60本以上の紅葉が見ものの大田黒公園
約9千平方メートルもの広さがある大田黒公園は、東京駅から西に直線距離で7キロメートルほどの杉並区荻窪にある都市公園です。もともとは音楽評論家の大田黒元雄氏の私邸で、「敷地の30パーセントを公園に活用して欲しい」との遺志により杉並区に寄贈されました。
1981年の開園以来、11月下旬~12月上旬の紅葉が見頃の時期には東京都内外から大勢の人が訪れます。紅葉時期に近くへ行く機会があればぜひお出かけください。(この記事は2021年9月7日時点の情報です)
大田黒公園までのアクセス
大田黒公園までのアクセスは、東京駅からJR中央線または東京メトロ丸の内線で約25分(約200~300円)、新宿駅からはJR中央線で約10分、渋谷駅からはJR山手線とJR中央線利用で約22分です。
荻窪駅南口からは徒歩約10分で、アクセスは、南口仲通りからすぐの道を左折して歩くと公園の看板が見えてきます。道なりに大きな道を右折し、少し歩くと到着です。駐車場は大田黒公園近くや荻窪駅付近に数か所あります。
大田黒公園の基本情報
荻窪駅から徒歩約10分というアクセスのよい場所にある大田黒公園の紅葉鑑賞後は、ぶらぶら散策も楽しいです。荻窪駅周辺にも素敵なカフェやレストランがあるので、お食事もお楽しみください。
JR荻窪駅から約5分で井の頭公園がある人気の吉祥寺に行けるので足を延ばしてみませんか。徒歩約20分で到着できるので元気な人は歩くのもおすすめです。大田黒公園の紅葉鑑賞は周辺観光も含めていろいろ楽しめることでしょう。
大田黒公園
- 住所東京都杉並区荻窪3丁目33番12号
- 公式サイトURLhttp://www.hakone-ueki.com/sub/about/
- アクセス東京メトロ JR中央本線荻窪駅南口から徒歩約10分
- 駐車場なし
- 営業時間9:00~17:00 ※ライトアップ期間中は19時閉園。入園は閉園の30分前。
大田黒公園の紅葉:見どころ
メインは最奥の紅葉が映り込む池
大田黒公園は紅葉だけではなく回遊式日本庭園と建物のたたずまいが美しいため、紅葉が見頃の時期以外でも東京観光に組み入れたい人気スポットです。
大田黒公園のメインの紅葉スポットは一番奥の"あずま屋"がある池となり、樹木が色づく時期には水面に映る紅葉が息をのむほどの美しさになります。さらにライトアップ期間中の夜間は光が織りなす幻想的な光景が素晴らしく、いつまでも眺めていたくなることでしょう。
大田黒公園の核心的な池
池は大田黒公園の中心的施設であり、紅葉を楽しむためのシンボル的存在でもあります。茶室近くから流れてきた水は、幅を広げながらこの池に注ぐのです。流れはうっそうと生い茂る樹木と一体化し、東京都心にいながら深山渓谷にいるかのような錯覚を起こさせます。
大田黒公園の池は筑波石(つくばいし)と植え込みで装飾されており、畔(ほとり)に建つ"あずま屋"から望む芝生・マツ・茶室は、まるで一枚の絵のような美しさです。
筑波石とは?
筑波石とは、茨城県つくば市の筑波山で採れる石のことを指しています。いわゆる斑レイ岩のことで、黒っぽい色に丸みを帯びた形、ザラザラとした肌触りが特徴です。
大田黒公園のような日本庭園ではおなじみの石となり、黒さを活かして白色の花こう岩と組み合わせて用いられることが多い種類となります。この石も大田黒公園の見所の一つでもあるのです。
"なぐり"仕上げのあずま屋の柱も必見
大田黒公園の池には小休憩できるあずま屋がありますが、このあずま屋の柱も見どころの一つです。柱は"なぐり"仕上げという、日本の伝統技術が施されてあります。
"なぐり"とは木材の表面に"手斧(ちょうな)"などの道具の彫り跡を敢えて残す技法のことを指し、茶室で自然の姿を再現することを重視した千利休によって採用されたものだそうです。現在は数寄屋建築に不可欠な技法とされており、大田黒公園でも採用されています。
11月下旬には60本以上のカエデが紅葉
大田黒公園に植えられている紅葉する樹木は、イロハモミジやオオモミジなどのカエデ類の他、ケヤキやシイノキなどとなっています。特に紅葉の見ごたえがある人気スポットは、あずま屋がある回遊式庭園の付近です。
約60本もの紅葉が絶妙なグラデーション模様を生み出し、紅葉が映る池によって奥行きのある美しさとなります。コンパクトながらも粋を凝縮させた日本庭園の素晴らしさを、大田黒公園で実感できることでしょう。
回遊式庭園とは?
