オリーブとは
多用途なオリーブ
近年日本でも観葉植物としてのオリーブが広まり、園芸店でも大小さまざまなオリーブを見かけるようになりました。オリーブといえばオリーブオイルや実の塩漬けなど、食材としても健康に良いと世界中で使用されています。また、スキンケアや葉っぱを使ったハーブティーなど様々な用途に重用されるオリーブはまさに万能植物です。
重要性の高い植物
そんなオリーブは、歴史的にもとても深い意味のある植物です。オリーブからとれるオイルは古くから燃料として使用されたり、乾燥する地中海沿岸では保湿の目的で使用されてきました。旧約聖書や神話にもスピリチュアルなシンボルとして登場することも多く、人間の生活にとても重要な植物であったことがわかります。
オリーブの花言葉と意味とは
オリーブにつけられた花言葉たちも、そんな人間の生活との深い関わりを表しています。それは花言葉としてだけでなく、世界のシンボルとしてもとても深い意味を秘めています。今回はオリーブの特性や歴史を踏まえて、オリーブにつけられた花言葉の由来や意味を探っていきます。
オリーブの特性
栽培環境
オリーブの栽培環境は平均温度15〜20℃の地域です。乾燥を好みますが降水量は年間500mmは必要で、日光がよく当たる場所を好みます。高地でも栽培されており、神話や聖書では山に生育している描写が度々見受けられます。地中海沿岸では比較的どこでも育ったようです。日本では関東以西で栽培可能で、国内では香川県の小豆島や静岡県が有名な産地です。
開花時期
開花時期は5月中旬から6月の上旬にかけてで、白い小さなお花をたくさん咲かせます。1房に10〜30輪ほど花をつけ、そのうちの1割程度が実になります。花粉は風に乗って受粉させる風媒花で、受粉後1週間ほどで結実します。開花時期に雨が続くと受粉できず実が少なくなることもあります。種類によって開花時期に差があります。
自家不結実性
自家不結実性とは、同じ品種の花粉では受粉できない性質のことです。そのためオリーブの実を収穫するには、開花時期が重なる2品種以上を育てることが必要です。中には1品種でも実をつける自家結実性の品種もあり、日本でもオイル生産用によく栽培されているルッカという品種は1本でも結実しやすい品種です。
樹齢が長い
オリーブは樹齢がとても長いのも特性のひとつです。戦争で焼き払われても翌日に芽を出したなどの伝説が残るほど生命力の強い木でもあります。また樹齢が長くても実をつけるのも特徴です。オリーブ栽培が盛んだったギリシャのクレタ島には樹齢3000〜4000年とも言われるオリーブがあり、開花時期には花を咲かせ、現在でも実をつけています。
オリーブの歴史
オリーブ栽培の始まり
オリーブの野生種は地中海には何千年と前からあったようですが、南フランスなどでは旧石器時代のオリーブの化石が発掘されています。オリーブの栽培がいつ始まったかは定かではありませんが、約6000年前の小アジアあたりで確立したと言われています。紀元前20〜14世紀のクレタ島ではすでにオリーブオイル交易がさかんに行われていました。
オリーブオイルの需要
オリーブオイルは工程を重ねて製造する他の油とは違い、実を絞るだけで採取できるかつ常温でも液体のままで保存できる油であったため、古代から重用されました。古代では食用ではなく、灯火用や体に塗る塗油として使用されていました。栽培地域が広まるにつれ食用として取り入れたり、残りかすでできた質の低いオイルは工業用としても使用されました。
オリーブと宗教
スピリチュアルなオイル
古代では、黄金色に輝くオリーブオイルはスピリチュアルな特別性を持ったオイルとして扱われていました。宮殿のランプに使う灯火用としても使用されました。旧約聖書のサムエル記には預言者サムエルがイスラエル王国初代の王サウルの頭から油を注いで聖別されたとしていますが、この油がオリーブオイルのことだったといいます。
油を注がれた者
サウル王以降イエス・キリストまで、神によって聖別された者に油を注ぎました。ヘブライ語「mashiach(油を注がれて聖別された)」は「Messhiah(メシア・救世主)」の語源で、ギリシャ語では「Christos(油を注がれて聖別された)」が「Christ(キリスト)」の語源となっています。イエス・キリストがエルサレムに入城した際には民衆がオリーブの枝を振って迎えたといいます。
オリーブの花言葉
オリーブの花言葉は?
