京都嵐山の天龍寺とは?
天龍寺は世界遺産に登録されている京都を代表する寺院
天龍寺は世界遺産に登録されている京都を代表する寺院の一つで、嵐山観光の名所「渡月橋」のすぐそばに位置し交通アクセスも抜群です。
春には桜とツツジ、夏の新緑や秋の紅葉、冬の雪景色など四季を通じて風情があり見どころ満載の寺院で、特に庭園内の紅葉は見事でシーズンには多くの観光客でにぎわいます。(当記事は2021年10月1日の情報をもとに制作しております)
天龍寺は京都五山第一位の格式ある禅寺
天龍寺は臨済宗天龍寺派の大本山で、京都五山「天龍寺、南禅寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺」の中でも第一位の寺格を持つ由緒ある寺院です。
境内には日本最初の史跡・特別名勝に指定され「曹源池庭園(そうげんちていえん)」を始め、庫裏(くり)や法塔(はっとう)、大方丈に小方丈(書院)、多宝殿など禅寺ならではの伽藍様式の建物と庭園に静寂と清々しさが広がっています。
「曹源池庭園」の借景
亀山と嵐山の森の木々を借景(背景にある山や森の景色を借りる庭園技法)にした曹源池庭園の壮大な景色は悠久の時を超え、特に秋の紅葉は絶景です。
このように歴史と格式の重みがあり見どころ満載の天龍寺の魅力、紅葉の見頃の時期や、見どころスポットなどを詳しく紹介します。ちなみに天龍寺の住所「右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町」と住所に名称が入る京都を代表する寺院です。
天龍寺の歴史
天龍寺は足利尊氏が創建した寺院
天龍寺は室町幕府を開いた足利尊氏(あしかがたかうじ)が、後醍醐天皇の菩提を弔うため暦応2年(1339)に創建した寺院です。前身は亀山天皇(在位1259年 〜 1274年)が離宮としていた「亀山殿」で、それを寺院に改めたのが天龍寺です。
後醍醐天皇は建武の新政(けんむのしんせい)に反旗をひるがえした足利尊氏に討伐の命まで下した、いわば仇なのに崩御に際し菩提を弔うため天龍寺を創建したのには訳があります。
天龍寺の開祖「夢窓疎石」の強い進言
夢窓疎石(むそう そせき)は鎌倉時代の末期から室町時代の初期にかけての臨済宗(禅宗)の僧侶・作庭家・歌人です。夢窓疎石は後醍醐天皇に才覚を見出され、多くの僧や人々に支持を受け足利尊氏も崇敬していました。
その夢窓疎石が後醍醐天皇の崩御に際し天龍寺の建立を足利尊氏に強く進言したのが経緯です。それゆえ天龍寺の創建は足利尊氏、初代住職をつとめた夢窓疎石が開祖と言われています。
「曹源池」の名前の由来
天龍寺の庭園にある名所「曹源池(そうげんち)」の名前の由来は、夢窓疎石が庭を作っているときに泥の中から「曹源一滴(そうげんのいってきすい)」と書かれた石碑が出てきたことに由来しています。
「曹源一滴」は禅の教えで「一滴の水もおろそかにしてはいけない」一滴の水が集まり大河となり、海へと繋がり命の水となるという意味です。このような歴史や教えを踏まえながら見る天龍寺の紅葉や景色は感慨深いものがあります。
天龍寺の紅葉の時期と鑑賞の仕方
天龍寺の紅葉の見ごろは11月中旬〜12月初旬
天龍寺の木々の紅葉は10月から徐々に色づき始め、11月中旬〜12月初旬に見ごろを迎えます。京都は四方を山に囲まれた盆地なので寒暖の差が激しく、紅葉の色合いが鮮やかなのです。鮮やかな真紅のカエデに黄色や褐色の紅葉の中に、常緑の緑が織りなす例えようがないグラデーションが、天龍寺境内のあちこちに展開されます。
