じゃがいもは栄養のかたまり!
じゃがいもはナス科ナス属の野菜です。芋として食べられている部分は実は茎に相当し、根ではありません。おとなからもこどもからも人気のある野菜ですが、「でんぷんばかりで栄養がない」と思っている人も多いのではないでしょうか。
じゃがいもにはでんぷん以外にも栄養成分が豊富に含まれており、健康作りに取り入れたい野菜の一つです。
じゃがいもの栄養成分と働き・特徴
私たちが野菜や肉など食べ物からとる栄養成分は3つの要素にわけられます。1つ目の要素は炭水化物や脂質で「エネルギーになるもの」を指し、いわゆるカロリーです。
2つ目の要素は「からだを作る」ものでたんぱく質や脂質、無機質(ミネラル)がこれに当たります。3つ目の要素はビタミンとミネラルで「からだの調子を整えるもの」です。この要素は体内で合成できないので食事からの摂取が必須となります。
栄養成分と働き・特徴①炭水化物
生のじゃがいも100gあたりに含まれる炭水化物は約17gです。「芋」というイメージが強いじゃがいもは炭水化物も多くカロリー(エネルギー)が多い野菜と思われがちですが実はそれほど高くありません。
たとえば、炭水化物の代表である白米と比較してみましょう。ご飯100gの炭水化物は36g。パンなら45gほどです。
栄養成分と働き・特徴②たんぱく質
「からだを作る」要素になるたんぱく質はじゃがいもにも含まれます。生のじゃがいも100gあたり、たんぱく質は1.8g。たんぱく質の推奨摂取量は1日当たり、男性60g、女性50gになっています。
じゃがいもに含まれるような植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べてエネルギー(カロリー)が低く、動物性たんぱく質ではどうしても一緒に摂ってしまう脂質を減らしやすいでしょう。
栄養成分と働き・特徴③脂質
脂質は栄養成分の3つの要素のなかで「エネルギーになるもの」「からだを作るもの」に属します。脂質は1gあたり9kcalと栄養成分の中で高く、ダイエットの敵ともされていますが、健やかな皮膚や細胞を保つのに重要で健康に欠かせない成分です。
生のじゃがいも100gに含まれる脂質は0.1gで、じゃがいもだけから必要な脂質を摂るのは困難でしょう。しかし加熱調理が多いため効率よく脂質をとれる野菜でもあります。
栄養成分と働き・特徴④食物繊維
炭水化物、たんぱく質、脂質は健康に重要な栄養成分です。さらに第4の要素・栄養成分として「食物繊維」が挙げられるようになりました。じゃがいもには100gあたり1.2gの食物繊維が含まれます。
これまで食物繊維はカロリーがなく、エネルギーが得られないので不要な物と扱われてきましたが、腸内環境を整えたり血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げたりと健康にうれしい効能が明らかになってきました。
じゃがいものビタミン【栄養の効果・効能】
前述した3つの要素(三大栄養素)以外にも健康に必要な栄養素はあります。ビタミンはその最たるもので、多くのビタミンは人体で自ら合成できません。
ビタミンは体のなかでさまざまな働きをする酵素を助ける役割を担う栄養です。炭水化物が多いじゃがいもですが、ビタミン類も豊富に含まれています。
栄養の効能と健康効果①ビタミンC
ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれ、コラーゲンの合成に関与していたり血管や歯、骨、皮膚を健やかに保つのに非常に重要な栄養成分です。レモンなどかんきつ類に多く含まれるイメージが強くあるかもしれませんが、実は野菜であるじゃがいもにも豊富に含まれています。
生のじゃがいも100gあたりに含まれるビタミンCは35mg。これはみかんと同等です。
熱に強いビタミンCはじゃがいもならでは
ビタミンCは加熱することで壊れやすいといわれています。そのため、ビタミンCを野菜から摂取するには生のままが効率的です。
加熱調理することが大半のじゃがいものビタミンCは壊れるのでしょうか。実は、じゃがいものビタミンCはほかの野菜のビタミンCより加熱に強いという特徴を持ちます。豊富な炭水化物(でんぷん質)に守られているため、じゃがいものビタミンCは加熱しても壊れず体の中にまで届けることが可能です。
