オリーブとは
大人気オリーブの理由とは?
近年日常的に使われるようになったオリーブ。オリーブオイルはもちろん、オリーブの塩漬けやオイル漬けなども日常の食卓で目にする機会が増えてきました。オリーブと人間の歴史は長く、古くから人間の生活に欠かせないものでした。研究が進むにつれ、オリーブが栄養豊富な食材であることが分かってきました。
オリーブと歴史
オリーブとはモクセイ科の常緑高木で、グレイッシュな葉と黄緑から黒に熟していく実が特徴の植物です。地中海沿岸に何千年も前から生育していました。最初に栽培された時期は定かではありませんが、紀元前2000年頃のハンムラビ王の時代にはオリーブオイルの貿易について規則が定められるほど発展していました。
オリーブの産地と種類
オリーブは地中海沿岸から世界へ広まり、今ではスペインやギリシャを筆頭にアメリカやチリなども主要産地となっています。実を食すためのオリーブはテーブルオリーブと呼ばれ、果実が大きめで果肉が厚いミッションやマンザニロなどの種類があります。オイル用は小〜中型の実をつけるルッカやネバディロ・ブランコなどの種類が主流です。
オリーブの栄養成分①オリーブオイル
オレイン酸
オリーブの栄養成分の中でも一番特徴的なのはオレイン酸です。一価不飽和脂肪酸とも呼ばれ、善玉コレステロールは減らさずに悪玉コレステロールを減らす効果が注目されている栄養成分です。また、非常に酸化しにくいという効能も特徴です。オリーブオイルはオレイン酸を70〜80%含んでおり、他の食用油の中でもダントツの含有量なのです。
ビタミンF
必須多価不飽和脂肪酸とも言われるビタミンFを必要量含んでいることもオリーブオイルの特徴のひとつです。リノール酸を3.5〜20%、リノレン酸1.5%ほど含んでおり、この含有量は母乳によく似ているといいます。ビタミンFが不足すると、皮膚の乾燥や潰瘍の形成、毛や爪の生育障害や精神不安定などの症状の原因となります。
ビタミンE
オリーブオイルにはほかにも、アーモンドなどのナッツ類にも多いビタミンEの代表成分であるαトコフェロールが含まれています。この栄養成分には、酸化防止の効能があります。生体膜の機能を正常に保ったり、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、肌荒れを防いだりする効果が知られています。
ポリフェノール
ポリフェノールとは植物由来の天然抗酸化物質です。カカオポリフェノールなど5000以上の種類があるポリフェノールですが、オリーブオイルに含まれるのはヒドロキシチロソールとオレオカンタールです。特にヒドロキシチロソールにはビタミンCの10倍とも言われる抗酸化効果による美白効果や、コラーゲンの生成を促進する効能があります。
オリーブの栄養成分②実
グリーンとブラック
オリーブの実は初め明るい黄緑で、熟すにつれ黒色に変化していきます。若い実をグリーン、熟した実をブラックと言い、それぞれに使用されます。グリーンはオイル分が少なく果肉が固めで、苦味や渋みを強く感じます。完熟したブラックはオイル分が増えて果肉が柔らかく、旨味が増します。どちらもそのままでは渋くて食べられないため、渋抜きをする必要があります。
オレイン酸
オリーブの実もオイルと同様、抗酸化作用のある一価不飽和脂肪酸のオレイン酸を多く含んでいます。オレイン酸には悪玉コレステロールを減らすだけでなく、便通を良くする効能もあります。またオレイン酸は熟すにつれ含有量が増えていくため、グリーンオリーブよりもブラックオリーブのほうに多く含まれています。
ポリフェノール
ポリフェノールもオイルと同様に含まれています。ポリフェノールには辛味成分という側面もあり、オリーブ特有の苦味はポリフェノールによるものです。抗酸化作用によって老化や病気を防ぐ効能があります。ポリフェノールは熟すにつれてどんどん減っていくため、ブラックオリーブよりグリーンオリーブに多く含まれています。
ミネラル成分と食物繊維
オリーブの実には、ナトリウム、鉄分やカルシウム、カリウムなどのミネラル成分も含まれています。さらに鉄分の吸収率を高めるビタミンCも含まれている優れものです。また食物繊維も含まれており、食物繊維の含有量はブラックよりグリーンオリーブのほうが多く含まれています。
