養老渓谷のハイキングは心が躍る!
養老渓谷は千葉県にあり「房総の奥座敷」とも呼ばれています。長い年月の間に養老川がつくった景観は変化に満ち、夏の滝巡りや、秋の紅葉狩りができるハイキングコースとして人気があります。
養老渓谷は春夏秋冬ハイキングが可能です。養老渓谷のハイキングコースを「季節別」に紹介しますので、おでかけの参考にしてください。(この記事は2021年2月20日の情報をもとに作成しました。訪れる場合は最新情報をご確認ください。)
養老渓谷とは?
房総半島にある人気のハイキングエリア
「養老渓谷」は日本列島の中央部分に突き出た房総半島にあり、気候は温暖で冬でもハイキングを楽しめます。房総半島の中央部にある養老渓谷は、千葉県市原市と大多喜町をまたぎ、いくつものハイキングコースがあります。
大多喜町は大多喜城とその城下町で商業が栄え、房総半島を行き来する人の重要な宿場町でした。また市原市にある、77万年前地球の地磁気が最後に逆転した痕跡「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」は、国の指定文化財となっています。
秘境感にあふれてハイキングにおすすめ
養老渓谷は外房海岸寄りにある清澄山から流れ出る「養老川」が曲がりくねりながら流れるうちに、養老川の水が川の土を削り取ってできた浸食谷(しんしょくこく)で、千葉県屈指の観光スポットです。
都市部で少しずつ自然が失われていくなか、養老渓谷では春~夏のグリーンシーズンや、秋の紅葉シーズンだけでなく冬景色や温泉などバラエティに富んだ魅力があります。ハイキング初心者の方でも楽しめるコースがある、おすすめのエリアです。
養老渓谷のハイキングコースマップ
養老渓谷の主要なハイキングコースには、要所ごとに案内板があるので、分岐点でもハイキングコースの確認は可能です。とはいえハイキングコースを全体的に把握し、より安全に楽しむためにはマップが欠かせません。
養老渓谷のハイキングマップについては「養老渓谷旅館組合」の下記リンクから、美しくてわかりやすいコースマップが手に入ります。養老渓谷のハイキングは、分岐点ごとにマップで確認すると確実で安心です。
養老渓谷へのアクセス
養老渓谷駅まで<電車>
東京駅からは養老渓谷まで電車を利用し「養老渓谷駅」からハイキングを開始するのが定番の1つ。東京駅から総武線快速君津行きに乗り約1時間で「五井駅」です。小湊鉄道「養老渓谷行き」に乗り換えれば約75分で到着します。所要時間は最短で約2時間10分です。
また、東京駅から京葉線快速蘇我行きの終点「蘇我駅」で内房線君津行きに乗り換え「五井」から小湊鉄道で「養老渓谷駅」に行く方法もあります。乗り換えがスムーズなら、所要時間は約2時間20分です。
癒される「足湯」と便利な駅前「観光案内所」
養老渓谷駅構内には足湯があり、ハイキング疲れを癒すのにおすすめです。利用料金は大人140円ですが、鉄道と駐車場利用の方は無料です。営業時間は平日正午~16:30、土休日は11:00~17:00。
養老渓谷駅前には「市原市観光協会養老駅前観光案内所」があるので、ハイキングマップをもらったり、宿泊や食事の相談もできます。こちらでは電動アシスト自転車を1日1,000円で借りられますので、サイクリングも可能です。
養老渓谷まで<車>
東京駅から、ハイキング起点の定番スタートポイントの「養老渓谷駅」まで行く場合は、館山自動車道に入り、市原ICで降り、県道297号を通るルートです。牛久から県道81号(市原天津小湊線)で「養老渓谷駅」へ向かいましょう。
神奈川県方面からは「東京湾アクアライン」を通り、木更津東ICで降り、国道410号で久留里に出たあと県道32号で養老渓谷駅に向かいます。養老渓谷駅周辺には、手頃な料金の駐車場があります。
【養老渓谷駅周辺駐車場】
養老渓谷駅 (40台) |
1日500円 | 千葉県市原市朝生原177 |
渡辺駐車場 (50台) |
普通車1回400円 大型1回2000円(要予約) |
千葉県夷隅郡大多喜町 葛藤16 |