回遊式庭園とは文字どおり、地形を巧みに生かした広大な園内を、一周しながら景観を楽しむ庭のことをいいます。日本を代表する庭園の一つとされ、さらに園の中心に大きな池、築山や小島、橋などもレイアウトし、日本各地の名勝を再現したものが"池泉回遊式庭園"(ちせんかいゆうしきていえん)です。
有名スポットでは日本三大庭園の兼六園・偕楽園・後楽園があげられます。池がある大田黒公園も池泉回遊式庭園といえそうです。
門とイチョウ並木のアプローチ
見所が随所にある大田黒公園は、入口の正門からじっくり鑑賞したいものです。総ヒノキの門の屋根は、切り妻づくりの桟瓦葺き(せんかわらぶき)、塀は泥土をつき固めて造った築地塀となります。日本建築の伝統的な技術もチェックしましょう。
大田黒公園の正門を入ると真っ先に目にするのは、樹齢100年という27本の大イチョウとその美しい並木道です。青空に黄金色が映えるイチョウも堪能したい人気スポットとなります。
中庭の井筒と池の流れ
イチョウ並木から中央部に進むと、大田黒公園の管理事務所や蔵(非公開)、休憩室、茶室、井筒のある中庭となります。井筒は井戸の囲いのことですが、とても風流な趣を感じられることでしょう。インスタなどにもおすすめの写真映えする人気スポットです。
そこからの緩やかな流れが数寄屋造りの茶室を一周し、川幅を広げながら木立の中を流れ、そして大田黒公園の最大の紅葉スポットである奥の池まで流れていくのです。
高低差を活かした流れ
荻窪や西荻窪と吉祥寺の区間には、善福寺川や神田川があるため複雑な地形をしています。大田黒公園は善福寺から北側に少し外れていますが、高低差のある地形の影響を受けており、実際に大田黒公園を歩くと荻窪本来の高低差が感じられることでしょう。
大田黒公園の庭では、その高低差を活かした自然の流れが採用されており、紅葉も映える美しい回遊式庭園になっているのです。
大田黒氏の私邸だった記念館
大田黒公園の中庭の南側には、大田黒氏が50年近く仕事場兼住宅としていた旧宅を活用した記念館があります。旧宅は昭和8年(1933年)の建築となり、当時では珍しいモダンな西洋風です。
室内には大田黒氏が愛用していたスタインウェイ社製のピアノや蓄音機などが残されており、氏の音楽に捧げた人生が垣間見える気がします。建物1階の大きな窓からは回遊式庭園が見渡せるようになっており、こちらもチェックしみてください。
紅葉映えがする茶室からの眺め
大田黒公園で最も庭園の眺めがよい場所は茶室の縁側といわれています。芝生広場を始め、カエデ科の紅葉、ケヤキ、シイノキ、根元をササで覆われたアカマツの巨木、池の畔(ほとり)に建つあずま屋までの美しい景色をご堪能ください。前方の池までは本来のなだらかな傾斜を活かしてあり、とても見事な眺めです。
大田黒公園の散策もよいですが、お茶にたしなみがある人は、お茶を点てながらの紅葉鑑賞もいかがでしょうか。
大木は以前からあったもの
茶室から見えるナラやケヤキ、アカマツなどの大木に成長しているものは、大田黒公園として整備される前から植えられていたものといわれています。樹齢は明確ではありませんが、東京都内の私邸だった場所に見事な大木があるのは、すこし驚きですね。
現在も大切に保存されており、イチョウ並木とはまた別の大田黒公園のシンボル的存在ともいえるかもしれません。
大田黒公園の紅葉:ライトアップ
紅葉ライトアップの期間
大田黒公園のライトアップイベントの期間は、紅葉が見頃となる時期、11月下旬~12月上旬です。大田黒公園の閉園時間は通常が17時ですが、紅葉時期は閉園時間が延長されて21時(入園は30分前)となります。
昼間は入園料は無料ですが、夜間のライトアップされる時間も原則無料となっています。詳しくは大田黒公園のホームページなどでご確認ください。
紅葉ライトアップの楽しみ方
青空の下で観る紅葉は実に生き生きと健康的に感じられます。一方で夜の紅葉は、光でライトアップされることで光と影のコントラストが際立って観えるのではないでしょうか。紅葉だけではなく、全体が幻想的な雰囲気に包まれるライトアップならではの醍醐味です。
さらに紅葉スポットが変われば、同じ種類のカエデ科の紅葉でもまた違う雰囲気に観えます。大田黒公園の他に違う場所での紅葉鑑賞もし、いろいろ比較してみてください。
紅葉コンサートなどのイベント
大田黒公園では紅葉が見頃となる期間中、芝生のある広場で紅葉コンサートと銘打ったお琴の演奏イベントが開催されることもあります。
2020年までは11月最終の日曜日に2回、15時~と18時~の約40分間開催されており、今年も平常時であれば開催されるかもしれません(雨天時は1週間後に延期)。さらに期間中は茶室で和菓子の販売もあります(500円)。関心がある人は杉並区のホームページでご確認ください。
大田黒公園の紅葉:周辺おすすめスポット