おすすめの紅葉スポットと鑑賞の仕方
曹源池庭園から眺める紅葉は、借景の亀山や嵐山の紅葉とコラボし雄大です。庭を散策しながら紅葉を鑑賞するのもよし、方丈の軒下にある縁側に座って見ることもできます。
さらに方丈内の障子越しに見る紅葉は、紅葉を切り取った1枚の絵画ようで写真の撮影スポットとしてもおすすめです。さらに徒歩で奥に進むと傾斜に沿って紅葉のトンネルが続く散策コースがあり、多宝殿、望京の丘、百花苑と巡ることができます。
早朝の紅葉観賞がおすすめ
天龍寺の拝観時間は8:30〜17:00ですが紅葉シーズンは1時間早く7:30から拝観できるのが魅力です。天龍寺の紅葉は味わい深く上品な美しさがあります。その魅力を最も感じられるのが早朝です。
早朝の凛とした静けさの中で見る紅葉は、朝露に濡れしっとりとした鮮やかな色合いがなんとも言えない雰囲気をかもし出します。また混雑しない時間帯なのでゆっくりと紅葉を鑑賞できるのもメリットです。
天龍寺の紅葉と合わせて楽しむ見どころ5つ
天龍寺は世界遺産にも指定されている、京都を代表する歴史と風格がある寺院です。紅葉や景色を見るだけではもったないような見どころがたくさんあります。紅葉と合わせて楽しめる見どころや、写真撮影スポットなども合わせて5つ紹介しましょう。
①庫裏と達磨図
天龍寺の正面入り口を入った突き当たりにある、三角形をした大きな壁が特徴的な建物が「庫裏(くり)」で、ここで拝観の受付をします。庫裏とは寺院の伽藍の一つで本来は台所と寺務所の機能を持っているお堂です。三角形の白壁を縦横に茶色の装飾が走り曲線を帯びた屋根の外観に見応えがあります。
天龍寺のシンボル的な達磨図
庫裏の中に入るとまず目飛び込むのが正面の衝立(ついたて)に描かれた大胆な構図の達磨図(ダルマ図)です。インドから中国に渡って禅宗を伝え中国禅宗の開祖とされる達磨大師がモチーフになっています。眼光鋭い達磨大師の図で気を引き締めてから美しい紅葉や庭園を見てくださいというメッセージが込められているのかもしれません。
②曹源池庭園(そうげんちていえん)
曹源池庭園は大きな曹源池を廻るように作られた散策路で、天龍寺の中心的な庭園です。紅葉の見どころで紹介した部分と重なりますが、この庭園からの借景が素晴らしく紅葉の時期に限らず、夏の新緑の壮観な景色や静かな冬景色も見応えがあるので、ぜひ紅葉シーズン以外にも訪れて見てください。
天龍寺の開祖であり曹源池の作者とも言われる、初代住職の夢窓疎石(むそうそせき)の想いが感じられる曹源池庭園です。
③法堂(はっとう)の雲龍図
大方丈の奥にある法堂の天井に描かれた「雲龍図(うんりゅうず)」は天龍寺を訪れたなら必見の天井図です。「八方にらみの龍」と呼ばれ、どの位置から見ても龍がこちらを見ている不思議な絵で、直径9mの円内で躍動する龍の今にも飛び出してきそうな迫力に圧倒されます。
また竜の爪が5本あるのも珍しい雲龍図です。著名な日本画家・加山又造(かやままたぞう)画伯によって描かれ1997年(平成9年)に公開されました。
雲龍図は公開日に注意
春と夏、秋の特別参拝日以外は、土日祝日のみ観覧できるので公開日に注意してください。紅葉シーズンは秋の特別参拝日に当たるので、紅葉と合わせてぜひ鑑賞することをおすすめします。
雲龍図の写真撮影は禁止されているので、残念ながら写真を掲載できないので、ぜひ実物で味わってください。また大方丈の襖にも雲龍図が描かれており、こちらは毎日見ることができ写真撮影もOKなので雲龍図の片鱗を味わうことができます。