中瀬遊歩道駐車場 (48台) |
1回普通車500円 | 千葉県夷隅郡大多喜町 葛藤2 |
ハイキングスポットの基本情報
養老渓谷駅(ようろうけいこくえき)
- 住所〒290-0535
千葉県市原市朝生原177-2 - 公式サイトURLhttps://www.kominato.co.jp/train/station/yorokeikoku/index.html
- 電話番号0436-96-1609
- アクセス東京駅から総武線と小湊鉄道を乗り継いで約2時間10分自動車:市原ICより約50分
- 駐車場あり
50台(1日500円)
養老渓谷の滝や遊歩道ハイキング【春~夏】
春の滝巡りハイキングコース【7.3km・所要時間:2時間半】
この滝巡りハイキングコースの注目スポットは「粟又の滝(あわまたのたき)」で、「養老渓谷駅」からのスタート。「宝衛橋」から「日枝神社」「水月寺」を通過して「粟又の滝」までハイキングするコースです。
帰路は「粟又の滝」から小湊鉄道バスに乗り16分ほどで「養老渓谷駅」に戻ります。7km余りのハイキングコースですから、ふだん散歩の習慣がある方なら楽しめる、おすすめの滝巡りコースです。スポットを順にみていきましょう。
赤い「宝衛橋」
「宝衛橋」はこのハイキングコースで最初に出会う橋です。養老渓谷駅から歩いてすぐの場所にあり、鋼材を三角形に組み合わせたつくりと赤い色が特徴です。見上げるとアーチ型の「渓谷橋」が見えます。
宝衛橋は、ハイキングコースのランドマーク的存在で、養老渓谷のスケールが大きいことを実感できる場所でもあります。その他のハイキングコースも宝衛橋を経由することがあり、覚えておくと便利です。晩秋の紅葉にまた訪れたい橋です。
「観音橋」~「水月寺」
宝衛橋から1.5km進むと、赤い色と曲線が美しい「観音橋」に到着。2連曲線が優美な橋で、昇り降りを繰り返して歩く橋です。さらに「清澄養老ライン」を勝浦市方向に2km弱ハイキングすると「日枝神社」に到着。
日枝神社には樹齢千余年で、大多喜町指定文化財の椎の木2本があり、とても有名です。ここからさらに2.7km進むと、春にはミツバツツジが咲き誇る「水月寺(すいげつじ)」へと至るハイキングコースです。いよいよ粟又の滝へと向かいます。
末広がりの名瀑「粟又の滝」
水月寺から1kmほど進むと、このハイキングコースの目玉スポット「粟又の滝」に到着。養老川の上流にあるため「養老の滝」とも呼ばれる名瀑です。落差30m、幅100m。水が末広がりに流れ落ちる様子が華やかな滝です。
粟又の滝は養老渓谷で人気の観光スポットで、グリーンシーズンだけでなく、紅葉の時期には大変賑わうハイキングスポットです。このハイキングコースの帰りはバス停「粟又の滝」から養老渓谷駅までもどるのがおすすめです。
ハイキングスポットの基本情報
粟又の滝(あわまたのたき)
- 住所〒298-0277
千葉県夷隅郡大多喜町粟又 - 公式サイトURLhttp://www.town.otaki.chiba.jp/index.cfm/10,388,60,127,html
- 電話番号0470-82-2176(大多喜町商工観光課)
- アクセス上総中野駅か養老渓谷駅からバスで約15分
春の滝巡りハイキングコース【初心者向・4km・所要時間:1.5時間】
このハイキングコースは、粟又の滝の入り口から出発して「粟又の滝」や幻の滝と言われる「小沢又の滝」に立ち寄ります。その後水月寺から「粟又の滝展望台」に戻る、1時間半のハイキングコースです。
初心者でも楽しめ、秋の紅葉シーズンもまた綺麗な、養老渓谷の魅力を短時間で楽しめるハイキングコースです。車なら「粟又の滝展望台無料駐車場」や近隣の「滝見苑」有料駐車場に駐車が可能です。詳しくみていきましょう。
「粟又の滝」~幻の滝「小沢又の滝」
このハイキングコースでは、養老渓谷から粟又行きのバスに乗ると約15分で到着する「粟又ノ滝」から始まります。バス停すぐそばにある「上総養老の滝(粟又の滝)」と書かれた看板の矢印に従って歩きます。