栄養の効能と健康効果②ビタミンB群
ビタミンB群にはパントテン酸や葉酸、ビオチン、パントテン酸など8種類のビタミンが含まれ、いずれもエネルギー代謝に欠かせない栄養成分。じゃがいもにはビタミンB1、ビタミンB2が比較的豊富で、これらの栄養は脂質の代謝を助ける働きがあるといわれています。
お米やパンと比べカロリーが低く、美容に欠かせないビタミンCや脂質代謝を助けるビタミンB群が豊富なじゃがいもはまさに積極的に摂りたい野菜といえるでしょう。
じゃがいものミネラル【栄養の効果・効能】
ミネラルはビタミンと同じく健康に欠かせない微量栄養成分の総称です。ミネラルは無機質とも呼ばれ、補酵素としての働きを持つビタミンとは違いミネラル単独でも体に働きかけます。
日ごろ摂りすぎが気になる塩分(ナトリウム)もミネラルの一種で、栄養分ではありますがミネラルの過剰摂取は健康バランスを乱す恐れがあるため適切な量を毎日の食事から摂取することが大切です。
栄養の効能と健康効果①カリウム
カリウムはじゃがいも100gあたり410mg含まれます。カリウムが豊富なことで知られるバナナは360mgなので、それより多いのが特徴といえるでしょう。カリウムは体内のミネラルバランスを整える働きがあり、摂りすぎた塩分(ナトリウム)を外へ排出する働きがあります。
カリウムは高血圧やむくみなどの解消につながるといわれる栄養素です。筋肉の収縮にも関わるため、脚が頻繁に釣る人にもおすすめの栄養素といわれています。
栄養の効能と健康効果②クロロゲン酸
クロロゲン酸はポリフェノールの一種でコーヒーに多く含まれていることで有名でしょう。クロロゲン酸はじゃがいもの中の皮に多く含まれているため、皮ごとの調理がおすすめです。
クロロゲン酸をはじめとするポリフェノールは高い抗酸化作用があることで知られており、体の酸化(さび付き)を防ぐ効能が期待できます。ポリフェノールやカロテノイドは「第七の栄養素」などともよばれ、効能が明らかになりつつあるところです。
第七の栄養素「アントシアニン」が豊富な品種も
近年、馬鈴薯やメークインといった定番品種以外のじゃがいも品種が多く作出されるようになってきました。皮が赤や紫色をした品種も多く、アンデスレッドやレッドムーン、べにあかりなどが有名です。
これらの赤や紫色は「第七の栄養素」ポリフェノールによるものなので、ポリフェノールをじゃがいもから摂りたい人はこういった品種を選ぶのもよいでしょう。
有毒物質ソラニンについて気になった方はこちらもチェック
収穫から時間がたち、日に当たったじゃがいもの皮付近にはソラニンという有毒物質が作られることも。緑色になったじゃがいもは要注意です。食中毒の原因となるのでじゃがいも選びは慎重に行いましょう。じゃがいもの安全な食べ方について解説した記事はこちらです。

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栄養の効能と健康効果③鉄分
じゃがいものミネラルの中には鉄分も含まれます。100gのじゃがいもあたり0.4mgで野菜のなかでは豊富とはいえないものの、これまで紹介した栄養成分とともに鉄分も手軽に摂れるのはうれしいポイントといえるでしょう。
鉄分は全身に酸素を運ぶのに重要な働きをするミネラルでたんぱく質に重要な成分でもあります。
栄養成分参照元
ご紹介した栄養成分データは文部科学省が運営するデータベース「食品成分データベース」に公開されている値に基づいたものです。
じゃがいもの栄養を摂るおすすめ調理法
加熱調理でも壊れないビタミンCを持つのはじゃがいも大きな特徴です。加熱調理してもビタミンCが効率よく摂れるのはありがたい特徴でしょう。
ほかにも、前述したように皮に多く含まれる栄養成分などもあり、少し調理方法に気を配るだけでじゃがいもの効能を大きく引き出せます。おすすめの調理法についてチェックしてきましょう。
栄養が摂れる調理法①新じゃが子芋の甘辛みそ煮
材料
新じゃがいも (小):500g
味噌:大さじ1
砂糖:大さじ2
酒:大さじ1
みりん:大さじ1
醤油:小さじ1.5
だし汁:50cc
ごま油:小さじ0.5
サラダ油 (炒め用):適宜
