発根促進剤
オリーブの木は挿し木で増やそう
オリーブの木はモクセイ科オリーブ属に属します。原産は地中海エリアで、実を使って食用のオイルの原料になるほか、実そのものも食用になるため、温暖な地方で広く栽培されている植物です。葉の形は細く鋭く、風水などでは平和や安らぎを与える樹木として人気で、しかも育てやすいという特徴があります。
オリーブの木は常緑樹なので、緑の少ない秋から冬にかけても美しい葉を見ることが可能です。このため、オリーブの木を育ててみたいという方は多く、プレゼントとして贈るのも喜ばれます。
オリーブの木を増やしてみるには?
ご自宅でオリーブの木を育てていらっしゃる方は、ご自身の苗木から枝を増やして、大切な人に贈ることができます。オリーブの木の増やし方には、種から増やす増やし方のほか、取り木や挿し木という方法で増やす増やし方があるのです。
中でも、挿し木で増やす方法は初心者の方でも作業しやすく、ぜひ挑戦したい方法としても人気です。ただし、成功するかどうかは作業の後の管理が重要となります。しっかりと手順を追ってオリーブの苗木を増やしてみましょう。
挿し木で増やすオリーブの増やし方をご紹介
そこで今回は、オリーブの木を挿し木で増やす増やし方を中心にご紹介します。挿し木の時期や用意するべきもの、作業の手順や作業後の管理方法など、オリーブの木を栽培して大きくしていくためのポイントにも触れていきますので、どうぞ参考にしてみてください。挿し木でオリーブの木を増やすことができれば、1本のオリーブの木からいくつもの苗木を生み出すことができるようになります。
なお、本稿は2021年12月9日現在の情報を元に作成しております。
オリーブの挿し木をはじめる前に
オリーブの木を挿し木する際、必要な道具を用意しましょう。用意するものは、挿し木の際に枝をカットする剪定ばさみ、切り口を整えるナイフ、切った枝を水につけておく入れ物、必要に応じて発根促進剤、挿し穂を指すための鉢や用土などが必要となります。また、通常のガーデニング用具も用意しておくと、いざというときに便利です。
さらに、オリーブの木の挿し木をする時期も確認しましょう。挿し木の時期は、オリーブの木の生長期が落ち着いた5月~7月ごろか、冬の休眠している2月ごろです。
緑枝挿しとは
その年に生えた枝を使って行う挿し木のことを緑枝挿しといいます。挿し木の方法の中でも最も一般的に行われる方法です。オリーブの木の緑枝挿しは、オリーブの枝の成長が終わった後に行います。
夏の暑い時期となるため、挿し木の後の管理には注意が必要です。あまりにも暑くて過ごしにくい場所で管理すると、苗木が弱って枯れてしまうこともあります。成功すれば2カ月ほどで発根しますが、それまでの管理に手がかかってきますので注意しましょう。
休眠枝挿しとは
真冬の2月ごろの休眠期に行う挿し木が休眠枝挿しです。芽が出てくる直前に行いますが、寒い地域では3月~4月ごろに行う場合もあります。休眠枝挿しは、挿し木を行った後の管理が緑枝挿しよりも簡単なので、はじめてオリーブを挿し木で増やしてみようという方には、こちらの方がおすすめです。
休眠枝挿しの水やりについて、基本的に控えめに管理していきます。土の表面が乾いたら水を与えることを繰り返し、発根までの3~4か月を待ちましょう。
オリーブの挿し木の3つの手順
オリーブの挿し木の手順は、挿し木用の枝を用意し、鉢に用土を入れて枝を挿し、発根するまで時期に応じた管理をしていくというものです。オリーブは挿し木で増やせるといわれているものの、失敗する例も多いため、しっかりと管理していくことが重要となります。
①挿し木用の枝を用意する
挿し木用の枝は、なるべく元気のいい枝を選ぶようにしましょう。必要であれば、枝を採種する前に、オリーブの木に肥料を与えておくことも重要です。挿し木の枝を選ぶ際、地面に近い枝の方が土からの栄養を多く吸収しています。
該当する枝を見つけたら、剪定ばさみで10cm程度にカットしましょう。枝を切る際、斜めに切り分けることも大切です。枝についている葉は、枝が弱らないように2~3枚残し、残りはすべて切り落としましょう。
②数時間水に浸して発根促進剤を塗る
発根促進剤
挿し木用にカットした枝(挿し穂)は数時間、水に浸します。水の吸収をよくするためです。数時間後、水から挿し穂を取り出し、十分に水気を取ります。そして、発根しやすくなるように切り口に発根促進剤をつけていきましょう。
発根促進剤の使い方は、製品によってそれぞれですので、用法に従って行います。発根促進剤には液体タイプ、粉末タイプ、ペーストタイプなどがいくつかのタイプがありますので、確認しながら使っていくことが重要です。
③鉢に用土を入れて挿し木する
挿し木用の鉢には育苗ポットもあります。育苗ポットの方が植え替えする際に便利なので、こちらを使うのも手です。もちろん、通常の鉢でも問題ありません。いずれにせよ、用意した鉢に用土を入れ、土を湿らせておきます。
