じゃがいもの芽は危険?
食べる時は取り除きましょう
じゃがいもの芽は食べていけない部位であるというのは有名な話ですが、どれほど危険なのかは意外に知られていません。また、芽だけでなく皮を食べる時にも注意が必要で、知らずに調理してしまうと思わぬ事故を招く可能性もあります。最悪の場合は死に至る場合もあるため、毒に対する対策や知識、さらには毒の致死量なども理解して安全に食べましょう!
芽は時として危険!
芽は食中毒を引き起こす危険な部位であり、誤って食べようものなら腹痛や頭痛に悩まされることになります。しかし、じゃがいもの下処理に関しては簡単で、誰でも簡単にできる方法があります。今回は危険性だけでなく下処理についても解説していきますので、じゃがいもを理解していろいろな料理を作りましょう!
じゃがいもの芽とは?
じゃがいもにある突起
じゃがいもに付いている白い突起が芽で、一か所だけでなく数か所から出てきます。色味は白いものが多いですが、成長段階によっては緑色のものや紫色になっているものも存在しています。芽が出る直前の部位に関しては、黒ずんだ突起にもなっており、調理する際は包丁などで芽を抉り取って除去する必要性があります。
芽が出たら成長する
市販のものに見られる芽は非常に小さいですが、自宅で長時間放置していると芽はどんどん成長していきます。最初は小ぶりな芽ですが、数週間後には数センチにも及ぶ芽に変異していることもあるので、購入後はなるべく早く調理することをおすすめします。特に日光に当たる場所や温度の高い場所では成長が早まるので、冷暗所で保管するか芽が出たらすぐ食べるようにしてください。
芽と根は別物
よく間違えられがちなのが「芽と根」についてです。芽は白や緑色の突起ですが、これを根だと思っている方も存在しています(根はひげ状)。じゃがいも本体は根っこではなく茎の一部に分類されており、そこから出る突起は根っこではなく「芽」となっています。つまり、じゃがいも本体から出ている突起は根ではないので、調理する時は注意を払いましょう。
じゃがいもの芽にある毒
ソラニンの毒
芽には「ソラニン」と呼ばれるものが含まれており、摂取してしまうと頭痛や腹痛の他、下痢や嘔吐などの症状が起こります。死に至る程の毒性ではないものの、小児などの場合は比較的少量の毒でも中毒症状が起こるといわれていますので、特に注意が必要です。軽い症状といえど、油断をしていると重症化するケースもあるので、じゃがいもを料理する時は気を付けるようにしてください。
ソラニン毒の特徴
毒の中には加熱すれば分解できるものもありますが、じゃがいもの毒は高温に耐性を持っています。高温で数分間加熱すれば毒の含有量が減ったという報告もありますが、全てを除去するのは難しいとも考えられます。また、水に溶ける性質もあるため、水にさらせばじゃがいもの毒をある程度除去できますので、調理する際は覚えておいてください。
芽の周りには毒が多い!
芽本体に毒があると思われがちですが、芽だけでなく周辺にも毒が多いということも覚えておいてください。特に青い(緑色)の部分に集中しているので、調理する際は深めに包丁やピーラーを入れるようにしましょう。表面を処理するだけでは有毒部位を十分に除去できないため、芽が出たら青い部分がないか注意深くチェックしましょう。
じゃがいもの芽の危険性
毒の致死量は?
中毒により死者が出たというケースも少なからず存在しており、摂取する量によっては死に至る可能性もあります。特に青い部分にはたくさん含まれており、たった一つでも致死量が含まれているというケースもあります。致死量に関しては人それぞれだともいえますが、致死量を知る以前にしっかりと調理する術を身に付けましょう!
体重が 50 kg の人の場合、ソラニンやチャコニンを 50 mg ( 0.05 g )摂取すると症状が出る可能性があり、 150 mg ~ 300 mg ( 0.15 g ~ 0.3 g )摂取すると死ぬ可能性がある。
集団食中毒も起こった
市販のじゃがいもよりも、家庭菜園や畑で収穫したものに多く含まれているという報告もあります。授業の一環でじゃがいもを育てて食べた児童数人が食中毒を起こしたという事例もあり、栽培する場合は、調理段階で特に注意を払う必要があります。また、子供はごく少量でも致死量に達したり中毒症状が起こるため、学校やグループなどで栽培する場合はこのことを理解した上で育ててください。
辛い時は注意!
毒が含まれている部位は少々辛い味をしており、じゃがいも本体の味が辛いと感じた時は処分するなどして対策が必要。味付けがあると辛いのに気が付きにくいですが、じゃがいもの味がおかしいと感じた時は食べないようにしましょう。また、じゃがいもの皮も辛いと感じることがありますので、食中毒防止のためにも下処理は入念に行いましょう!
