フェリーで旅行に行ってみよう
島国の日本では昔から船はメリットの大きい交通手段でした。今でもさまざまなフェリーが運航されています。航路の距離が片道100km以上、300km未満のフェリーを中距離フェリー、300km以上の航路を長距離フェリーと分けるのが一般的です。
長距離フェリー旅行では船内で宿泊でき、憧れの豪華客船旅行を体験できるとして人気があります。
長距離フェリー旅行のメリット
寝て起きたら旅行の目的地
関東、関西から北海道旅行、九州旅行は飛行機がメインですが、フェリー旅行なら寝ている間に目的地に到着できて、ホテル代と変わらぬ料金で船旅も楽しめるメリットがあります。いつもと違う旅行をしたい方にはフェリー旅行がおすすめです。
旅行先では自家用車でドライブ
船からそのまま車で出発できるのがフェリー旅行です。飛行機旅行ではレンタカーや鉄道などを利用しますが、子どもさん連の旅行では何かと気遣いがあって、親御さんも旅行そのものを楽しめなくなります。
マイカーでの旅行なら気楽ですし、旅行に慣れない子どもさんを安心させるよい手段です。
旅行中の船内で非日常の過ごし方を体験できる
フェリー船内に足を踏み入れ、高級ホテルのような豪華なエントランスに迎えられると旅行気分が高揚します。そして、テラスやデッキで時間を忘れて大海原の夕焼けや朝焼けを眺めて過ごせば、それはもう非日常です。
新造船の建造が進む長距離フェリー船
直近5年間の長距離フェリー界は新造船ラッシュです。2016年以降2021年8月までに合わせて13隻が就航しました。さらに2023年までに6隻が就航する予定で、大型化と個室の豪華さを競っています。
国内旅行におすすめの長距離フェリーをご紹介
長距離フェリーは単なる人と車の運搬手段ではなく、海上を旅行しながら船内で宿泊する「動くホテル」です。国内では9社が15の航路で運航しています。その全てが関東・東海・北陸・関西と、北海道・九州とを結ぶ航路です。
なお、料金割引として各社共通で往復割引、学生割引、身体障害者・知的障害者・精神障害者の割引があります。割引率は各社の公式サイトでご確認ください。
①【太平洋フェリー】長い乗船時間でのんびり太平洋旅行
名古屋～仙台～苫小牧
長距離フェリーで一番長い1,330kmの航路です。名古屋～仙台22時間、仙台～苫小牧15時間半を「いしかり」「きそ」「きたかみ」の3隻が結びますが、関東地方には寄港しません。個室のバリエーションが豊富な人気航路です。
豪華な船内はフェリー旅行初体験でも非日常を満喫できます。関東を素通りする航路ですが、わざわざ仙台や名古屋から乗船する関東からの旅行客が多いです。
太平洋フェリーのおすすめポイント
それぞれ関東沖と東北沖で水平線から昇る朝日を満喫できます。展望大浴場では、朝日や大海原眺めながらの入浴を楽しめて人気です。
バイキングの美味しい料理を満喫したら、ショーや映画を観て星空を眺め、ピアノ生演奏を楽しめます。乗船時間が長い旅行は、非日常を味わう上ではむしろ大きなメリットです。
太平洋フェリーのお得なプラン
朝食付き「クルーズパック」や、全食事付き「片道フルパック」などの食事付き旅行がおすすめです。また、マイカー旅行で仙台～名古屋を乗船するなら、お得な「マイカープラン」があります。
ほかに出発28日前まで最大50%OFFの早割割引、インターネット予約割引などもお得です。
②【商船三井フェリー】関東と北海道をつなぐ直行航路
大洗～苫小牧
数少ない関東発着便で、茨城県大洗と苫小牧間を18時間で結びます。就航船は翌日昼到着の夕方便が「さんふらわあ・ふらの」「さんふらわあ・さっぽろ」、当日夜着の深夜便が「さんふらわあ・だいせつ」「さんふらわあ・しれとこ」です。いずれも太平洋の日の出を楽しめます。
夕方便は個室が多く、深夜便で多いのは1名用カーテン付寝台です。バイキングレストランの営業は夕方便のみで、深夜便には自販機や売店があります。
商船三井フェリーのおすすめポイント
新造船「さんふらわあ・ふらの」「さんふらわあ・さっぽろ」の「スイート」「プレミアム」は室内冷蔵庫のドリンク飲み放題で全食事付きです。専用テラスにはイスがあり、いつでもテラスで潮風を浴びながら過ごせます。
全船にペットルームがありますが、夕方便にはペットと宿泊できる部屋が5室あり、ドッグランも用意されています。
商船三井フェリーのお得なプラン
夕方便の徒歩乗船客向けにメリットのある、各フェリーターミナルと東京駅や札幌駅間のバス料金が含まれた「パシフィック・ストーリー」や、水戸駅利用の「茨城マリンきっぷ」があります。
独自の割引は、満60歳以上のプラチナ割引と・インターネット予約割引です。