入り口から石段を下りて左方向へ進み「粟又の滝」までは約200m。さらに「滝巡りの遊歩道」2.7kmほど先の「小沢又の滝」に向かいます。途中川を渡ったり、階段を上ったりするので、ハイキングシューズがおすすめです。
小沢又の滝~ミツバツツジ名所「水月寺」~粟又の滝展望台
「小沢又の滝」は出発地点から2.1kmにあり、個人所有の敷地内を流れる滝で、落差は15mの美しい滝です。密やかに落水する美しい滝は、ハイキングの疲れを癒してくれるでしょう。ここから500mほど歩いて水月寺に向かいます。
「水月寺」は開創1384年の歴史ある禅寺で、500本余りのミツバツツジを観賞したら、粟又の滝展望台に戻ります。このコースは鳥のさえずりや水音が聞こえ、五感を刺激するハイキングコースです。
ハイキングスポットの基本情報
小沢又の滝
- 住所〒298-0278
千葉県夷隅郡大多喜町小沢又1007-1 - 電話番号0470-85-0608
- 営業時間8:00amから日没
原則として無休
夏の弘文洞跡コース【初・中級向け 7.4km・所要時間:2時間】
この夏の養老渓谷ハイキングコースでの注目スポットは「弘文洞跡(こうぶんどうあと)」です。養老渓谷駅から出発し「宝衛橋」を経て「弘文洞跡」まで緑陰のもと、養老渓谷の風景を愛でながらの、爽やかなハイキングとなるでしょう。
中瀬遊歩道を経て、養老渓谷駅にもどる2時間ほどの初心者向きのハイキングコースです。養老渓谷観光協会の情報では、現在中瀬遊歩道は「中間地点土砂崩れ」のため、部分通行とのことです。早くハイキングができようになるといいですね。
養老渓谷~弘文洞跡
各スポットを詳しくみていきましょう。養老渓谷駅から「宝衛橋」を通過したら、出発地点から約1.8kmの分岐点では「バンガロー村・弘文洞跡」方向へ進みます。川音が聞こえ、心休まるハイキングとなるでしょう。
出発地点から2.6kmほどの場所に、バンガロー村へ到着します。中瀬遊歩道経由で「塚越隧道」を通過し、中瀬遊歩道入り口まで歩きましょう。出発してから3.8km、共栄橋を経て、飛び石を進んで川を渡ると弘文洞跡に到着です。
ダイナミックな「弘文洞跡」~「白鳥橋」~養老渓谷駅
弘文洞跡は「隧道(すいどう)」と呼ばれるトンネル状の地形ことで、本来は千葉県上総エリアで用いられた『川廻し』といって、水田化のための河川工事でできた地形です。弘文洞は1979年、上部が崩落して渓谷になりました。
現在は野趣が増した景観となり、ハイキングの人気スポットとなりました。ハイキングのスタートから5kmほどの場所にある温泉街を通過。「白鳥橋」を渡り、再び「宝衛橋」を経由して養老渓谷駅に戻るハイキングコースです。
ハイキングスポットの基本情報
弘文洞跡(こうぶんどうあと)
- 住所千葉県夷隅郡大多喜町小田代
- アクセス車:圏央道市原舞鶴ICから約17km
養老渓谷の紅葉やお寺ハイキング【秋~冬】
大福山・梅ヶ瀬コース【健脚向き・11.3km・所要時間:3.5時間】
大福山コースは美しい展望が魅力で、「大福山・梅ヶ瀬遊歩道」として10~12kmのハイキングコースを楽しめます。メインスポットの「大福山」は標高292m、千葉県の中央部に位置し、山頭には「白鳥神社」があります。
ただ、2021年2月10日現在「沢ルート」の一部と「尾根ルート」が通行禁止のため、養老渓谷駅と大福山の往復コースを選択する方もいるようです。本来のハイキングコースを紹介しますので、復旧したら訪れてみてくださいね。コース詳細をみていきましょう。
養老渓谷駅~女ヶ倉~大福山展望台まで
養老渓谷駅をスタートし「宝衛橋」「黒川沼」を経て「朝生原(あそうばら)トンネル」を抜けていくハイキングコースです。「女ヶ倉」の分岐点では「大福山展望台」方向へ3km弱歩き、スタート地点から大福山展望台まで、約1時間ほどの道のりです。
大福山東側200mにある大福山展望台の最上階からは、紅葉と共に南には鴨川・立山方向が、北には銚子や筑波方面が見渡せるでしょう。初心者の方は、ここから養老渓谷駅に戻るシンプルなハイキングコースもおすすめです。
