副交感神経の活性化で得られる「ととのう」
話題の「ととのう」という現象は、血管の拡張と伸縮による副交感神経の活性化から得られる快感といえます。サウナ室では汗と共に毒素も排出されますが、水風呂と外気浴も行うことでさらにリフレッシュし、最終的にはリラックス状態になれるのです。
しかし入浴回数が多ければ健康によいわけではなく、目安として(サウナ5分+水風呂1分)×3セットが推奨されています。この他にサウナ初心者のための入り方などもご紹介します。(この記事は2021年9月13日時点の情報です)
サウナの発祥地は火山のないフィンランド
フィンランド発祥のサウナは漢字で「熱気浴」となり、文字どおり熱い気体を浴びることで健康増進を図るものです。温泉が豊富な火山大国の日本とは異なり、火山のないフィンランドでは豊かな森林と湖を使ってサウナが考えらえました。
古来フィンランドでは森林をサウナの燃料にし、湖畔にサウナ小屋を建てて熱い身体を湖でクールダウンし、肉体労働で疲れた心身をリラックスさせてきたのです。
日本にもサウナ的温泉はある
フィンランドのサウナとは少しニュアンスが違いますが、日本でも"蒸し風呂"文化が東北地方で観られます。秋田県の玉川温泉や御生掛温泉温泉などの一帯では、"箱蒸風呂"が有名です。
木箱から首だけを出して温まる仕組みとなっており、サウナの小型版とでもいえるのではないでしょうか。
サウナ初心者必見:効果的な入り方
サウナの入り方は初心者でも難しいわけではありません。「基本ルーティング」という表現があるように、サウナ室に入りっぱなしというわけではなく、冷水浴とサウナ室外での外気浴を交互に繰り返すことで、「ととのう」快感や様々な効果が期待できるのです。
しかしサウナ初心者だけではなく、銭湯や温泉同様に他人に不快感を与えないよう守るべき基本的なマナーとルールもあります。これらの点についてもご確認ください。
①「かけ湯」をする
日本におけるサウナの多くは温泉や銭湯などのお風呂に併設されている施設が基本的で、温泉天国である日本独自の素晴らしい文化といえます。サウナに入る前の基本マナーとして、必ず身体の汚れや汗を流してしてください。身体を洗わずにサウナ室に入るのは身体を洗わずに浴槽に入るのと同じことです。
身体を洗ったあとは、自分のためにも他の人のためにも必ず自分のタオルで身体を拭いてからサウナ室に入るのも基本となります。
汗が流れている実感を味わう
サウナ初心者にありがちなミスですが、身体を洗ったあとに水分を拭かずに入浴するとかけ湯の水分と汗の区別がつかず「汗が出ている!」という実感が湧きません。また濡れたままだと身体が冷やされ、汗が出にくくなることいわれています。
さらに身体が濡れたままだと水滴が腰掛マットなどについてしまい、他人に不快感を与えてしまうので初心者はくれぐれもご注意ください。
②サウナ室で座る場所を決める
多くのサウナ室は階段式になっており、高い場所は90℃くらいで、低いところは70~80℃ほどです。ストーブの前も強い熱気が感じられることでしょう。自分にとって居心地のよいベストポジションを探っておくことは、サウナ初心者にとって大切なポイントです。
サウナ初心者は、慣れないうちはいろいろな場所に座ってみることで好みの場所を見つけてください。もちろん先客がある場合は少し離れた場所に座りましょう。
横になってもOK
サウナ初心者は遠慮しがちですが、サウナ室が混んでいなければ横になるのもよいでしょう。サウナ室の温度は、腰かけている状態で足元は約70℃、腰の付近は80℃、顔の部分は90℃となります。
横になることで身体全体で受ける温度が約80℃となり、期待できる効果も一律となるからです。サウナ初心者でも気軽にベストポジションでお楽しみください。
③入浴時間を決める
サウナ室の温度は80~90℃に保たれており、長時間入り続けることは初心者だけではなく、すべての人にとって危険です。日本サウナ・スパ協会では入浴時間を8~12分を目安にしていますが、5分を推奨する医療関係者もいます。大抵のサウナ室には5分計と10分計の砂時計が設置してあるので、サウナ初心者は5分計の砂時計を用いて入浴してみましょう。
