はじめに
お稲荷様信仰とキツネ
お稲荷様は古い時代よりずっと民間の人々に深く根付いた信仰で現代においてもたくさんの人々からお参りされたりお祭りが行われたりと身近に感じる人も多いのではないでしょうか。ここにはいったいどんなご利益があるのかご存知ですか?今回は稲荷神社の御利益やキツネとの関わりなどいろいろなことをお話していきましょう。
お稲荷様といえば・伏見稲荷大社について
お稲荷様といえば伏見稲荷大社
日本全国にお稲荷様をお祀りする稲荷神社は約30,000社もあるそうです。その中の総本社となっているのが伏見稲荷大社。京都市の伏見区にあります。赤い鳥居が何本も立ち並んでいる写真を見たことがある方もいらっしゃるでしょう。この記事のサムネイルにも使わせていただいておりますが、この場所が伏見稲荷。奈良時代から1,300年以上にわたり地域の人々の信仰の対象となってきた由緒ある神社です。
伏見稲荷大社について
住所:京都市伏見区深草薮之内町68番地
電話番号:TEL(075)641-7331FAX(075)642-2153
営業時間:9:00-18:00(駐車場開所時間)
定休日:年中無休(12月30日より1月5日迄は境内駐車場は閉鎖)
アクセス:[電車バスの場合]JR奈良線の稲荷駅を下車・徒歩すぐ/京阪本線の伏見稲荷駅を下車・徒歩5分[車の場合]名神高速道路の京都南I.Cを降り20分/阪神高速道路の上鳥羽出口を降り10分
お稲荷様はキツネではない?その関係性は
お稲荷様はキツネという考え方は間違い
稲荷と付く神社ではよく狛犬の代わりにキツネの像が飾られます。そんな理由からお稲荷様はキツネを祀っているのだと思わる方も多数いますが、キツネは御本尊ではなくそれの眷属(けんぞく)だと伏見稲荷大社ではきっぱり断言されました。
「稲荷大神様」のお使い(眷族)はきつねとされています。「稲荷大神様」はきつねではありません。
お稲荷様での眷属(けんぞく)とは神のお使い
眷属(けんぞく)とは神や魔物といわれる不思議な力を持つものたちが、自分の使いとして自分の手足のようにもちいる生き物(稲荷神においては目には見えない透明なキツネとされる)のこと。生き物といってもその姿であるだけで本物の生き物ではない場合も多々あります。ここでいうお使いは神の言葉を運ぶ使者の意味が強いでしょう。
ただしお使いのキツネを祀る稲荷信仰もある
神社での稲荷信仰の対象は日本に古くからいらっしゃる神様なのは間違いありませんが、稲荷信仰は人に密着しすぎるため少し複雑で民間によって祀られたものも存在します。これになってくると信仰の対象が神様ではなく直接自分たちのために動いてくれているお使いのキツネの場合も考えられませんか?一般的には神社ではキツネを祀ってはおらずお使いの立場であると覚えておくと良いですね。
お稲荷様の神様は?稲荷信仰と名前の由来
稲荷とは稲を担うという意味の豊穣神信仰
稲に荷物の荷と書いて稲荷(いなり)でこの言葉の由来は稲を担う(になう:肩にかつぐ意味)から。この稲という文字は象徴でいわゆる一例で、そのご利益はもっと広くて五穀豊穣を願うものです。
お稲荷様が祀っている神様は
農業の神とひとくちにいってもたくさん存在しますが、その中で伏見などの神社で祀られるのがウカノミタマという古い日本の神について書かれた書物に登場する女神。同じ稲荷と名がつくものすべてがこの女神を祀ってるとはいえませんが、伏見稲荷含めて大多数の信仰の対象であるのは確かです。
ウカノミタマ神におわす。これイザナギ・イザナミ 2柱の尊の生みし所の神なり。また、オオゲツヒメとも号す。また、保食神(うけもちのかみ)とも名づく。
お稲荷様信仰は大きく分けて3種類ある
信仰①神社による信仰
伏見神社ではウカノミタマを祀っているとお話をしましたが、実はこれには大きく分けて3つの信仰があります。もちろん神社ではこのウカノミタマを祀っており主に農業についてのパワーが強いです。
信仰②お寺による信仰
お稲荷様は少し意外ですがお寺でも祀られるものも。日本も少し前までは神社とお寺が一緒になっていた時代があったので、それを考えるとあまり不思議なことでもないですね。お寺で祀われるのは荼枳尼天(だきにてん)といわれるインドの神。人をも喰らう夜叉とも呼ばると聞くと少し怖いですがその一方で貧富の差なく誰をも手を差し伸べてくれるところもあり誰でもお願いできる御本尊といえるでしょう。
信仰③民間による信仰
そして最後が民間による稲荷信仰ですが、山神・水神・福の神などこれはもういろいろな御本尊が対象になっており、その中にもキツネがありますのであながちキツネが対象になるのは間違いありません。ビルや農家で祀られた祠に油揚げが捧げられていたのならば、それはキツネをお使いとする神やキツネに対してのお願いなのだなと思って間違いないでしょう。
お稲荷様のご利益や由来
ご利益①五穀豊穣
さてここでお稲荷様のご利益が気になるという方もいるでしょう。先に述べさせていただいた通りに基本的には神社の御神体は食べ物を司る神様です。稲荷という名の通り五穀豊穣を祈るために訪れたり感謝のお祭りを行う場所です。
ご利益②商売繁盛
ビルの裏の隅や屋上にも祠が祀られていることがあるのをご存知でしょうか。これは珍しいことではなく都会でも見ようとすればよく目にすることができます。地鎮(土地を鎮める・悪いことがおこりませんように)という願いもありますがお稲荷様は商売繁盛のご利益もある神様だからです。
ご利益③家内安全から厄除け
