ポテンティラとは
ポテンティラはバラ科・キジムシロ属(ポテンティラ属)の植物で学名ではPotentilla。和名はキンバイです。また、小さな花とギザギザの葉がイチゴに似ていることから、花イチゴと呼ばれることもあります。
小低木に分類され、成長後の草丈は種類により様々です。10㎝程度のものから60㎝以上になるものまであります。イメージに近い種類を選んで栽培を始めてくださいね。
ポテンティラは耐寒性に優れている
ポテンティラの原産地はヒマラヤで、耐寒性があるのが特徴です。比較的、耐暑性もありますが、中には高温多湿な環境が苦手な種類もあります。
ポテンティラは横に広がって成長するため、グラウンドカバーとして栽培される事も多いです。土環境と水やりに気を付けて栽培すれば、簡単に育てられます。そのため、ガーデニング初心者の方もトライしやすいです。
ポテンティラの開花期は春から初夏
ポテンティラの開花期は春から初夏(4月から8月頃)です。1輪1輪は短命ですが、次から次へと花が咲くため、長い期間楽しめます。1度植えれば毎年花が咲く、宿根草です。
ポテンティラは種類によって花色も異なり、バリエーションが豊富です。黄色やオレンジ、白や赤、ピンクやバイカラーなど様々な花色があります。
ポテンティラの種類
品種が豊富なポテンティラから、ポテンティラ・ベルナとポテンティラ・ネパレンシスという2つの種類ご紹介します。 どちらも耐暑性があるため、夏場の管理が楽です。ちなみに、ポテンティラには300種類以上の品種があります。
ポテンティラベルナ
ポテンティラ・ベルナは草丈が5㎝から10㎝程と、あまり大きくならない矮性(わいせい)タイプです。横に広がりやすいので、グラウンドカバーに向いています。
小さな黄色い花をたくさん咲かせるポテンティラ・ベルナ。地域によっては9月頃まで花を楽しめます。
ポテンティラ・ネパレンシス
ベニバナロウゲの和名があるポテンティラ・ネパレンシスは、お花の中心部が濃い色になっているバイカラーが特徴です。花色はオレンジやピンク、赤紫などがあります。
枝分かれが良く横に広がりやすいです。草丈は40㎝から50㎝ほどと、ポテンティラの中では高身長タイプになります。
ポテンティラの育て方
ポテンティラを育てる環境と土作り
ポテンティラは地植えと鉢植えのどちらでも育てられます。どちらも日当たりと風通しの良い場所で栽培しましょう。高温多湿な環境が苦手な種類は、半日向の風通しが良い場所で栽培してあげてください。
土は、弱アルカリ性で少し痩せた土を好みます。また、根腐れを防ぐため、水はけの良いことも大事なポイントです。土作り後は、状態を落ち着かせるために1週間以上休ませます。植え付け作業は、その後に行ってください。
地植えの場合の土作り
ポテンティラを地植えする場合の土作りの手順です。まず、植え付けたい場所の土を、深さ20㎝から30㎝ほど掘り起こします。そこへ、腐葉土(1㎡あたり10ℓ)と化成肥料(1㎡あたり50g)を混ぜ込んで完成です。
鉢植えの場合の土づくり
ポテンティラを鉢植えする場合は、赤玉土と腐葉土を混ぜ合わせて作った土を使います。割合は赤玉土2:腐葉土1です。もちろん、市販の草花用培養土でも育ちます。鉢に土を入れたら、たっぷりと水を吸わせて土作り完了です。
鉢植えする際には、新しい土や消毒済の土など清潔な土を用意してください。他の植物を育てていた土を使いまわすことは、栄養不足や病害虫の発生などを招く原因となるためです。
ポテンティラの植え付け
苗から栽培する場合
ポテンティラの苗の植え付けに適した時期は、早春と秋(3月下旬から4月と9月下旬から10月下旬)の2回です。苗を購入する際は、株元が黄色になっていない、発色の良い緑色の葉のものを選びます。
植え付ける場所に穴を掘ります。穴の大きさは根鉢の2倍が目安です。苗の根鉢を優しくほぐし、古い土をよく落とします。その後、根を広げるようにして植え付けを行い完了です。
種まきから栽培する場合
ポテンティラの発芽には15℃から20℃が適温といわれています。そのため、種まきも早春と秋が適した時期です。開花までは1年から2年ほどかかります。
