことから「サルスベリ」と呼ばれるようになりました。
「サルが滑る」という言葉が先行し滑稽なイメージがついているかもしれませんが、サルスベリの木肌はなまめかしくきれいで、華やかな花にも劣らないほどです。
サルスベリのような木肌が気になった方はこちらもチェック
幹から古くなった表皮が剥がれ落ち、美しい木肌がなまめかしく見えるさまは美しく観賞価値が高いとされます。サルスベリのように木肌を楽しむ樹木として、シャラの木が人気です。シャラの木について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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名前の意味と由来②百日紅
サルスベリと名前が付けられていますが、漢字では「百日紅(ひゃくじつこう)」とあらわされます。サルスベリ開花時期の長さに由来し、花を咲かせると100日近く花を咲かせている姿から「百日紅」の名前が付けられました。
百日「紅」と赤色の花を表す名前が付けられていますが、サルスベリには赤色の花びらを付ける種類以外に白やピンクの花びらを付ける種類も存在します。
サルスベリの特徴
つるつると滑らかな木肌や華やかな花びらを100日もの間つけているなど見た目が名前の由来になっているサルスベリ。真夏の青空にぐんぐんと枝を伸ばしていく姿は大変見ごたえがあります。
そんなサルスベリは夏の花として人気ですが、さらにサルスベリの特徴や魅力についてみていきましょう。
特徴①開花時期が長い
サルスベリの開花時期は7月~10月でまさにその期間は100日ほどです。サルスベリは枝の頂点に花をつけ、厚さ5mmほどの薄いフリルのような花びらを広げます。
1つの花自体の開花期間は短く2~3日です。しかし、つぎつぎに開花するので長く花が楽しめるという意味で「100日咲いている」といわれます。開花後、すぐに剪定すれば再び花を咲かせることもあり、剪定は美しい花びらを楽しむためのポイントです。
剪定方法について気になった方はこちらもチェック
サルスベリは剪定のタイミングや切り戻し方によって翌年の花の大きさをコントロールできる植物です。生育旺盛なサルスベリは枝が込み合いやすく、風通しが悪くなるとうどん粉病などにもかかりやすくなります。
そのため剪定は重要な手入れの1つです。サルスベリの剪定方法について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

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特徴②原産地は中国など
原産地でサルスベリは人々から広く愛されている花でもあります。サルスベリの原産地は中国南部、朝鮮半島といわれており、日本には江戸時代に伝わりました。
原産地中国では百日紅よりも紫薇(しび)という名前の方が一般的で、これはサルスベリが植えられていた場所に由来します。原産地中国ではサルスベリは中国の宮廷(紫微)に多く植えられていたため紫薇の名前が定着しました。
特徴③花の形・色が美しい
前述したように、サルスベリの種類は複数存在します。現在30種類ほどが存在するといわれていますが、原産地中国の系統を色濃く残すもの、日本との交雑で誕生したものなどさまざま。まるで花火のような姿も相まってサルスベリは真夏を代表する樹木です。
花びらの色の種類は主に赤、白、ピンクです。樹高は原産地中国にあるようなものであれば10mほどになりますが、コンパクトで3mほどにしかならない矮性品種などもあります。
特徴④実も楽しめる
ボリュームある花をつぎつぎと咲かせる開花期が終わればサルスベリの鑑賞時期は終わりと思うかもしれませんが、サルスベリは実まで楽しめる樹木です。花のあとには実がつき、熟すると規則正しく6つに割れて中から種が現れます。サルスベリの実は花材にも使われており、ドライフラワーのスワッグやリースに人気です。
サルスベリの実のなかから出てくる種には楓の種のように羽がついており、風によく舞いその姿も美しく楽しめます。
サルスベリの花言葉と由来
ぱっと目を引く花色が魅力のサルスベリですが、どんな花言葉がつけられているのでしょうか。サルスベリの花言葉はどれもその特徴を色濃く反映したもので、同じ花にまったく別の意味合いの花言葉がつけられています。
花を贈るときには相手の立場やシチュエーションを押さえておきたいところ。サルスベリの花言葉の由来を知っておけば安心です。
花言葉と由来①雄弁
サルスベリの木を栽培してみると、驚くのが100日にも及ぶ開花時期の長さ。百日紅という名前にも納得です。つぎつぎと花を咲かせるサルスベリはまるで恋人たちがおしゃべりをしているよう。
風に枝をなびかせそよぐさまはまさに雄弁。100日ある開花時期をサルスベリ自身が楽しんでいるような陽気な姿です。華やかな花色は堂々とし、愛を交し合う恋人たちの幸せをまさに「雄弁」という花言葉にあらわしているのでしょう。
花言葉と由来②愛嬌
続いてのサルスベリの花言葉は「愛嬌」です。この花言葉の由来は滑らかな木肌に由来します。の名前の由来にもなったとおり、サルスベリの木肌はつるつるしていて木登りが得意なサルであっても滑り落ちてしまうほどです。
愛嬌はかわいらしくて憎めない意味を持ちます。「失敗もご愛嬌」といった意味でこの花言葉つけられたのでしょう。
花言葉と由来③不用意
愛嬌の花言葉と同様、「不用意」もサルスベリ特有の木肌に由来します。こちらは愛嬌のように「かわいい」や「憎めない」という意味はなく、「失敗した」という意味合いが強い花言葉です。
「木登り上手のままでいたいのであれば、わざわざ不用意に滑りやすいサルスベリに上る必要はなかったのに」という考えが花言葉由来になったのかもしれません。そのため、失敗した人に励ましの意味を込めて花を贈るのであればサルスベリは要注意です。
あえて「不用意」の花言葉を使うのもアリ?