④季節によって様変わりする天龍寺
天龍寺は嵐山ならではの自然を、境内のさまざまな場所にちりばめている寺院です。紅葉に限らず四季折々に変化する天龍寺の景色は人の心を惹きつけてやみません。
春は枝垂れ桜など桜が咲き乱れ、夏は濃厚な緑と抜けるような青空でエネルギッシュな空間を演出し、秋は美しい紅葉、冬は京都の厳しい寒さと雪の風情も格別です。このように天龍寺は季節によって様変わりします。紅葉シーズンを逃しても四季を楽しめるのが天龍寺です。
⑤龍門亭内にある精進料理店「篩月」
グルメを楽しむのも観光の魅力です。天龍寺の境内の龍門亭内に「ミシュランガイド」で認定された精進料理店「篩月(しげつ)」があり、紅葉を見ながら絶品のグルメが楽しめます。
精進料理とは生き物の殺生を禁じた仏教の調理法で、動物性の食材を一切使用せず、お出汁も鰹を使わずに昆布出汁を使うほど徹底しています。ヘルシーなのに栄養バランスと栄養価が高く、肉食系の人でも満足できるのが不思議です。
天龍寺の紅葉と合わせて精進料理に舌鼓
天龍寺の紅葉や見どころを堪能した後に、絶品の精進料理に舌づつみを打ち最高の幸せと満足感を味わえます。
精進料理の最高峰と言われる胡麻豆腐を中心にしたメニューは雪3,300円、月5,500円、花8,000円となっていて、雪膳以外は2名以上で前日までに予約が必要です。紅葉と合わせてダイエットにもピッタリの絶品グルメを堪能して見ましょう。(予約は電話かHPの予約フォームから)
天龍寺周辺の観光スポット5選
天龍寺は京都観光の紅葉で最も人気が高く交通アクセスもよい嵐山(嵯峨野)に位置しています。また天龍寺周辺は、渡月橋をはじめとする観光名所がたくさん集まっているエリアです。天龍寺周辺の観光スポットを5選して紹介しますので、紅葉と合わせて巡ってみてはいかがでしょう。
①竹林の小径
天龍寺の北門を出ると、渡月橋の北側まで数万本にもおよぶ竹林が続いています。竹林を縫うように小径が整備されていて、紅葉の赤と対比するような青竹の緑一色のトンネルは、平安時代にタイムスリップしたように感じる不思議な世界です。
ゆっくりと徒歩で散策するのも素敵ですが、人力車で竹林の小径を巡るのも風情があります。人力車の車夫はこの周辺の観光情報や裏話をたくさん知っているので面白い話が聞けるかもしれません。
ライトアップも見もの
期間は例年12月の10日間ほどですが、渡月橋から竹林エリア一帯は「京都・嵐山花灯路(はなとうろ)」というライトアップイベントが開催されます。ライトアップされた竹林は、昼間とは一味違う幽玄の世界を演出し、散策路には生け花作品も並ぶのも見ものです。
またこの期間に合わせ周辺の神社仏閣では、特別拝観やライトアップが催されるので、時期を合わせて訪れるのをおすすめします。
②パワースポット「野宮神社」
野宮神社(ののみやじんじゃ)は前述の「竹林の小径」の散策ルート上にあるパワースポットで、縁結びや子宝・安産にご利益があり、源氏物語の謡曲「野宮」にも登場する歴史ある神社です。
境内の野宮大黒天のそばにある神石「お亀石」は、お祈りしながら頭を撫でると1年以内に願いが成就すると言われています。最近ではガイドブックでも紹介され、修学旅行生や若い女性たちで混み合うので、朝の早い時間がおすすめです。
③キモノフォレスト
キモノフォレストは京友禅を巻いた2mの高さのポールが約600本も林のように立ち並ぶ、京都のみやびを象徴する珍しいスポットです。写真映えがするので女性を中心に話題になっています。
