オリーブの育て方は?
地植え、室内用の両方で活躍
オリーブといえば、海外の料理によく用いられる果実です。 耐寒性があまりないとされており、 日本ではやや育てにくいと思われてきました。 でも、上手に育てれば、東京付近でもきちんと果実をつけてくれるんですよ。 シルバーリーフとよばれる銀色の葉っぱは、観賞用の樹木としても美しいです。他の植物との組み合わせ次第で、絶妙なコントラストを生んでくれますよ。室内に置く観葉植物としても活躍します! あなたもオリーブを育ててみませんか? 育て方を解説します!
オリーブはどんな植物?
オリーブの基本データ
まずは、オリーブがどんな植物かを確認しましょう。 オリーブはモクセイ科オリーブ属に分類される、中低木です。お庭でも育てやすいサイズ感で、寒い時期も葉っぱを落としません。季節関係なく庭に緑を茂らせることができます。 また、歴史の古い植物でもあります。 もともとは、中近東の植物でしたが、その後ギリシャを渡り地中海に広まったとされています。
食用にできる!
果実はピクルスやオイルにして楽しむ
なんといっても最大の特徴は、果実を実らせること。 5~6月に乳白色の小さな花が咲き、10月中旬ごろから実を楽しむことができます。 この実は渋く、生食には不向き。 ですがピクルスを作れば、おいしくいただくことができますよ。 パスタに加えたり、ピザに乗せたり、アレンジは無限大! そのままお酒のおつまみにしても、よく合います。自作のオリーブとワインがあれば、ちょっとリッチな時間を過ごせそうです。 もちろん、おなじみのオリーブオイルを作ることだってできちゃいます。 ただし、種類によって、加工の向き不向きがあります。 加工を考えているなら、ぜひ用途に合った種類選びをしたいところ。
ハーブ栽培との相性も◎
バジルやイタリアンパセリといったハーブを一緒に育てれば、さらに料理の幅が広がります。 これらのハーブは栽培も簡単なので、一緒にチャレンジしてみるのもおすすめ! 1度植えれば、こぼれ種で勝手に増えてくれることも。 ただし、ミントは生育が旺盛なあまり、雑草化もしやすいので、気をつけてくださいね。
おしゃれな観葉植物
観葉植物としても育てられる
鉢植えにして、観葉植物としても育てることができます。 乾燥に強いので、水やりの手間がかからないのがポイント。 必ず日の当たる場所に置きましょう。
オリーブの選び方
オリーブの種類を知ろう
オリーブがどんな植物なのか、だんだん分かってきましたか? 次は種類を見ていきましょう! ひとくちにオリーブといっても、いくつかの品種に別れているのです。 オリーブオイルを作るのに向いている種類や、ピクルスを作るのに向いている種類など、特徴はさまざま。用途に合った種類を選べば、たくさんの恩恵が受けられます。観葉植物として室内で育てたいなら、見た目を重視して選ぶのもおすすめ。
マンザロニ
果実の加工用に、世界中で多く栽培されている主要な種類です。 含油率は9~14%と低めなので、オリーブオイルを作るより、ピクルスを作るのに向いています。 栽培は比較的かんたん。弱点はあるものの、初心者さんにもおすすめです。
ミッション
カルフォルニアで発見された、スペイン系の品種。 オリーブの中ではもっともポピュラーな種類といえるでしょう。オイル作りにも、果実作りにも、広く用いられています。含油率は15~19%。日本にやってきたのは明治後半です。
ルッカ
こちらはオリーブオイル作りに適した種類です。 含油率は17%程度。成長が早く、大きく成長します。自宅で育てるには大きすぎると感じる場合もあるので、栽培前に地植えする場所のスペースを確認しましょう。
オリーブ栽培に挑戦! 育て方をチェックしよう
オリーブの育て方を解説
育てたい種類のイメージがつかめてきたら、いよいよ植え付けてみましょう! 地植え・鉢植えでそれぞれ異なる部分もあるので、庭に植えたいのか、室内で育てたいのかによって、プランに応じた環境を整えましょう。8つの項目に分けてご紹介します!