他の人が使用中のときは、残りの砂から大まかに目安時間を計ってください。
決して無理はしない
サウナ初心者は、やはりサウナの入浴時間は無理をしないで5分を目安に始めるのが基本です。サウナ初心者は、入室したときに息苦しく感じるかもしれません。念のために水で濡らしたタオルを口に当てて入るとよいでしょう。
もちろん5分もいられそうにないときは1分でも構いません。初心者は自分のペースに合わせて少しずつ慣らしていけばよいのです。初心者に関係なくサウナは決して無理をしないのが鉄則となります。
④水風呂でクールダウンする
サウナ室で身体を温めたあとは水風呂でクールダウンします。やはりサウナ初心者が起こしがちなミスですが、入り方の大切な基本的マナーとして必ず汗を流してから入るようにしましょう。汗を流さずに入るのはマナー違反となります。
サウナ初心者に限らず、20℃ほどの水風呂の入り方は、桶に入れた水やシャワーで手足の先端・脚・腰・肩の順番で水をかけていきます。水の冷たさに慣れたら肩まで入り、1分間浸かるのがベストです。
水風呂に入る前にぬるめのお湯もおすすめ
サウナ室から出たあとは水風呂に入りますが、サウナ初心者にはハードルが少し高いかもしれません。施設によりますが、温泉や銭湯のような施設には40℃以下のぬるめの浴槽もあります。
サウナ初心者で心配な人は無理をせず、水風呂の前にぬるめのお湯で身体温度を慣らしておくとよいでしょう。
水風呂の冷たさを感じない"羽衣"
初心者でも水風呂に入ると、初めは冷たかった水温が嘘のように感じられなくなります。この現象は「羽衣」と呼ばれており、水温に慣れれてくると心地よくなり「ととのう」ための第一段階に突入するのです。サウナで拡張した血管が水風呂で収縮し、副交感神経の働きが活発になります。
そうすると身体的パフォーマンスを向上させるアドレナリンの分泌量が増すといわれています。結果、気分が高揚してリフレッシュできるのです。
水風呂の入浴時間は1分以内
しかしサウナ初心者に限らず長時間の水風呂の入浴は心臓への負担が大きくなるため、必ず1分以内にとどめるようにしてください。
サウナ初心者だけではなくすべての人は、「羽衣」をまとったような感覚は長続きしません。心地よい感覚はほんの一瞬のため貴重な体験といわれるのです。サウナ初心者はこの感覚をしっかり覚えておくことで、サウナ道への明るい道が開けることでしょう。
⑤外気浴でクールダウンし「ととのう」
水風呂のあとは再びサウナに入りますが、その前にサウナの外に置いてあるイスなどに腰かけて"外気浴"をしてください。水で冷やされた身体が温度を上げようとし、少しずつ血管が膨張し始めます。
このときも全身の血液が入れ替わったかのような感覚がし、初心者も最高の気持ちよさを実感できることでしょう。この現象がサウナ愛好者たちがいう「ととのう」なのです。時間の目安は個人差がありますが、1~2分程度でよいでしょう。
「ととのう」瞬間は人それぞれ
外気浴によって「ととのう」と紹介しましたが、初心者に限らず実は「ととのう」瞬間は人それぞれです。サウナから水風呂に入ったときに最高に「ととのう」と感じる人もいますし、水風呂からサウナに入ったときが最高の「ととのう」瞬間と感じる人もいます。
最高に気持ちよいと感じる瞬間はその人の体調や"ツボ"みたいな感覚で異なるため、サウナ初心者は焦らずに来るべき「ととのう」瞬間をじっくり待ちましょう。
⑥水分補給する
水風呂から出たあとは外気浴をしますが、サウナ初心者に限らずそのタイミングで水分補給も必ずしてください。温度の高いサウナに入浴したことで体内の水分やミネラル成分が失われ、過剰な入浴は熱中症や慢性疲労の原因になりやすいのです。
初心者だけではなくサウナを利用するすべての人は、サウナに気持ちよく入り続けるために水分補給は忘れずに行いましょう。
①~⑥を繰り返す