オリーブの栄養成分③葉
オリーブ茶が注目
オリーブ茶
オリーブといえばオリーブオイル、そして実を食べるのが一般的ですが、近年注目されているのがオリーブの葉から抽出するオリーブティーです。オリーブの葉には果実よりもはるかに多くのポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの量は緑茶の3.3倍とも。ノンカフェインなのも特徴です。また、エキスを抽出したサプリメントもあります。
ポリフェノール
オリーブの葉には、オリーブ特有のポリフェノール・オレウロペインが含まれています。オレウロペインという成分は抗酸化作用が強く、また免疫機能の活性化を促します。ほかにも、コラーゲンの生成を促進したり、活性酸素の抑制するなどの働きも。また、黒色メラニンの生成を抑えてシミやくすみを防ぐ効果もあります。
オリーブオイルの栄養と効果
動脈硬化などの病気予防
動脈硬化などの病気は、血中に脂肪成分やコレステロールが増えて血液がドロドロになり、動脈の壁にプラークとしてくっつき血流が悪くなることが原因です。血管の弾力性がなくなって動脈硬化に、さらに詰まれば心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。抗酸化作用の高いオリーブは血中の活性酸素を減らし、コレステロールを減らす効能があるためこれらの病気の予防に役立ちます。
消化機能を調整する
オリーブオイルはほかの油に比べて胃液の分泌が少なく、胃もたれや胸焼けをしにくい油でもあります。またオレイン酸には胃の粘膜を守る作用があります。消化器官を調整する効能もあり、胃や腸の調子を整える効果があります。また、食事の最初に摂ることで胃に膜を張り、急激な吸収を抑えて血糖値の上昇を防ぐ効果もあります。
ほかにも
抗酸化作用がもたらす効果はほかにもたくさんあり、がん予防もその代表的なひとつです。また、ビタミンDの吸収を促進することで骨粗しょう症の予防となったり、ポリフェノール成分のオレオカンタールにはアルツハイマー病の予防効果も期待できます。そして、鼻に塗布することで鼻炎や花粉症の予防にもなります。
オリーブの栄養とダイエット
便通をよくする
オリーブがダイエットにも推奨されるのは、便秘解消にも適しているからです。オリーブの主成分オレイン酸は、吸収しにくいのも特徴です。そのため小腸では吸収しきらずに大腸まで届き、腸を適度に刺激したり滑りを良くする効果があると言われています。朝食に大さじ一杯のオリーブオイルを摂るのが特に効果的です。
ダイエットしやすい体を作る
オリーブ特有のポリフェノール、オレウロペインには、アドレナリンを増やして新陳代謝を活性化させ太りにくくするというダイエットにもつながる効能もあります。また、オリーブの葉に含まれるオレアノール酸にも新陳代謝に影響する効能があり、メタボリックシンドロームの予防・改善の効果があることが分かってきました。
香り成分でダイエット効果
オリーブオイルは香りでもダイエット効果が期待できます。オリーブオイルの香りにはヘキセナール、E2-ヘキセナールという成分が含まれています。これらの成分は満腹中枢を刺激する効能があるため、満腹感を得られやすいということが分かっています。これは青っぽい香りの成分で、特にイタリア産のオリーブオイルに多く含まれています。
オリーブの栄養とスキンケア
うるおいを与える
オリーブオイルは保湿に加え、皮脂のバランスを整える効果もあります。オリーブオイルに含まれるビタミンAは肌にハリを与え、ビタミンEは肌を保護する効能が期待されます。また、リノール酸には皮膚の水分を補い保つ役割があります。またスクワレンも含むので肌への吸収がよく、保湿効果があります。
クレンジング効果
オリーブの主な栄養成分でもあるオレイン酸は人の肌にももともと含まれている成分でもあります。そのため、オリーブオイルは肌馴染みがよく浸透しやすいという特徴があります。また毛穴汚れと似た構造をしているため、汚れに馴染んで落としやすくする効能もあります。しかしニキビはオレイン酸を好むため、ニキビケアには使用をおすすめできません。
オリーブの栄養を効果的に摂るには?
