はじめに:初心者のための土作り講座
土作りの基本とおこなう期間も紹介
今までプランターで野菜用培養土しか使ってこなかったという方もたくさんの作物を育てたいと思われたら庭や畑を耕しての土作りも必要となってくるでしょう。土作りは難しい・面倒だと思っていませんか?
基本のやり方やコツを知っていればあとは作る野菜の好みに合わせてあげるだけだからとても簡単です。もし今畑の休眠期間をしている方もただ放置しているだけでは土は休まりません。土のためにも土作りをして春夏・秋冬と年2回の野菜栽培がおすすめです!
春夏野菜のためにふかふかの土作り
家庭菜園での野菜づくりもはじめは何を作るか好みもあるでしょうが、成長が旺盛で観察するのも楽しい春夏野菜の栽培は初心者におすすめです。
肥料などが効いているのかもわかりやすいため自分がやった土作りが合っていたのかの見極めもつきやすいというのも理由のひとつです。秋冬栽培にも流用できる野菜用の基本の土作り方法をご紹介しましょう。
土作りに必要なおすすめ道具や肥料
それではまずは土作りのために揃えておきたい道具や肥料からチェックからはじめましょう。これらはみんなホームセンターで簡単に手に入るものばかりです。
土づくりは道具や肥料がないとはじまらない
プランター栽培であれば面倒な土作りをしなくても野菜用培養土を買ってくればそれで終わってしまいます。なぜ今わざわざ労力をかけて土作りをお考えなのか?それは畑や庭で少し広範囲に家庭菜園をされたいと思っているからではありませんか。
広い庭や畑といった範囲を耕すにはそれなりに大きな道具が必要になるだけでなく、元肥や土壌改良のための材料も必要になってくるでしょう。
スコップなど掘り返す道具
土作りは硬い土をやわらかく崩すところからはじまります。これは耕すスペースにもよりますが大きなスコップ(シャベル)や鍬などの農耕具があると便利。
庭などの少しの範囲での土作りであれば園芸用の小さなシャベルや潮干狩りに使うようなくまででも時間をかければ土を耕すことは可能です。自分の耕す範囲によって掘る道具をご用意ください。
小石などを取り除くふるい
畑として利用しているところでも掘ると出てきて困るのが小石や泥の塊でしょう。多少あってもよいですが、地中にあまり石がゴロゴロしていると根が十分に水分や養分を吸収できなくなってしまいます。
そのような大きな土のノイズを取り除くためには少し大きめなふるいをご用意ください。掘った土をふるいにかけるだけでもかなりふかふかな土に再生することができるでしょう。
土に養分をプラスする肥料
固まった土をある程度ほぐしたら次に必要なのが堆肥・化学肥料などです。これには2つの目的があって堆肥は主に土の中の微生物のエサとしてふかふかさを作るもので相対する化学肥料は純粋に植物の養分を土にプラスしてあげる元肥の働きがあるといえます。
元肥としての肥料なら追肥にも使える8-8-8等書かれた栄養バランスの良い緩効性化成肥料が便利です。しかし化学肥料は微生物のエサとならないため使い切ったら終わりと考えましょう。そのため定期的に肥料を与えないといけない土になってしまいます。
水はけをよくする堆肥や酸性中和の石灰
より手間がかからないオーガニックな土作りを意識するならそこに土壌改良要素をプラスしていきましょう。堆肥や腐葉土など有機質の肥料は養分だけでなく微生物のエサとなり土の水はけをよくしてくれます。
一方酸性に傾いた雨の影響による酸性度にはそれを中和する石灰(苦土石灰・有機石灰)を定期的に混ぜ込むことで野菜が育ちやすい環境を作ることが可能です。苦土石灰は好みもありますので育てる野菜によって用意するか決めましょう。
野菜の家庭菜園に!基本の土作りの方法
必要な道具や肥料の種類などがわかったところで、早速具体的な土作りのやり方のコツとその手順を解説していきます。土作りがはじめてという方でもわかりやすく、うっかり忘れて失敗してしまうことがないよう土作りスケジュールの流れにそってご紹介しましょう。
家庭菜園の土作りのコツはスケジュール
野菜用培養土などを買ってしまえば一瞬で終わる土作りですが、プランター栽培ではなく自宅の庭を有効に使いたいときにはどうしてもいくつかに分けて土作り作業をすることになります。
土作りには掘るだけでなく土壌改良や肥料分をプラスするという意味で何ステップかに分けて作業をすすめる土作り期間・スケジュールが大切になってくるでしょう。
土作りの第一歩は掘ること
家の庭や畑で野菜を育てようとする方法の第一歩、土作りはまず掘り起こすことからはじめます。雨にあたった土はそのすき間に細かい粒が入り込みぎゅっと詰まったようになってしまいます。それを掘り起こすことによって塊をばらばらにし土の中に空気を入れ根が下へと伸びやすいようにしてあげます。
作物によって掘る深さを変える
硬い土を掘り起こすのは力のある方でも重労働でしょう。その作物がどのように根を張る性質を持っているのか、土寄せなど上に新しい土を積み上げていく形でお世話していくのかなどを考慮して無駄な作業をしなくても良いよう掘り起こす深さを加減してください。
植え付け3週間前にやること
堆肥・腐葉土をすきこむ期間
完熟した堆肥や腐葉土であれば2週間前にやってもよいのですが念の為それよりも1週間早くやっておくてなおよいのがこの作業です。早くするのは未熟な堆肥を完熟させる意味があります。
どのくらいの割合ですきこんだらよいのかは作物によって変わってきます。堆肥や腐葉土はそれほど気にする必要はありませんが化学肥料や石灰などは作物による分量差が大きいため必ず土づくりの前にチェックをしておきましょう。
植え付け2週間前にやること
苦土石灰をすきこむ期間
