東京五輪2020の歴史的活躍
東京五輪2020
57年ぶりに日本で開催された夏の祭典、東京五輪2020。日本人選手の活躍に胸を躍らせ、あっという間の17日間。終わってみれば日本のメダル獲得数は合計58ヶ、金メダルは27ヶと、オリンピック日本歴史上最高の記録を叩き出しました。
コロナ過の中開催も危ぶまれましたが、選手たちはハイレベルなパフォーマンスを見せてくれ、閉塞した今の世の中で、日本国民に勇気と希望を与えてくれた歴史に残るオリンピックと言えるでしょう。
女子ソフトボール代表の活躍
歴史上稀で、あらゆる娯楽が制限され自粛ムードの漂う中、改めてスポーツを通じて感動、そして希望を与えてくれる大会でした。大活躍の日本選手団の一員として女子ソフトボールチームも躍動し、私たちの期待以上の結果を残してくれます。女子ソフトボールチームの3大会ぶりのオリンピック、彼女たちは本当に楽しそうにプレーしていました。
宿敵アメリカを破っての歴史的金メダル
女子ソフトボール1次リーグで日本は1度アメリカに敗れますが、決勝で見事にリベンジを果たし、悲願の金メダルを獲得。ソフトボール競技の前回大会は2008年の北京大会。この大会でも日本はアメリカを破っての金メダルでした。
ここまでの道のりは決して平坦な物ではなかったはずですが、日本チームは13年越しの連覇という歴史的偉業も成し得たのです。
ソフトボールの魅力
私たちに感動を与えてくれるソフトボール。日本人にとって歴史のある、老若男女が見て、プレイして楽しめるスポーツです。実際にいつ誕生し、どのようにして広まっていったのでしょうか。どのようにこの日本で根付いていったのでしょうか。ソフトボールの歴史について迫っていきたいと思います。
ソフトボールの起源・発祥・歴史
ソフトボールの起源は？
起源については、12～13世紀イギリス発祥のクリケットではないかと考えられています。ソフトボールとクリケットは似たスポーツではありますが、ルールは全く違います。しかしスポーツの歴史的な流れを見て、投げる、打つと言った基本動作に類似する点は多々あります。
人気スポーツ、クリケットの歴史
日本ではあまり馴染みが無いクリケットですが、世界的に見ると歴史があり、競技人口がサッカーや野球よりも多い約3億人です。13世紀頃、羊飼いが棒と石を使って遊んでいた事がクリケットの起源で、そこからクリケットの歴史が始まったとされています。
最近では日本の元プロ野球選手がクリケットに転向して、世界を目指している事でも話題になりました。
そして発祥、誕生の地、アメリカへ
クリケットの簡易型ラウンダーズという、ソフトボールの起源であるスポーツが、イギリスからアメリカへと伝えられました。そして19世紀後半、プレーグラウンドボールインドアベースボールなどの、ソフトボールの原型に近いとされるスポーツが誕生します。
歴史が徐々に動き出し、ルール的にもアメリカ人の国民性にあったスポーツへと徐々に進化を遂げるのでした。
インドアベースボールの歴史
インドアベースボールは、ソフトボールの歴史の中で最も古くからあるスポーツです。19世紀のシカゴで、クラブ生達がボクシングのグローブ、ほうきを使って、野球のような真似事で遊んでいる姿を見て、ジョージハンコック氏がボートクラブ生達の冬の体育練習のためにルールを発案した事が発祥だとされています。
ソフトボール発祥のきっかけは様々
インドアベースボールの他にも、歴史上ソフトボールに酷似しているスポーツが見られます。レディースボールをはじめソフトベースボールも、様々な名称とルールでアメリカ各地で誕生し行われていました。
これらの投手がアンダースローで投球するという共通点は、歴史上ソフトボールの発祥だと断言できる事象かもしれません。
ソフトボールの歴史
ソフトボールの名称が考案されたのは1926年、ウォールター・ハケンソン氏によるものでした。ソフトボール協会から各団体と統合し「ソフトボール合同委員会」が設立されたのが1933年。それからルールの標準化に着手します。
その後、1934年にソフトボール標準ルールが制定されることになり、ついにソフトボールと言う名が歴史に刻まれることになります。
ソフトボールの誕生
紆余曲折を経てソフトボールは進化を続けてきました。様々なスポーツが考案され、起源、発祥の由来は様々な見解がありますが、やっとのことでソフトボールという名称に統一、誕生し、世界へと広がっていく事になります。ようやくソフトボールの歴史が第一歩を踏み出すのでした。
