バンクシアとは
バンクシア(Banksia)はオーストラリアを原産とするオージープランツの1つです。種類が多く、花の色や樹形、樹高にバリエーションがあり、地植えでも鉢植えでも栽培可能。そんなバンクシアをはじめとした個性的な姿を持つものが多い、オーストラリア原産の植物がいま人気を集めています。
特徴①個性的な花
バンクシアの特徴はなんといっても個性的な花の形です。小さな花が集まり、筒状、球状、円錐状などさまざまな形を作り、その姿はどれも個性的。開花時期は夏から冬と長く、バンクシアの種類や栽培環境によって時期が異なります。
特徴②花が咲くまで2か月
バンクシアの花は、つぼみを付けてから開花するまで非常に時間がかかります。花が咲くまで2か月近くかかるため、つぼみがついてから開花時期を迎えるまでの変化を長く楽しめるでしょう。花はドライフラワーにも加工でき、スワッグなどの花材としても人気があります。
特徴③種の付き方
バンクシアは種の付き方も個性的。開花時期を終えた花序は木質化し、硬い殻のようです。その殻に熱を加わると種がはじけ飛びます。この生態はオージープランツにはよく見かけられるものです。
乾燥した大地が広がるオーストラリアでは、山火事の発生は珍しくありません。そのため、バンクシアは熱を発芽や殻を割るためのスイッチにします。
特徴④耐暑性・耐寒性
乾燥や暑さに強い性質を持ちます。日本の夏でも多湿にさえ気を付ければ乗り越えられるでしょう。ただし、耐寒性は種類にもよりますが-3℃~-4℃程度までです。寒冷地で栽培する場合は、鉢植えで育てるか、地植えの場合は鉢上げするなど越冬対策が必要になります。
バンクシアの育て方
乾燥や暑さに強いバンクシアは日本でも栽培可能です。ただし、土壌環境や水はけなどは原産地オーストラリアの環境を意識する必要があります。地植えでも鉢植えでも楽しめるバンクシアの育て方のポイントについてご紹介しましょう。
育て方①用土
バンクシアは水はけのよい酸性土壌を好みます。日本の土の多くは中性~弱酸性のため、ピートモスと赤玉土、腐葉土などをブレンドした水はけのよい酸性の用土を準備しましょう。
また、バンクシアはリン酸の吸収能力が非常に高いため、肥沃な土ではかえって枯れる原因になることも。そのため、花苗の栽培に適したブレンド培養土などは肥料過多になることもあります。
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育て方②植える場所
バンクシアは日当たりのよい場所を好みます。風通しがよく、水やりしてもすぐにさらりと乾燥するような日の当たる場所を選びましょう。ただし、花にボリュームがあるため、あまりに強風に当たるような場所は倒れてしまいます。
暑さには強いバンクシアですが、蒸れや多湿は苦手で種類によっては夏を越せないことも。水はけのよい場所に植え、剪定して風通しをよくします。
植え付けのポイント!