一方民間で突き詰めた形の稲荷信仰になると結構オールマイティーに何でも願いを叶えてくれるご利益があるといわれています。これはこの神様が貧富の差なく主に一般層の人々からの信仰が厚い神であるため、いろんなお願いが集まり〇〇にもご利益があったよという今でいうなら口コミから広まったものでしょう。
お稲荷様の捧げ物が油揚げな由来
この由来もキツネが関係する
なぜお稲荷様には油揚げやそれから作られたいなり寿司をお供えするのかご存知でしょうか?多くの人がキツネに由来する食べ物だから?と答えられると思います。この説はかなり有力な候補となっていますが果たしてそれだけなのか気になるところです。
ネズミの油揚げから来たという説
これもキツネ関係の説になりますがキツネ狩りには好物であるネズミを油で揚げたものが使われたそうです。その名前がキツネの油揚げ。豆腐から作ったものとは全く関係ない食べ物ですが、同じ名前であることから油揚げが捧げ物として使われるようになったともいわれています。
原料の大豆は大切な食料だった
油揚げの原材料をご存知ですか?豆腐を薄切りにして揚げたものが油揚げですのでこれは大豆が正解。この大豆は実は日本においては大変重要な作物であったといわれます。昔の人は稲や麦を作る田んぼの畦(たんぼのわきの小さな土地・道)に大豆を植えて自分たちの食生活を支えていました。
米は無理な年でも大豆なら捧げられる
昔の方にとって米を捧げることはできなくてもその次に大切な大豆を原料とする油揚げで神様への感謝の気持ちを表そうとするのではないでしょうか。また大豆は連作障害がなく肥料も不要な作物で、しかも長期保存が可能であるためいつでも捧げ物として用意できるという安心感もあります。
お稲荷様の間違いないお参り方法
良くない噂もあるお稲荷様
あくまでも噂の域を出ないことですがお稲荷様はお参り方法を間違えると祟られる。ずっと信仰しないと悪いことが起こるなどそんなことを言う方もいるようです。確かに落語や小説・昔話ではお稲荷様の使いであるキツネは昔から祟られたり化かされたりと人に害を与える動物としても扱われることもありますので、そんなことを考える方もいるのでしょうか。
荼枳尼天のイメージが影響している?
もう一つ怖い噂の根本にはお寺で祀られている荼枳尼天のイメージがあります。インドの神様の中には荒々しい神様もいらっしゃいますね。例えば鬼子母神(ヤクシニー)は人間の子供を食べますし荼枳尼天にしても人を食べるとされている荒神ダーキニーでどちらも夜叉といわれる神様です。強い力に対する恐怖と荼枳尼天の民話・伝説のバックボーンから出たただの噂なのでしょう。それでも神社にお参りするときに正しい方法でおこなうのは気持ちの良いもので覚えておいても損はありません。
お稲荷様参拝の参考に!神社のお参り方法
神社の参拝方法には作法があるのをご存知でしょうか?もしお稲荷様が怖いと感じられるけれどどうしてもご利益を賜りたいというならそのお作法に則ってみるのが良いでしょう。神様に失礼なこともなく自分も安心した気分でお参りできるでしょう。
お参りの作法と意味
①鳥居の前で一礼-鳥居は俗世と神様の世界の門といわれている場所です。そこから神様の領域に入るので頭を下げて失礼しますという気持ちを表します。
②手や口を清める-手水舎の水で手と口を清めてからお参りします。このとき柄杓は直接口につけないこと。左手右手口とい順番で清めていきます。
③参道の中央は歩かない-真ん中は神様が通る場所ですので開けて歩いてください。
④二礼二拍手一礼-頭を2回下げ、柏手を2回打ってから頭を下げるのがお作法。
それでも心配なら福参りを
稲荷神社には2月のはじめての午の日にお参りすると良いといわれています。この日は稲荷の神様が神社にお鎮まりになっている日だからです。福を授けてくれる神様にお祈りすることで噂を気にせず、さらにお参りすることへの安心感が増すでしょう。
都の巽(東南)にお鎮まりの神様は人々に福を授ける神様である
お稲荷様の鳥居は何でたくさん連なっているのか
稲荷鳥居という建築方式
何げなく見ている神社の鳥居にはそれぞれ違いがあって建築方式で〇〇鳥居という複数の種類があるのをご存知ですか?その中にはもちろんお稲荷様を祀る神社に建てられる稲荷鳥居という建築様式もあります。鳥居ひとつひとつの形もそうですが、伏見神社に代表されるいくつも鳥居が連なった形のものもそういいます。
お稲荷様の鳥居がたくさん立てられている意味
この鳥居の数の多さはその願いや感謝の気持ちが込められているとされています。多ければ多いほどたくさんの人の気持ちがこもっているというわけです。
お稲荷様の鳥居が赤いのは
またこの鳥居の色にも意味や由来があります。画像でも良いので見たことがある鳥居の色を思い出してください。赤が多いかと思いますが石づくりで灰色をしたものや木をそのまま使ったものなどいろいろな色が浮かんだのではないでしょうか。鳥居に赤が多い理由は生命の躍動をあらわしているとされています。この神社の神様がずっと活き活きと生命感溢れており、私たちをずっと守ってくださいますようにという気持ちが込められているのでしょう。
まとめ
お稲荷様は民間に密接した信仰だった
お稲荷様についてよく疑問であがることや、お参りのお作法までご紹介してきました。信仰する神様によっていろいろなご利益も変わってくるのがお稲荷様の特徴。神社参拝の一般的な作法はありますが神様にお参りするという敬意があれば祟るものではありません。安心してお参りしてみてはいかがでしょうか。
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