新じゃがは皮が薄く食べても気にならないため皮ごとの調理がおすすめです。皮ごと食べればそこに含まれているクロロゲン酸やそのほかのポリフェノールも効率よく摂れます。
皮をむくのが面倒な子芋が大量に手に入った時もこのレシピなら包丁を使わず作れておすすめ。甘辛い味噌味で仕上げたり、バター醤油で薫り高く仕上げたりと味付けにもバリエーションが出せますよ。
詳しい作り方はクックパッドで
皮に包まれたじゃがいもに切れ目を入れずに調理するのがポイント。じゃがいもの中に詰まっているビタミンCやミネラル類、でんぷん質の流出が防げます。油でいためるようにして調理するため脂質は多めなレシピです。ダイエット中の人やカロリー制限のある方は食べすぎに注意しましょう。
栄養が摂れる調理法②じゃがいもの味噌汁
材料
だし:400cc
にんじん:1/3本
玉ねぎ:1個
じゃがいも:1個
白味噌:適量
ビタミンCは水溶性のためゆでると水に流れ出ていってしまいます。そんなじゃがいものビタミンCを効率よく摂るにはゆで汁ごと食べられる味噌汁がおすすめ。季節の野菜や冷蔵庫に少し余った食材などを入れて具沢山味噌汁にすれば栄養たっぷりの1杯が完成します。
詳しい作り方はクックパッドで
味噌にはほどよい塩分が含まれているため夏場の熱中症対策にも効能があります。塩分の過剰摂取が気になる人には出汁をきかせて味噌を減らしたり、あらかじめ塩分が少なくなっている減塩味噌がおすすめです。
市販の和風だしの顆粒や粉末は意外と塩分が多いため昆布やかつお節から摂るのが塩分を減らすポイント。お茶パックなどにあらかじめ詰めておけばいつでも簡単に味噌汁が作れますよ。
栄養が摂れる調理法③レンジでポテサラ
材料
じゃがいも:大2個
きゅうり:中1本
塩:少々
ハム:一袋
砂糖:小さじ1
マヨネーズ:大さじ1~お好みで
すし酢:小さじ1
じゃがいもの人気・定番料理といえばポテサラ(ポテトサラダ)ですね。じゃがいもをゆでたり蒸し器でふかしたりして作るより、電子レンジで加熱する方がビタミンCは多く残るといわれています。
耐熱性ボウルにじゃがいもをいれ、電子レンジで加熱すればあとは芋をつぶしてほかの材料と合わせるだけ。洗い物も少なく済みます。
詳しい作り方はクックパッドで
ポテトサラダを作るなら生パセリを刻んで混ぜるのもおすすめ。じゃがいもにあまり含まれていないβカロテンなどの要素をプラスできます。コクが欲しいときは練乳を隠し味に入れてみてもおいしいですよ。
ナッツ類を加えればコレステロールや中性脂肪を下げる効能があるといわれている不飽和脂肪酸を一緒に摂れます。
栄養が摂れる調理法④揚げないフライドポテト
材料
じゃがいも:2個
サラダ油:大さじ1
塩:適宜
胡椒:お好みで
フライドポテトはじゃがいも料理で常に人気上位の食べ方でしょう。しかし、じゃがいもを油で揚げるとそのカロリーは2倍以上になるといわれており、カロリーが気になる人にとっては食べすぎが気になるレシピでもあります。
調理に使用する油を減らし、オーブンでじっくり中まで火を通すことでサクサクした食感に。また、じっくり加熱することで甘みもまして少量でも満足度の高い味わいになりますよ。
詳しい作り方はクックパッドで
じゃがいもは大きめに切ることで油に触れる面積が少なくなりカロリーダウンにつながります。塩分(ナトリウム)の摂りすぎが気になる人は塩を見直してみましょう。
岩塩やにがり成分が多く残されている塩は塩分(ナトリウム)の割合が少なく、カリウムなどそのほかのミネラルもバランスよく摂れます。塩分の配合はパッケージの裏に記載されているのでチェックしてみましょう。
じゃがいもは栄養豊富でヘルシーな野菜!
じゃがいもはさまざまな要素を含む野菜です。健康にうれしい効能が期待できるビタミンCやカリウムが豊富なのも大きな特徴でしょう。炭水化物しかないと思われがちですがうまく調理すればこれらの栄養分も効率よく摂れます。
じゃがいもは油や塩分との相性がいいためついつい味の濃い料理にしてしまいがちですが、塩分やカロリーの過剰摂取に気を付けておいしくいただきましょう。
じゃがいもの栄養について気になった方はこちらもチェック
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