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夏に着る着物って?女性が気になる夏物の種類や特徴と基本の着方をご紹介!

日本伝統の着物には様々な種類があります。特に夏に着る着物には独特なルールもあり、少し難しいと思いがちですがそうではありません。夏だからこそ楽しめる着物の種類や素材、夏の和装のルールや時期などをわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてくださいね。
2020年8月27日
chiro
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涼しげで美しい夏の着物

素材で選びたい夏に着る着物

夏の着物は本当におしゃれな人しか持たないと言われていましたが、最近では夏だからこそ着物というムーブメントもあり、たくさんの女性誌で特集されるほどです。夏に着る着物の代表的な素材は単衣なら御召や縮緬、木綿などが一般的です。薄物なら絽や紗、または羅か夏大島が多いですが、これらの夏物の着物にもいろいろな種類やルールがあります。抑えたいポイントだけでも理解して夏の和装を楽しんではいかがですか。

夏に着る着物の種類や時期などのルール

日本伝統の装いである着物には、シーンによっていろいろなルールがありますが、それほど難しいものではありません。6月と9月の初夏と晩夏は単衣(ひとえ)を、7月と8月の盛夏には薄物(うすもの)、それ以外は袷(あわせ)の着物というのがベースのルールで、他は場所によって「着物の格」を守ればよいだけです。特に夏は涼しげできれいな色の着物が多く、さらりと着こなせばワンランク上の大人女性を演出できる優れたアイテムになります。

夏物の着物の種類と素材の違い

夏の着物は浴衣だけじゃない

花火大会などで着たい夏の着物として浴衣があります。しかし、夏に着る着物は浴衣だけではありません。盛夏に着る着物は透け感が涼しげな絽(ろ)や紗(しゃ)、羅(ら)という特殊な織り方で仕立てたものを着ます。これが薄物と呼ばれる夏に着る着物です。浴衣はカラフルで手軽に楽しめる反面、艶やかさとは対極に位置しますが、絽や紗、羅といった薄物の着物をさらりと着こなせると、美しい大人の女性という印象を与えることができます。

シャリ感の涼しさと抜け感の涼しさ

和装におけるシャリ感とは、肌触りがシャリとした糊のきいた麻や木綿を思い浮かべると近いイメージを想像できます。麻や木綿の和装は主に単衣で楽しむことが多いです。これは、和装のルールである、肌襦袢、長襦袢、着物という重ね着をした場合に、それぞれの間に空気の流れを作ってくれるからです。反対に抜け感とは、デコルテあたりがふわっと浮いたような着付けのことで、色っぽい印象が女性らしさを際立たせる着方です。

女性に合う夏の和装とは?

女性らしい柔らかい線が演出できる着物の種類

レーヨンやポリエステルなどの少し抜け感のある素材だと女性らしいラインも演出できますし、プリント柄なので遊び心で選ぶこともできます。これら化学繊維の着物は、和装の最難点である洗えないというポイントをクリアしています。通常のクリーニング店でも対応してもらえるので気軽に楽しむことができます。また従来の伝統的な柄をポップなカラーでプリントしてあるものも多く、年齢に関係なく女性らしいシルエットで人気が高まっています。

涼しげなシャリ感が演出できる着物の種類

着物の素材によって着心地も違いますし、相手に与える印象も違います。麻や木綿など硬めの仕立て上がりになる素材だとシャリ感が出て、見た目も着心地も涼しいです。これらの素材は主に単衣として用いられることが多いです。盛夏の薄物なら、縞模様に透ける感じの絽、縦横均一に透け感が出る紗、紗よりも大きな目で織られるため編み目のように見える羅の着物が代表的な素材になります。また、絽も紗も羅もすべて正絹で織られているのが一般的です。

夏に着る着物の特徴は?