日本での歴史と発展
アメリカから日本へ
当時の東京高等師範学校教授、大谷武一氏が、大正時代中期に「インドアベースボール」を留学先アメリカより持ち帰ってきた事で、ソフトボールが日本で誕生する歴史的な大きな要因となっています。
その後小中学校での体育授業の遊戯スポーツとして、ソフトボール、ルールが日本に大きく広まっていきます。ソフトボールと認知され始めるのは、第二次世界大戦後の1946年のことであり、この時を境に歴史が動きます。
当時は女子のスポーツ
当時は男子よりも女子が行うスポーツとして認知され普及していきました。歴史上初となる全国大会として開催された、全日本一般女子ソフトボール選手権大会は、その後別大会と統合し、全日本総合女子ソフトボール選手権大会に名称変更され現在に至ります。
ソフトボール、国民体育大会種目の歴史
1949年には日本軟式野球連盟」から独立して「日本ソフトボール協会」と名称を変え、「日本体育協会」に加盟します。そして「第1回全日本高校女子ソフトボール選手権大会」と「第１回全日本一般女子ソフトボール選手権大会」が開催されます。
翌年1950年に女子のみ、歴史上初めて国民体育大会の正式種目に決定します。男子が正式に採用される事になったのは、女子から遅れて1957年の事でした。
ソフトボール、日本での発展
クリケットを起源とし、発祥がインドアベースボールであるソフトボールは、子供たちの体育の授業を始め、地域でのソフトボールクラブチームによる各種大会は常に実施、男子女子問わずルールの定着もされ、気軽に行えるスポーツとして歴史のある日本の国民的スポーツと呼ばれる現在まで発展を続けて行く事になります。
ソフトボールリーグの歴史
ソフトボールリーグの概要
ソフトボールリーグの歴史はまだ浅く、主催「日本ソフトボール協会」によって、ソフトボールリーグ戦が男子女子共に1972年に開催されます。それからチーム数や大会ルールの変更を行いながら進化していき、2021年度の参加チームは男子は18チーム、女子は1部リーグ12チーム、2部リーグ8チーム、3部リーグ6チームで実施されています。
アマチュア選手によるソフトボールリーグ
2011年プロ野球ドラフト会議で、大学生までソフトボール一筋だった大嶋匠選手が日本ハムより指名を受け話題になった事がありましたが、それはあくまでプロ野球選手としての契約です。
ソフトボールリーグの選手達はプロ契約ではなく、アマチュア選手として企業に属しています。そのため日本のソフトボールリーグは、スポーツにおいて歴史はありますが、プロ野球やJリーグよりも注目度が決して高いとは言えません。
ソフトボールリーグの定着
GAORAでのテレビ中継も行われており、男子女子共に小中高大社会人と、地域、企業の支援の中、組織、育成のピラミッドが形成され、歴史はまだまだ浅いですが、日本国内において日本のトップチームによるリーグ戦は定着しています。
オリンピックの勢いそのままに、これから頂点である社会人チームで構成されるソフトボールリーグが更なる盛り上がりを見せれば、日本のソフトボール人気の高まる事は間違いないと言えます。
オリンピック・ソフトボール競技の歴史
オリンピック競技・ソフトボール
現在世界ソフトボール連盟に加盟している国々地域は、130を越えます。イギリスのクリケットが起源とされ、19世紀アメリカで誕生してから、現在では4年毎にワールドカップが開催され、世界的なスポーツへと発展してきました。そしてソフトボールは歴史的に最も関心の高いオリンピック正式種目に選ばれます。
1996年アトランタオリンピック
ソフトボールがオリンピック競技に歴史上初めて採用されたのは、1996年アトランタオリンピックです。参加8カ国による予選リーグを行い、上位4チームが変則的ルールのページシステムによる決勝に進み金メダルを争いました。
初めてオリンピックの正式種目として開催されましたが、開催国が発祥の国アメリカと言うこともあり、ソフトボールは大いに盛り上がりました。世界のソフトボールにおいて歴史的大きな1歩となるのでした。
女子のみ正式種目に選定
オリンピック競技としてソフトボールは女子のみの採用となり、残念ながら男子ソフトボールは現在1度も採用されたことなありません。男子ソフトボールは女子に比べ、歴史的に見ても遅れを取っている感は否めません。
