はじめに
水仙が咲く季節はいつ?花言葉や育て方など
水仙の花は気づくと咲いていたなどという体験をされた方も多いのではないでしょうか。そのくらい育て方は簡単で植えっぱなしで手間不要の植物。
この花には品種ごとにとても多くの花言葉も存在するのをご存知ですか?それだけでなく俳句の季語に使われたりと何かと季節に関係するお話に登場することが多い植物です。水仙と季節についてのお話を解説していきます。
水仙について
水仙の基本情報
科・属:ヒガンバナ科スイセン属
原産地:地中海沿岸地域
学名/英語名:Narcissus/Daffodil・jonquilなど
育て方難易度:地植えなら植えっぱなしで簡単。鉢植えでも水だけ忘れなければ何年もそのままで毎年咲く初心者向け。
水仙の花の特徴
株元から花がつく茎がスッと伸びて花を咲かせる植物。球根で増える多年草に分類されています。花もよく見るときれいなのですが花よりもまずそのよい香りで咲いているのに気づくほど芳香性が高い植物です。
色は白や黄色、またはそのミックスなどがあり大輪の花を咲かせるものから小さな目立たない花を咲かせるものまでいろいろ。
水仙の名前の由来・別名
水仙は中国の古典の一文から取られた名前で、水に住まう仙人のことを水仙と呼んだそうです。水辺に咲いていることも多い水仙が仙人の姿のように見えたのでしょうか。日本では雪の中に咲くことも多いので雪中花(せっちゅうか)という別名も有名です。
水仙の花言葉は「報われぬ恋」
水仙の代表的な花言葉の由来
とても多くの花言葉がある水仙ですが、一番ポピュラーなものがこの報われぬ恋というもの。ナルシスの神話から由来しています。
ナルシスの神話をご存知ない方のために簡単にご説明すると、自他ともに認める美しさを持ったナルシスという少年がある日泉を覗き込み自分の姿に恋をしました。あまりの恋しさに泉の淵より離れられなくなりそのまま花の姿に変わってしまったというものです。
その他の水仙の花言葉や由来は
色によっても花言葉の意味や由来が変わってくるのがこの水仙。白には尊敬や神秘。黄色には私の許へ戻って・もう一度愛にこたえてなど切ない花言葉がありますが、この花言葉は黄泉の国(死者が行くとされる場所)と強い関係性があるようです。この他品種によって花言葉も違いますので後述の品種の章でそれぞれの花言葉もご紹介します。
水仙の季節①植え付け
水仙の育て方は植え付けから
球根を植えて育てる植物ですので、鉢植えや花壇での水仙の育て方はまず植え付けの季節を知ることからはじまるでしょう。植え付けは秋10月ころ。ホームセンターや花屋で大きめで重さのあるしっかりとしたものを買ってくれば翌年にはきれいな花が咲くでしょう。
何個かセットになって売られているものには小さくて花が咲かないような球根も含まれていることも多いので少し割高になりますがバラ売りでずっしりとしたものを選ぶのがおすすめ。
水仙の植え方
育て方はとても簡単で土もほとんど選びません。庭をお持ちの方は日当たりが良い場所を適当な深さの土をある程度掘って柔らかくしてから植え付けておけば自然のままで花が咲くでしょう。
鉢やプランターならば球根用の土か軽い培養土を買ってきて鉢底石を敷いた上に土、球根、土とサンドして植え付けます。元肥は不要ですがまぜて置いても良いです。
植え付けは向きに注意
水やりや土つくりにはほとんど気を使わなくて良い植物ですが、植え付けの向きだけは気をつけましょう。球根の育ち方に影響します。
球根を真上から見たときにとがった部分が楕円になっており真ん中に線が入っています。この線を中心として左右に葉が出てきますので、複数個植え付ける場合はこの向きを調整して植え付けるとそれぞれの株の葉がかぶらずよりよく光合成することができます。
水仙の季節②開花・見ごろ
水仙の花の見ごろの季節
開花時期は自然な状態で育てていれば、早いものでお正月あけ1月ころから遅いもので3月くらいまでが花の見ごろです。品種によって多少の差がでてきます。植え付けてから3ヶ月目くらいでもう花が咲くので、手軽な花といえるでしょう。
見ごろをすぎた株のお世話
開花時期を過ぎしばらくすると見ごろをすぎて花が枯れてきます。開花時期が終わった花はその茎の根本から剪定してしまってください。花がぽろりと落ちますのでそのまま放置してしまう方も多いのですが、茎が残っていると種を作ろうとして無駄な養分を使います。
開花後見ごろが終わったら必ず花の茎ごと切り取って、残った球根に栄養を蓄えさせることが次の年のきれいな開花へとつながります。
水仙の季節③球根が育つ季節
開花後は翌年用に球根を育てよう
花壇などに地植えで水仙の花を植えているとあまりの手間のかからなさに何もせずに自然のまま放置しておく方もいるようですが、球根が育たずだんだんと花が小さくなる・株が減るといったことが起こります。今年は花の数も少ないし小さかったという心当たりがある方は特に開花後に球根を育てるひと手間をお世話に加えてください。
球根を育てる時期
水仙の花が咲き終わるころ、花をそのままにせずに見ごろの章でもご紹介した花後の剪定(花がら摘み)を行ってください。水仙はひとつの株にたくさんの花を付けるものではありませんので、それほど花がら摘みも手間がかかる作業ではありません。少しの労力で球根にしっかり養分が蓄えられ、翌年の株に大きく影響するのでおすすめですよ!