紅葉の時期に登りました。11月だったので寒かったですが、紅葉も色付き始めていて素晴らしい眺めでした。
尾根ルート~もみじ谷~沢ルート~養老渓谷駅
大福山からさらに尾根ルート(約1km、30分)でもみじ谷を経由して梅ヶ瀬渓谷へと歩いたら、「沢ルート」と呼ばれる2.5kmほどの水辺を約40分進むハイキングコース。土の小径に出たら「沢ルート」が終わった証拠です。
来た時に通った「女ヶ倉」の分かれ道まで戻りましょう。ここまで養老渓谷駅から8.3kmハイキングをしたことになります。宝衛橋経由で養老渓谷駅に戻る周り方です。(現在尾根ルートと沢ルートの一部が通行禁止です。復旧状況を確認してお出かけください。)
ハイキングスポットの基本情報
大福山展望台
- 住所〒290-0537
千葉県市原市石塚 - 電話番号0436-23-9755(市原市経済振興課 観光振興室)
- アクセス
宝林寺と2階建てトンネル【初~中級・5.6km・所要時間:1時間15分】
養老渓谷駅~宝林寺~白鳥橋~観音橋
このハイキングコースは養老渓谷駅から徒歩7分の「富士山宝林寺」が最初のスポット。戦国時代に房総の有力者、里見氏にゆかりの深い寺で「南総里見八犬伝」のヒロインの実在したモデル「種姫」のお墓があることで有名です。
宝林寺から「宝衛橋」や「白鳥橋」を通過し、県道81号沿いの「観音橋」まではハイキングします。宝林寺を出発してから30分ほどの道のりで、初心者の方にも楽しめるハイキングコースです。このあと2階建ての素掘り「向山トンネル」に向かいましょう。
ハイキングスポットの基本情報
宝林寺
- 住所〒290-0535
〒290-0535 千葉県市原市朝生原783 - 電話番号0436-96-0255
- アクセス小湊鉄道 養老渓谷駅から徒歩0.2km
2階建ての「向山トンネル」~養老渓谷温泉郷
向山トンネル pic.twitter.com/N8XiO3FafH
— ぴろたん🍓 (@Pirotan_15) February 1, 2021
ハイキング後半で、養老渓谷付近で宝林寺や橋を渡り、向かうのは「共栄・向山トンネル」。県道81号線と養老川の間にある山に有名な「2階建てのトンネル」で、長さ110mで、西側は共栄トンネル、東側は向山トンネルと呼ばれています。
共栄トンネル部分は23m、普通の素掘りトンネルだったころは、上部の空間が出口として使われていましたが、1970年に更に掘り下げて新しい西側出口ができました。インスタ映えがすると評判の人気スポットです。
ハイキングスポットの基本情報
向山トンネルから養老渓谷駅まで、同じ道で戻るのもよいのですが、冬のハイキングの帰り道としておすすめの場所があります。81号線沿いの千葉県唯一の温泉郷「養老渓谷温泉郷」に回るハイキングコースです。特に冬のハイキング後の体を温めるのに有効です。
養老渓谷温泉郷には10軒ほどの温泉宿があり、日帰り温泉が楽しめる宿が何軒も。こちらでは源泉がヨウ素を含む「黒湯」と呼ばれる、茶褐色の温泉を楽しめます。帰りの電車時刻を確認しておくことをおすすめします。
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向山トンネル
- 住所千葉県夷隅郡大多喜町葛藤
- 駐車場あり
近隣に有料駐車場あり
まとめ
養老渓谷のハイキングコースを紹介しました。アウトドア初心者の方は、ハイキングからアプローチするのもおすすめです。温暖な気候の千葉県にある養老渓谷は春夏秋冬ハイキングを楽しめます。
養老渓谷は、ほどよい高低差や変化に富んだ景観があり、初心者でもハイキングを楽しめます。コースをピックアップしたり、連結させたりすることで、ハイキングに慣れた方でも十分楽しめる周り方となります。次のハイキング目的地に迷ったら養老渓谷を選んでみてはいかがでしょうか。
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