育て方1.植え付け・移植
1-1、植える場所
日当たりと水はけのよい場所を好みます。 過湿が苦手なので、地植えの場合、じめじめした場所には植えないようにしましょう。 鉢植えにして室内で育てる場合、太陽の光をたっぷり浴びられるところを選びます。 室内に置くなら、窓辺もおすすめ。ですが、寒い時期は冷え込む場所です。季節によって、多少置き場を調整してあげると良いでしょう。いつもは室内で育てていても、暖かい日は外に出し、日光浴をさせてあげるとよく育ちます。
1-2、植え付けの手順
3月の上旬から下旬にかけての間に、植え付けを済ませましょう。 暖地であれば、10月の上旬から~中旬にかけての時期にも植え付けを行えます。 地植えの場合、まずは植えたい場所に穴を掘ります。掘り終わったら、堆肥や腐葉土を植え穴によくすき込み、苗木を植え付けましょう。支柱を立てると安定します。過湿によって根が悪くなるのを防ぐため、やや高植えにします。
1-3、鉢植えの場合
鉢植えにするなら、必ず鉢底石を敷いて水はけを良くしましょう。 鉢底石はインターネットでも購入可能。園芸店で買うとずっしり重いので、自宅に届けてもらうと楽です。 土は赤玉土6:腐葉土3:川砂1の割合でブレンドします。 赤玉土は粒子が大きく、水はけをよくする効果があります。川砂も同様に、鉢の中に水分を滞留させません。そこに腐葉土を混ぜることで、オリーブの成長に必要な栄養を与えることができます。 この土に粒状肥料をまぜ、苦土石灰を少し与えましょう。 「オリーブの土」と呼ばれる商品も売っています。 これを使うと、配合不要なので楽です。 地植えの場合と同じく、支柱を立てると安定します。
1-4、オリーブは移植が嫌い
基本的に、オリーブは移植が苦手。 とくに成木は、植え替えで枯れてしまうこともあります。 移植を行いたいなら、まだ木が小さいうちにしましょう。 ベストなのは、最初から植え替える必要のない場所に植えることです。成木になった時のサイズ感を踏まえた上で、きちんと日光は当たりそうか、地植えの場合はとくによくチェックしましょう。
育て方2.水やり
2-1、地植えなら、水やりはほぼ不要
苗木~植え付け直後だけ水を与えれば、地植えの場合、あとは基本的に水やり不要です。 オリーブは乾燥に強い植物。日本は雨が多いので、この雨だけで充分なのです。水やりをしすぎると、根が悪くなりがちなので、かえって良くありません。
2-2、鉢植えも、水やりはたまにでOK
鉢植えにした場合も、水やりはときどき行うだけで大丈夫。 土の表面が白っぽく乾いたら、たっぷりと与えます。その後はまたしばらく水を与えず、土の表面が乾くまで待ちましょう。
育て方3.肥料
3-1、苔土石灰を施す
2月は肥料の時期です。 株周りに浅い溝を掘り、配合肥料を1~2握り与えましょう。木の根っこは株を中心に広がっているので、株の縁ぎりぎりに肥料をまくのではなく、少し離すイメージで行ってください。 また、春から秋にかけて液体肥料を与えると、よく育ちます。 苔土石灰も与えましょう。量はだいたい2握りくらいでOKです。
3-2、オリーブ専用肥料も売っている
オリーブ専用の肥料も販売されています。 肥料選びの自信がない方や、できるだけ手軽に肥料を与えたい方は、ぜひ活用しましょう! 液体肥料でおなじみのハイポネックスからも、オリーブ用錠剤肥料の販売がありますよ。
育て方4.剪定
4-1、オリーブの剪定
オリーブは芽を出す力が強い植物。 刈り込んでも大丈夫ですが、基本的には剪定しすぎず、自然な木の形に仕上げます。 剪定を行う時期は3月中が良いでしょう。 地植えの場合、庭のスペースに収まるように、太い枝を切り戻して木の形を整えていきます。毎年この作業を行うと、美しく自然な仕上がりになりますよ。 また、弱ってしまった枝や、混み合っている部分も、剪定でスッキリとさせます。
4-2、剪定を行うのが理想的
剪定作業は、多くの人が面倒に感じるものです。 また、「枝を切ってしまって、株が弱ったらどうしよう」と心配する方もいます。 ですが、オリーブは成長の速い植物。 枝を切ってしまっても、また枝を伸ばします。たくさん新しい芽をつけてくれるので、あまり剪定しすぎの心配をすることはありません。光合成できるくらいの葉を残してあげれば大丈夫です。 むしろ、不要な枝を剪定してしまうことで、株全体に日光が行き渡るようになります。放置すると蒸れる可能性があるので、できれば2年に1度ほど、剪定作業を行うようにしてあげましょう。
育て方5.植え替え
5-1、鉢植えの場合、植え替えが必要