アクセスも抜群によく、レトロな路面電車で人気の「嵐電(らんでん=京福電鉄)」嵐山駅構内にある「嵐山駅はんなり・ほっこりスクエア」の一角にあるスポットです。天龍寺のすぐそばなので、紅葉と合わせて立ち寄ってはいかがでしょう。
出入り自由で夜にはライトアップ
嵐山駅構内は出入り自由(無料)なので、スマホやカメラを片手に多くの人で賑わいます。また着物姿の若いカップルや女性客も多く、夜にはライトアップもされ昼とは一味違う世界をかもし出します。近くにはレンタル着物店もあるので利用するのも京都ならではの風情です。
また構内には「龍の愛宕池」という池があり、この池は愛宕山の伏流水で水に手をひたせば安らぎと幸せが訪れ、池の龍に祈れば願いが叶うと言われています。
④嵯峨野トロッコ列車
京都の観光名所「渡月橋」の下を流れる桂川に沿って渓谷を上っていくトロッコ列車は、嵯峨野の大自然と紅葉を満喫するのにぴったりの乗り物です。
桂川は渡月橋付近は大堰川(おおいがわ)、その上流を保津川と名前を変えて流れる川で、トロッコ列車はその川沿いに4つの駅があり、それぞれの駅間には見どころがたっぷりあります。JR山陰線が併走しているので行きはトロッコ列車で帰りはJRを利用する方も多いようです。
おすすめの乗り方
トロッコ列車にはさまざまなユニークな車両があります。木製椅子と裸電球だけのノスタルジックな車両や、窓ガラスのない風と光と景色を肌で感じられるオープン車両の「リッチ号」があり、好みで選んで乗ることができます。
紅葉のシーズンは人気が高くすぐ満席になるので前売り乗車券(全席指定席)の予約がおすすめです。またトロッコ保津峡駅で下車し、吊り橋を渡り徒歩でJR保津峡駅まで散策するのも渓谷と紅葉を満喫できます。
⑤渡月橋
渡月橋は京都嵐山観光の拠点になる場所(住所)にあり、近くには世界遺産の天龍寺を始め、竹林の小径や野宮神社、大河内山荘に百人一首にも詠まれた紅葉の名所「小倉山」にある常寂光寺(じょうじゃっこうじ)、桂川を登るトロッコ列車とスリル満点の保津川下りと数え上げたら切りがありません。
長さ155m、幅11mの木造の橋で、京都の歴史の深さと優雅さを感じさせる、まさに嵐山のシンボルと言えます。
渡月橋の歴史と名前の由来
渡月橋は承和年間(西暦834 〜 848)に僧道昌によって架橋されたのが始まりで、現在の橋は昭和9年(1934年)6月に建て替え完成したものです。名前の由来は、亀山上皇がこの橋の上から夜空の月を眺め「くまなき月の渡るに似る」と述べたことから「渡月橋」と名付けられたと伝えられています。
天龍寺の紅葉と観光めぐりで嵐山を満喫!
まとめ
天龍寺は世界遺産にも登録されている京都を代表する歴史と風格のある寺院で、紅葉の美しさは言うにおよばず、四季折々に変化する庭や伽藍(方丈や塔)の風情など見どころ満載です。また周辺には嵐山(嵯峨野)の観光名所や大自然を堪能できるスポットがたくさんあります。天龍寺の紅葉と合わせて嵐山の魅力を満喫してください。
天龍寺以外の観光スポットが気になる方はこちらをチェック!
当サイトでは京都観光に関する記事をたくさん掲載しております。天龍寺以外の紅葉の名所や、ほかの季節の見どころや観光スポットなどに興味がある方はぜひ参考にしてください。
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出典:photo-ac.com