夏物の襦袢は素材で選びたい

単衣や薄物などの和装と浴衣の大きな違いは、長襦袢を着用するかしないかです。一般的な和装で重ね着のように襟元に見えるのが長襦袢ですが、浴衣ではこれを着ずに下着である肌襦袢だけで着用します。1枚多いから暑いと思われるかもしれませんが、麻や木綿などの天然素材でシャリっとした肌触りのものを選べば暑苦しいということはありません。むしろ空気の通り道がたくさんできて涼しいと感じるほどです。

涼しげな色をポイントカラーにする

和装の楽しさは、洋服では味わない色の取り合わせです。着物と帯を反対色でも合わせたり、袖口や襟元にチラッと見えるポイントカラーと帯締めを合わせたりと、女性ならではの楽しみ方がたくさんあります。特に薄物の着物は白っぽいものが多いので、半襟や帯揚、帯締め、足袋や草履で締まった色を使い、より涼しさを演出することもできます。白い薄物に襟元に水色の半襟をチラ見せして、帯締は藍色で全体を引き締めるなど、女性にとって考えるだけでも楽しい取り合わせが可能です。


夏物の着物を着る時期

夏物の着物は時期によって選ぶ種類が変わる

夏の着物の種類と時期は大まかに3つに分かれます。単衣の時期と薄物の時期はきっちりと決まっていますが、浴衣は夏の間は厳しいルールに縛られることなく着ても大丈夫です。単衣と薄物は正装としてお茶席や結婚式などにも着用できますが、浴衣はお祭りやお友達との街遊び程度にとどめる方が良いです。単衣の時期はお天気によって少し肌寒いこともありますので、襦袢の素材で調整するのが良いです。薄物の時期はたとえ雨でも寒いことはありませんが、近年はエアコンによって寒いと感じることもあるので注意が必要です。

ルールを守って伝統的な着物を楽しむ

夏の時期に着る夏物にも冬の時期の袷と同じ格というものがあります。一級は礼装で「黒留め袖」や「本振袖」、次が略礼装である「色留め袖」「訪問着」「振袖」「色無地」「江戸小紋」です。次が外出着の「付下げ」「小紋」「紬の訪問着」で、その他の「紬」や「浴衣」は普段着です。気を付けたい点は、江戸小紋は略礼装になりますがその他の小紋は外出着になることと、いくらお値段が張っても紬は外出着以上にはなれないというルールです。

気軽な夏物である浴衣の特徴

浴衣にピッタリの帯むすび

浴衣と言えば木綿の染付をイメージします。きれいな柄でポップな色調の浴衣は年齢を問わず夏の人気アイテムです。浴衣に合わせる帯は作り付けと呼ばれる出来上がった帯は楽ですが、浴衣ならではの変わりむすびも素敵です。大人のシックなおしゃれを浴衣で楽しむなら博多の半幅帯を粋に結んだり、紗の帯でゆったりしたお太鼓にすると女性らしく素敵な印象になります。

浴衣に合わせたい草履や下駄

浴衣には下駄、薄物にはパナマ草履が定番です。最近の下駄には様々なデザインがあります。サンダル風の下駄なら履き慣れていなくても痛くなる心配はありません。薄物の着物なら夏足袋をはいて草履を用いるのがルールですが、薄物の着物を浴衣風に着崩すなら、少し短めに着て下駄を合わせると江戸前な粋を演出できます。パナマ草履は色も豊富で、薄物に合わせてコーディネイトできる手軽な草履です。

涼しく過ごせる夏物である薄物の特徴

薄物と呼ばれる夏の着物の特徴

薄物とは裏地を付けずに仕立ててある少し透ける着物全般を指します。着物地としては紗や絽が一般的ですが、透け感の少ない竪絽(たてろ)はまだ肌寒さが残る6月に用いることが多いです。薄物のおしゃれ着としては夏大島が有名ですが、麻を藍で染めた上布などは通好みでワンランク上の女性らしさを感じさせます。どれも透ける生地なので、襦袢を着なくてはいけませんが、夏用の襦袢は涼しく重ね着の暑苦しさはありません。

薄物に合う夏の小物

薄物の着物には、夏足袋とパナマ草履が似合います。厳密なルールと言うわけではありませんが、涼しさを演出するには欠かせないアイテムです。できれば揃いのかご型バッグでコーディネイトしたいところです。パナマ草履はベージュが基本ですが、きれいな色で染色してあるものも多く選ぶ楽しさもあります。着物や帯と色合わせしたり、反対色を使ったり女性ならではのコーディネイトを楽しめます。