③【新日本海フェリー】日本海でのフェリー旅行
舞鶴・新潟～小樽、敦賀～苫小牧（直行便・経由便）
日本海４航路の船は、舞鶴～小樽（21時間）の「はまなす」「あかしあ」、新潟～小樽（16時間半）の「らべんだあ」「あざれあ」、敦賀～苫小牧東港（20時間）の「すずらん」「すいせん」、そして敦賀～新潟～秋田～苫小牧東港（31時間）「らいらっく」「ゆうかり」です。
日本海の夕焼けをフェリー旅行で楽しむために、関東方面から新潟で乗船する旅行客が多いとされています。
新日本海フェリーのおすすめポイント
全船ある専用テラス付きの「スイート」は人気があります。スイートの食事は無料で、専用グリルでのコース料理（ドリンクは別料金）です。季節変わりの和食、洋食のコースを味わえます。豪華客船風レストランがあるのは、新日本海フェリーだけです。
新日本海フェリーのお得なプラン
「ドライブパック」という往復の個室・マイカー料金に、ホテル料金とディナーがセットになったお得な人気プランがあります。
また、系列の東京九州フェリー、阪九フェリーとコラボした「日本一周マイカープラン」は、３社の航路の個室とマイカー料金、寄港地の系列ホテルでの宿泊と食事、船内で使える8,000円のクーポン付きでコスパの高いプランです。
④【オーシャン東九フェリー】関東と九州の旅行はこの船
東京～徳島～北九州（新門司）
関東（東京・有明ふ頭）から出港する長距離フェリーの一つです。関東と四国（徳島）を結ぶ長距離フェリーはこの航路だけです。
４隻の新造船は「びざん」「どうご」「しまんと」「りつりん」と四国名所の名が付けられています。「シンプルフェリー」として、個室も含め2等設定となりリーズナブルです。
オーシャン東九フェリーのおすすめポイント
個室はシンプル、寝台は階段式２段ベッドでプライバシーを守れます。レストランはなく、食事と飲み物は売店や自販機か持ち込みです。パブリックスペースは快適で、ゆったりリーズナブルな船旅を楽しめます。
オーシャン東九フェリーのお得なプラン
マイカー旅行での乗船なら同乗者１名も無料というメリットがあります。往復の復路割引や勤労学生割引などが独自割引です。なお、Web予約のクレジット決済なら乗用車１台2,000円、旅客１人1,000円割引でとなります。
⑤【東京九州フェリー】横須賀発の長距離フェリー
横須賀～新門司
2021年7月に開設された関東発着航路で、976kmを21時間で結びます。高速新造船２隻の名は、横須賀市の花「はまゆう」と北九州市の花「それいゆ」です。横須賀と新門司のどちらから出発しても太平洋の朝日を楽しめます。
東京九州フェリーのおすすめポイント
レストランの料理が安く美味しいと人気です。デッキでのバーベキューや豊富なご当地メニューを満喫できます。プラネタリウムや映画を楽しむスペースのほか、スポーツジムやカラオケ完備です。
また、ペットと一緒に泊まれる「ステート・ウィズペット」と、自由に遊べるドッグフィールドが用意されていて、ペット連れ旅行におすすめです。
東京九州フェリーのお得なプラン
同じグループ系列3社でのコラボ企画「日本一周マイカープラン」に参加しています（詳細は新日本海フェリーをご参照ください）。フェリー代とホテル代がセットの「ドライブパック」も設定されていてお得で人気です。
⑥【宮崎カーフェリー】希少な宮崎直行航路
神戸～宮崎
神戸と宮崎を12時間で繋ぐのは「みやざきエキスプレス」「こうべエキスプレス」の２隻です。2022年に新造船２隻が就航予定です。手軽な個室が多く、洋室シングルルームが10室あって1人旅の旅行客に人気があります。
宮崎カーフェリーのおすすめポイント
明るい船内にはきれいな個室が多く、特に「まいとりっぷルーム」は女性向けの設備（全身の姿見、加湿器など）が整った部屋で人気があります。船内のWi-Fiが1回１時間無料で使えて、1日２時間利用可能です。
宮崎カーフェリーのお得なプラン
神戸や宮崎のホテルとフェリー料金のセットなど、お得な人気プランがたくさんありますので、公式サイトでご確認ください。独自の割引は、季節割引やWeb割引のほか、該当する人のメリットが大きいシルバー割引やJAF会員割引などです。
⑦【フェリーさんふらわあ】南九州航路と瀬戸内海航路
大阪～志布志、神戸～大分、大阪～別府
大阪の南港から太平洋経由で鹿児島の志布志までを、2018年新造の「さんふらわあ・さつま」と「さんふらわあ・きりしま」が14時間40分で結んでいます。
瀬戸内海航路は神戸～大分を「さんふらわあ・ごーるど」「さんふらわあ・ぱーる」が12時間、大阪～別府を「さんふらわあ・あいぼり」「さんふらわあ・こばると」が同じく12時間です。
