長距離マラソンに必要なエネルギーとは?
マラソンに不可欠なエネルギー
フルマラソンもの長距離と言えば皆さんご存知の通り42.195km、ハーフマラソンでも21kmあまりもある距離です。このようなフルマラソンくらいある長距離を完走するには、日常的に走っている人でない限り4時間〜6時間もの時間がかかります。
ポイントはエネルギーの備蓄
完走するための筋力トレーニングや練習はもちろんのこと、そのトレーニングや練習の成果を発揮するためにはエネルギーの備蓄が必須です。フルマラソンを走り切るためには、そもそも体に備蓄するエネルギー量はいったいどれくらい必要なのでしょうか?
マラソンで必要なエネルギーの求め方
一般的にマラソンなどの長距離ランニングで必要なエネルギーは、走り切るタイムに関係なく次の計算式、体重(kg)×距離(km)=必要なエネルギー(kcal)で求めることができます。
たとえば体重60kgの人がフルマラソン当日を走るためには約2,520kcal、体重80kgの人ならなんと約3,360kcalものカロリーが消費されることになり、それを消費させることができるエネルギーの蓄えが必要なのです。
マラソン準備における基本的な食事ルールとは?
マラソンと特別メニュー
長距離マラソンを走るからと言って、大会ギリギリの前夜や当日朝食まで食事を特別なメニューにする必要はありません。普段あまり口にする機会がないものを朝食から夕食まで、しかもギリギリの当日朝食までいろいろと準備するよりも、いつも通りの食材を使った食事で十分準備ができます。
普段通りの食事で臨む
例えば、普段から肉やうどんを定期的に食べている人は、その肉やうどんの量やメニューを前夜まで調整することで長距離マラソンを走り切る準備ができます。普段あまり食べない食材を口にすることで逆にお腹を不調にする可能性もありますので、むしろマラソンの準備メニューとしては普段通り肉やうどんの食事がよいと言えます。
体内に備蓄されたエネルギーとは?
人間の体脂肪量はどれくらい?
どんなに鍛えたアスリートでも体内には少なからず脂肪が蓄えられています。体脂肪率は体組成計などで簡単に計測することができますが、その割合や量は体重と体脂肪率の数値で算出することができます。
例えば、体重80kgの人の体脂肪率が25%だったとすると脂肪の量は「80kg×25%=20kg」ですが、体脂肪のうち約20%は水分なので実際は「20kg×80%=16kg」となります。
脂肪エネルギーと糖質エネルギーの違い
このような脂肪エネルギーを長距離マラソンなどで消費することはできますが、実は脂肪エネルギーの消費スピードは糖質エネルギーに比べて時間がかかるため速いスピードで走っても消費されにくいのです。つまり、体脂肪率の高い人は速いタイムで走ることが難しく、逆に体脂肪率の低い人はエネルギー切れを起こしやすいのです。
栄養バランスの取れた食事とは?
マラソンに不可欠な栄養バランス
フルマラソンという長距離を走り切るためにはエネルギーの蓄積が大切です。でも、ただやみくもにどんどんエネルギーを接種すればいいというわけではなく、5大栄養素をバランスよく接種することで効率よくエネルギーを蓄積できます。
5大栄養素
5大栄養素とは、炭水化物・脂質・たんぱく質・ミネラル・ビタミンのことです。うどんはほとんどが炭水化物で、肉は種類にもよりますが、たんぱく質・脂質・ビタミンが多く含まれています。栄養バランスの取れた食事というのは、これら5大栄養素が含まれた食材を使ったレシピを考えましょう。
スタミナ切れしない前日までの食事4選
マラソン大会でスタミナ切れしない前日までの食事①
長距離を走るマラソン大会では、ゴールするまでにスタミナ切れにならないようにしないように前夜まで入念な準備をしないとよい記録どころか完走すらできません。では、長距離を走ってもエネルギーが枯渇しスタミナが切れないようにするためにはどのような準備をすればよいのでしょうか?