先取の夏物である単衣の特徴

単衣の着物の美しさを引き出す素材や帯むすび

単衣とは、裏地を付けずに仕立てた着物のことですが、薄物とは違い透けません。5月ごろから着始めます。盛夏は薄物を用いますが、初秋に当たる9月頃から再び単衣の着物を着るようにします。単衣の着物地は絽縮緬が一般的ですが、ワンランク上のおしゃれを楽しむなら夏塩沢や結城縮、夏紬などが素敵です。どれも透けないしっかりした織です。合わせる帯も涼しげなもので、さらっと名古屋帯を締めるのも素敵です。

単衣の着物に合わせたい夏向きの小物や草履

着物を着る際のルールとしては、袷で履く草履を夏に履いてもかまいません。しかし、涼しさを演出したい夏のおしゃれ着なら、素材にこだわった夏草履が素敵です。パナマでも麻でもごま竹の下駄でも涼しげですが、鼻緒に凝って個性を出せば大人の女性ならではの装いが楽しめます。草履もバッグも夏物は少し小ぶりで白っぽいものが多いですが、あえて濃い色の鼻緒で全体を引き締めるのも良いです。


夏の着物の涼しい着方のコツ

締め付けないのに緩まない帯むすび

夏の着物は涼しげに見える工夫が必要です。胸元をぴっちりと合わせるのではなく、少し余裕を持たせて半襟を少なめに見せるのがコツです。帯の下側をしっかり締めて、上はゆったりとした印象になるように隙間をあけて帯揚を少しだけ見せると涼しげです。誤解されがちですが、着物は帯で締めているわけではなく、帯の下に隠れている腰紐で固定しています。帯はずれ落ちない程度に締まっていれば着崩れることはありません。

肌襦袢も長襦袢も夏物を用意する

単衣も薄物も、袖が1枚仕立ての長襦袢を用います。素材は絽のものが基本ですが、近年では絹でも涼しいものが出回っています。色は白系が基本で、色遊びで楽しむなら長襦袢につける半襟で楽しみます。半襟の素材も絽が主流ですが、麻絽や絽塩瀬、シボが深い楊柳なども涼しげです。基本的には着物の素材と合わせます。色や柄はとてもたくさんの種類があり迷いますが、着物の中の1色をチョイスして用いると全体的なコーディネイトがスムーズです。

夏の着物に合う帯の素材や種類

薄物の着物に合わせる帯のルール

薄物の着物に合わせる夏帯は透け感が大切です。絽や紗、羅や麻など自然素材が涼しげでおすすめです。最近ではレースやろうけつ染めなどで仕立てた夏帯も出回っており、たくさんの種類の中から選べるようになりました。帯締めや帯揚で個性を演出するのも楽しみのひとつです。薄物の中でも浴衣は襦袢を用いず、帯締めも帯揚も使いませんが、あえて浴衣を着物風に着こなすのも最近のトレンドです。昔ながらのルールを守る伝統も良いですが、流行重視のあえて着崩したスタイルも素敵です。

単衣の着物に合わせる帯のルール

5月の暑いときに着る単衣には袷の帯を用いても差し支えはありませんが、できるだけ涼しげな色を選ぶ方が良いです。その場合の帯締めや帯揚も袷用でかまいませんが、夏物を使って涼しさを演出するのも良い方法です。単衣の季節には単帯を合わせるのが基本です。単帯とは裏を付けずに仕立ててある帯のことで、代表的なものは博多帯です。他には紗紬や絽縮緬などの単帯も色や柄が豊富で合わせやすい夏帯です。単衣の時は透け感より色合いを重視して涼やかにコーディネイトします。

1人でも結べる簡単な夏帯の結び方

浴衣の帯の簡単な結び方

夏の着物にはひとえ太鼓むすびが一般的です。お茶席や結婚式など正式な場所には袋帯を締めますが、ひとえ太鼓なら簡単に1人で結べますし、軽くて涼しいので着ていても楽です。名古屋帯などがその代表で、正面に柄を合わせるように巻き、しっかり背中で結んできれいな太鼓に仕上げます。浴衣は一番簡単で、肌襦袢を着たらそのまま浴衣に袖を通し、腰紐を結んで帯を巻くだけです。襟元がだらしなくならないようにすれば清楚な浴衣姿の出来上がりです。

夏の帯に合わせたいおすすめの帯締め

夏の着物に合わせるならレース組みの帯締めが素敵です。6月と9月の単衣の時期は袷に使う帯締めでも構いませんが、薄物にはやはり涼しげなレースの帯締めを合わせたいものです。濃いめの色の帯なら薄めの帯締めをアクセントにすれば清涼感が際立ちます。帯揚の色は必ずしも合わせる必要はなく、全体のバランスで決めればよいのですが、夏の素材なら絽塩瀬などが素敵です。帯揚はほんの少し見えるだけというのが夏向きです。

夏に着る着物のお手入れのコツは?