「不用意」という花言葉を持つサルスベリは愛する人に贈るにはふさわしくないと思うかもしれません。しかし、「不用意」の意味は「用意をしていない」「うっかりしている」などです。ふとしたしぐさで不用意に恋に落ちたという経験をお持ちの人もいるのではないでしょうか。
これまでただの友人だったのに、恋に落ちてしまったという気持ちを伝えたいのであればサルスベリの「不用意」という花言葉もうまく使えるかもしれません。
花言葉と由来④あなたを信じる
この花言葉は以下の伝説が由来になっています。
生贄の娘を助け出した青年と娘は恋人になりした。しかし、青年は一度村を去る必要がありました。「100日後に戻るよ」と告げ、町を出た青年は急いで村へ戻ります。ところが戻ると娘は亡くなっていました。
墓からはサルスベリの木が生えており、100日もの長い時期にわたって雄弁に花を咲かせたといいます。「あなたを信じる」と言い合った恋人の悲恋から花言葉がつけられました。
花言葉と由来⑤潔白
「あなたを信じる」の花言葉の由来となった伝説では、この花言葉のほかにもう1つの花言葉がサルスベリにつけられました。その花言葉が「潔白」です。命を落としてでも「あなたを信じて私は待っていました」という娘の気持ちを「潔白」という花言葉で表現したのかもしれませんね。
青年が娘のことを思って必死に村へ戻った気持ちからも「潔白」の花言葉は感じられます。互いを思う姿を感じられる切ない花言葉といえるでしょう。
サルスベリの花言葉の魅力
「雄弁」や「愛嬌」といった一見派手な花言葉を持ちながらも、その一方では「潔白」や「あなたを信じる」といった誠実で健気な花言葉も。サルスベリは一見相反するような花言葉がつけられているのが魅力でもあります。
花色も赤やピンクのほかに、潔白を感じさせる白色もあるため贈る相手に合わせて選びやすい花ともいえるでしょう。サルスベリが信頼する恋人に贈る花におすすめなのも納得の花言葉の数々です。
8月29日の誕生花
真夏に開花時期を迎えるサルスベリ(百日紅)は8月29日の誕生花でもあります。明るく華やかな花なので誕生日の贈り物にもふさわしい花といえそうですね。「雄弁」という堂々とした花言葉もつけられているので、男性への贈り物にもいいかもしれません。
サルスベリの人気の種類
サルスベリの花言葉は花色が違っても変わりません。自分の気に入ったサルスベリに好きな花言葉を込めて大切に育てたいですね。紅葉時期も見ごたえがあって美しいサルスベリはシンボルツリーにも人気があります。最後にサルスベリの種類をご紹介しましょう。
人気の種類①ムラサキサルスベリ
ムラサキサルスベリ
一般的なサルスベリの花色は赤や白、ピンクですがなかには珍しい紫の花色をした種類もあります。ムラサキサルスベリ(紫百日紅)はサルスベリとシマサルスベリの交雑種として生まれた種類で上品な花色が人気です。変わった種類を探している人におすすめの品種になります。
人気の種類②夏祭り
夏祭り
「夏祭り」はその名前のぴったりな華やかな花をつける品種です。ふわふわとフリルのような花びらは外側は白で中に入るにつれ赤が濃くなる複色。真夏の夜空に打ちあがる花火のような美しさが魅力でしょう。花言葉「雄弁」や「愛嬌」がぴったりな花色といえるかもしれません。
夏祭りのような品種であれば「不用意」という花言葉でさえも、忘れられないひと夏の恋を連想させるから不思議ですね。
人気の種類③チカソー
チカソー
チカソーは矮性品種のため樹高が低いのが特徴です。5年で樹高は30cmほど、最大でも1mにしかなりません。高木の株元に植えたり、グランドカバーのように使うことも可能です。
矮性品種は風通しが悪く、サルスベリがかかりやすいうどん粉病のリスクが上がりますが、チカソーは耐病性もあって安心。ほかのサルスベリの品種に比べて控えめな印象なので、「あなたを信じる」や「潔白」といった花言葉がぴったりかもしれません。
信頼とともに恋人に贈りたいサルスベリ
魅力的な花言葉を際立つサルスベリ。「あなたを信じる」や「潔白」という花言葉はまさに恋人に贈りたいものでしょう。サルスベリは仕立て方次第でがらりと印象を変える樹木でもあります。違う花色を数本植えるのもおすすめですよ。
真夏の暑い時期にぐんぐんと空へ枝を伸ばす姿は非常に晴れやかで清々しい気持ちにさせてくれます。花言葉を込めて夏生まれの恋人への贈り物にもぴったりでしょう。
サルスベリの花言葉について気になった方はこちらもチェック
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