観葉植物にぴったりのオリーブ
育てやすい観葉植物
シルバーグリーンの葉が美しいオリーブは、果実を食用とすることでよく知られていますが、実は観葉植物としても育てやすい植物。また、「平和」や「知恵」など縁起のよい花言葉を持っており、シンボルツリーとしても人気です。
丈夫でおしゃれ!初心者にもおすすめ
葉の色や形はインテリアとしてもおしゃれで、小さい鉢から大きな鉢植えまで人気です。樹形を整えながら育てやすいので、室内に置く観葉植物としてはぴったり。お手入れも手間があまりかからないので、初心者にもおすすめの観葉植物です。また、丈夫で扱いやすく、モダンでおしゃれな盆栽としても人気があります。
オリーブの知っておきたい基本知識
成長が早く、丈夫
オリーブは、モクセイ科の常緑高木です。成長が早い植物で、品種によっては戸外では10mにもなることも。またかなり丈夫で、南ヨーロッパには樹齢1000年を超えても果実をつける木もあるほど生命力のある植物です。かなりの強剪定をしても、また枝が伸びる強靭な萌芽力があります。
育てやすい気温は
原産地は地中海沿岸。15〜20℃の地域が適しており、日本において戸外では関東地方以西が適しています。日照量が多いほど生育がよくなり、降水量は年間500ml以上必要です。結実には冬に10℃以下の気温に20日以上当てる必要がありますが、沖縄本島でも結実している例があります。
お花の時期は短い!
開花時期は5月中旬で、直径5mmほどの白い花が1週間咲きます。開花期間は短く、一気に咲いて散るようなイメージ。その後条件が合えば果実がなります。受粉後1週間ほどで結実するため、6月頃から秋の収穫まで徐々に大きくなる果実を観察できます。
1本では実がならない?
オリーブは同じ品種の花粉では受粉しない、自家不結実性という性質を持っています。そのため、果実を収穫するには2品種以上を一緒に育てるのがおすすめです。中には1品種でも結実する品種もあります。詳しくは収穫の項目で後述します。
観葉植物としておすすめのオリーブは?
テーブルオリーブ、オイルオリーブ
オリーブには世界中にさまざまな種類があり、果実のタイプによって大きく2つに分かれています。テーブルオリーブと呼ばれるグループは、果実が大きく肉厚で、塩漬けやオイル漬けに向く品種です。オイルオリーブと呼ばれるグループは果実の大きさは小型〜中型です。
樹形と結実性
また、樹形も品種によって違いがあります。日本で主流なのはまっすぐ上に伸びていく直立型と、横に広がる開張型の2つです。また日本にはあまり多くないですが、下に垂れ下がる下垂型もあります。それらに加え、自家結実性か自家不結実性かのタイプで分かれています。
室内で育てやすいのは?
日本で観賞用として人気があるのは、ネバディロ・ブランコという品種です。横に広がる開張型ですが枝が密集しやすいので見栄えがよく、戸外でも室内でも育てやすい品種です。しかし、自家不結実性のため、果実を収穫したいならもう1品種一緒に育てるのがおすすめです。
収穫におすすめなのは?
日本でもうひとつ人気の品種は、自家結実性のあるルッカという品種です。しかし寒さに若干弱いため、寒い地域では注意が必要です。もうひとつ人気のあるミッションという品種は、剪定しやすく寒さにも強い直立型の品種です。ミッションは自家不結実性です。
観葉植物オリーブの育て方①:植え付け・植え替え
植え付け・植え替えの時期
買ってきた苗や鉢を植え付けたり植え替えたりするのに適した時期は、寒さの緩んだ2〜4月頃です。オリーブは根を触られるのを嫌うので、根を傷つけないように気をつけて植え付け・植え替えをします。
鉢植えの選び方
基本は、買ってきた苗よりもふた回りほど大きい鉢植えに植え替えます。オリーブの根っこは酸素を好むため、風通しのよいテラコッタ鉢がおすすめです。基本的にどんな鉢でも育ちますが、若い苗のときは根の生育をよくするためにスリット鉢を使うのも効果的です。
室内で育てやすいのは?