じゃがいもの芽の対策①:保管
日光の当たらない場所で保管
植物にとって日光は大切な成長源ですが、保管する上では注意をしてください。芽に日光を当てていると成長が促進されますので、複数の箇所から芽が発生して除去の手間が増えてしまいます。また、芽が出たら周りの部分も有毒になりますので、芽が大きくなりすぎたものは調理せずに処分することも視野に入れてください。
冷蔵庫で保管
日光だけでなく温度が高い場所でも成長が早まるので、なるべく温度の低い場所でじゃがいもを保管するように心掛けてください。冬季は全体的に気温が低いので常温でも問題ありませんが、その他の季節はじゃがいもに適した温度でもあるため、放っておくとあっという間に芽がたくさん発生しているケースもあります。一方で、あまりに温度が低いと品質の低下にもつながるので、冷凍庫での保存には注意してください。
芽が出たらすぐ食べる
できれば芽が出る前に食べておきたいところですが、芽が出たら芽の成長が始まっている証拠なので、すぐに食べるように心掛けましょう。芽が出たらもう食べられないという訳ではないので、芽のサイズが大きくなる前に対処してください。また、たくさんの芽が出たらじゃがいも本体のハリも失われていくので、早く食べるのが対策の一つだといえます。
じゃがいもの芽の対策②:料理
包丁で処理
包丁で芽を除去するのが一般的な方法ですが、ただ芽を取るだけではいけません。先ほど説明したように、芽の周辺にも毒が含まれてますので、周辺までしっかりと除去しなければなりません。除去の方法としては、包丁の刃元を芽の根元にあてて抉る要領で除去してください。勿体ないかもしれませんが、少し大きめに取り除くのが好ましいので、通常よりも入念にじゃがいもを処理をしてください。
水にさらす
対策と直接的に関係しているわけではありませんが、切ったじゃがいもを水にさらすことでより安全に食べられます。表面の処理を終えた後に、調理したいサイズにカットしてたっぷりの水の中に約10分さらしておけば下処理ができますので、調理する前は必ずこの工程を入れてあげてください。処理に時間が掛かりますが、簡単な対策なので調理する際は必ずこの工程を挟みましょう。
じゃがいもの皮に毒はある?
皮にも毒がある
じゃがいもの芽とその周辺だけでなく、皮全体にも比較的少量ながらも毒は存在しています。皮つきポテトフライなどは香ばしくておいしいですが、自作する際は少々危険でもありますので、できれば冷凍ポテトなどを使うようにしてください。中でもまだ青い部分は要注意な部分なので、皮つきで調理する場合は必ず除去するように心掛けてください。
青い部分に注意
何度か説明したように、まだ青い箇所の他にも、緑色に変色している箇所には注意が必要で、調理を始める前にじゃがいもを確認をしてから取り掛かりましょう。芽に毒が含まれているというのは有名ですが、皮にも含まれていることは意外にも認知されていないので、しっかりと剥くようにしてください。大人と比べて子供は毒素の許容量が少ないので、特に小さなお子様が口にする場合はきれいに剥きましょう。
青い部分は辛い
先ほど説明したように、毒のある部分はその他の部位と比べて辛い傾向があります。緑色の部位を食べた場合は辛いと感じる可能性があり、大量に食べてしまうと食中毒を起こす可能性があります。安全だと考えられがちな皮ですが、時として危ないということも知っておいてください。
じゃがいもの皮の注意点
皮を剥いて食べるように
スーパーの総菜に皮つきポテトなどが販売されていますが、それらはしっかりと処理されているものなので、自宅で調理する場合と比べて安全です。しかし自宅では含まれている毒の量をチェックする方法などはなく、下処理による対策しかできませんので、総菜類と比較して安全性が不透明です。したがって、自宅で調理する時は極力皮を剥いた状態で調理することをおすすめします。
少し厚めに皮を剥くこと
じゃがいもの皮は「ただ剥けばいい」という訳ではありません。芽と同じように皮本体だけでなく、その周辺にも毒が含まれており、薄皮を剥くだけでは内側まで除去しきれないため、身を少し削ぐイメージで皮を剥くことをおすすめします。中でも緑色に変化している部位には注意が必要なので、その他の場所よりも深く剥くことをおすすめします。
じゃがいもの皮を安全に食べるには?
緑色のところはしっかりと剥くこと
皮つきで食べる場合は、危険な部位をしっかりと取り除いてから口にして下さい。緑色の部分を放置したまま食べるのはとても危険なので、皮つきで食べる時も横着をせずにしっかりと処理をしましょう。また、青い部分が多く見られる個体は危険性が高いため、皮つきで食べる場合は変色や芽の少ないものを選ぶようにしてください。
長めに加熱しよう
加熱に強い毒素ですが、約210℃の温度で揚げた場合に毒素の量が減ったという情報もあるため、入念に加熱することで毒素を減らせる可能性があります。じゃがいもを生で食べるということはなく、ほとんどの場合は加熱することになるので、調理する場合は少しだけ長く加熱するように心掛けましょう!
ジャガイモを210℃で10分間揚げた場合、α-ソラニンやα-チャコニンの濃度が有意に低減した。
まとめ
安全に食べよう!
芽や皮には毒が含まれていますが、適切な処置を行えば安全に食べられます。意外にも芽の持つ危険性や毒の致死量は意外にも知られていないので、他人と調理する時などは情報をシェアしながら料理をしましょう。毒があるからといっても恐れず、じゃがいもについて理解した上でおいしく食べていきましょう!
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