ワケギとは何?ネギとはどう違う?
ワケギとは球根性の多年草です。見た目が薬味に使うコネギなどのネギにそっくりで、事実、古くはネギの仲間とされていましたがそうではないことが明らかになりました。ワケギの特徴やネギとはどのように違うのか解説します。
特徴①球根で育つ玉ねぎとネギの雑種
コネギや白ネギとの大きな違いは、球根の有無。ワケギはネギと玉ねぎが交雑して生まれた雑種で、地上部はネギに似た姿をしている一方で地下部は球根という玉ねぎの性質も引き継いでいます。コネギ同様、プランターなどでも栽培できますが収穫してみると小さな玉ねぎのような球根を持っていることがよくわかるでしょう。
特徴②辛みが少なく甘みが強い
白ネギやコネギを生で食べると辛くて驚くことがありますね。ワケギは玉ねぎとネギの雑種だけあって辛味が少なめです。また、加熱すると甘みが増すというネギの特徴はそのまま引き継いでいるため、生で食べても加熱して食べてもおいしく味わえ、あると便利な野菜です。
球根部は辛味が強い
葉は辛味が少なく甘みがあると前述しましたが、白い球根部は生で食べると辛味が強いという特徴があります。この辛さを楽しむ人食べ方も人気ですが、辛味が気になる人はゆでたり揚げたりして加熱調理しましょう。そうすると球根部も甘みがアップ。さっとゆでてわずかに残る辛味を楽しむぬたなどの食べ方が人気です。
特徴③分球するので増やし方も簡単
ワケギは花を咲かせても種をつけません。増やし方は分球で、成長とともに地下部にある球根がひとりでに増えます。ワケギは漢字では「分葱」とあらわされ、ネギのような野菜が分球する増やし方をよく表しているといえるでしょう。
ちなみに、英語では"walking onion"と表記され、地中で分球し思いがけないところから生えてくるワケギの増やし方にちなんだといわれています。
特徴④葉も球根部も食べられる
ネギと玉ねぎの雑種で、どちらの性質も色濃く受け継いでいるは葉も球根部も食べられます。葉は細かく輪切りにして薬味に使ったり、葉と球根部をそのままゆでて酢味噌とあえて「ぬた」にしたりとさまざまな食べ方が人気です。
ワケギは主に関西地方でよく食べられる野菜で苗からプランターなどで栽培する人もいるほど身近な存在でもあります。
特徴⑤花はめったに咲かない
市販されているワケギの苗は分球でしか増えないため、基本的に花は咲きません。しかし、種類によってはごくまれに花を咲かせることがあるといわれています。ワケギの花の色はうす紫色で、ネギのように球状ではなく広がるように咲くのが特徴です。
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東西で違う?ワケギの種類
ワケギとはネギと玉ねぎの雑種で、分球しながら増える野菜です。関西で主に食べられるため、関東の人にとってはなじみがなかったり、別の種類と混同されがちでもありいます。ワケギの種類についてチェックしていきましょう。
関西の種類
ワケギは関西では一般的な野菜で、なじみのない人にとって混同しがちなワケギとコネギ(万能ねぎ)との区別も明確です。ワケギ自体の種類も関西では豊富で、「小玉種」と総称される収穫サイクルが早く球根が小ぶりなものや、収穫まで時間がかかるものの大ぶりな球根に育つ「大玉種」などがあります。
関東の種類
関東ではワケギはあまり浸透していない野菜のため、さまざまなネギと混同されがちです。とくに間違われやすいのが、名前もよく似た「ワケネギ」です。ワケギの漢字が「分葱」であるためさらにややこしくなったのかもしれませんね。ワケネギの特徴はワケギのように球根はつけず、葉ネギの一種です。
「アサツキ」とは?違いは何?
コネギ(万能ねぎ)ともワケネギとも違うワケギ。アサツキはワケギのように球根で育ち、分球によって増えます。葉がワケギよりもさらに細いのが特徴といえます。
美味しいワケギの選び方と保存方法
辛味が少ないことに加え、甘みが強いのでさまざまな料理に使えるワケギ。関東でも見かけた際はぜひ味わってみたいものです。美味しいワケギの選び方と保存方法をチェックして余すことなく味わいましょう。ワケギ以外にもネギや玉ねぎの選び方でも共通するポイントをご紹介します。
選び方①葉の緑が濃くみずみずしいもの
美味しいワケギの選び方は第一に葉を見ます。緑が鮮やかで濃くみずみずしいものを選びましょう。収穫から時間がたっていると葉がクタクタに折れていたり先端が茶色く枯れていたりします。シャキッと元気なものがおいしいワケギです。
選び方②葉や球根に傷がないもの
どんな野菜にもいえますが、大きな傷が目立つものはそこから痛み出す原因になることもあります。葉がシャキッとしていて、なおかつ球根や葉に傷のないものを探すのがよい選び方です。ただし、購入後すぐに食べるのであれば少し傷がついていてお買い得になっているものを選ぶのも一手でしょう。
保存方法
ワケギは時間とともに味が落ちやすい野菜で鮮度が命ともいわれています。購入後、すぐ食べないのであれば根元を濡れたキッチンペーパーで包みビニール袋などで包んでから野菜室で保存しましょう。薬味で使う場合は小口ネギのように小さく切ってチャック付き保存袋に入れて冷凍庫で保存もできます。
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ワケギの育て方
ワケギは育て方がとても簡単な野菜で家庭菜園初心者にもおすすめできます。植え付け後、20日前後で収穫できる「二十日分葱」といった種類もあり収穫の喜びが早く味わえるのも魅力。
