まりもは北海道のお土産の定番商品!
小さなガラス瓶などの容器に入った「まりも」は、古くから北海道のロングセラーなお土産として知られています。2個入りで値段が1,000円前後で販売されているまりもは、多くはサイズが1~2センチメートルほどです。
これらはすべてお土産用として、糸状の藻や人工繊維を丸めた"人工まりも"となり、天然まりもではありません。しかしインテリアにしてもまりもは可愛いので、ぜひまりものあれこれについてチェックしておきましょう。
そもそも「まりも」とはどんな生き物?
まりもの生態
まりもの漢字は「毬藻」と書くように、湖底に生えている糸のような形の藻が水流などによってコロコロと転がり、自然に毬のように大きくなったものを指します。
この糸状の藻はすべてが毬のように丸くなるわけではなく、綿のような状態で湖底の石や岩などで着生するものです。糸状の藻は日本各地で観られますが、美しい球体の「まりも」は北海道の阿寒湖が古くから有名で、1952年に国の特別天然記念物に指定されています。
アイヌ民族は「トーラサンペ」と呼んでいた
阿寒湖でのまりもの発見は植物学者によってといわれていますが、長く阿寒湖周辺に住んでいたアイヌ民族は元々まりもの存在は知っていたそうです。
現在まりもは減少したため天然記念物として保護されていますが、かつては湖に浮かんだり湖岸に大量に打ち上げられたりなど、阿寒湖には大量に生息していました。しかし食糧にならないまりもはアイヌ民族にとって価値のないものとして考えられ、「トーラサンペ(湖の化け物)」と呼ばていたのです。
北海道の阿寒湖以外にもまりもはある!
阿寒湖のまりもが有名になのは、最も早い明治時代の1897年に植物学者の川上瀧彌が"発見"し、学術的に確認されたからといわれています。
しかしまりもは北海道の阿寒湖でしか発見されていないわけではなく、1950年代以降に本州各地の湖でも確認されています。例えば1956年の富士五湖を始め、琵琶湖や東北地方・北陸地方などでも発見されているのです。
世界のまりも
まりもは北海道の阿寒湖を始めとする日本だけではなく、北半球の北アメリカやヨーロッパ北部、ロシアなどでも生息していることが確認されています。近年の研究では、これらのまりもの起源はすべて日本の湖にあるとされ、渡り鳥によって運ばれた可能性が高いそうです。
日本のどこの湖であるかという点については古くにできた阿寒湖が有力のようですが、実際にはっきりしたことは解明されていません。
"本物"のまりもと"偽物"のまりもとは?
そもそも天然記念物のまりもは流通していない
阿寒湖のまりもは国の天然記念物のため、お土産用には一切販売されていません。お土産用のまりもは人工的に作られているもので、糸状の藻を丸めたもの、または養殖したものとなります。
多くのお土産まりもは、釧路湿原国立公園内のシラルトロ湖で採った糸状の藻を人工的に丸めたものですが、乱獲されて絶滅しかかっているともいわれています。養殖まりもは、札幌の製造販売業者によって十数年かけて開発されたそうです。
偽物のまりもは人工繊維を丸めたもの
まりもは自然に糸状の藻が毬の状態になったものを指しますが、糸状の藻を人工的に丸めたまりもは、必ずしもまったくの偽物とはいえません。自然な"毬"ではありませんが、毬になる前の糸状の藻であることは間違いがないからです。
しかしこれらの藻も枯渇気味のため、採取が厳しくなっています。偽物のまりもとは、細いアクリル繊維などのフェイク素材で作られた商品のことを指しているそうです。
北海道以外のまりものお土産の正体
まりものお土産は北海道の阿寒湖周辺だけではなく、富士五湖周辺のお土産物店でも販売されています。しかしこちらのまりもは富士五湖に生息している「フジマリモ」ではなく、やはりシラルトロ湖の糸状の藻を丸めたものをお土産用に販売しているのです。
また、インターネットやお土産物店で見かける「天然まりも」はロシアなどから輸入されたお土産用まりもとなり、国内の天然まりもではありません。
"本物"のまりもと"偽物"のまりもの見分け方