水仙の季節④掘り起こし
水仙の球根を掘り起こして保存するなら
花が終わり球根に養分を蓄える時期は8月くらいまで。そのまま植えっぱなしにしておいても自然と冬になれば芽が出て春の開花準備をはじめますが、球根を掘り起こして分球(球根を分けて数を増やす方法)をしたいなどの場合は8月ころには掘り起こしてしまってかまいません。
分球は増やす以外にも植物の成長に効果あり
自然なまま放置しておいても毎年花を咲かせてくれる水仙ですが、球根が増えてくると株が増え一箇所が混雑してしまいます。そのために葉が重なり光合成もしにくくなり、それが球根の成長にも影響します。分球することで増えすぎた株を分けひとつひとつの球根をのびのびと成長させてあげることができます。
季節の水仙の品種と花言葉
水仙の品種①ラッパ水仙
簡単な水仙のお世話の季節や育て方をご紹介してきましたが、ここからはいろいろな品種の特徴と花言葉をご紹介します。
まずは水仙といえばこれを思い出す方も多いラッパスイセン。中央の副花部分が大きく色は黄色や白、そのミックスなどでバリエーションもたくさんあります。見栄えが良いので園芸用として好まれています。ラッパスイセンの花言葉は持って生まれた素質や尊敬・心づかいとなっています。
水仙の品種②八重咲水仙
水仙の多くは1つ茎に1つの花が付きますがそれが複数あるもの、なおかつ花びらや中央の副花部分が複数枚数あるものを八重咲きの水仙としています。そのため株の数に対して花の数も多く、控えめなものが多い水仙の花の中でも特に目立つものとなっています。
八重咲きの品種の花言葉は田園の幸福。シンプルな水仙の花には田園の風景がよく似合い、その花の匂いは多くの人を幸せにしてくれるでしょう。
水仙の品種③笛吹水仙
笛吹水仙は少し変わった形をした品種で、周りの花びらがなく中央の副花部分が肥大したような姿をしています。また葉も他の水仙と比べて細いのも特徴。園芸種ではないので市販の球根ではあまりお目にかかれない珍しいもの。地中海沿岸に自然に自生する野生種で花色は黄色です。笛吹水仙の花言葉は優しい追憶。
水仙の品種④房咲水仙
房咲水仙は日本の水仙の親となっている品種です。ひとつの茎にたくさんの花を付けるところからこの名前がついています。
花数は多いですがその分花の大きさは少し小さめなものも多いですが、品種改良元となっていることから同じ房咲水仙の中でもシンプルなものから八重咲き・大きな花小さな花と非常に姿が豊富なのが特徴。この花の花言葉は思い出や自尊・記念となっています。
水仙の品種⑤日本水仙
日本で主に水仙と呼ばれるのはこの日本水仙で房咲水仙のひとつでもあります。開花時期が1-2月頃と少し早めで雪中花と名前が付いたのもこのため。ひとつの花茎に複数の花を付け、葉は野菜のニラのように少し平たく幅があるのが特徴。花言葉は自己愛でこれもナルシスの神話に由来するものです。
水仙の季節と俳句の季語
雪中花と三寒四温
日本水仙にも出てきましたが、雪中花というのは自然界で雪が積もる季節に水仙が顔を出し開花時期を迎える水仙のこと。この頃の日本の季節は冬で三寒四温と呼ばれる春を迎える特徴的な天候が訪れる時期です。三寒四温というと春をイメージさせる方もいるでしょうが、季節的には冬。俳句でも冬の季語となっています。
水仙の季語は冬
水仙が咲くと春を感じる人も多いでしょうが、このことから水仙の季語は冬。俳句に水仙や雪中花という言葉が出てきたら冬の句ということになります。
代表的な水仙を季語とした俳句
冬の季語水仙の俳句1
水仙や白き障子のとも映り(松尾芭蕉)
とても有名な歌人である松尾芭蕉の俳句です。この水仙は野に咲くものではなく室内に飾られたもの。お正月の準備でしょうか白く貼り替えられたばかりの障子に活けられた水仙の花の白とあいまってとても清らかな雰囲気であるという意味の句となっています。
冬の季語水仙の俳句2
その匂ひ桃より白し水仙花(松尾芭蕉)
この句はそのまま読めば同じく冬から春の花である桃と水仙の花の白さや匂いを比べている歌なのですが、実はこれは芭蕉のお弟子である二人の若者を差して謳ったものです。まだ若々しい(10代になったばかりの子供)二人の姿をみずみずしい水仙の花にたとえています。
冬の季語水仙の俳句3
水仙の香やこぼれても雪の上(千代女)
とても高名な女性俳人で先に紹介したふたつの歌の歌人でもある芭蕉の弟子の弟子という関係にある方です。花を謳った俳句がお得意な方で、これは62歳のときに編まれた俳句集に収められているもの。水仙の花の白さと雪の白さ、それにもましてこぼれ落ちるようなその香りの素晴らしさを詠んでいます。
まとめ
水仙の季節を知り自然を楽しもう
水仙とひとくちにいってもいろいろな品種がありそれぞれに花言葉もありました。古くから多くの俳句に詠まれてきた日本人にとっては昔から愛されている花。植えっぱなしで何年も花と香りを楽しめる水仙をご自宅でも栽培して切り花にして飾ってみてはいかがでしょうか。
その他の花言葉が気になる方はこちらもチェック
その他にもあまり表立って目立つことがない山野草にもとてもきれいなものがたくさんあり、花言葉が付けられているものもご紹介しています。これらの花言葉が気になる方はぜひこちらも合わせて御覧ください。
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