男子のソフトボールはスピード感、迫力共にかなり魅力的ではありますが、オリンピック種目としては野球・ソフトボールとは同じ括りで、男子は野球、女子はソフトボールという位置付けなのかも知れません。
日本チームの健闘
日本は予選4位で決勝へ駒を進めますが、健闘及ばず惜しくもオーストラリアに破れ、4位入賞という結果で初めてのオリンピックを終えました。しかし歴史的に日本のソフトボールは大きな1歩を踏み出したと言えます。
オリンピック種目への定着
その後ソフトボールは、2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京で実施され、歴史上オリンピック種目として定着する事になります。日本女子チームはシドニーでは銀メダル、アテネでは銅メダル、北京では悲願の金メダルを獲得し、世界的にソフトボール大国の地位を築き上げる事となります。
日本チームの活躍と比例して、このままソフトボールは世界的な人気スポーツとして発展していくものと思われていました。
ソフトボールの低迷
2008年北京大会の後、2012年ロンドン、2016年リオではソフトボールはオリンピック正式種目になりませんでした。理由は、開催地での普及率の低さによるソフトボール施設の確保、新設時の大会後施設維持などが挙げられますが、人気の低迷が1番の理由と考えられます。
今回東京五輪2020で開催都市提案により復活しましたが、2024年パリでは正式種目として採用されておらず、それ以降もどうなるか分かりません。
WBSC（世界野球ソフトボール連盟）10ヵ年計画
今後は東京五輪2020のように開催都市提案での復活は見込めますが、継続的に正式種目となるかは不透明です。
ソフトボールはバスケットボールやサッカーに比べて競技人口はまだまだ少ないですが、WBSC（世界野球ソフトボール連盟）も今後１０年間で段階的な発展プランと共に、加盟会員支援を目標に掲げています。オリンピックを通してこれから世界でますます発展していくことを願います。
ソフトボールの歴史は始まったばかり
ソフトボールの課題
現在、世界ソフトボール連盟に加盟している国々地域は130を超えますが、国内リーグの充実化など環境を含め発展途上の国が多々あり、大半の国は歴史が浅く、オリンピックに出るレベルまで達していないのが現状です。
2012年ロンドンオリンピック開催国のイギリスでは、ソフトボールの起源とされるクリケットは盛んに行われていますが、肝心のソフトボールの普及はまだまだと言えます。
オリンピック正式種目除外
仮にソフトボールをやりたくてもメンバーがいない、やる場所も道具もない、だから競技人口が増えない。こういった負の連鎖が続いています。ソフトボールの歴史が浅い国の場合、国自体が育成、環境を整え、歴史、文化を構築していく必要があります。
ソフトボールには多くの課題が山積みとなっています。東京五輪2020で大いに盛り上がったソフトボール競技。しかし2024年オリンピックの正式種目からの除外が確定しています。
歴史を振り返る
先行きは不安に思えますが、ソフトボールが誕生してからまだ100年経過し歴史あるスポーツですが、ソフトボールというスポーツは今この時でも進化し続けています。
なぜ起源とされているクリケットから派生してソフトボールが誕生したのか？なぜ発祥から短期間で多くの発展を繰り返してきたのか？今一度歴史を振り返って考えていく必要があります。
さらなる普及へ
2024年のパリでのオリンピック正式種目からの除外は確定していますが、2028年のロサンゼルスはソフトボール強豪国アメリカでの開催であり、開催都市提案による五輪種目への選出が濃厚です。WBSCも10ヵ年計画で野球、ソフトボールを普及させるための活動を表明しています。
未来は明るい
私たちは東京五輪2020で改めてスポーツ、ソフトボールの偉大さ、素晴らしさを知り心から感動しました。それは世界中の人々の心にも届いたはずです。ここから更にソフトボールという素晴らしいスポーツの人気が、世界的に拡大していくこと、歴史的な1歩を踏み出して行く事を期待したいと思います。
ソフトボールの基本的なルールが気になる方はこちらをチェック！
ソフトボールの歴史について少し分かっただけでも、ソフトボールをプレーしたり観戦する際にもっと広い視野で楽しむことが出来ます。また、基本的なルールについては意外とまだまだ知られていないことがたくさんあります。
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