見分け方①まりもに触れてみる
本物のまりもと偽物のまりもの見分け方を簡単にいうと、「まりもに触れてみる」のが一番です。容器に入っているまりもを取り出し、藻なのか化学繊維なのかを確認してみるとよいでしょう。
他の見分け方で「サイズの変化」を上げる人もいますが、まりもとして成長する条件は藻がある水底です。天然まりもは湖底に藻があることでサイズが大きくなりますが、お土産まりもは養分を与えない限り、原則的にあり得ない見分け方といえます。
見分け方②まりもの一部を取り出す
本物の糸状の藻で人工的に丸めたまりもは、れっきとした正真正銘の植物です。そこで、まりもの一部をピンセットなどで抜いてお皿などに放置しておいてください。
本物のまりも(糸状の藻)であれば、しばらくすると水分が失われたために茶色く枯れてしまうことでしょう。しかしアクリルなどの化学繊維で作られた偽物のまりもは、数日が経っても枯れることなく青々としたままです。
お土産まりもの上手な育て方
条件が揃えば長期間観賞できる
マリモ
天然まりもの寿命は状態がよいと数百年とされ、阿寒湖で最古のものは300年のものがあります。植物であるまりもの生育には日差しやきれいな水質が必須ですが、お土産まりもも環境を整えることで長く観賞できるのです。
基本的にお土産まりもは大きく育つことはありませんが、難しい栽培方法もありません。インテリアにすると素敵なので大切に育ててみてください。
お土産まりもの栽培適温
天然まりもは水温の低い湖底にあることから、お土産まりもも高温を避けた場所で管理してください。お土産まりもの栽培適温は15℃~20℃とされていますが、直射日光を避けてレースカーテン越しに置くとよいでしょう。
日差しが強くなる夏や気温が低くなる冬はお土産まりもを窓際から移動させ、15℃~20℃くらいになる部屋で管理するとよいそうです。
お土産まりもは水道水で育つ
天然まりもは阿寒湖などの水質のよい場所で生育していることからもわかるように、糸状の藻で人工的に作ったお土産まりもも水質の管理には気を付けてください。しかしお土産まりもは水道水でも育つため、水替えをする以外の特別な難しいことはありません。
お土産まりもの水替えのタイミングは、夏は1週間に1度、冬は1ヶ月に1度でよいでしょう。しかし水が濁ってきた場合はお土産まりもの危険サインのため、早めに替えてください。
お土産まりもの水替えの方法
水替えの方法は特別なことはなく、ボウルに入れたザルなどに丁寧に移し替えてください。または割りばしなどを使い、容器に入っている小石や水草などと共に取り出してお皿などに置きます。
まりもも優しく水洗いし、茶色く枯れた部分はピンセットなどで取りのぞいてください。再び容器に水を入れてからまりもを戻して完了です。
お土産まりもを大きくしたいとき
マリモ
お土産まりもは基本的に育つことはありませんが、市販のお土産まりもは専用の肥料を与えることでサイズを少し大きくすることも可能です。インターネットなどで「マリモのごはん」などの名前で販売されており、説明書通りに施肥して育ててみるのも楽しそうです。
北海道のお土産まりもでお部屋を飾ろう!
お土産用まりもは3種類あり、糸状の藻を人工的に丸めたもの・養殖したもの・アクリルなどの化学繊維を丸めたものとなります。お土産店などで糸状の藻を丸めたものや養殖まりもの、値段が手ごろなものが入手できればぜひ大切に育ててください。
お土産まりもの栽培適温は15℃~20℃となり、水質は水道水でもよいので適宜交換します。この2点に気を付けることで、お土産まりもが素敵なインテリアになることでしょう。
水草が気になる人はこちらをチェック!
まりものように水中で生息する植物が気になる人は、"水草"を栽培してみませんか。まりもと同じように小さなサイズですが、それだけ愛おしく感じられるかもしれません。きっと、お部屋のインテリアやガーデニングに奥行きをもたらしてくれることでしょう。
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出典:photo-ac.com