サウナ入浴・水風呂・外気浴までが1セットとなり、これを3回続けることで初心者も気分がリフレッシュしたり、疲れが取れたりなどの健康効果が期待できます。血管の膨張と収縮を数度繰り返すことでようやく「ととのう」瞬間を感じる人もいます。
しかしどの瞬間が最高に感じるかは人それぞれのため、サウナ初心者は決して無理をせず、「ほどほどにリラックスできた」と思うところで止めておくのもサウナを長く続けるコツです。
サウナ入浴ができない健康状態
サウナでは「ととのう」という最高の瞬間を体験できますが、いくつかの禁忌もあるため初心者に限らず、体調を常に確認してから入浴してください。真っ先に挙げられるのは「飲酒」後の入浴です。サウナと飲酒は血圧をダブルで低下させるリスクが指摘されており、非常に危険といわれています。
高血圧者の長時間高温浴、糖尿病や脳卒中などの生活習慣病者の温冷交代浴も危険です。その場合は温泉でリラックスするようにしましょう。
サウナ初心者必見:サウナの種類
①ドライサウナ
ドライサウナは温度が80~90℃と高い反面、湿度が10~15%という、日本でも温泉や銭湯などにある一般的タイプのサウナです。サウナに慣れていない初心者にとっては熱気が強く感じられるため、顔を濡れたタオルで覆って入ることで緩和されます。
初心者は入浴直後に強烈な暑さを感じますが、体調に影響がないようであれば、少し我慢すると次第に毛穴が開いて汗が老廃物と共にじっとり流れ出るのが実感できることでしょう。
②ウェットサウナ
ウェットサウナにはいくつかのタイプがあり、導入する銭湯や温泉も数多くあります。一般的なドライサウナは熱気が強いため、サウナ初心者はウェットサウナから少しずつ慣らしていくのもよいでしょう。暑さが苦手なサウナ初心者は決して無理をしないのが鉄則です。
フィンランド式サウナ
フィンランド式のウェットサウナは本場フィンランドのスタイルを導入したもので、43~48℃ほどの高めの温度でありながら湿度が90~100%とされています。そのためサウナ初心者にも入りやすいタイプといえそうです。
しかし湿度の基準は国によって変わり、北米サウナ協会の基準では65~90℃、日本は70~100℃です。日本のほうが湿度が高いため、サウナ初心者はより安心して入浴できるのではないでしょうか。
ミストサウナ
ミストサウナは文字どおり、水蒸気や霧で充満させることで湿度を80~100%に維持しています。スチームサウナとも呼ばれており、ドライサウナに比べると熱気が強くないため長めに入浴できることから、サウナ初心者にもおすすめです。
蒸気で肌がしっとりし、初心者でもつやつやの肌触りを期待できます。ドライサウナとの違いにサウナ初心者は驚くかもしれません。じんわり効きそうな薬草を用いたサウナもミストサウナの一種です。
塩サウナ
塩サウナは、サウナ内に設置されている塩を各自で皮膚に塗りながら入浴することで発汗効果が高まり、美肌効果が期待できるといわれています。温度は50℃ほどと低く、サウナ初心者も安心して入浴できるタイプのサウナです。
全国的に人気が出たのは1990年代末頃で、サウナ初心者の入門編としても注目され、朝の情報番組でタレントが紹介するなど一時はブームになりました。
スモークサウナ
スモークサウナは、煙突を設けていない薪ストーブを設置することで、室内温度を高めると同時に煙を充満させるという特徴があります。いぶされた木の香りが利点ともされており、本場フィンランドではサウナ中のサウナともいわれているそうです。
扉を開けて煙を外に逃がし、ストーブに水をかけて蒸気を発生させて室内温度を高くする仕組みです。日本ではあまり見かけないタイプのサウナで、長野県小海町が日本初といわれています。
サウナ初心者必見:サウナイベント
サウナには、基本的に自分で行う「ロウリュ」の他に、サウナスタッフが行う「アウフグース」と、本場フィンランドでお馴染みの「ウィスキング」という3つの"イベント"があります。
初心者もイベントの知識を持っておくと、よりサウナを楽しめるのでチェックしておきましょう。
ロウリュ