バンクシアの苗はリグノチューバーと呼ばれるコブをつけているものがあります。リグノチューバーとは、山火事などで木の上部が焼け落ちてしまっても再び芽を再生させるために必要な組織です。
このリグノチューバーを土で覆ってしまうと苗は窒息状態になってしまいます。植え付けの際は土でかぶせてしまわないように注意しましょう。
育て方③水やり
水の管理は乾燥気味にするのが基本です。鉢植えの場合、表面の土が乾いたらたっぷりと水を与えます。地植えの場合、ほとんど水やりは不要ですがあまりに乾燥した日が続くと水切れを起こすことも。夏は朝の涼しい時間帯に水やりするとよいでしょう。
育て方④肥料
乾燥した痩せた土地でも育つバンクシアには肥料はほとんど必要ありません。前述したように、土壌中のリン酸を効率よく吸収する根を持つため、とくに肥料は与えなくてOKです。
肥料が多いと根が肥料焼けし、枯れてしまうこともあるので土にあらかじめ肥料がブレンドされているようなものは避けます。
育て方⑤越冬
前述したように、耐寒性は-3℃~-4℃。そのため、関東以西の温暖な地域であれば越冬対策の必要は特になく、露地栽培で春を迎えられます。-4℃を頻繁に下回るような地域では、地植えのもののうち、小さなものであれば鉢上げし室内に取り込みましょう。
大きな苗であれば寒冷地でも冬を越したという話も聞きますが、心配であればマルチで覆ったり霜よけをするなどの対策が必要です。
育て方⑥剪定
種類によっては樹高が15mにもなるバンクシアは剪定が不要な植物ともいわれています。しかし、美しい樹形を保ち、花をたくさん咲かせたいのであれば剪定はしておきたいところです。剪定時期は真夏を冬を避けましょう。剪定した枝からわき目が出て枝が増え、ボリュームある姿に育ちます。
多湿には弱いので、夏前には剪定します。重なり合った枝や込み入った株の中の枝を整理する基本の剪定方法で構いません。
育て方⑦病害虫
病害虫に強いバンクシアですが、風通しが悪かったり蒸れたりすることでアブラムシやカイガラムシが付くことがあります。剪定をし、風通しをよくしていれば発生を減らせるので、枝が込み入ってきたときは剪定の手を入れましょう。
カイガラムシやアブラムシが大量に発生したときはオルトランなどの農薬を散布し対策します。
バンクシアの増やし方
増やし方①種まき
花が終わると大きな殻に包まれた種がいくつも確認できるようになります。乾燥して茶色くなった殻を採取しましょう。前述したように、熱が発芽のスイッチなので、採取した種をオーブンで10分ほど焼き付けます。やがて冷えるのとともに硬い殻にひびが入り、中から種がでてくるはずです。
この種を種まきし、水やりしながら発芽を待ちましょう。オーブンで焼く際に死んでしまう種もあるので、複数用意するのがおすすめです。
増やし方②挿し木
バンクシアは挿し木で増やせます。変わった植物に思えますが、挿し木の方法はほかの植物と変わりません。元気な新芽が付いた枝を切り取り、下半分の葉は取ります。次に枝を水に差して十分に水揚げし、その枝を挿し木用の土に挿し木して発根を待ちましょう。
挿し木の方法について詳しく知りたい方はこちら
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日本で人気のバンクシアの種類
オーストラリアにバンクシアは80種近くあります。オーストラリアといってもその土地は広大で、場所によってある程度の多湿なら耐えるもの、耐寒性が高いものなどさまざまな特性があり、日本の高温多湿な夏や冷え込む冬に耐えうる種類も。日本で栽培可能な人気の種類についてご紹介します。
種類①ヒースバンクシア
ヒースバンクシア(Banksia ericifolia)は日本でもよく見かける定番の種類です。赤いブラシ状の花が非常に印象的で、その見た目から「ブラシの木」などとよばれることも。
耐寒性は-5℃ほどあり、寒冷地以外では越冬も容易です。酸性土壌を好むバンクシアですが、ヒースバンクシアはそこまで神経質にならずとも育つといわれています。
種類②コーストバンクシア
コーストバンクシア(Banksia integriforia)は白~薄黄色の花を咲かせます。葉の形は大きく、ビワのような葉にも見えるかもしれません。オーストラリア沿岸に自生しているため、多湿や潮風に強いのが特徴です。
日本の高温多湿な夏を越せなかったという経験があるかたは、コーストバンクシアの栽培に挑戦してみるのもいいかもしれません。
個性あふれるオージープランツ「バンクシア」
パッと目を引き、一度見ると忘れられないような個性的な花を咲かせるバンクシア。興味のある人なら一度は育ててみたい代表的なオージープランツの1つでしょう。
個性的な見た目とは反して育てやすく、気候に合った品種を選べばやせた土地でもどんどん大きく育ちます。個性的な植物をお探しの方におすすめです。
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