飛行機にモバイルバッテリーを持ち込むことはできる?
スマートフォンやタブレットが普及し、飛行機での旅行や出張でも欠かせないアイテムになってきました。行き先を確認したり、写真を撮ったり、連絡を取り合ったりと大活躍だからこそ、電池切れにならないか心配ですよね。そんな時に便利なのが携帯できる電池の「モバイルバッテリー」です。荷物にモバイルバッテリーを入れておけば、旅先でも安心して楽しめますよね。
しかし、モバイルバッテリーは、過去に飛行機の機内で発火したという事故もあって、飛行機の緊急着陸や飛行機からの乗客の緊急避難を要したケースがありました。そのため、空港での飛行機への荷物に関するモバイルバッテリーのチェックが厳しくなったんです。もし、自分の乗っている飛行機内で発火して火災が起きるなんて、考えただけでもぞっとしますよね。
では、飛行機に乗っての旅行や出張にはモバイルバッテリーを持って行けないのか、と心配なところですが、ご安心ください。決められた容量や個数などのルールを守れば、モバイルバッテリーも飛行機内に持ち込めるんですよ。今回は、飛行機内に持ち込みOKなモバイルバッテリーの種類や注意すべき禁止事項等をご紹介しますので、ぜひ参考にして飛行機の旅を楽しんでくださいね。
飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーの条件を紹介!
実際に飛行機に携帯して持ち込むことにどのような制限があるのかというと、現在は、飛行機への搭乗前に荷物を預ける「預け入れ」でモバイルバッテリーを入れることを禁止しています。一方、飛行機内への「持ち込み」は、携帯できる容量や個数などのルールを守れば可能となっています。飛行機内預け入れが禁止で持ち込みがOKな理由は、モバイルバッテリーの種類に関係しているんです。
モバイルバッテリーは主に2種類!
モバイルバッテリーには、主に乾電池を使う「乾電池タイプ」と、コンセントに繋いでモバイルバッテリー本体を充電して使う「充電式タイプ」の2種類があるのですが、それぞれ使用されている電池タイプが異なります。乾電池タイプは「乾電池」または「ニッケル水素電池(エネループを使用している場合)」を使用しており、充電式タイプでは「リチウムイオン電池」を使用しています。
基本的には、乾電池タイプのモバイルバッテリーは飛行機の機内へ持ち込めるし、預け入れも可能です。そう聞くと「じゃあ乾電池タイプにすれば良いか!」と思う方もいると思いますが、実際は軽くて小さい充電式タイプも魅力的で、長旅には充電式タイプも持って行きたいところですよね。しかし、充電式タイプに使われているリチウムイオン電池が、飛行機に乗るうえで要注意なのです。
リチウムイオン電池のモバイルバッテリーが飛行機で要注意な理由
リチウムイオン電池は、温度の変化や大きな衝撃に弱いんです。そのため、飛行機の飛行に伴う大きな衝撃や、飛行機内の温度上昇等があると、リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリーが影響を受けて、発火してしまう可能性があるんです。そのため、過去にもモバイルバッテリーが飛行機内で発火して緊急着陸をするなどの事故が起こりました。
飛行機に乗る時はモバイルバッテリーの預け入れ禁止!
貨物室は、客室と同じような温度設定ではなかったり、荷物が大きく動いたりぶつかったりすることで衝撃を受けやすいです。リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリーを飛行機への預け入れ荷物に入れた場合、この影響を受けやすくなります。当然客室乗務員もいないため、何か問題が起きた時にすぐに発見したり、消火活動することもできません。
これらの理由で、モバイルバッテリーの飛行機内持ち込みを禁止しています。しかし、これは飛行機に預け入れる場合の禁止事項なため、飛行機への持ち込みはOKです。客席のある機内では、乗客のみならず、荷物もしっかり安定したところに置かれ、室内温度も一定に保たれていますものね。ただし、飛行機への持ち込みにも容量や個数のルールが定められているため、確認しましょう。
飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーの条件①容量条件
まずは、飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーの条件としてポイントとなるモバイルバッテリーの容量「mAh(ミリアンペアアワー)」と、個数制限について、基本的なことを確認しましょう。ちなみに「mAh」は1時間に何ミリアンペアの電力量を放電するかを表す単位です。
飛行機に持ち込む際は「mAh」の制限と個数に要注意!