ただし重量のあるテラコッタ鉢は、観葉植物の鉢植えとしてはちょっと不向き。移動しやすい持ち手付きのナーセリーポットなどは、実用的な上におしゃれで人気があります。また、鉢植えの下にキャスター付きの台などを置くとお手入れが楽になります。
観葉植物オリーブの育て方②:用土
オリーブ専用の用土がおすすめ
オリーブには、水はけがよく、かつ水持ちと通気性のよい土が適しています。また、pH7.0〜7.5の弱アルカリ性の土を好むのも特徴です。鉢植えで育てる場合は、pHが調整されているオリーブ専用の用土を使うのがおすすめです。
配合する場合は
オリーブ専用の培養土がない場合には、市販の果樹・花木用の培養土に苦土石灰を混ぜるのが一般的です。10号鉢で30g程度の苦土石灰を混ぜ込みます。しかし、室内で育てる分には市販の果樹・花木培養土でも十分に育ちます。
観葉植物オリーブの育て方③:栽培環境
日当たり
オリーブは日当たりを好む植物です。果実をつけたい場合には特に、日当たりのよい場所に置きましょう。観葉植物として楽しむ場合には明るい場所に置いて、天気のよい日に外に出して日光を当てるとよいでしょう。
室内管理のポイント!関東以西
関東以西の地域で、オリーブの実を収穫したい場合には冬の寒さにきちんと当てるのがポイントです。1月頃に10℃以下の気温に20日以上当てることが条件。しかしオリーブは寒さにも弱いので、霜の当たらない玄関などに置くようにしましょう。
室内管理のポイント!関東以東
逆に寒い地域では、オリーブに霜が当たらないように管理することが大切です。オリーブの栽培適温は15〜20℃ですので、庭植えよりは室内にて鉢植えで管理する方が向いています。生育期の春〜秋には、しっかり日光に当てると結実しやすくなります。
観葉植物オリーブの育て方④:水やりと手入れ
水やり
原産地はカラッとした気候の地中海沿いですので、オリーブは乾燥を好みます。そのため、水やりの頻度には要注意。水やりは土の表面がしっかり乾いてからが基本です。さらに、やるときは鉢植えの底から水がたっぷりあふれ出すくらいにあげると、根が水をきちんと吸収できます。
室内管理のポイント!
鉢植えの場合、鉢皿からあふれない程度に水をやる人が多いですが、それでは下の方の根まで水が行き渡らずに生育が悪くなる場合も。水やりはベランダや庭に出してたっぷりと水をやり、鉢植えの底から水が出なくなってから室内へ取り込むのがおすすめです。
鉢皿の水にも気をつけて
また鉢皿に水が溜まっていると、根腐れや病害虫の原因になります。とくにオリーブは多湿に弱いので、鉢皿に水が溜まった状態にならないように気をつけましょう。水やりをしやすくするために、育てやすい重さや大きさの鉢を選び、手入れしながら維持することも大切です。
観葉植物オリーブの育て方⑤:肥料
肥料は年に3回
鉢植えで育てる場合、肥料は年に3回が基本の施肥です。まずは2月頃の春の施肥。新しい枝葉を出すのを助けます。また、花が終わった6月頃にも追肥をしておくと、暑さを乗り切り、来年の花芽の形成にも役立ちます。最後に、収穫直前の10月頃。果実の肥大と株の消耗を補うための追肥です。
効果的な肥料のやり方は?
オリーブには、栄養素が等分に配合されたオリーブ用の肥料が効果的です。3〜5年生の70〜80cmくらいのオリーブの場合、春に20g、夏に5g、秋に15gほどが目安です。株元から3cmほど離して、鉢に沿って適量を土の上に置きます。使用する肥料の使用方法をよく読んで与えましょう。
さらに効果的なのは?
肥料をあげる時期によって、肥料の内容を変えるとより効果的です。春の施肥ではゆっくり効果の出る緩効性の有機質肥料を、夏と秋には即効性のある無機質肥料をあげるのがおすすめです。
観葉植物オリーブの育て方⑥:基本の剪定
オリーブの剪定は簡単?