フェリーさんふらわあのおすすめポイント
静かな瀬戸内海の航路は船の揺れが少なく、瀬戸大橋・明石海峡大橋・来島海峡大橋をくぐるイベントが人気の航路です。またペットと泊まれる「ウィズペットルーム」がある船なら、一緒に旅行したい飼い主さんにはメリットがあります。
フェリーさんふらわあのお得なプラン
「弾丸フェリー＆船に泊まろう」企画は、電車やバス料金とフェリー料金がセットでかなりお得で人気です。「九州マイカー周遊プラン」は同社の２航路を利用するとホテル２泊分が付いてくるので、九州旅行におすすめです。
さらに乗船券の半券を取っておくと、提携施設やレンタカー、飲食、お土産などの割引や特典を受けられるメリットがあります（乗船日から５日間有効）。
⑧【名門大洋フェリー】女性客を意識した長距離フェリー
大阪～新門司
大阪南港と新門司港を12時間40分で繋ぎます。「フェリーおおさかⅡ」「フェリーきたきゅうしゅうⅡ」とやや小型の「フェリーきょうとⅡ」「フェリーふくおかⅡ」の４隻で毎日２便往復です。
なお、2022年に大型新造船が就航、「きょうと」「ふくおか」と替わる予定です。大型船は展望ラウンジ・展望レストランなどのパブリックスペースが広く旅行が快適になります。
名門大洋フェリーのおすすめポイント
スイートから2等のツーリストS（シングル）まで個室の数と種類が豊富です。ツーリストクラスには女性専用のレディースルームがあります。瀬戸内海のフェリー旅行では航路瀬戸大橋・明石海峡大橋・来島海峡大橋くぐりのイベントが人気です。
名門大洋フェリーのお得なプラン
観光地のホテルと乗船料金がセットになった「アクセスプラン」がおすすめです。また、WEB予約限定の「船旅バリューパック」は乗船券に夕食、朝食付きで正規料金から3割以上安く旅行費用が節約できます。
ほかの独自割引として早期購入割引、WEB割引、高齢者にはメリットとなるシルバー割引があります。
⑨【阪九フェリー】関西圏と北九州を２航路で結ぶ
泉大津～新門司、新神戸～新門司
泉大津からは「いずみ」「ひびき」が12時間半で、新神戸からは「やまと」と新造船「せっつ」が就航、同じ12時間半で結んでいます。
専用テラス付きの「ロイヤル」やペットと過ごせる「ウィズペットルーム（ドッグラン完備）」など、旅行が楽しくなる個室の種類が豊富です。
阪九フェリーのおすすめポイント
豪華なロビーと個室、星空の下で入浴する露天風呂がある展望大浴場があります。開放感のあるレストランはメニューが豊富で、料理のコスパが高いと評判です。瀬戸内海航路定番の、瀬戸大橋・明石海峡大橋・来島海峡大橋くぐりイベントを楽しむリピーターが多い航路です。
阪九フェリーのお得なプラン
関西旅行、九州旅行、それぞれのホテル代が含まれ、メリットのある「フリープラン」がたくさん設定されており、用途に合わせて選べるので公式サイトをご参照ください。
グループ系列のコラボ企画「日本一周マイカープラン」の参加航路です。（詳細は新日本海フェリーをご参照ください）。
個室の選び方のポイント
陸地側か海側かで選ぶ
フェリーは沿岸を航海するため陸地側の景色か、水平線を楽しむかで部屋を選びます。太平洋航路の北行きは左舷が陸側、南行きは右舷が陸側です。日本海航路はその逆になります。夜は陸側では夜景が見えますが、海側は真っ暗です。ちなみに瀬戸内海航路はどちらも陸側になります。
海からの日の出や、沈む夕日を楽しめる部屋を選ぶ
部屋から太平洋から上る日の出を満喫するには、太平洋航路は北行きの右舷側、南行きの左舷側を予約します。日本海航路で海に沈む夕日を満喫するなら北行きなら左舷側、南行きなら右舷側を押さえましょう。
できるだけ揺れが少ない部屋を選ぶ
船体の大型化とスタビライザー装備で揺れは少ないですが、多少の揺れはあります。左右どちらの舷側も横揺れ（ローリング）は同じです。しかし、縦揺れ（ピッチング）は船の中央付近（フィンスタビライザーがある位置）の揺れが少ないとされています。
フェリー旅行で非日常体験を
長距離フェリー旅行では航路の途中で姉妹船とすれ違う際に、互いの安全航海を祈念して汽笛を鳴らし合います。汽笛には哀愁が漂い、乗客同士も手を振り一期一会のひと時を楽しみます。それもまた非日常気分に浸る演出の一つとなるのです。
船旅は時間をぜいたくに使うことで、非日常気分を満喫できる旅行です。豪華客船は高額でも、フェリーなら飛行機や鉄道利用と同じ感覚で利用できるのでおすすめです。
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