和装特有のたたみ方をマスターする

着物のたたみ方は少し複雑ですが、覚えてしまえば簡単です。一般的に言われる袖たたみは間違ったやり方ですのでおすすめできません。まず、着物を広げて襟が右に来るようにします。着物の裾側からたたみ始めますが、下前の身ごろを脇までたたみ、反対側の身ごろを重ねるように合わせます。上の身ごろの脇縫いのラインを下前の脇縫いのところで合わせます。ここでシワにならないように注意します。ここまで出来たら裾を折り返し、襟もたたみます。

夏に着る単衣と薄物のお手入れ方法

夏の着物のお手入れで一番重要なのは汗抜きです。この手間を怠ると黄色いシミになりなかなか落ちなくなってしまいます。来年も着たいと思うなら必ず汗抜きシミ抜きは必要です。一般的なやり方で用意するものは、ベンジンとガーゼ、タオルです。衿ブラシという着物のお手入れ用の道具があればなお良しです。と言うのも一番汗が沁みやすいのが襟まわりだからです。襟は広げて折山を中心にベンジンをふりかけて衿ブラシでトントンとたたくように使います。この時、下にタオルを敷いて汚れが移るようにします。


なかなか洗えない夏の着物のお手入れ方法

汗は必ず乾かしてから収める

素材にもよりますが、基本的に着物は家で洗いません。着物が日常着だったころは洗い張りという洗濯を家でもやっていましたが、今ではこの洗い張りができる職人さんも少なくなっているほどです。木綿の着物は洗えると言われていますが、絞りがあるものは無理ですし色抜けも心配なのであまりお勧めできません。着終わったら、汗シミを抜いてから、衣文掛けにかけてしっかり風を通します。直射日光には当てず、できれば日陰の風通しの良い室内で干し、乾いてから畳みます。

風を通しておくだけで夏の着物はすぐ乾く

夏の着物は汗がつくことを前提に考えたほうが良いですが、涼しく着れるよう粗い織目のものがほとんどですので乾くのも早いです。乾かすときは着物だけでなく、帯や帯揚、帯締め、長襦袢も一緒に干します。肌襦袢は普通に洗えるものがほとんどですので、着用の都度洗うようにします。但し、洗濯機は使わず、手洗いするくらいの優しい洗い方が良いです。肌襦袢は日光に当ててしっかり干しても大丈夫です。

粋に出かけたい!夏に着る着物

普段着のように夏物を楽しむ

涼しげな浴衣

着物と聞くだけで面倒だと敬遠する方もおられますが、お手入れの方法をきちんと知ればそれほど面倒ではないことがわかります。洋服よりも色遣いや柄に幅があり、何度も着るうちに日本の粋を身につけることができます。女性らしさもおきゃんなイメージも自由自在に演出できる夏の着物をぜひご自身で気軽に楽しんではいかがでしょうか。

お茶席だけじゃない!着物を着ていきたい場所

着物も着慣れてくると、ちょっとしたお出掛けに着たくなるものです。カップルでのお出掛けはもちろん、同窓会やお友達とのお食事でも、着物姿ならワンランク上のオシャレ感を醸し出せます。映画やクラシックコンサートや美術館へのお出掛けなどに、お友達と相談して着物姿で揃えるというのも素敵です。今年の花火大会や夏祭りにはぜひ浴衣でお出掛けしてください。

まとめ

和装は日本人の心をつなぐ素敵な伝統です。昨今では外国人観光客のたくさんの方々も体験着物を楽しんでいます。この日本人が誇る着物を普段着のおしゃれ着にしてお出掛けするという贅沢をぜひ楽しんでください。

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