①数多くの猫の石像がお出迎え「荻窪白山神社」
歯の神様としても知られる荻窪白山神社は、猫の石像がたくさんあることでも有名です。1967年の改築の際に干支の瓦が奉納されましたが、猫だけ仲間外れになるのはかわいそうとのことで、神主が境内の至る所に設けたものです。
ご神体は白山となり、御祭神は縁結びや子育てにご利益があるとされるイザナミノミコトです。JR荻窪駅北口から徒歩約3分でアクセスできるので、大田黒公園の紅葉鑑賞の前後にお立ち寄りください。
荻窪白山神社
- 住所東京都杉並区荻1丁目21番7号
- 公式サイトURLhttps://ogikubohakusan.or.jp/page-321/
- アクセスJR荻窪駅西口改札より徒歩約5分・丸の内線荻窪駅西口改札より徒歩約5分
②駅直結でアクセス抜群「ルミネ荻窪店」
大田黒公園で紅葉を楽しんだあとは、JR荻窪駅直結のルミネ荻窪でショッピングや食事を味わいましょう。
特に、焼き鳥にピザ、お寿司など和食・洋食・中華が選べるレストランでのゆっくりディナータイムがおすすめです。もちろん大田黒公園へ紅葉鑑賞に出かける前のランチでもお楽しみください。
ルミネ荻窪
- 住所東京都杉並区上荻1-7-1
- 公式サイトURLhttps://www.lumine.ne.jp/ogikubo/info/map.php
- アクセス【改札連絡口】2F JR線 荻窪駅西口・B1 JR線・丸の内線 荻窪駅北口
③北欧好き必見の雑貨店「istut(イストゥット)」
フィンランドで直接買い付けるというヴィンテージ雑貨が人気の「istut(イストゥット)」は、1950年~1960年代のアイテムを中心に揃えているカフェ併設の雑貨店です。
シンプルでナチュラル、かつ洗練されたデザインのカトラリーなどは、さすがフィンランド雑貨と思わせるものばかり。JRまたは東京メトロ荻窪駅から徒歩約5分のアクセスのよい場所にあります。他の人とは一味違うこだわりグッズが欲しい人は必見です。
istut
- 住所東京都杉並区天沼3丁目30−41 ルミエール荻窪 1F
- 公式サイトURLhttps://istut.shop-pro.jp/
④昭和時代から続くフランス菓子店「こけし屋本店」
JR西荻窪駅から徒歩2分になりますが、西荻窪まで足を延ばしたいのが昭和時代から人気なフランス洋菓子の「こけし屋」です。1階がケーキショップで2階がカフェ、3階がレストランという昭和おなじみの便利な造りとなっています。
ラム酒のきいたサバラン、地卵のシュークリームなど三代で食べ続けられているロングセラーも。本格的なフランス料理も見逃せません。大田黒公園の紅葉鑑賞後はより美味しく感じられるはずです。
こけし屋本館
- 住所〒167-0053
東京都杉並区西荻南3-14-6-1F~3F - 公式サイトURLhttp://www.kokeshiya.com/french/kontei.htm
- 電話番号http://www.kokeshiya.com/french/kontei.htm
- アクセス中央線西荻窪駅南口から徒歩で約1分
⑤気取らずに楽しめる「やきとり戎」
気取らずに美味しい焼き鳥を食べたいときは、JR西荻窪駅から徒歩約1分、創業40数年の「やきとり戎」に足を延ばしてみませんか。JR西荻窪駅を出るとすぐ右手にこじんまりした飲食店が並ぶ、少しレトロな下町風のおもしろいエリアです。
大人気のやきとり以外にもお酒が進む数々の一品料理があります。平常時は相席となりますが、それがまた下町的な雰囲気で人気です。近い将来、気軽に飲食できる日を楽しみに待ちましょう。
やきとり戎
- 住所東京都杉並区西荻南3−11−5
- 営業時間13:00~23:30
- 定休日無休(年末年始除く)
- 公式サイトURLhttps://twitter.com/yebisu_nishin
紅葉スポットの大田黒公園に行こう!
大田黒公園の例年の紅葉時期は11月下旬~12月上旬となります。紅葉の見頃を見逃したくない人は、杉並区のホームページで大田黒公園の紅葉状況をご確認ください。大田黒公園の見所は風格のある正門や樹齢約100年の27本のイチョウ並木、地形の高低差を活かした池など、紅葉以外にもたくさんあります。
昼も夜も美しい大田黒公園の紅葉は、時間があればJR荻窪駅周辺の観光も兼ねて滞在し、両方観るのもおすすめです。
東京都内の紅葉スポットが気になる人はこちらをチェック!
東京都内には大田黒公園の紅葉以外にも、数多くの素晴らしい紅葉スポットがあります。気軽に行ける場所からトレッキング気分で楽しめる場所など様々です。ライトアップされている場所も紹介されているので、ぜひご参考にしてください。
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出典:photo-ac.com