鉢植えの植物は、ずっと同じ鉢で育てていると、やがて「根詰まり」と呼ばれる現象を起こします。 根詰まりとは、鉢の中で根がいっぱいになってしまうこと。 植物の成長に合わせて、根は意外なほど、どんどん伸びるのです。ずっとお部屋に置いている観葉植物は特に、見慣れてしまうので気付きにくいものですが、いつのまにか鉢底から根が飛びだしていた……なんてことも。 オリーブも、この根詰まり防止のため、植え替えを必要とします。
5-2、根詰まりのここがダメ
なぜ、根詰まりは植物にとって良くないのでしょうか。 理由はたくさんあります。ひとつは、根が詰まると株自体がそれ以上大きくならなくなってしまうこと。植物が大きくなるためには、根の生長も欠かせません。 「これ以上大きくしたくないから、大きな鉢には植え替えたくない」といって、放置するのは良くありません。根詰まりを起こすと、通気性・水はけが悪くなり、けっきょくは株全体の元気が失われてしまいます。栄養も充分に補給できなくなるのです。
5-3、植え替え前の準備
1~2年に1度は、植え替えをするのが理想的です。 「鉢植えにしているオリーブの元気がない……」と思ったら、1度掘り返して、根詰まりしていないか確認しましょう! 土の表面を少し掘り返しただけで根が見えるようであれば、根詰まりの疑いが特に深くなります。 新しい鉢は、ひとまわり大きく、鉢底に穴が空いている水はけのよいものを用意してください。 土も新しいものを用意します。
5-4、植え替えの手順
少しずつ手で掘ると根を傷つけやすく、時間もかかります。鉢植えごとひっくり返し、スポッと抜いてしまうのがおすすめ。土が乾いているときに行うことで、古い土がパラパラと落ちていってくれます。 根は細くなっていると、元気のない証拠。根が白っぽく、太い状態が理想です。 多少根が切れても枯れないので、土をガジガシと強めに落とします。 古い土が落ちたら、いよいよ新しい鉢へのお引っ越しです。 鉢底石を忘れずに敷き、鉢に対して4割程度の土を入れてから、抜き取った株を植え付けましょう。鉢の縁数センチを残すくらいまで、土を入れます。 植え付け後は木がぐらつきやすいので、棒や指で押し込み、中の空気を抜きます。 支柱を立て、ひもで数カ所を結び、固定しましょう。
育て方6.挿し木
6ー1、オリーブは挿し木で増やせる
挿し木とは、植物の枝の一部を切りとり、切り口から発根させる増やし方です。 オリーブを増やすなら、新しい株を買ってくる前に、挿し木に挑戦してみるのはいかがでしょうか? うまくいけば、費用も抑えられます! ただし、挿し木は成木に育てるまでの時間がかかります。 苗を購入してきた方が、大きな木に育つまでの時間はかかりません。 ちなみに、収穫した果実からでも増やすことができます。 この方法は、つぎ木台づくりに向いています。
6-2、挿し木の手順
太木挿し木と、細木挿し木が可能です。 太木挿し木の場合、その名の通り太い木を使います。 直径3センチ以上の枝を用意しましょう。 長さ30センチくらいの場所で切りとり、3月に露地へ挿します。 細木挿し木の場合、若い枝を選んで使います。1年目のものが望ましいです。 10センチくらい切り取り、3~4月か7~8月に挿し床へ立ててください。 3月であれば、剪定に使った枝を再利用できるのでおすすめ。 発根してきたら成功です! 地植えなら庭に、鉢植えならひとまわり大きな鉢を用意し、挿し木で作った苗を植え付けましょう。
育て方7.収穫
混植が必要
オリーブは自家受粉できる種類が少ない植物。 実をつけさせるには、複数種を植えておく必要があります。 花粉は虫か、風が運んでくれます。 受粉させやすくするためには、複数種を近くに植えておきましょう。また、花が咲いている時期を合わせることも必要です。
室内で実をつけさせるには
室内でオリーブを育てている場合、実をつけさせるのは困難だと思った方が良いでしょう。 オリーブは一定の寒さに数日間さらされないと、実をつけない性質があります。 つまり、暖房の効いたリビングにずっと置いておくと、収穫は望めないのです。 また、虫や風で受粉させるのも、室内では難しくなります。 もし室内でオリーブの実を収穫したいなら、 ・暖房の効かない場所に置く ・別の品種を同時に育て、人工的に受粉させる この2つの対策が考えられます。
育て方8.消毒
害虫対策をしよう
6月から9月にかけて、ハマキムシが発生することも。 あらかじめ薬剤を散布し、防虫すると良いでしょう。 白斑病、炭素病、オリーブアナアキゾウムシといった害を受けることもあります。 見つけ次第、駆除してください。
オリーブの育て方を押さえて、元気に成長させよう!
オリーブ栽培に挑戦しよう
いかがでしたか? オリーブは、玄関先やリビングに置く室内用の観葉植物としても大活躍します。 地植えにして、本格的な果実の活用に挑戦してみるのもあり! 育て方を押さえて、オリーブを栽培してみてください!