種を蒔いたら、上から3㎜程の土をかぶせます。ポテンティラの種は直径が1㎜程しかなく、とても小さく細かいです。種をのせた紙を2つ折にし、折り目を滑せるようすると楽に種まきができます。
ポテンティラを枯れさせない管理のコツ
ポテンティラの水やり
ポテンティラの水やりは土が乾燥していたら、たっぷりとお水をあげるようにします。ただし、しっかりと根付くまでは土を乾かさないように気を付けてください。
また、冬場の水やりは時間帯やお天気にも注意が必要です。水がいつまでも残ってしまうのを防ぐため、お天気が良い日の午前中に行うのがおすすめです。
ポテンティラへの追肥
ポテンティラは順調に育っていれば、追肥は特に必要ありません。もし追肥を行う場合は、春と秋の生育期に行います。
株元から少し離れたところに、リン酸分が多めの緩効性肥料を置き肥します。夏まで肥料分が残らないよう、量は少なめにしてください。
ポテンティラの剪定
ポテンティラの茎や葉が混みあっていると、「蒸れ」が発生します。蒸れは病気などの枯れる原因を引き起こすため注意が必要です。風通しを良くするため、定期的に茎や葉が混みあっている部分を剪定してください。
また、開花が終わった部分は茎から剪定します。枯れた花が種を作るために、たくさんの栄養を使ってしまうからです。ただし、種を収穫したい場合は剪定せずに、必要分を残しておいてくださいね。
ポテンティラの冬のお手入れ
ポテンティラは寒さに強いため、戸外に置いたままで越冬できます。休眠期なので、ポテンティラの上に雪が積もったとしても大丈夫です。むしろポテンティラを冬の寒さに十分充てることが、春に元気な花を咲かせるための大切なポイントとなります。
ポテンティラの病気と害虫被害
ポテンティラはまれにうどんこ病に感染します。葉にうどん粉をまぶした様なカビが生える病気です。症状のある部分は、切り落とします。また、よく発生する害虫はアブラムシです。発見次第、手やお箸でつまんで取り除きます。
どちらも、窒素分の多い肥料を与えすぎないよう注意し、風通し・日当たりの良い環境で栽培することで予防できます。また、アブラムシには木酢液などの忌避剤(きびざい)を用いることも有効です。
ポテンティラの植え替えは1年に1度
鉢植えをしたポテンティラは根詰まりを防ぐため、1年に1度、植え替えを行います。鉢底から根が飛び出て来たら植え替えのサインです。時期は春か秋(3月から4月か10月から11月)が適しています。
現在よりも一回り大きな鉢と新しい清潔な土を用意してください。株を取り出したら根鉢を優しくほぐし、古い土を落とします。古い根は切り取り、植え付ければ完了です。しっかり根付くまでは土が乾かないように管理します。
ポテンティラの増やし方
種まきによる増やし方
開花後に収穫した種をまきます。収穫から時間が経ちすぎると発芽率が落ちるため、早めに蒔くようにします。
種まきは原種に適した増やし方で、園芸品種には適しません。種を採った種類の花とは違う花が咲く可能性があるからです。その代わり、「今年はどんな花が咲くのかな?」という楽しみは味わえますね。
株分けによる増やし方
株分けは、株を切り分けて新しい株を作る増やし方です。植物の若返り効果もあります。同じ種類のポテンティラを確実に増やしたい時におすすめです。時期は早春か秋が適しています。
方法は、株を掘り上げたら清潔なナイフやハサミで切り分けるだけです。1つの株に1つ以上の芽が残るように調整します。古い根や傷んだ根は切り落としてください。もし根が少ない場合には、さし芽をして根を十分に育てた後に植え付けます。
ポテンティラを育ててみよう
1度植えれば毎年開花するポテンティラ。耐寒性があり、冬場の管理も簡単です。育て方は水やりのし過ぎに気を付ければ、初心者にも難しくありません。種類も花色も豊富なため、ぜひお好みのポテンティラを育ててみてくださいね。
日当たりと風通しが良い場所での栽培がおすすめです。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために、年に1度は植え替えを行います。種まきなどの時期は、下の栽培スケジュールを参考になさってください。
病害虫の被害に慌てないために
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