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フリーズドライは自作できる?作り方とその原理を簡単解説!

お湯で戻すだけで簡単に食べられる、美味しいフリーズドライ食品。今や日常的になってきました。一般家庭での作り方はあるのでしょうか。もし家庭で作れたら、その家庭オリジナルの味のフリーズドライ食品を作ることができます。まずは製品の作り方と原理について調べました。
更新: 2024年1月23日
shuu_dolphin
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目次

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はじめに

スーパーやコンビニでもよく見るフリーズドライ食品。 見た目は軽くてカサカサ、でもお湯で戻せば温かい食べ物に変身。山登りなどにはもってこいですね。外気が冷たい山頂での温かい食べ物は最高です。 手軽なインスタントコーヒーや、地上よりはるか上空で食べられている宇宙食もフリーズドライ食品のひとつです。

・軽い ・長期保存が利く ・戻した時に風味や栄養が損なわれていない(美味しい) このような特長を持った、スーパーフードとも言いたくなるような保存食品です。

フリーズドライ商品

小さな袋の容器に入って、コンパクトで軽いです。フリーズドライ食品は水分を吸収しやすいため、密封容器に封入されています。

先ほどまでコンパクトで軽かったフリーズドライ食品とは思えない、まるで本当にお鍋で茹でたような美味しそうな姿になりました。復元率は高いです。

そんなフリーズドライ食品を家庭でも作れるのでしょうか。

以下の5つの項目から解説します。

① フリーズドライとは ② フリーズドライ食品の作り方と原理 ③ 家庭での作り方 ④ ドライフード ⑤ まとめ

① フリーズドライとは

英語でfreeze dryingと書き、直訳すると「冷凍+乾燥」となります。これだけだと冷凍庫でラップもかけられずに凍ってカラカラになった食品を思い浮かべてしまいますが、実際のフリーズドライ食品は違います。まずは作り方と原理を調べてみました。

② フリーズドライ食品の作り方と原理


フリーズドライ食品の製法は、ズバリ「真空凍結乾燥」という技術が使われています。手順は、「冷凍」⇒「真空」⇒「乾燥」の順番で製造されます。また、この製法には「昇華」という原理が用いられています。

フリーズドライ食品の作り方と原理についてよく分かる4つのキーワード

1.『昇華』 2.『冷凍』 3.『真空』 4.『乾燥』

1. 『昇華』

突然見慣れない言葉が出てきましたが、高校時代に化学で習っている言葉です。高校化学?フリーズドライと何の関係が?と思いがちですが、重要な要素なのです。まずは「昇華」とは何かを思い出しましょう。  物質には3つの状態があります。以下の絵をご覧ください。

「水」という物質の変化と、その変化の仕方を名称で表したものです。

「昇華」とは固体が気体に直接変化すること。またはその逆で、ドライアイスが有名ですね。この「昇華」を利用して、食品を長期保存用に加工したものがフリーズドライ食品です。

フリーズドライの原理とは昇華のことで、氷の結晶が水にならないでいきなり水蒸気に変わっていく現象である。この現象は、冬の天気の良い日中に見られる気温は0℃度以下なのに雪が蒸発して消えていってしまうときと似ている。 

2. 『冷凍』

おのずと知れた、「冷凍」です。冷やし凍らせ固めることですね。もう少し凝った言い方をすると、「食品などの腐敗を防ぐために凍らせること」などがあります。

3. 『真空』

気圧が著しく低く、空気も水分も何もない状態を言います。密閉した容器から真空ポンプで空気や水分を全て引き抜いてしまうと、容器内の気圧が下がり、真空が作れます。身近には「真空パック」があります。これも食品の腐敗や風味が損なうことを防いで保存できる方法です。

4. 『乾燥』

こちらもよく知られた言葉です。乾かすこと、とは、見方を変えると 「物に含まれていれる水分がなくなること。」 と解釈できます。

これらのキーワードを使って「真空凍結乾燥」を説明すると、


凍結させた食品を真空状態に置き、水分を昇華させ乾燥させる技術。

水は真空にする(気圧を下げる)と、温度が100℃に満たなくても沸騰します。標高の高い山に登ると、山頂では早くに水が沸騰します。水は沸騰し、蒸発します。

同様に食品を真空に置くことで、食品周囲の気圧が下がり、中の水分を飛ばせます。つまり乾燥させることができるのです。真空凍結乾燥することで、通常の乾燥方法よりも水分をとばすことができ、食品の腐敗をより防ぐことができます。

ただし、これだけでは食品の風味を損なうので、食品を先に冷凍することが手順の始めです。冷凍して水分を飛ばすことこそが「昇華」になるのです。 これで①で述べた「freeze drying = 冷凍+乾燥」の謎が解けました。

熱風乾燥や真空乾燥と「真空凍結乾燥」の違い

熱風乾燥や真空乾燥などでは、水分を飛ばそうとすると(乾燥すると)、食品の中に含まれた水分が蒸発しようと表面に移動してきます。この水分には、味や風味など、何もかもが溶かし込まれています。

