ヒメイワダレソウとは
名称 | ヒメイワダレソウ(リッピア) |
学名 | Phyla canescens(Lippia canescens) |
植物分類 | クマツヅラ科イワダレソウ属 |
形態 | 常緑多年草(場所によって地上部は枯れる) |
花期 | 春~秋 |
花の色 | 白・ピンク・薄ピンクなど |
ヒメイワダレソウの漢字表記は姫岩垂草。その名のとおり、石垣の隙間などに根を下ろし、垂れ下がるように広がります。ヒメイワダレソウは日本の各地に自生しており、ヒメイワダレソウよりも葉が大きなイワダレソウ(岩垂草)とともに広い分布を誇っています。
新しいグランドカバープランツ「ヒメイワダレソウ」
日本の各地で自生しているヒメイワダレソウがなぜ近年注目を集めているのでしょうか。それはグランドカバープランツとしての働きが期待できるからです。
広範囲のグランドカバーによくもちいられる代表は芝生ですが、芝生より植え方が簡単で、入念な手入れも必要としないため人気があります。
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ヒメイワダレソウの特徴
ローメンテナンスで十分なグランドカバープランツとして活躍する「ヒメイワダレソウ」。ローメンテナンスであるという以外にどのような特徴があるのでしょうか。葉が茂り方や、花期、花の色などについて解説します。
特徴①開花時期
花期は長く、春~秋の終わりまで季節を超えながら次々に花を咲かせます。花は小さな花が集まって球状になり、直径1.5cmほどの大きさです。
花の色は白、ピンク、薄いピンクで一つひとつは目立ちませんが、地面に広がって咲くと、花の白と葉の緑が織りなすカーペットのようです。そのため、ヒメイワダレソウの英名はCarpet weed(雑草のじゅうたん)ともいわれます。
特徴②原産地
ヒメイワダレソウの原産地はブラジル南部~アルゼンチン北部の草原地帯の湿地や草地、サバンナです。
原産地を見ても分かるように、湿地~サバンナでも育つ強健さがあり、その高い繁殖力のおかげで、世界各地に分布しています。一方、イワダレソウは日本が原産地です。
もともとは外来種だった
ヒメイワダレソウは明治初期にグランドカバーとして南米から持ち込まれたものが野生化し、日本で自生するようになったといわれています。
栽培種として日本で流通しているヒメイワダレソウは「リッピア」と呼ばれることが多く、栽培種は不稔(種を作らない)です。しかし、一部が結実し、日本の生態系を脅かす可能性は捨てきれないと指摘されています。
特徴③耐寒性
ヒメイワダレソウは耐寒性・耐暑性が高い植物です。ただし、最低気温が-5℃を下回る地域では地上部が茶色に変色して枯れます。
そのため、寒冷地では一年草のように思われますが、休眠しているだけで根まで枯れていません。見た目は一年草のように枯れてしまっても、春になればやがて地上に新芽がでます。一方、最低気温が-2℃を下回らないような地域では葉が枯れず、常緑です。
一年草・多年草・宿根草とは?
一年草とは、種を播いたその年に開花し、一年で枯れる植物をいいます。多年草は一年草と違い、何年も同じ株から花を咲かせる植物のことです。地上部は枯れるものの同じ株から毎年、芽を出すものは多年草と区別して宿根草とも呼びます。
特徴④価格が安く手に入れやすい
ヒメイワダレソウは小さなものであれば1ポット100円前後で手に入ります。繁殖力が強いので、1ポットあればかなりの範囲を覆い、非常にコストパフォーマンスが高い植物です。また、販路も広く、ネット通販やガーデニング店、ホームセンターなどでも購入可能で手軽に手に入ります。
ヒメイワダレソウの性質
ローメンテナンスなグランドカバーとして大活躍が期待できるヒメイワダレソウですが、グランドカバーとして植える前に知っておきたいポイントがいくつかあります。性質を理解しておきましょう。
どんな植物でも、動物でも育てる前にその性質や特徴を理解するのは大切なことです。最後まで責任をもって管理しきれるか、不要の際は適切に処分できるのか事前にイメージしましょう。
性質①強烈な繁殖力
世界に分布し、それぞれの土地で自生するヒメイワダレソウ。そのため繁殖力は非常に強いということは忘れてはいけないポイントです。数株植えておけば、地面はあっという間に覆ってしまうため、雑草予防効果は非常に高いといえます。
しかし、その一方で、既存の植物を覆ってしまったり、広がってほしくない場所にまで繁殖することも珍しくありません。広大な範囲を覆うグランドカバーをお探しの人にはおすすめです。
踏みつけにも耐える
ヒメイワダレソウは芝生同様、ある程度の踏みつけにも耐えます。庭で緑色のじゅうたんを植物で作り、その上でくつろぎたい人にもおすすめです。庭から玄関へのアプローチ部分や、カーポートのコンクリートの隙間などにも適しています。
性質②冬は枯れる
春~秋にかけて、季節が変わっても緑の葉を茂らせ、花をつけるヒメイワダレソウですが、日本の環境によっては冬の季節は見た目が変わることも覚えておきましょう。
地上部が一面茶色で覆われたり、葉は一部残っていても生育期ほどの緑が見られないこともあります。一年中、緑を楽しみたい人は別の植物も探してみましょう。
性質③草丈がある
ヒメイワダレソウの草丈は5~10cmほどです。日当たりがよい場所や養分が多い土に植えると繁殖力はさらに増し、草丈が30cmに迫ることも。そのため、ちょっとした草むらのようなボリュームになることもあります。
性質④刈り込み作業が必要
ヒメイワダレソウは、よく成長して草丈があるような場所では夏1回、秋1回程度、季節ごとの刈り込みが必要です。また、刈り込むと均等に光や水が入ります。そのため、草が密に生えそろい、雑草予防効果が増すでしょう。ローメンテナンスな植物ではありますが、雑草対策としてヒメイワダレソウを植える人は刈り込みはおこないたいところです。
日本で生まれたグランドカバー「クラピア」
ヒメイワダレソウを植えてみたいけど、旺盛な繁殖力をコントロールしきれるか不安な方は、「クラピア」をおすすめします。クラピアは日本原産のイワダレソウを品種改良し誕生しました。
クラピアは種を作らない完全不稔種のため、ヒメイワダレソウよりも意図しない場所で繁殖するリスクが少ないといわれています。さらに、ヒメイワダレソウと比べて生い茂らず、密に生えそろうため、高い雑草防止効果を発揮します。
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