モバイルバッテリーの飛行機内持ち込み条件については、そのモバイルバッテリーの容量(mAhまたはWh)によって、持ち込みそのものがOKかどうかであったり、個数制限に影響してきます。国内線の飛行機の場合は、概ね基準値が同じになっていますが、国際線の飛行機の場合は、大きくは変わらないものの、国によってより厳しい制限を設けている国もあるので、その都度確認することが大事ですよ。
「Wh」表示のみの場合の計算方法
モバイルバッテリーの容量制限についての表記が「Wh(ワットアワー)」で表記されている場合、モバイルバッテリーに記載されている「mAh」と異なるので困ってしまいますよね。「Wh」は、1時間あたりに何ワットの電力量が放電されるかを示す単位です。この先は都度調べて計算すれば良いので覚えていなくてもOKですが、次のような計算方法で算出できるということを覚えておくと安心ですよ。
「Wh」の計算式
Whを算出する計算式は「Wh(ワットアワー)=V(電圧)×Ah(電池容量:アンペアアワー)」となっています。なお、モバイルバッテリーの電池容量は、ほとんど「mAh」と表記されているため、その単位に合わせるための式は「Ah=mAh÷1000」です。また、リチウムイオン電池の電圧は決まっており「3.7V」なんです。つまり、Wh計算のためには「Wh=3.7×mAh÷1000」をすればOKですよ。
飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーの条件②国内線条件
条件その1を踏まえて、国内線の飛行機の場合における、モバイルバッテリーの携帯持ち込み条件を確認してみましょう。現在、国内線の飛行機内に携帯持ち込みできるモバイルバッテリーの条件は、国内の航空会社で統一されています。そのため、次の条件を覚えておけば安心ですね。
国内線の飛行機の場合のモバイルバッテリー持ち込み条件
モバイルバッテリーの容量のカテゴリーとしては、大きく100Wh(=27027mAh)未満のものか、100Wh以上160Wh(=43243mAh)未満のもの、そして、160Wh以上のものと分けて考えます。基本的に、国内線のモバイルバッテリー携帯持ち込み条件としては、160Wh未満の容量であれば可能です。ただし、100Wh以上160Wh未満のタイプは2個までと個数制限があるので要注意ですよ。
飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーの条件③国際線条件
次に、条件その1を踏まえて、国際線の飛行機の場合における、モバイルバッテリーの携帯持ち込み条件を確認してみましょう。国際線の場合でも、日本国内と同じルールの航空会社が多く、ANA・JALの場合は国内線と同じ容量の制限となっています。しかし、若干ルールが異なる国もあるので、きちんと確認しておきましょう。国際線の種類としては、主に次の航空会社が挙げられます。
国際線の主な航空会社
国名 | 主な航空会社 |
日本 | ANA/JAL |
中国 | チャイナエアライン/中国国際航空/中国東方航空 |
香港 | キャセイパシフィック航空 |
韓国 | 大韓航空 |
マレーシア | エアアジア |
オーストラリア | ジェットスター/カンタス航空 |
シンガポール | シンガポール航空 |
カナダ | エアカナダ |
アメリカ | アメリカン航空/ユナイテッド航空/デルタ航空/ハワイアン航空 |
イギリス | ブリティッシュエアウェイズ |
フランス | エールフランス航空 |
ドイツ | ルフトハンザドイツ航空 |
オランダ | KLMオランダ航空 |
国際線の飛行機の場合のモバイルバッテリー持ち込み条件
国際線の飛行機でも、基本的に100Wh未満のモバイルバッテリーはどの航空会社も持ち込みOKで、なおかつ160Wh以上は持ち込み禁止です。また、多くが100Wh以上160Wh未満のモバイルバッテリーの個数制限を2個までとしています。一部、100Wh未満のモバイルバッテリーについても、個数制限(2個~4個あたり)をしている航空会社がありますよ。基本的に1~2個までの携帯持ち込みなら安心ですね。
また、アメリカン航空のみ、160Wh以上のモバイルバッテリーを持ち込みたい場合に特別支援サポートに問い合わせて場合によっては飛行機への携帯持ち込みが可能というルールになっています。この場合は、スマートフォンなどの充電用ではない理由で、生活に必要な器具のための場合などですね。リチウムイオン電池を内蔵した車椅子などの介護用品もあるため、必要に応じて相談してみましょう。
そのうえで、基本的には携帯持ち込み可としておきつつも、実際に飛行機への携帯持ち込みをする際は「航空会社の許可が必要」としている航空会社もあります。100Wh未満は基本的に許可不要ですが、100Wh以上160Wh未満のモバイルバッテリーについては、次の航空会社は許可が必要になります。以下の国際線の飛行機に搭乗予定の場合は、事前に各航空会社にチェックしておきましょうね。
100Wh~160Whのモバイルバッテリー持ち込み許可が必要な航空会社
条件 | 航空会社 |
許可が必要 | チャイナエアライン/カンタス航空/ブリティッシュエアウェイズ/KLMオランダ航空 |
用途によって条件が異なる | ルフトハンザドイツ航空 |
飛行機に乗る際はモバイルバッテリーの条件に気を付けよう!
もし、リチウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーを預け入れしてしまった場合、厳しい荷物検査の過程で発見され、呼び出されます。荷物を開けて探されてしまうので、恥ずかしいし嫌ですよね。また、160Whを超えると廃棄されてしまいます。誤って預け入れ禁止のモバイルバッテリーを入れてしまわないように気を付け、禁止事項や容量を確認して飛行機に乗りましょう。
飛行機への持ち込みやモバイルバッテリーに関する情報はこちらもチェック!
今回は飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーの種類とルールについて説明してきました。「暮らし~の」では、その他の飛行機への持ち込み制限についての解説記事や機内持ち込みOKのモバイルバッテリー商品のご紹介をしています。ぜひこちらの記事もチェックしてみてくださいね。
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