従って、水分が飛んだ(乾燥した)後は、食品の繊維は縮み、表面には塩分・水溶性たんぱく質など様々な物質が堆積してゴワゴワになってしまいます。ジャーキーがもっと固くなったようなものですね。お湯をかけたり、時間をかけたりしても、元の姿には戻りません。

対して真空凍結乾燥であるフリーズドライ製法では、食品中の水分が凍結することによって氷となります。固体である氷となった水分は、液体の水分という状態には変化せず(融解せず)に、昇華して直接水蒸気となってしまいます。

栄養など何もかもを溶かし込んで表面に移動してくる液体の水分は存在しないのです。そのためにお湯で戻したときに味や風味が保たれます。栄養価も落ちません。

特徴は軽い、小さい!

先ほどの一連の過程を経た食品は、その途中、ほとんど縮むこともありません。ただ、極端なまでに密度が小さくなり、重さも60~90%も減少します。

しかし、これが小さくて手ごろ・軽い、というフリーズドライ食品の特長となります。 完成したフリーズドライ食品には、水分が飛んだところが空洞になっていて、お湯を注ぐとその空洞に水分が入り、元の状態に戻ります。

③ 家庭での作り方

この製法は一般家庭でもできるのでしょうか。 フリーズドライ食品を作るには『真空凍結乾燥機』が必要です。食品を機械の中に並べてスイッチON、何時間か真空乾燥させて完成です。

しかし、一般的に家庭で気軽にできるものではなさそうです。例えばAmazonで売られている『真空凍結乾燥機』は、家庭用のものでも価格が40万円前後します。サイズも、小さいものでもビジネスホテルに置いてある小型冷蔵庫くらいあります。

また、熱風で乾燥させる他の乾燥食品を作る場合と比較して、何倍もの消費エネルギーが必要となり、効率が悪いです。ですが、完全に不可能というわけではないので、チャレンジしてみたい方は挑戦してみるのも楽しいですね。登山のお供だけでなく、通学・通勤のお弁当もフリーズドライで軽くなるかも!

④ ドライフード

先ほど述べた『真空凍結乾燥機』の導入が難しい家庭がほとんどかと思います。  そこで、フリーズドライは無理でも、家庭でも簡単に作れるドライフードはいかがでしょうか。  干した素材は、保存性も良く、旨みや甘みがギュッと詰まって美味しいですよね。水分を抜くことで、旨みがグッと増すのです。

ドライフードの家庭での作り方 4つの方法

① 天日干し ② オーブン ③ 電子レンジ ③ ドライフードメーカー

旨みや栄養が濃縮されたドライフード。こちらは家庭で作ることができます。その方法を簡単に紹介。

① 天日干し


1.好きな野菜や果物を適当なサイズに切り、水分をよく拭き取ります。 2.ザルや網などに置き、通気性を良くします。 3.1~2日間天日干しにします。 4.完成です。

スーパーで売られているような干し野菜やドライフルーツが簡単にできました。

② オーブン

1.好きな野菜や果物をスライスし、オーブンシートを敷いたオーブン皿に並べます。 2.100℃で約1時間、裏返して30分、加熱します。 3.完成です。 特に果物は加熱前にシロップ漬けにするなど、お好みで甘さを追加するのも、楽しみになりますね。

③ 電子レンジ

1.皮をむいてスライスした野菜や果物の、水気をよく拭き取ります。 2.電子レンジのターンテーブルのサイズに合わせてオーブンシートを敷き、そこに1を並べます。 3.ラップをかけずに電子レンジ600Wで7~8分かけます。 4.ザルなどに広げてカリっとするまで15~20分、よく冷まします。 5.完成です。     調理時間も短く、簡単です。冷ました後に合わせ調味料で和えると、また別の使い方もあります。

④ 家庭用ドライフードメーカー

1.薄くカットした野菜や果物を並べ、スイッチONします。 2.数時間乾燥させます。 3.完成です。 最もお手軽かもしれませんね。お値段も5,000円前後からあり、サイズも30cm四方に収まるものからあります。いかがでしょうか。

果物野菜乾燥器 からりんこ

出典:楽天
出典:Amazon
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出典:Amazon
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⑤ まとめ

フリーズドライ食品とは、お湯で戻して美味しく食べることができる乾燥食品などを言う。 その作り方の原理は、物質の変化である「昇華」を用いている。

食品を、凍結 ⇒ 真空 ⇒ 乾燥 ⇒ 完成、という順番で作られる。 真空凍結乾燥機が必要で、一般家庭には難しい。 家庭では、ドライフルーツや干し野菜を楽しもう。

ここまでフリーズドライ食品の作り方を述べてまいりました。いかがでしたでしょうか。この記事を読んで、さらなる興味を持ってフリーズドライ食品を見てみるのもおもしろいかと思います。