マラソン直前の食事
長距離を走るマラソン大会、特にフルマラソンでは最後まで走り切るエネルギーをゴールまで保つために大会直前、特に2日前から前夜、当日朝食までの食事の摂り方と準備が大切になってきます。中でもマラソン大会当日に筋肉や肝臓に糖質(グリコーゲン)が最大限身体に蓄えられているような食事の摂り方が必要です。
マラソン大会でスタミナ切れしない前日までの食事②
糖質エネルギーの消費は早く、脂肪エネルギーの消費は遅いということを既に書きました。エネルギーとなるグリコーゲンを筋肉や肝臓に最大限蓄えられるような食事の摂り方は、1週間前から前日前夜のみならず当日の朝食までの準備が大切です。
低糖質から高糖質に切り替える
カーボローディング法に例えて説明すると、1週間前から4日前までの前半は朝食も含め低糖質食を続け、3日前から前日前夜までの後半の準備としては逆の高糖質食に切り替えるというものです。
ただ、低糖質の食事ばかりを継続して行うことは内臓にとても負担がかかるので、最新のカーボローディングの改良法では1週間前から4日前までは通常通りの食事メニューがよいとも言われています。
マラソン大会でスタミナ切れしない前日までの食事③
さて、1週間前から4日前までは低糖質の食事、3日前から前日前夜までは逆に高糖質の食事に切り替えると言っても、普段食べない食事メニューをわざわざ用意する必要はありません。1週間前から前日前夜までは、高糖質なのか低糖質なのか、それだけを意識していつも通りの食材を選びましょう。
普段使わない食材は避ける
普段食べないような食材を選ぶと、カロリーや脂質や糖分についてあらためて計算しないといけません。このように余計なことで頭を悩ますことのないようマラソンに向けてリラックスした食生活を送りましょう。
たとえば、一般的な食材を使っている人であれば、ご飯やうどんなどの麺類、肉や魚などの主食やおかずなどの食材は普段どおりのものを選び、肉の量や種類を調整して低糖質や高糖質になる食事メニューにすればよいのです。
1週間前から4日前までの食事の摂り方
低糖質に移行するタイミング
マラソン本番のスタミナ備蓄を意識した前半の1週間前から4日前までは、まず低糖質な食事に切り替えます。はじめに取り組みたいことは主食であるご飯やうどんの量を調整しましょう。
例えば、普段毎食250gのご飯やうどんを食べている方は、7日前200g→6日前150g→5日前100g→4日前50g というように毎日一定量ずつ減らしていき無理なく低糖質に移行します。
低糖質な食事の注意点
低糖質な食事にする場合に注意しないといけないのは、全体の摂取カロリーを極力減らさないようにすること、それと、脂質とタンパク質を肉などからしっかり摂るようにすることです。これが長距離を走り切るエネルギーとなるのです。
マラソン大会でスタミナ切れしない前日までの食事④
濡れたタオルよりも乾いたタオルの方が吸水性が高いように、低糖質だった食事を高糖質な食事に切り換えることでエネルギーは効率的に蓄積されます。つまりマラソン大会の3日前から前夜までの期間に低糖質の食事を続けた後に高糖質な食事に切り換えることで体内への糖質の取り込みはスムーズになります。
このように、マラソン大会でスタミナ切れしないように糖質の摂取を増やしていき、エネルギーを体内に貯め込むような食事をする方法をカーボローディングと言います。
4日前から2日前までの食事の摂り方
1週間前から4日前まで低糖質の食事を続けた後、3日前と2日前の2日間は再び高糖質な食事に戻していきます。つまり、低糖質の期間とは逆にご飯やうどんの量を普段の250gから少し多めにしましょう。
また、味噌汁や副菜でじゃがいもなどを食材にすることで糖質をさらに多めに摂取するよう心がけます。さらに、糖質代謝を促進させるためにビタミンB群を多く含む魚介類や豚肉などを積極的に摂取するように心がけましょう。
マラソン大会前日の食事メニュー3選
マラソン大会前日の食事メニュー①
マラソン前日、特に前夜はいよいよカーボローディングの集大成となる最終日です。これまではカーボローディングでマラソン大会当日のレースでスタミナを最も維持出来るようにするために糖質の量を1週間前から調整してきました。そして前日前夜は出来るだけ多くの糖質とたんぱく質を摂取しましょう。
カーボローディング食のポイント