鉢の準備ができたら、割り箸で土に穴を開けて、発根促進剤を塗った挿し穂を挿していきましょう。枝全体の3分の1程度が土に埋まるようにしていきます。これで挿し木の作業は終わりです。あとは、発根するまでしっかりと管理していきましょう。
オリーブの挿し木を成功させる管理方法
挿し木の作業が終わったら、発根までの管理がとても重要です。基本的には日当たりのよい場所で管理し、土が乾かないように気をつけながら水やりを行います。
ただし、挿し木を行う時期によって管理方法が多少異なります。緑枝挿しで挿し木を行ったのか、休眠枝挿しで挿し木を行ったのかによって、その後の管理の方法を分けて考えるようにしましょう。
緑枝挿しによる挿し木の管理方法
緑枝挿しによる挿し木の場合、発根する時期が真夏となります。このため、管理していく上で暑さ対策が重要です。なるべく直射日光の当たらない場所で管理しましょう。猛暑日が続く場合、風通しのよい室内に取り込み、暑さから守ってあげることも大切です。暑さが和らいできたら、日当たりのよい屋外で管理します。
水やりは1日1回程度としましょう。夏は乾燥しやすいものの、水を与え過ぎて枯れるケースもあります。うまくいけば2カ月程度で発根しますので、しっかりと管理していきたいです。
休眠枝挿しによる挿し木の管理方法
真冬に行う休眠枝挿しの場合、挿し木の作業の後の管理は水やりが重要となります。休眠期であるため、あまり水を必要としませんが、挿し木では水分は必要です。土の表面が乾いたら水をやることを忘れずに続けていきましょう。
休眠枝挿しの場合、水やりをうっかり忘れてしまうことがよくあります。その結果、枝が枯れてしまうという失敗のケースもありますので、発根するまでの3~4か月、しっかりと管理していくようにしましょう。
初根して元気に育ってきたら植え替えを
オリーブを挿し木してしっかりと管理していくと発根します。発根後もしばらくそのまま管理していき、根が元気よく育って行ったら、鉢を植え替えて苗木として育てていきましょう。
育苗ポットなどで育てていた挿し穂をそのままにしておくと、根詰まりを起こしたりすることもあります。根の太さや根の張り具合に応じて、ひと周り大きめの鉢に植え替えてみましょう。いきなり大きな鉢植えに植え替えると、苗木が弱って枯れてしまうこともあります。
挿し木以外のオリーブの木の増やし方
オリーブの木の増やし方は、挿し木で増やす方法が最も人気です。ただ、挿し木で増やす以外の方法として、種から増やす方法や取り木によって増やす方法でも、オリーブの木を増やすことができます。
どの方法がいいかどうかは、時期や苗木の状態などにも寄りますが、ご自身がやりやすい方法がどれかも重要です。あれこれ考えずに、いろいろ試してみましょう。それぞれ一長一短ありますので、ご自身に向いている方法を見つけることが大切です。
オリーブの木を種で増やす増やし方
オリーブの種は発芽しにくく、種から育てて実ができるようになるまで、20年近くかかると言われています。このため、オリーブの種から育てる場合、非常に時間がかかるということを分かったうえで行うようにしましょう。
オリーブの種の外殻はとても硬いため、種の先端を少し割って、種を植える前に水につけましょう。一日ほど水につけた後、鉢植えを準備して種を植えます。その後、土が乾燥しないようにしっかりと管理していきましょう。発芽後、冬が訪れたら室内で管理します。
オリーブの木を取り木で増やす増やし方
オリーブを取り木で増やす方法は、枝に切り目を入れ、皮を剥ぎ、水に浸した水苔を巻きつけて、そこから発根させる方法です。木の皮を剥すのは2cmほどで、剥いだ部分は乾燥させないように水苔を入れた取り木ボールやビニールなどを固定させます。発根したら切り離し、鉢植えに植え付けていくという方法です。
なお、取り木はオリーブの木が生長する春から秋にかけて行いましょう。うまくいけば数カ月で発根します。
挿し木で増やしたオリーブを楽しもう!
オリーブを増やすやり方には、種から増やすやり方や取り木で増やすやり方などもありますが、挿し木で増やす増やし方がよく利用されます。挿し木には時期によって緑枝挿しと休眠枝挿しのふたつの方法がありますが、いずれの場合も、挿し木の後の管理が重要です。挿し木を成功させるポイントとなりますので、管理をしっかりと行ってオリーブの苗木を増やしていきましょう。
オリーブの育て方が気になる方はこちらもチェック!
今回はオリーブの挿し木による増やし方についてご紹介しました。オリーブの木の増やし方以外に、栽培方法や育て方などについてもっと知りたいという方は、こちらの記事が参考になります。ぜひチェックしてみてください。

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