オリーブは強い剪定にも耐え、萌芽力も強いので初心者でもお手入れが簡単です。生育旺盛で樹形が乱れやすいので、手入れをきちんと行うことできれいに保てます。日本で鑑賞用としてよく販売されているネバディロ・ブランコなどは枝が混み合いやすいので特に剪定が必要です。
剪定に適した時期は?
オリーブの剪定に適した時期は、1月から3月頃の休眠期です。株の内側に伸びている枝や、他の枝に干渉しているような不要な枝を取り除きます。育てやすい大きさを維持したい場合は、樹冠がひとまわり小さくなる程度に形を整えます。
注意するポイント
ただし、収穫を目的にする場合には刈り込み過ぎに注意が必要です。オリーブは前年に伸びた枝に花芽をつける性質があり、さらに花芽は枝の先端につく性質があります。実をつけたい場合には、伸びた枝を残しておきましょう。
観葉植物オリーブの育て方⑦:剪定と手入れ
見栄えをよくする剪定
まだ若いオリーブなど、枝葉が少なくて見た目が寂しいときにも剪定はおすすめ。オリーブは新芽を切ることで枝分かれが促進され、枝の数を増えます。3〜4月の春に1回、6〜7月頃に2度目を行います。花や実はなりませんが、株を充実させたいときに有効な剪定です。
トピアリー仕立てもおしゃれ
オリーブは剪定にも強いので、トピアリーにするのにも向いている観葉植物です。特に人気のネバディロ・ブランコは枝が多い品種なので、トピアリー仕立てにも向いています。また、ペンドリーノなどの下垂型品種は鉢植えのオリーブとしては珍しく、インテリアとしてもおしゃれです。
株の回復のための剪定
葉っぱがくるくると巻いてくるときや、株がぐらぐらと不安定なときには、根が弱っている可能性があります。こんな場合には、株の回復のために全体的に枝を短く切り戻す剪定をしてあげると効果的です。剪定時期は、真夏や真冬を避けた期間にしましょう。
観葉植物オリーブの育て方⑧:植え替え
植え替えと適期
オリーブは成長が早いので、鉢植えでは3年に一度を目安に植え替えをするのがおすすめです。鉢植えは用土の栄養も限られているので、葉のツヤなどを保つためにも植え替えは大切な作業です。適した時期は花が咲く前の4〜5月頃が最適です。
鉢上げの方法は?
オリーブを大きくしたい場合、それまでよりひとまわり大きい鉢に植え替えます。根が張って根鉢が固いようであれば、まず肩の土を軽く落とし、根鉢を優しく崩します。そして元肥(緩効性肥料)を施した用土で植え替えます。
コンパクトに育てたいとき
育てやすい大きさのままで維持したい場合は根をお手入れして、同じ鉢に植え替えます。根鉢を優しく崩し、茶色くなってしまった根は取り除きます。そして根鉢をひとまわり小さくするように剪定します。鉢上げと同じように元肥を入れた用土で植え替えます。
効果的で大切なポイント!
根を剪定する場合に大切なのは、根を切った分だけ枝葉も剪定することです。これを怠ると株が弱ってしまうので要注意。また植え替えした後は、水切れしないようにも気をつけましょう。ただし水のやり過ぎもNGです。また、即効性の肥料も負担がかかるので植え替え後しばらくは避けます。
観葉植物オリーブの育て方⑨:病害虫
代表的な病気は?
オリーブがかかりやすい病気は、炭そ病が代表的です。炭そ病は、果実に黒っぽいカビが発生する病気で、果実をつけるときには気をつけたい病気。実が赤っぽくなってくる頃に発生しやすく、見つけたら早めにとりましょう。
観葉植物のオリーブで気をつける病気は
観葉植物として育てる場合、気をつけたいのは梢枯病です。炭そ病と同じ菌による病気ですが、これは梅雨時期に枝を枯らしてしまう病気。枝の先が枯れ始め、全体的に広がってしまいます。見つけたらすぐ、発症した枝を切り落とします。大きな枝の場合は切り口に薬剤を塗っておくと効果的です。
代表的な害虫は?