ヴァージンオイル
エクストラヴァージンオイル
オリーブオイルでオリーブの栄養を十分に吸収するには、気をつけたいことがあります。オリーブオイルにはさまざまな種類があり、等級があります。その中でもエクストラヴァージンオイルまたはヴァージンオイルが100%オリーブを使用したもので、上述の効能を得るためにはこの2つを選ぶことが大切です。
新漬けがおすすめ
オリーブ新漬け
オリーブの実は、オイル漬けや塩漬けなどいろんな種類がありますが、その中でも摘みたてのオリーブを塩漬けしたオリーブの新漬けは鮮度が抜群です。日本では香川県の小豆島でオリーブ生産が行われていますが、新鮮なオリーブを使用するため新漬けは10月頃にしか販売されません。ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、みずみずしくて食べやすいオリーブです。
オリーブの食べ方①塩漬け
グリーンオリーブの塩漬け
オリーブの塩漬けの作り方は主に2つあります。水で苦味を抜く作り方と、苛性ソーダで抜く作り方です。水で苦味を抜く塩漬けは赤みを帯びた黄緑〜淡い赤紫色のオリーブを使い、毎日水を変えながら2週間以上水につけて苦味を抜きます。苛性ソーダを使う塩漬けは、明るい黄緑〜赤みを帯びた黄緑のオリーブを使います。
ブラックオリーブの塩漬け
ブラックオリーブの塩漬けには、外が濃い赤紫色、果肉が外縁から中心に向かって半分以上赤紫になったオリーブを使います。日本ではだいたい11月中旬〜12月に収穫できるオリーブです。果実の10%分の塩と一緒に保存容器に入れ、冷蔵庫で保存するとおよそ1ヶ月ほどで食べごろになります。
塩漬けの塩抜き
自作の塩漬けはそのままでは塩辛いため、塩抜きしてから食べます。2時間以上水につけ、味見しながら塩加減を調整します。このとき水を薄い塩水にすると、上手に塩抜きすることができます。市販の缶詰塩漬けなどが塩辛すぎる場合にもこの方法で塩抜きすると美味しく食べられます。
オリーブの食べ方②マリネ
オリーブのマリネ
マリネとはオイルや酢をベースとしたマリネ液に漬ける調理法のことで、オリーブもマリネにすることで味のパリエーションが広がります。缶詰のオリーブ水煮を使うと簡単に調理できます。缶詰の水煮缶はグリーンオリーブとブラックオリーブの2種類使うと彩りが良くなります。2つをミックスした缶詰も販売されています。
缶詰オリーブで簡単マリネ
オリーブのマリネは酢やレモン液でも合いますが、シンプルにオイルベースで作るのもおすすめです。缶詰オリーブでも、加熱調理してから冷ますとマリネ液がよく染み込んで美味しく出来上がります。オリーブオイルにニンニク、缶詰オリーブ水煮、アンチョビやトマトを入れて7〜8分煮込んでから冷まします。
オリーブの食べ方③オリーブオイル漬け
オリーブオイル漬けの作り方
食材をオリーブオイルに漬けるオリーブオイル漬けは、缶詰や瓶詰めなどでたくさんの種類が販売されています。具材はもちろんオイルも料理に使えるのもオリーブオイル漬けの魅力。魚介類やお肉、チーズなどをハーブやスパイスと一緒に漬けて作ります。具材を加熱してからオイルに漬けると味の馴染みがよくなります。
おすすめオイル漬けレシピ
オリーブオイル漬けのおすすめレシピはトマトのオリーブオイル漬けです。トマトの栄養成分リコピンはオリーブと一緒に摂ると吸収率があがるのです。プチトマトをオーブンで乾かしてドライトマトにして、オリーブオイルに漬けます。お好みでローズマリーなどで香りづけしても美味しく食べられます。
栄養豊富なオリーブを摂ろう
生活に取り入れてみよう
オリーブは栄養豊富で病気の予防や改善、ダイエットやスキンケアにも使えるスーパーフードです。オリーブオイルを日常的に調理油として使ってみたり、サラダのトッピングにオリーブの実を使ってみたり。ぜひ栄養豊富なオリーブを生活に取り入れてみてくださいね。
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