オリーブの花言葉は「平和」「勝利」「知恵」です。オリーブは古代に文明が発達した地域の栽培環境に適した植物で、有用性が高く、人々の生活に密着した必需品でした。生命力の強さや黄金色のオイルがスピリチュアルなシンボルともされました。そんなオリーブにつけられた3つの花言葉の由来と意味とは、どんなものなのでしょうか。
花言葉とは
花言葉とは、17世紀頃のトルコで発祥したと言われる文化です。トルコからイギリスやフランスに広まり、その後世界中に広まりました。花言葉は花の特性だけでなく風習や神話を由来としているものが多く、神話や聖書にも登場するオリーブの由来もそういった伝承から来ています。
花言葉①「平和」
花言葉の由来と意味
オリーブの代表的な花言葉は「平和」です。オリーブはアメリカ独立戦争時のオリーブの枝請願など、世界的に平和の象徴として用いられてきました。旧約聖書や聖書にも度々オリーブが登場し、平和や豊穣を意味するシンボルとして描かれています。生命力が強く多用途なオイルを採取できるオリーブは、当時の人々にとって特別であったことが窺えます。
ノアの箱船とオリーブ
オリーブの花言葉が「平和」となった由来は、旧約聖書のノアの箱舟が一番有名です。これは、大洪水が収まったかどうかを知るために飛ばした鳩がオリーブの小枝をくわえて戻ってきたことで、洪水が引いたことが分かったという話です。このエピソードから、新しい世界の訪れを知らせたオリーブが平和の象徴として扱われるようになりました。
平和とオリーブ
聖十字架賞賛の日にはオリーブの枝で作った十字架を小麦畑に植えて、火事や自然災害から守られるように祈ったという風習もありました。イタリア・シエナ派の受胎告知では、平和のシンボルとしてオリーブの枝が描かれました。近代ではピカソがパリ国際平和用語会議のポスターに描いたり、現在も国際連合の旗にオリーブが描かれています。
花言葉②「知恵」
花言葉の由来と意味
オリーブの花言葉「知恵」は、ギリシャ神話の女神アテナに由来しています。アテナは芸術、工芸、技術などの女神で、知恵のシンボルです。オリーブはこのアテナと関係が深いため「知恵」という花言葉がつけられました。オリーブはアテナのシンボルとしてコインなどに一緒に描かれていました。
ギリシャの女神アテナとオリーブ
「知恵」という花言葉の由来となった逸話は、海の神ポセイドンとアッティカ地方の支配権を巡って争っていたときの話です。アテナは「闇夜に照らす光となり、痛みを和らげ、香り高く、果実は口にすれば貴重な食料となる」としてオリーブの木を生み出し、住民を喜ばせました。その後その地をアテナにちなんでアテネと名付けたと言われています。
知恵とオリーブ
アテナの言葉は、シルバーグリーンの葉が闇夜に輝いている様子を表しており、当時の情景が浮かび上がります。オリーブには病気の予防や治療に飲用されたり肌に塗られたりと、薬の役割もありました。また、オイルにハーブを混ぜた香油は化粧用や神聖な場面でも使用されていました。オリーブの万能さが「知恵」という花言葉やアテナにつながっているのかもしれません。
花言葉③「勝利」
花言葉の由来と意味
「勝利」という花言葉もオリーブとアテナの関係が深いことに由来しています。アテナは戦争の女神でもあります。戦争といっても、アテナは知恵を使って戦士たちに助言をしたり、戦争の道具を発明して勝利に導いたりする女神でした。またオリーブ材は硬いことから不屈の精神の象徴でもあり、オデュッセイアではキュクロプスの目を突き刺した丸太もオリーブだとされています。
オリンピックとオリーブ