また、プランターで栽培できるのでベランダといった限られたスペースでも栽培可能です。球根を残して地上部の葉をカットすれば繰り返し収穫できるので新鮮な薬味を常備できるといったメリットもあります。
育て方①球根(苗)の用意
まず球根を準備します。ワケギは分球して増えるためすでに植わっている場合はそこから球根を増やすことも可能です。プランターなどではじめて栽培する場合はホームセンターや園芸店を訪れワケギの球根を購入しましょう。
基本的な植え付け時期は8月~9月のため、この時期に訪れると球根を手に入れやすいです。ワケギを栽培している人に球根を数個分けてもらうのもおすすめ。うまく分球すればそこからどんどん増やせますよ。
ベランダでのプランター栽培にも最適
前述したように、ワケギは家庭菜園初心者の人やベランダでのプランター栽培に最適な野菜です。球根から出る根も浅く広がるのでプランターで管理が簡単にできます。
小さなプランターでもつぎつぎ葉を出すのでスペースの限られたベランダでも育てやすいですよ。
育て方②用土
用土はごく普通の野菜の栽培に使う用土で問題なく栽培できます。プランター栽培であればこういった市販の用土とプランターの水はけをよくするために底に敷く軽石を準備するだけでOKです。
畑などに地植えする場合は、植え付け2週間前に苦土石灰をまいて土のpHを中性~弱アルカリ性に調整しておきます。さらに植え付け1週間前に堆肥や有機肥料を混ぜ込んでおき、これを用土としましょう。
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育て方③植え付け
プランターの場合は地表を平らにしたあとワケギの球根を15~20cm間隔で植え付けていきます。一か所に球根は2~3球植え付けましょう。球根を植え付ける深さですが、土からわずかに球根の頭がのぞくようにします。
畑で栽培する場合は畝をたてます。畝幅は50~60cmにし、植え付ける間隔はプランター栽培と同様に15~20cmです。交互になるように2列に植え付けるとよいでしょう。
育て方④水やり
植え付け直後の水やりはたっぷりとします。その後は土が乾燥したら水やりをしましょう。過度に水を与えすぎると球根が腐ってしまうことがあります。
植え付け直後に十分水を与えた後は球根と土の様子を観察するのが大切です。球根から芽が出たあとは葉がしおれてきたり土が乾燥したりしたときに水を与えましょう。地植えの場合は極度に乾燥したとき以外は控えめで構いません。
育て方⑤肥料
元肥以外にワケギには追肥が必要です。ワケギの根本から数センチ離れた場所にぱらぱらと肥料をまき、周りの土をかぶせます。ベランダなどでのプランター栽培でも畑へ地植えでも草丈が10~15cm程度に伸びてきたころを目安に追肥しましょう。このときに一緒に土寄せをすると一度に2つの世話が完了します。
栽培を終えるまで、2週間に一度程度追肥しましょう。液肥などをうまく使うと作業が楽です。
土寄せとは
土寄せとは土を野菜の根本にかぶせる作業のことです。雨や風にさらされると知らない間に土が動き、根が地上部にさらされることを防ぎます。ネギやじゃがいも栽培でとくに重要な作業で、土寄せと一緒に追肥をおこなうと作業が簡便です。
育て方⑥収穫
ワケギの収穫方法は大きく2種類あります。薬味として青い葉の部分だけが必要なときや、同じ苗から続けて収穫したいときは3~4cmを残して葉をカットしましょう。球根部を土に残す場合は、葉を収穫するたびに追肥すると次の葉が出やすくなります。
ぬたなどワケギの球根ごと味わいたいときは、地面から引き抜きます。球根から出る根は食べられませんので切り落としましょう。
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ワケギの増やし方
育てる方法も非常に簡単なワケギですが、増やし方も非常に簡単です。一度球根を購入すれば、毎年分球させて増やせるのでコスパもとてもいい野菜といえますね。ワケギの増やし方や球根の保存方法について確認しておきましょう。
増やし方①時期
8~9月ごろに植え付けをし、収穫を長く楽しめるワケギですが翌年春~夏に急に生育が落ち込み葉がしおれ倒れるようになります。この時期が収穫時期です。つぎつぎと新しい葉を茂らせ光合成して作った栄養分が十分に球根におくられたサインでもあります。
増やし方②収穫方法
葉が倒れだしたら球根を掘り起こします。葉の残し方は2種類あり、1つは葉を残さずすべてカットし、球根をバラバラにして広げて乾燥させる方法です。もう1つの方法は5cmほど葉を残してカットし、葉の部分で球根を束ねて風通しのよい場所につるして乾燥させます。いずれにせよ球根の土をしっかり落とし、腐らないように十分に乾燥させるのが重要です。
球根の保存方法
翌年の植え付けに球根を残したいときは乾燥させた球根を新聞紙などで包んで冷暗所で保存します。ワケギは旺盛に分球するため収穫した一部は保存し、残りはおいしく味わうのがおすすめです。ぬたやサラダ、酢漬けなどさまざまな方法でおいしくいただきましょう。
一度植えれば長く収穫できるワケギ
ワケギはネギらしい香りを持つため、害虫を匂いで遠ざけるコンパニオンプランツしても使える一面もあるネギと玉ねぎの雑種。畑の一角に植えておけば毎年ひとりでに発芽するという声もあるほど生育旺盛です。
葉の部分をカットして収穫すれば長く収穫でき、食べ方もバリエーション豊富で重宝するでしょう。家庭園芸に挑戦してみたい初心者の人にもおすすめですよ。
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