土のpHを調整するために混ぜるのが石灰。日本においては雨によってほぼ99%の土が酸性に傾いているといわれています。そのため中性・アルカリ性の土質が好みな場合が多い家庭菜園では必ずやらなければいけない作業となるでしょう。
一般的には苦土石灰が手に入りやすく家庭菜園に向いている土壌改良材といわれており、野菜づくりにおいて土壌改良をする石灰であれば何でもいいわけではなく苦土石灰か有機石灰という2つから選ぶことが大切です。土作りのためにすきこむ分量については前述のとおりです。
植え付け1週間前にやること
元肥をすきこむ期間
最後に植え付け1週間前を目安におこなうのが元肥となる肥料をまぜること。土づくりのラストスパートとして肥料をあげると覚えておくと良いですね。
植え付けと同時におこなうこともできますが、肥料によっては土と混ぜて一定時間おくことで熟成させたり効き目をやわらかにして植物の根にやさしくする意味もこめて少し前にしておくことをおすすめします。
備考:作物と養分バランス
一般的には8-8-8と呼ばれるリン・カリウム・チッソがバランスよく配合された化学肥料が手軽につかえて好まれていますが作物によってはこのバラスをあえてくずすことも大切です。
実を収穫する野菜に必要な栄養
土の上にできる作物で実を収穫するもの(トマトやナスなど)はリン酸をたくさん使いますので少し多めになるように肥料を足すと良いでしょう。これは主に追肥であとからおこなう土づくりの場合が多いので初期の土づくりのタイミングでは気にする必要はありません。
葉物野菜に必要な養分
葉の成長をうながす養分はチッソですが、これは多すぎると徒長したようにひょろひょろで弱い株になってしまいます。またそのために病気や害虫にすぐに狙われてあとあとの農作業で苦労することにも。
どんな野菜の家庭菜園においても他の栄養素以上にチッソが多くなりすぎないよう注意してください。
チッソが多いと実付きも悪くする
このほか豆類や根菜系の作物においてもチッソ分が多いことにより大きさが小さい、葉ばかりが茂ってしまって養分がいかず実が付かないということになりかねません。それぞれの野菜によって何が必要か前もって調べ適した肥料配合で土作りをしていきましょう。
オーガニックな土作りは有機肥料がポイント
前述でも少し触れましたが化学肥料ばかり使った土作りでは土の中の微生物がいなくなり、その糞によって養分が生まれたり土を食べられることによりふかふかな土作りが自然のちからでされることはありません。より自然な土を目指すならオーガニックな土作りにも目を向けてみましょう。
化学肥料にたより切らない土作り
化学肥料は栄養バランスがしっかりと保たれているためとても使いやすく失敗することも少ない肥料です。ただしそればかり使っていると土がどんどんそれなしではダメになってしまうようになります。
具体的にいうと肥料をあげないと力のないだらしない土になってしまうということです。自分である程度は野菜を育てる力を発揮できるしっかりものの土作りをするには一定割合で有機肥料を使ってあげると良いでしょう。
オーガニックな有機肥料は種類も豊富
オーガニックな土作りには必須な有機肥料。ひとくちに有機といってもいろいろな種類があります。主なものに鶏糞(けいふん:にわとりの排泄物)や草木灰・油かすなどはホームセンターの園芸コーナーにも置かれており目にしたり耳にしたことがある方も多いでしょう。
有機肥料は土作りによいところもたくさんあるのですが割合が難しかったり初心者にはつかいにくいところも多々あるのが多くの方が化学肥料に頼ってしまう原因となっています。
初心者にも使いやすいおすすめはぼかし肥料
土作りには良いとはわかっていてもなかなか使えない有機肥料。しかし難しいものばかりではありません。比較的効果がゆるやかで失敗が少なく初心者の土作りに使えるものとしてぼかしはいかがでしょうか。
ぼかしの語源はその効果がぼかしたようにじわじわと土に伝わっていくことです。これにより強すぎて植物が肥料焼けしてしまったという失敗が大きく減ります。また強い有機肥料をブレンドして発酵させるという作り方からいろいろな栄養を期待できるのもおすすめポイント。
自分で作れるぼかし肥料の作り方
ぼかしを作るには数種類の材料を混ぜ合わせ水を加えて発酵させるため園芸シートやコンクリートを混ぜるような大きめの容器が必要です。ホームセンターなどであらかじめご購入のうえご用意ください。
材料は米ぬか牡蠣殻石灰油かす。こちらの割合は3:1:1なので覚えやすいですね。そこに発酵促進剤を少しと水を足すだけ。動画内では素手で扱っていましたが米ぬかは長期間手に付いたままだとかぶれる方が少なからずいらっしゃいますので肌の弱い方は特に手袋着用をおすすめします。
まとめ:初心者向けの簡単な土作り方法
基本の土作りからトライしてみよう
いかがでしたでしょうか。今回は初心者向けの汎用性のある土作りとして簡単な基本的な方法をご紹介しました。
またオーガニック栽培に興味のある方にもぼかしの作り方などは参考になったのではないでしょうか。これをヒントとしてぜひ土作りからの家庭菜園にも挑戦してみてはいかがですか。
土作りが気になる方はこちらもチェック
今回ははじめての方でもわかる簡単な畑や庭の野菜用土作りの方法をご紹介しました。暮らしーののガーデンカテゴリにはもっと掘り下げた野菜別の土作りのポイントなどもご用意しています。土作りの脱初心者をされた方はこちらの記事も是非参考にしてみてくださいね。
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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/306449