古代ギリシャのオリンピアで行われていた古代オリンピックでは、英雄ヘラクレスが勝者にオリーブの枝を与えたことからオリーブの冠が与えられるようになりました。また古代アテネで開催されていた別の競技会でも、勝者にはオリーブの冠とオリーブオイルが贈られました。古代オリンピックを再現した現代のオリンピックの第1回大会にはオリーブ冠が贈られています。
勝利とオリーブ
オリーブの勝利という言葉は、アテナが勝利の女神であること、アテナがポセイドンとの権力争いに勝利したこと、競技会の勝利者に贈られたことからつけられた花言葉です。しかしそれだけでなく、丈夫で生命力が強く果実をたくさんつける様子が力強くたくましい勝利のイメージを引き起こしたのかもしれません。
観葉植物としてのオリーブ
丈夫で育てやすい
オリーブは、観葉植物としてとても育てやすい植物です。グレイッシュな葉の色がインテリアとしてもおすすめです。オリーブはとても丈夫で、結実を考えなければ真冬以外は剪定してもOK。枝が伸びすぎてもコントロールしやすいので、場所に合わせやすい観葉植物です。実を収穫したければ2種類のオリーブを育てます。
観葉植物におすすめの種類
オリーブにはたくさんの種類があり、それぞれ実の大きさや枝ぶりが違います。上に伸びる直立型のミッションは、剪定しやすいので観葉植物やシンボルツリーにもおすすめ。個性的な姿を楽しみたいときには、横に広がる開張型のネバディロ・ブランコなどをトピアリーにするのもよいでしょう。実を収穫したい場合は、1本でも結実しやすいルッカがおすすめです。
オリーブと誕生日
オリーブと誕生花
オリーブは、5月22日、26日、10月27日などの誕生花です。開花時期の5月と、果実をたわわにつけて熟し始める10月がオリーブの見頃でもあります。また、同じく開花時期である6月24日の誕生花としていることもあります。誕生花として誕生日プレゼントに贈るのもおすすめです。
誕生日プレゼントにおすすめのオリーブ①
小豆島産手摘み100%「純」EXVオリーブオイル 200ml
オリーブオイルはスペインやチリ、イタリアなどが主な産地ですが、国内でも生産されています。オリーブオイルは等級によって品質に差があり、同じエクストラヴァージンオリーブオイルと書いてあっても酸度が高いと質が落ちてしまします。国産のオリーブオイルは品質も良く、少しお高めなので誕生日プレゼントなどでもらうと嬉しい一品です。
誕生日プレゼントにおすすめオリーブ②
オリーブオイル・エキストラバージン・オーガニック/200ml 100%無添加オイル
オリーブオイルはスキンケアとしての効能も優れています。成分が肌の成分と似ているため皮脂のバランスを整えてくれたり、ハリを与えるビタミンAや肌を保護するビタミンEも含まれています。美容オイルとしても、クレンジングオイルとしてもおすすめです。女性への誕生日プレゼントにはオリーブコスメを贈ってみては。
誕生日プレゼント以外にも
オリーブは花言葉や由来に前向きな意味が込められているので、誕生日プレゼントはもちろんそれ以外のプレゼントにも最適です。平和という花言葉は結婚祝いにも、勝利や知恵の花言葉は開店祝いなどにも向いています。新築祝いなどには2種類のオリーブをセットにして贈るとさらに喜ばれますよ。
オリーブを楽しんでみよう
スピリチュアルなパワーを秘めたオリーブ
オリーブはとてもスピリチュアルな木で、宗教の中でも神聖なものとされてきました。悪霊を追い払う力があるとされたり、平和のシンボルとしたり、ヨーロッパでは精神的な支柱でもありました。今では日本でもとても身近な植物となり園芸店でも見かけることの多いオリーブ。ぜひそのスピリチュアルパワーを感じてみてくださいね。
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