ロウリュとは、最近は温泉や銭湯でも見かけることが多くなった「サウナストーン」にヒシャクで水を掛けるイベントです。熱い石に水を掛けることで瞬時に蒸発し、サウナ室内の温度が高められる仕組みです。
サウナストーンの近くに座った人は、自然にロウリュを行うことが多くなります。ロウリュは誰でも行えるのでサウナ初心者も遠慮せず挑戦してみてください。石の上を水が玉のようにはじける様子も面白く、初心者必見といえます。
アウフグース
アウフグースは、サウナ室でタオルを振り回すことで熱をかく拌し、室内温度を一定に保つことを目的にしたイベントです。手動のサーキュレーターのようなものといえます。
このイベントは利用者ではなく、一部施設の「熱波師」と呼ばれるスタッフによって行われますが、アウフグースが終わると拍手喝采になることもあり、エンターテインメント的なニュアンスも持っているようです。初心者も盛大に拍手をしてください。
ウィスキング
ウィスキングは、「ヴィヒタ」と呼ばれる葉が付いているシラカバの枝を束ねたもので身体を叩くイベントです。血行促進効果や、シラカバが発する芳香によってリラックス効果も期待できるといわれています。
日本ではほとんど見かけないイベントですが、本場のフィンランドを始め海外では人気です。サウナ初心者も海外のサウナを入浴する機会があれば、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
サウナ初心者必見:サウナグッズ
①タオル3枚
サウナ初心者に限らずあると便利な持ち物は、タオル3枚と飲料水です。タオルは身体を拭く用に1枚、サウナで熱気から頭部や顔を守る用に1枚、お尻に敷く用に1枚となります。
サウナ室にはオレンジ色の大判タオルが敷かれてありますが、衛生面で気になる人がお尻用のタオルがあるとよいでしょう。タオルは常に携帯し、サウナ室などの場所取りに使わないようにしてください。
水分補給の飲料水
サウナ初心者は、水分補給のためにペットボトル1本程度があると便利です。施設によっては飲み水が用意されてあるところもあるので必要ないかもしれませんが、銭湯や温泉ではペットボトルを持参する人も多く、こまめに水分補給をしています。
サウナ初心者はさりげなく、常連さんなどの持ち物や何をのんでいるのか飲料水のタイプなどもチェックしておくとよいでしょう。
②お尻マット
お尻マットはタオルがあれば不要ですが、サウナ上級者は折り畳み用のクッションマットを持参する人もいます。
サウナ初心者は、初めは必要ありませんがお尻マットも含めて常連さんなどの持ち物をさりげなくチェックし、自分によいアイデアがあれば次回以降の参考にするのもおすすめです。
③サウナ用帽子
サウナ用帽子は頭皮を強い熱から守ってくれる、サウナ初心者にも人気の最近注目のグッズです。100%ウール素材のフェルト製でいろいろな形がありますが、とんがり帽子がムーミンに出てくるフィンランドの妖精のようで人気があります。
水に弱いなどのデメリットもありますが、ひとつあるとサウナ初心者のモチベーションを高めてくれるかもしれません。
サウナで話題の「ととのう」を体験しよう!
サウナの上手な入り方は、初心者に限らず入浴時間を守ることと水分補給、そして無理をしないことといえます。目安の入浴時間は初心者を始め全員が(サウナ5分×水風呂1分×外気浴1分)×3セットとされており、合間にミネラル分を含んだ水分補給も大切です。
持ち物は飲料水の他にタオル3枚、お尻マットやサウナ帽子もあるとモチベーションアップになるかもしれません。マナーとルールも守り、サウナでリラックスしましょう。
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サウナの入り方をチェックしたあとは、実際にサウナに入りに行きましょう。東京では観光の合間にも便利な新宿や上野周辺に人気のサウナがあります。京都にも駅周辺に有名なサウナがあるのでぜひご参考にしてください。
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