オリーブの代表的な害虫は、オリーブアナアキゾウムシ。幼虫が木の内部を食い荒らしてしまいます。木の根元に穴が空いていたら要注意です。春に予防薬を散布します。発生した場合は、穴に殺虫剤を噴射して駆除します。
その他の害虫
ほかにも、葉や実を食べるハマキムシ、葉を食い荒らすスズメガの幼虫、根っこを食べるコガネムシの幼虫などが主な害虫です。特に根を食い荒らすコガネムシは気付きにくいので、生育が悪くなったと感じたら根っこを見てみましょう。
観葉植物オリーブの育て方⑩:収穫
2品種以上育てる
オリーブに果実をつけさせるために重要なのは、まず2品種以上を育てること。オリーブは1品種で結実できない性質の品種が多いからです。自家結実性のある品種もありますが、2品種育てるとより効果的です。
室内管理では受粉もポイント
室内で育てる観葉植物の場合は、受粉の方法も大切なポイントです。オリーブは風を媒体にして受粉するため、室内では受粉できる可能性が低くなります。開花期に筆などを使って人の手で受粉させるとより確実です。
施肥や手入れも効果的に
施肥や手入れも収穫には大切なポイントです。春の追肥をあげると、実付きがよくなります。また前年伸びた枝に花芽をつけるため、収穫したい場合には必ず残しておきます。また、若木では実がならない場合が多く、挿し木して4〜5年頃から安定して結実します。
観葉植物オリーブの育て方⑪:増やし方
効果的な増やし方
オリーブを増やすときに一番効果的なのは、太木挿しと呼ばれる方法です。10号鉢以上のオリーブの、直径5cm長さ30cmほどを使い、枝の上部が2〜3cmほど出るように鉢植えに植えます。冬の戸外では約4ヶ月ほどで伸び始めます。
緑枝挿しがおすすめ
そこまで大きくないオリーブを増やすとき、おすすめなのは緑枝挿しというやり方。元気のよい新しい枝を剪定してすぐ水につけ、2時間ほど置きます。その後、3節つけて10cmほどに切り分けます。切り口は斜めにするのがポイントです。
緑枝挿しのやり方
上の葉2枚を残して下の葉を取り、また2時間ほど吸水させます。5〜6号鉢に用土を10cmほど入れて湿らせます。そして鉢の縁に沿って葉が重ならないように植えます(6号鉢で6本ほどが目安)。
湿度が大切
水を入れた鉢皿を底に敷き、鉢植えの土が常に湿っている状態を保ちます。この方法は湿度を保つのがポイント。鉢底から白い根が見えたら1株ずつ鉢上げして植え替えながら育てます。
おすすめ!おしゃれなインテリアオリーブ
初心者におすすめなのは
オリーブの鉢植えは、いろんなかたちで楽しめるのも特徴です。若木のにょきにょきと伸びていく枝を、かわいい鉢に植えるだけでおしゃれに映えるすぐれもの。オリーブの価格は、若木なら5号鉢で1500円前後程度です。育てやすいので、オリーブ初心者におすすめです。
かっこいい観葉植物が好きな方に
オリーブは、樹齢の古い幹から枝が伸びていく姿がかっこよくておしゃれ。この生命力あふれる姿が、古代ギリシャなどで神聖な木として扱われてきた所以です。近年はこのようなかっこいい姿の鉢植えが人気で、お値段は樹齢によりあがるものの、かっこいい観葉植物が好きな方にはおすすめしたいオリーブです。
盆栽オリーブも人気
さらに、オリーブには仕立てる楽しさもあります。盆栽風に枝を横に流すように仕立てたり、刈り込んで形を作るのも素敵です。日本有数のオリーブ産地・香川県は盆栽の名地でもあるため、近年はおしゃれなオリーブ盆栽がよく出回り、国内外の観光客に人気があります。
観葉植物としてオリーブを楽しもう
初心者にもおすすめ
育てやすいため、観葉植物としても人気のオリーブ。おしゃれな上にお手入れも簡単なので初心者にもおすすめです。また、ちょっと手をかけてあげれば収穫の楽しみもでき、一緒に生活するお供にぴったり。ぜひ挑戦してみてくださいね。
オリーブについて気になる方はこちらもチェック
ほかにもオリーブについては、たくさんある品種をご紹介する記事や、オリーブに適した肥料について詳しく書いた記事もあります。気になる方はこちらもぜひチェックしてみてください。
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