三角点は登山とどんな関係がある?
三角点の定義はどんなもの?
登山をしていると、四角い標石が登山口や山頂に建っていることがあります。登山地図にも標石の場所に白抜きの三角形の中に点が打ってある記号があり、道案内のためのものに見えるかもしれません。
これらは「三角点」と呼ばれていて、道案内や登山道の経路を示すものではなく地図を作成するために設置される基準の場所です。この記事では三角点の意味や登山への活用の仕方を中心に解説していきます。
三角点と登山の関係とは?
三角点は地形図に地図記号として記載されており、その下に標高も書いてあるため現在地の確認ができます。また、登山計画を立てる際にも三角点と共に表示されている標高の数値から傾斜の緩急が予測できるため、ペース配分を考えることも可能です。
道に迷いそうになったときは目印となる三角点と地形を覚えておくことで登山道に復帰もできます。読図に便利なので、どの場所に三角点の標石があるか一通り覚えておきましょう。
地図に載っていない三角点もあるので注意
三角点の中には一般の地形図や登山地図には掲載されないものがあります。登山道の案内として三角点を使っている場合、無いはずの場所に三角点があることで現在地を誤認してしまう可能性があります。
三角点を目安に登山道を歩く場合は必ず周辺の地形とも照らし合わせて地図を読みましょう。三角点によく似た形の標石が境界として建てられていることもあるので、標石の文面を確認することが大切です。
地図測量のための基準点として設置
明治時代に始まった三角測量がきっかけ
三角測量とは、一辺の長さと距離を求めたい点までの角度を利用する三角法を使用して地図を作成する測量方法です。日本では明治時代に実用化が始まり、東京と北海道の開拓地の測量のために三角点が設置されたのが三角点子の始まりと言われています。
山と三角点の関係については測量のために劔岳に登った柴崎芳太郎の話が有名でしょう。劔岳には2004年に測量登山100周年を記念して三角点が置かれています。
山頂に設置されているとは限らない
三角点は高さの基準ではなく、経度や緯度を参照して平面の地図を作成するために置かれます。見通しのいい山頂にあるものが多いですが、見通しが悪かったり測量しやすい場所ではなかったりするなどの理由で山頂にない場合もあるため注意しましょう。
三角点は標高が高い場所であることを示す標石ではありません。山によっては思いもよらない場所に置かれていることもあるのでぜひ探してみてください。
一等三角点を山頂に持つ山
三角点が山頂にあるとは限らない山が多い中で、40kmごとに置かれている一等三角点が山頂に存在する山もあります。これらを「一等三角点百名山」と呼び、通常の日本百名山とは別に踏破することを目的とする登山者もいるほど有名です。
一等三角点は標高に関係なく見晴らしのいい場所にあることが多く、美しい眺望を楽しめる場所も多いので挑戦してみてはいかがでしょうか。
基準点の種類と作成される地図の違い
25000分の1地形図の基準になるもの
登山でもおなじみの2万5千の1地形図の測量にも使用される三角点は、一等から三等の三角点までです。一等三角点は40km、二等三角点は8km、三等三角点は4kmの感覚で設置されます。
これらの三角点は常に正確な位置を保つように確認されているため、測量現場を見たことがある人もいるかもしれません。破損や倒壊がないように標石の下には盤石と呼ばれる支えがあり、頑丈に作られています。
地籍調査などに使われるもの
土地の所有者や境目、地番を確認して面積を測量するために置かれるのが四等三角点です。四等三角点は2kmごとに置かれ、土地の所有関係をはっきりとさせるために使われます。
そのため新しく置かれた四等三角点は地形図や登山地図には記載されていない場合があるので注意してください。「四等」と標石に刻まれているものはなるべく現在地確認に使用しないようにしましょう。
三角点を見つけたときの注意点
三角点の標石を見つけても、足をのせたり上に荷物をのせたりしてはいけません。三角点の測量はかなり精度の高いものなので、少しでも歪んだり場所が変わったりすると測量のやり直しになり大変です。
倒れかけている標石を見つけてもそのままにしておいてください。標石は下に石を組んでいるものもあり、倒れかけたものに近づくのは危険です。土砂災害の結果として倒れかけていることもあるので近寄らないようにしましょう。
三角点をうまく登山に活用しよう!
三角点の意味や登山への活用方法を中心に解説してきました。三角点は日本の全体的な地図を作成するのに使われている指標で、現在も正しい位置にあるかどうか確認の測量がされています。
現在は三角点巡りなどで全国を踏破する趣味を持つ人たちもいて、登山者も見かけると写真を撮っているほど人気です。三角点はただのモニュメントではなく測量の基準点のため、上に乗ったり位置をずらしたりしないようにして楽しみましょう。
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