そんなマラソン大会前日に最も適した食事メニューのメインは、炭水化物を一気にたくさんとれるご飯やうどんです。また、糖質を効率的に分解してくれるためにビタミンB群の多く含まれる豚肉や卵も同時に摂取するようにしましょう。
マラソン大会前日の食事メニュー②
ここでカーボローディング最終日となるマラソン大会前日の食事例を紹介してみます。前日は、糖質を無理なくたくさん摂るため、うどんなど消化の良い炭水化物とたんぱく質が多く含まれる食品をメニューに取り入れます。そして、糖質を効率よく身体に吸収されるようビタミンB群を多く含む食品も取り入れましょう。
カーボローディングメニュー例
例えば、朝食に大盛卵かけご飯、じゃがいもの味噌汁、納豆、野菜サラダ。昼食は肉うどん、牛丼または海鮮丼、ほうれん草のおひたし。そして、夕食は大盛ご飯、ワカメのみそ汁、サラダチキン、卵焼き、野菜サラダ、フルーツなどです。
マラソン大会前日の食事メニュー③
マラソン大会前日前夜は、炭水化物やたんぱく質の多い食品を取り入れたいのですが、脂肪分を多く含む食品は消化に時間がかかるので控えましょう。また、生野菜は繊維質が高いので摂取したいところですが、消化に時間がかかるのでこれもできるだけ控えましょう。
普段食べ慣れている食材や食品で、糖質とたんぱく質の多いものを増量して摂取することが無理のないカーボローディングになるのです。
マラソン大会当日の食事メニュー2選
マラソン3時間前の食事メニュー
マラソン大会当日の朝食は、3時間前くらいに朝食として摂取するようにしましょう。直前とは言え3時間前に摂る朝食は、いつも食べているもので揃え炭水化物とたんぱく質を多く含むメニューを中心に用意します。
たとえば、炭水化物ならご飯やおにぎり、うどん、餅などをメインにして、たんぱく質は納豆やゆで卵、みそ汁などを用意します。それに加えてバナナを加えるとよりエネルギーを蓄えやすいでしょう。
マラソン1時間前の食事メニュー
フルマラソン大会に出場する場合は、レース1時間くらい前にも長距離を走り切るスタミナを貯えるために消化の良い炭水化物を摂取し他方がよいと言われています。
そんなレース直前の1時間前に摂取したい朝食は、手軽に食べられ消化も良いおにぎりやバナナ・カステラなどが良いでしょう。何かと忙しいレースの直前ですので、片手で手軽に食べられるものを選びましょう。
マラソンレース直前の食事メニュー3選
マラソンレース直前の食事メニュー①
朝食は3時間前と1時間前に済ませているはずですので、後は本当の直前である30分前にゼリー状になっているアミノ酸を摂れば消化も良く胃もたれもなく、すぐにエネルギーとなりレースに集中できます。
マラソン大会のレース直前にはすぐにエネルギーに変わるものを摂取するために食事を取りましょう。でも、レース直前の食事は、あくまで無理のない範囲で適量だけ摂取することに留めましょう。
マラソンレース直前の食事メニュー②
レース直前の食事を済ませるといよいよレースに向けてウォーミングアップに集中したいものですが、最後に忘れがちなことがひとつあります。ウォーミングアップを行った後レースで走り始めると、身体からはとたんに発汗とともにミネラルが出て行きます。
これはミネラルと水分不足による脱水症状が起こるからです。こうならないようにするために、レースのほんの直前まで塩入りの飴やミネラル入りの水分を少量ずつ補給しましょう。
マラソンレース直前の食事メニュー③
さて、レースがスタートした後ですが、こレからは自分で食事を考えることはほぼ無理です。レースコース途中のエイドステーションで給仕された糖質や脂肪の含まれた給食を水分やミネラルとともにこまめに摂取するようにしましょう。
中規模以上のメジャーなマラソン大会であれば、コース途中のエイドステーションもだいたい5kmくらい毎に設置してありますので、こまめな食事や水分摂取は十分可能でしょう。
まとめ
レースで力を最大限に効率よく発揮出来るような食事の準備について紹介してきましたがいかがでしたか?
レースで力を効率よく発揮するためには、一週間以上も前から調整されたメニューを摂取することが大切なのです。マラソンに限らず何事も本番で自分の力を発揮するためには、事前の入念な準備が必要なのです。ただ、食事ばかりに気を取られて、基本となる体幹トレーニング、ストレッチなどが疎かにならないようにしましょう。
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